7/30 (水) ポスターセッション |
WP-1 |
原研関西研フォトカソードマイクロトロンの現状 |
神門 正城 |
日本原子力研究所 |
関西研究所光量子科学研究センター |
原研関西研では、超高強度レーザーと電子ビームを用いたレーザー加速研究に用いるためのフォトカソードマイクロトロンの整備を進めてきた。今回は、そのビーム試験の最近の結果を報告するとともに、レーザーとマイクロトロンを用いるレーザー・電子ビーム相互作用研究の展望を紹介する。 |
WP-2 |
KEK電子陽電子LINACのCバンドテストベンチの状況 |
大越 隆夫 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器研究施設 |
高エネルギー加速器研究機構電子陽電子線形加速器においては現在Cバンド加速器の開発が進めている。このためのテストベンチはSバンド加速管のエージングスタンドを使用している。このテストベンチの放射線遮蔽・電気・冷却水などの状況と現在まで行われた各試験における導波管立体回路の報告および今後の予定。 |
WP-3 |
逆コンプトン散乱による高輝度軟X線発生 |
上山大輔 |
早稲田大学 |
理工総合研究センター 鷲尾研究室 |
現在高輝度短パルスX線は物理、化学のみならず医療、産業等様々な分野で求められている。その発生方法についても多くの研究が行われており、中でも逆コンプトン散乱によるX線発生方法は、高輝度、短パルス、エネルギー可変性などの有用な特徴を兼ね備えたものとして注目されている。この発生法は今まではレーザーや電子ビームの性能という点で実現が困難であったが近年の電子ビームの高品質化、レーザー制御技術の発展により実現が可能なものとなってきた。鷲尾研究室ではRF-gunシステムを用いたテーブルトップサイズの高輝度軟X線発生装置の構築とその生体顕微鏡への応用を目指して研究を進めている。ここではこの逆コンプトン散乱を用いた軟X線発生実験について報告する。 |
WP-4 |
「Cs-Teフォトカソード電子源のスピン偏極度測定計画」 |
宮本延春 |
名古屋大学大学院 |
理学研究科素粒子宇宙物理学 SP研究室 |
KEK-ATFで開発したRF-gunに、名古屋大学で試験してきたCs-Te半導体フォトカソードを装着してマルチバンチビームを生成する実験は、2002年に行われ実用化への目途を立てることができた。このATF開発もその一環とする次世代リニアコライダー建設計画では超対称性粒子探索の有力な手段としてスピン偏極電子ビームの利用が想定されている。そこで無偏極電子源としては成功しているCs-Teフォトカソードを偏極電子源としても使用する可能性を探るべく、我々はそのスピン偏極度測定を企画した。ここではすでに開発済みの阻止電位型Mott散乱偏極度測定装置の性能とCs-Teカソード電子源を結ぶビーム移送系の準備状況について報告する。 |
WP-5 |
X-bandリニアックを用いた小型硬X線源の高性能化 ― 減速管導入ビームラインの設計 ― |
今井 貴之 |
東京大学 |
大学院工学系研究科附属原子力工学研究施設 |
東大・原子力工学研究施設では、文部科学省先進小型加速器開発プロジェクト(取りまとめ、放射線医学総合研究所)に参画し、X-bandリニアックで加速した電子ビームとレーザーとの衝突による血管造影用小型硬X線源の開発に取り組んでいる。X線生成実験用のビームラインの設計は既に終え加速器実験の準備を進めているが、同時に、レーザー衝突までの現設計に減速管を導入し、放射線バックグラウンドを低減させ、さらに永久電磁石を用いて小型化を図るなど、システムの性能向上を目指している。本発表では、減速管を導入した新しいビームラインの設計を中心に、X-bandリニアックを用いた小型硬X線源の高性能化について報告する。 |
WP-6 |
核理研将来加速器構想−リナック− |
浜 広幸 |
東北大学 |
大学院理学研究科付属原子核理学研究施設 |
東北大学においては核理研を母体として放射光施設を中心とした電子線を用いる新しい研究施設の設立計画が進行している。計画における加速器群は、1.5GeV電子蓄積リングを主リングとして、現有の1.2GeV電子シンクロトロンをブースター入射器、現有の電子リナックを改造し前段入射器とする構成を考えている。 今回は、熱陰極RF電子銃を採用し、シンプルな構成を狙った150MeV前段入射器リナックについて、現在までのデザインワークを報告する。 |
WP-7 |
J-PARC用セシウム添加型負水素イオン源の開発 |
小栗 英知 |
日本原子力研究所 |
大強度陽子加速器施設開発センター |
原研では大強度陽子加速器計画(J-PARC)に使用するセシウム添加型負水素イオン源の設計・製作を行い、これまでビーム試験を進めてきた。その結果、セシウム添加状態において負イオンビーム電流72
mA、規格化RMSエミッタンス0.15
の負イオンビーム引き出しに成功し、本計画のイオン源ビーム要求仕様を達成した。また、フィラメントの長寿命化試験を行い、現在、アーク放電パワー30kW、デューティー3%の条件で258時間の連続運転に成功している。 |
WP-8 |
X-band熱カソードRFガンにおけるビームローディング |
深澤 篤 |
東京大学大学院 |
工学系研究科附属原子力工学研究施設 |
文部科学省「先進小型加速器プロジェクト」において、小型硬X線源の開発を行っている。これはX-band電子線形加速器とQスイッチYAGレーザーを組み合わせ、逆コンプトン散乱によって33keVの硬X線を発生させ、血管造影への応用を狙っている。ここでは電子銃としてX-band熱カソードRFガンを採用しているため、RFパルスを入力している1μsの間、X-bandの間隔(88ps)でミクロバンチが並ぶマルチバンチの電子ビームとなる。従ってビームローディングの影響を考慮する必要があり、シミュレーションによりその評価を行う。また、RF源の開発状況も報告する。 |
WP-9 |
JAERI-FEL熱電子銃の電子バンチ繰り返し周波数の増加 |
西森 信行 |
日本原子力研究所 |
光量子科学研究センター自由電子レーザー研究グループ |
エネルギー回収リニアックを用いたFELで出力を向上させるには、電子バンチの繰り返し周波数を増やす必要がある。JAERI-FELの電子バンチの繰り返し周波数は従来10.4MHzであった。熱電子銃のグリッドパルサーを交換し、2倍の周波数の
20.8 MHz まで増加させる。その際の電子ビームのピーク電流、電荷量、ジッターの測定結果を報告する予定である。 |
WP-10 |
ATFにおけるCs-Teフォトカソードによる電子ビーム生成 |
照沼 信浩 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器研究施設 |
ATFではCs-Teフォトカソードを用いたRF電子銃の試験を昨年9月から始め、現在通常のビーム実験に使用するまでに至った。昨年の本研究会ではフォトカソードの生成に関するロードロック装置の設計制作状況を報告した。今回はその後の基礎試験や実際に加速器ビーム運転を通して得られた結果を報告する。カソードの量子効率の劣化や暗電流の量は当初懸念したほどではなく、量子効率に至っては5週間の運転において1%以上を保つことができている。 |
WP-11 |
ペッパーポットを用いたNEA-GaAs電子源のエミッタンス測定 |
山本尚人 |
名古屋大学大学院 |
理学研究科 SP研究室 |
次世代の電子線加速器計画では低エミッタンス化が焦点となっている。特にERL計画では、電子源において0.5 π mm mrad
という超低エミッタンスビームが求められている。この実現にむけて、我々はNEA-GaAsフォトカソードと直流型高電界電子銃の組み合わせによる大平均電流・低エミッタンス型電子源の開発を計画している。空間電荷効果によるエミッタンス劣化を抑えうる動作条件下では、NEA表面フォトカソードが初期エミッタンスの点で有利だからである。現在、その第一段階として名古屋大学で製作中のNEA-GaAsフォトカソード型200keV偏極電子源のエミッタンスをペッパーポット法により測定する計画を進めておりその準備状況を報告する。 |
WP-12 |
「電界放出型フォトカソードを用いるスピン偏極電子源の開発」 |
桑原真人 |
名古屋大学大学院 |
理学研究科 |
高輝度・低エミッタンスのスピン偏極電子源はリニアコライダーに必要不可欠であり、我々はすでにGaAs-GaAsP超格子フォトカソードなどの開発により高偏極度、マルチバンチビーム生成等に成功している。しかしこの偏極電子源はNEA表面を必須とするために常に寿命問題を抱えており超高真空や電界放出暗電流の削減に最先端技術が求められる。そこでNEA表面を必要としない別の方法として、ニードル状の微小領域から電界放出機構を利用してビームを取り出し、同時に低エミッタンス化を目指す偏極電子源の開発を開始した。まずピラミッド状GaAsからのレーザー励起・電子ビームの引き出しを試みたので、その電界放出特性とスピン偏極度の測定について報告する。さらにより画期的な電界放出特性が期待されるカーボンナノチューブを介してGaAsから偏極電子を引き出す実験計画についても言及したい。 |
WP-13 |
カートリッジ式Cs2TeカソードRF電子銃 |
出羽 英紀 |
(財)高輝度光科学研究センター |
放射光研究所 加速器部門 |
カートリッジ式のCs2TeカソードRF電子銃を開発した。カソードはカートリッジ式であるので工場生産が可能で電子銃本体にカソード製膜装置が不要である。リボルバーのホルダーに4個のカートリッジを収納できる。空洞の周波数は2856MHzで、大電力試験で90MV/mの電界を発生させることに成功した。266nmの入射レーザを用いたときの量子効率は工場測定時で8.3%であったが、28時間の長時間ビーム発生試験後1.1%まで低下することが確認された。また暗電流は電界強度90MV/mのとき1.3nC/pulseであった。 |
WP-14 |
beam deflectorの開発(3) |
小林 利明 |
(財)高輝度光科学研究センター |
加速器 |
SPring8線型加速器では電子銃から出射されるグリッドエミッションを電界で蹴り飛ばし、deflector
plate後方に設置したIrisで必要部分の電子ビームを切り出すシステムを実機にインストールした。このdeflector
を用いた蓄積リングのシングルバンチ純度の測定結果について報告する。また、deflector以降から加速され、蓄積リングのバンチ純度を低下させているフィールドエミッション電流のクリーニングについての検討状況についても報告する。 |
WP-16 |
J-PARC用セシウム不使用負水素イオン源の開発 |
池上 清 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器研究施設 |
J-PARC用セシウム不使用負水素イオン源の開発をKEKにおいて行っている。本発表では、LaB6フィラメントを使用したパルス直流アーク・プラズマ方式負水素イオン源に関し、ビーム強度を増加させる為に実験的に行った各種パラメータサーチの結果を報告する。LaB6フィラメントの形状および位置、フィルター磁場生成用永久磁石の数および配置の最適化がほぼ終了した。本開発過程で判明した、ビーム強度のプラズマ電極形状依存性に関しては、最適化を継続中であるが、ビーム引き出し孔径9mmの場合、ビーム強度を26mAから38mAに増加させることに成功した。運転開始当初発生した異常放電を抑制する為に施した対策や高デューティ運転時の問題点等についても報告する。 |
WP-17 |
低速陽電子実験用リニアックの電子銃 |
池田 光男 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器研究施設 |
KEK電子陽電子入射器では、低速陽電子実験用リニアックの移設が完了した。電子銃の整備も新たに行われたので運転に使用される状況について報告する。 |
WP-18 |
Velocity Bunchingによるパルス圧縮 |
飯島 北斗 |
東京大学大学院 |
工学系研究科附属原子力工学研究施設 |
東大ライナック施設に設置されている18MeV Linac(18L)は、入射器としてMg photocathode RF
gunを採用し、主にサブピコ時間領域の放射線化学実験に利用されている。これまで、サブピコ時間領域の実現のために電子バンチの圧縮にはシケイン型バンチ圧縮器を用いてきたが、現在別の方式によるバンチ圧縮を検討している。これはINFN-MilanのL.
Serafiniが提唱するもので、加速管内で圧縮を行う。このため磁気圧縮器を必要としないのが利点である。我々の18Lにおいて、その圧縮効率はシケイン型とほぼ同等の1ps以下の圧縮が見込まれる。本講演ではこの新圧縮方式と予備実験の結果を報告する。 |
WP-19 |
強力中性子源IFMIF用高プロトン比イオン源の開発 |
渡辺和弘 |
日本原子力研究所 |
那珂研究所 核融合工学部 加熱工学研究室 |
IFMIFでは、加速器入射部として100 keV, 155 mA出力で原子イオン組成比が90%以上、規格化エミッタンスが0.2
πmm・mrad以下の高輝度重水素正イオン源が要求されている。この目標に向けて、原研ではアーク放電型及びマイクロ波放電型イオン源の開発を実施している。今回は、プロトン比を高めることを中心に、且つ両方式のイオン源のビーム特性について比較した。アーク放電型では、ビーム引き出し部への高速一次電子流出を抑制する磁気フィルターや陰極形状の適用でプロトン比90%を得た。一方、マイクロ波放電型では、92%の高プロトン比をアーク放電型より3倍以上の放電効率で得られたが、エミッタンスはアーク型(0.27πmm・mrad)より大きい(0.35πmm・mrad)ことなどが明らかになった。 |
WP-20 |
高電圧短パルスエミッターを用いたRFGunの設計研究 |
長谷川 豪志 |
総合研究大学院大学 |
加速器科学専攻 |
RFGunは、これまで低エミッタンス電子銃として一定の成果を上げてきた。しかし、さらに低エミッタンス化を行う場合加速勾配を引き上げる必要があり、RFエミッタンスが増加するという相反する問題と放電限界の問題を解決するか使用周波数を上げなければならない。そこで、RFGunに非常に短いパルス電圧を印可し〜1GV/mの高い加速勾配でビーム加速出来る全段加速機構を作ることによって、放電限界の上昇とRFエミッタンス抑制を行う。本報告では、この電子銃の概要及びシミュレーションについて報告する。 |
WP-21 |
重イオン注入線形加速器用永久磁石型ECRイオン源 |
長江 大輔 |
東京工業大学 |
原子炉工学研究所 服部研究室 |
小型で省電力のイオン源が必要となる医療や工業分野では常伝導ソレノイド型ECRイオン源はその要求を満たしていない。その為、小型で省電力のECRイオン源が必要となり、永久磁石型ECRイオン源の開発を行いました。磁場計算プログラムPoissonを使用して13.6〜18Ghzで運転する高強度多価重イオン用永久磁石ECRイオン源の最適なミラー磁場を永久磁石、リターンヨークなどの形状、大きさ、それぞれの配置から決定し、製作を行いました。この永久磁石型ECRイオン源の性能を価数分布、それぞれの価数のイオンビーム電流量、エネルギーなどで評価する予定です。 |
WP-22 |
RF電子銃によるマルチバンチビーム発生 |
栗木雅夫 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器研究施設 |
KEKーATFではリニアコライダーのため低エミッタンスマルチバンチ電子ビームの研究開発をおこなっている。昨年後半より1.5GeV入射ライナックのさらなる安定化と低エミッタンス化のためモードロックレーザーを用いたRF電子銃による運転を開始している。陰極にはCsーTeを使用し限られたレーザーパワーでバンチあたり1nCを上回るビーム生成に成功している。本発表では装置の概要と得られているビーム性能を報告する。 |
WP-24 |
Xバンド高周波電子銃の開発 |
松尾 健一 |
石川島播磨重工業株式会社 |
技術開発本部 総合開発センター 電子機器システム開発部 ハイパワー・エネルギーGr |
逆コンプトン散乱を利用した小型硬X線発生システムの開発の一貫 として、Xバンド高周波電子銃の設計、製作を進めている。本電子銃 では、熱カソードとα-マグネットとの組合せによりエネルギー3.5MeV、 規格化エミッタンス10πmmmrad以下、電荷量20pC/bunchのビーム生成 を目標としている。カップラーは、同軸入力方式とすることで、軸対称 な高周波入力および集束磁石の簡素化が可能となった。また加速空洞 は、丸みを持った構造とすることで、加速効率の向上を図っている。 本発表では、本電子銃の開発現状について述べる。 |
WP-25 |
陰極の小径化による電子ビームマクロパルス特性の改善 |
宮迫 敦 |
京都大学 |
エネルギー理工学研究所 |
これまで、熱陰極型高周波電子銃における逆加速電子衝突に伴う電子ビームマクロパルス特性の劣化を定量的に評価し、その解決方法の研究を行ってきた。本講演では、陰極の小径化と外部からの磁場印加による電子ビームマクロパルス特性の向上について報告を行う。 |
WP-26 |
LEBRA−FEL用光陰極RF電子銃の設計検討 |
菅野浩一 |
日本大学 |
量子科学研究所 |
高品質なFELを発生させるためには、光共振器に入射する電子ビームの電荷量、エミッタンスなどのパラメータが充分に要求される値を満たしていなければならない。エミッタンスは主に加速器の入射部の性能に依存する。高電界加速が可能なRF電子銃を採用すれば、空間電荷によるエミッタンスの増大を防ぐことが可能である。そこでLEBRAでは光陰極を採用したRF電子銃の設計を行う。陰極材として、安定動作、コスト、取り扱い安さを考慮し、金属、化合物、酸化物陰極について検討する。また、二次電子放出効果を利用した大電流発生陰極に関する可能性についても検討する。 |
WP-27 |
アルミナセラミックスの銅電鋳被覆配線 |
田尻 桂介 |
中菱エンジニアリング(株) |
実験総括部 航空材料試験室 |
高融点金属法でメタライズしたアルミナセラミックスに銅電鋳を施し、メタライズ部を電鋳銅で被覆したFRシールド配線を形成させた。この配線方法は日本原子力研究所
大強度陽子加速器の3GeVシンクロトロン用真空ダクトのために開発したもので、電鋳法としては、同加速器のライナック部のタンク内面ライニングに採用されているのと同じPR銅電鋳を用いた。この被覆配線は中間層としてニッケルめっき並びに青化銅めっきを有し、密着強度は約4kg/㎟である。同中間めっき層はこの密着力を確保する他、電鋳工程における各処理液からメタライズ層表面のモリブデンを保護する働きをしている。また、これらの配線間を繋ぐ架橋配線についても開発した。 |
WP-28 |
リニアーコライダー用Sバンド離調型加速管の研究 |
松田美和 |
横浜国立大学大学院 |
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Sバンド離調型加速管は、従来型Sバンド加速管に比べ,エミッタンス増大を抑制する機構をもち、特に次世代リニアーコライダーの性能の成否を決める鍵となる。その機構とは、エミッタンス増大の原因となる各加速管セルの二重極モードの周波数を意図的にずらすことであり、互いにその影響を打ち消しあう効果を持つ。問題点は加速管内に立つ周波数が工作精度に対し敏感であるということである。そこでSバンド離調型加速管の工作精度の影響を明らかにするため、8セル構成のテスト用加速管を製作し、その加工精度が共振周波数に対しどれだけ影響するか測定した。本研究では、リニアーコライダー用Sバンド離調型加速管の設計原理とテストセルの加工精度について報告する。 |
WP-29 |
PERFORMANCE OF Nb/Cu CLAD SEAMLESS SC CAVITY MADE FROM A PIPE BY
HOT&COLD ROLLING AND DEEP-DRAWING |
伊藤 郁夫 |
新日本製鐵株式会社 |
技術開発本部 鉄鋼研究所 鋼材第一研究部 |
Cu/Nb/Cu三層クラッドスラブをEB溶接で真空密封した後、熱間及び冷間圧延してクラッド板を製作した。さらに深絞りとスピニングでシームレス円筒に成形し、液圧成形法で1.3GHzの空洞単セルを成形した。その後、内側の銅層を硝酸溶解し、両端にNb製ビームパイプとフランジをEB溶接して単セル空洞を製作した。空洞内面のNb表面に遠心バレル研磨、水素脱ガス真空熱処理、電解研磨を施して空洞性能を評価した。その結果、39MV/m(@1.5K)の世界最高級の高電界性を達成した。また最大Q値は1.7E10(@4MV/m、1.5K)で、かなり満足のいく結果が得られた。 |
WP-30 |
短寿命核用SCRFQとリバンチャーの改造 |
岡田雅之 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器研究施設 |
KEK・原研RNB計画ではKEK田無分室で製作された短寿命核用SCRFQ・IH加速器を原研タンデム施設に移設し使用する。そして、この計画の第2期計画ではIHの出射ビームをタンデム施設の超伝導加速器に入射する予定で、その為には加速器の周波数を25.5MHzから約26MHzに変更してやる必要がある。今回、加速器の周波数を変更する為の改造を行い、確認の為にローパワーテストを行なった。 本発表では、改造したSCRFQ・リバンチャーの周波数測定・電場分布測定の結果について報告する。 |
WP-31 |
Cバンドチョークモード型加速管の製作 |
三浦禎雄 |
三菱重工株式会社 |
プラント・交通システム事業センター加速器チーム |
今回、我々は、理研殿向SASE-FEL計画用Cバンドチョークモード型加速管を製作した。本加速管は、運転周波数5712MHz、空胴数89+2カプラーセル、τ=0.53、tF=296ns、加速モード3π/4モード、全長1.8mの定電場勾配型進行波加速管で、レギュラーセルはチョーク型構造、カプラー空胴はJ型2開口型である。MHIでは1998年に既に本タイプの加速管を電鋳法にて製作したが、今回はろう付によって接合した。ろう付け組立後の低レベルRF測定結果は、中心周波数f0=5712.102MHzで、入出力VSWR1.06、累積移相誤差2乗平均√Σθi2/91=3.1degであった。本加速管は2003年夏より、理研播磨研究所にて高電界試験予定である。 |
WP-32 |
SuperKEKB計画のためのCバンド加速管開発について |
紙谷 琢哉 |
高エネルギー加速器研究機構 |
電子陽電子入射器研究系 |
最近KEKBファクトリーのルミノシティーは目標値の1x10^34 /cm^2/sec
を突破したが、さらに1桁から2桁高いルミノシティーを目指した加速器の改造(SuperKEKB)についての実現可能性の検討が行われている。この改造の際、入射ライナックについては陽電子ビームの加速エネルギーを3.5GeVから8.0GeVに高くすることが必要となる。このため、現在使用されているSバンドの加速ユニットの代わりにCバンドのRF源と加速構造を用いて加速電界を現在の2倍に増やすためのR&Dを行っている。本発表では、Cバンド加速管の1号機の設計、製作及びハイパワー試験の現状について報告する。 |
WP-33 |
減衰離散型(HDDS)セルの精密製作技術 |
肥後寿泰 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器 |
リニアーコライダー主線形加速器を構成するXバンド加速管は、マルチバンチウェーク場を充分抑制した上で、50MV/mの高電界加速を実現する必要がある。このため現在の設計では、ビームホール径を大きく保ったまま加速モードの群速度を低く抑えるように5π/6モードを採用し、更にHOM減衰用のマニホールドとそれへの結合を実現するカップリングスリットを有するセル構造である。本件では、現在の高電界特性をふまえたケアを念頭に置き、しかもウェーク場への対応に関する精密な製作の現状を述べる。 |
WP-34 |
半導体用超高エネルギー重イオン注入器の研究開発 |
土屋和利 |
東京工業大学 |
服部研究室 |
高エネルギー重イオン注入器の前段加速器として、IH型構造を用いた加速空洞を考え、ビーム収束にはAPF収束法を採用した「APF−IH型線形加速器」の基礎研究と開発を行い、安定したAPF−IH型線形加速器を製作するための手法を確立する事を目指しています。IH型加速空洞は、誘導電流によりドリフトチューブ間の加速ギャップに発生する高周波電場を利用して粒子を加速します。APF収束は、高周波位相を用いて粒子に縦方向と横方向に収束・発散の力を与え、この作用を交互に行う事によりビーム全体の収束を試みます。APF−IH型線形加速器の特長は、加速効率が高い、収束要素を必要としない、小型で省電力を実現できる事です。 |
WP-35 |
IH型加速空胴に関する研究 |
山本和男 |
東京工業大学 |
原子炉工学研究所 |
加速器を用いたガン治療施設の普及のためには、より省電力で小型の加速器が必要となる。そこで、従来の入射器に変わる新しい加速空胴として加速効率が格段に高いIH型加速空胴の研究開発を行っている。IH型加速空胴は、同じドリフトチューブ型加速空胴のアルバレ型とは電磁場の発生モードが異なり、これのために空胴解析の研究は行われてこなかった。しかし、最近のワークステーションの進歩により、今回、電磁場解析ソフトにより加速空胴内の電場分布・共振周波数を求め、その値を用いた軌道計算プログラムを開発した。また、マトリックス法により設計した加速空胴の製作についても報告する。 |
WP-36 |
IHリニアックの周波数変更のための改造と低電力試験 |
新垣良次 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器 |
KEK田無で建設された不安定核加速用IHリニアックは 4台の空洞とその間に設置された3連四重極電磁石から
構成される。このIHリニアックを分割同軸型RFQと共に 原研東海研タンデム施設に移設する計画が進行している。
さらに、これらのリニアックの後段にIHリニアックを新設し、 既存の超伝導リニアックと結合させ、クーロン障壁を
超える領域まで不安定核ビームを加速する予定となっている。 超伝導リニアックの周波数と同期させるために、
IHリニアックの周波数を1.8%上げる改造をおこなった。 低電力試験において、周波数の目標値が可変チューナーの
範囲に入っていることの確認と電場分布等の測定を行った ので報告する。 |
WP-37 |
KEKB入射器用 Sバンド2m加速管の高電界試験 |
五十嵐 康仁 |
総合研究大学院大学 |
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KEKB入射器用Sバンド2m加速管の高電界試験を行い,その特性を調べた.高電界試験は3種類の加速管について行った.(1)KEKB入射器で使用されている標準タイプの加速管,(2)入出力カプラー空洞の形状を変更したタイプの加速管,(3)超純水高圧洗浄を行った加速管.試験の結果,3種類の加速管とも40MV/m以上の平均加速電界強度が得られた.特に超純水高圧洗浄を行った加速管は他の加速管に比べて半分以下の時間で45MV/mに到達し,放電回数,暗電流値とも1/3以下という結果であった.また,暗電流の運動量スペクトルのシミュレーションを行い,測定結果との比較も行った. |
WP-38 |
J-PARC ACS用ブリッジカプラの開発 |
青 寛幸 |
日本原子力研究所 |
東海研究所 大強度陽子加速器施設開発センター 加速器グループ |
J-PARCリニアックACS空洞開発の一環として、ブリッジカプラと導波管との接続部に関する解析をおこなった。これらの解析結果について報告する。 |
WP-39 |
J-PARC ACS型加速管のアルミモデル測定 |
秋川藤志 |
日本原子力研究所 |
東海研究所 大強度陽子加速器施設開発センター 加速器グループ |
J-PARCリニアックACS空洞開発の一環として、ハーフスケールのアルミモデルを用いた高周波測定を進めている。これらのモデルを用いた試験の現状と結果について報告する。 |
WP-40 |
低エネルギー入射APF-IH型重イオン線形加速器の建設 |
畑 寿起 |
東京工業大学 |
原子炉工学研究所 |
入射30kV/uから出射300kV/uのAPF−IH型線形加速器の設計を行った。今回は実機を稼動させるまでの現状を報告する。 |
WP-41 |
超高エネルギー重イオン注入機用線形加速器 |
服部 俊幸 |
東京工業大学 |
原子炉工学研究所 |
核子当たり1MeVのB,P(As)を加速する重イオン注入機用のAPF-IH型線形加速器製作を計画した。Asを10MeVに加速する入射20keV/u出射140keV/uで加速長0.7mのIH線形加速器と核子当たり1MeV/uまでB,Pを加速する1台と計2台のAPF-IH型線形加速器により構成されている。 イオン源は永久磁石型ECRイオン源を搭載し、エネルギーは数十keV/uから1MeV/uまで可変エネルギーの性能を持っている。 |
WP-42 |
京都大学赤外FEL装置用LINACのビームパラメータ評価 |
林 秀輔 |
京都大学 |
エネルギー理工学研究所 |
京都大学で計画している赤外FELでは、4.5空洞高周波電子銃と3mの進行波型加速管を用い、電子ビームを30-40MeVに加速しhalbach型アンジュレータを用いて、波長3〜20
μmでのFEL発振を目指している。これまでに、シミュレーションに基づいてビーム輸送系と光学系の最適化を行い、現在FEL装置建設を進めている。本講演では、加速器におけるビーム特性の測定結果について報告を行い、また、シミュレーションで得られたビーム特性との比較について報告を行う。 |
WP-43 |
エネルギー回収型加速管内のビーム-ビーム相互作用の数値解析による評価 |
増田 開 |
京都大学 |
エネルギー理工学研究所 |
電力効率の向上,並びに,ビームダンプでの放射線量率の低減に非常に有効であり,例えば自由電子レーザなど,加速器の工業利用のために理想的な技術であるエネルギー回収型線形加速器において,例えば1
MeV程度のより低いエネルギーまでの回収を行う場合には,入射器より入射され加速される電子ビームと再入射され減速される使用済みビームとの速度差が無視できなくなる.一方で,この効果を打ち消す方法として提案された使用済み電子ビームの対向方向からの再入射方式においては,対向しすれ違う電子ビーム同士の相互作用によるビーム輝度の劣化が無視できなくなる.本研究ではこのビーム同士の相互作用を軸対称二次元の数値シミュレーションにより評価した. |
WP-44 |
炭素薄膜の膜厚測定 |
末長清和 |
加速器エンジニアリング株式会社 |
加速器グループ |
重粒子線加速器(HIMAC)ではイオンビームを線形加速器で6MeV/nまで加速させた後、シンクロトロンへ入射させる。この際、炭素薄膜に通して荷電変換を行う。ビームのエネルギーは、薄膜の阻止能(単位長あたりのエネルギー損失)に依存して減衰する。エネルギーの測定には薄膜の約15m下流にある分析電磁石とプロファイルモニタを利用する。得られたエネルギー減衰量と阻止能との関係から膜厚を計算することができる。膜厚測定の意義は加速器を用いた基礎物理学的な研究面とビーム利用面にある。本発表では膜厚の測定方法について述べる他にメーカーの測定値との違いや膜厚の経時変化について説明する。 |
WP-45 |
超強力永久磁石による四極磁石 |
岩下芳久 |
京都大学 |
化学研究所 |
Halback型の磁気回路配列に磁気飽和鉄を導入して発生磁束密度を上げる手法を用いて永久四極磁石を試作した。この磁石と、その測定結果について報告する。また、温度補償、集束強度の可変化を検討しているが、これについて紹介する。 |
WP-46 |
水素脱ガスアニール不要なニオブ超伝導空洞の表面処理法 |
樋口玉緒 |
株式会社野村鍍金 |
技術部 |
KEK斎藤健治先生のご指導により総研大で開発されたニオブ超伝導空洞の表面処理について報告する。KEKではトリスタン以来、高性能を安定して得るためのニオブ超伝導空洞の表面処理法として機械研磨と電解研磨の組合せ処理を採用している。従来の処理法では表面処理中にニオブ空洞が水素を吸蔵し、水素脱ガスアニールが必須であった。しかしこのアニールは処理工程の煩雑化そして高コストを招く。アニールが不要な、即ち水素吸蔵を起こさない表面処理法の開発を目標とし水素吸蔵がどの過程で起こるか調査した。遠心バレル研磨(湿式機械研磨)時に使用液から水素が吸蔵されることが判明し、水素を成分に含まない液体の使用でこれを回避することに成功した。更にこの水素吸蔵を起こさない遠心バレル研磨と新開発の電解研磨法を組合せることで、水素脱ガスアニールが不要な表面処理法の開発に成功した。 |
WP-47 |
超流動ヘリウム中における超伝導空洞用フランジ部のシール法 |
達本 衡輝 |
日本原子力研究所 |
大強度陽子加速器施設開発センター 中性子施設開発グループ |
超伝導加速空洞用のシール材として現在はインジウムが一般的に使用されている。インジウムは真空シールとしての高い信頼性をもつが、非常に軟らかく自律性がないために空洞の組立・取り外しの際に空洞内を汚染し、空洞性能劣化を引き起こす可能性がある。我々は、容易に取り付け、取り外し可能なアルミニウムワイヤを超伝導空洞用フランジのシール材として検討しているが、超流動ヘリウム中で運転される超伝導空洞においてはアルミニウムワイヤのスーパーリークに対する信頼性を確立することが必要である。そこで、本研究会では、飽和超流動ヘリウム中(2K以下)のアルミニウムワイヤシールを用いたフランジのリーク試験結果について報告する。 |
WP-48 |
SDTL用タンク−端板金属シール |
柿崎真二 |
三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所 |
民間機技術部構造設計課 |
J-PARCのリニアック部に設置されるSDTLは円筒状のタンクにドリフトチューブを取付け,
タンクの両側に端板を取付ることによって共振空洞を構成する. タンク−端板間の真空シールにはバイトンOリングが用いられてきたが,
放射線および高真空度達成の観点からタンク−端板間に金属製真空シールを用いることが要求されている. またタンク両端に取付られる両端板間距離は,
タンク全長の機械加工精度よりも厳しい公差となるので, タンク−端板間をその調整代とするので,
金属製真空シールにはつぶし量に0.5mm程度の幅を持たせるという従来にはない特性が必要となる.
この厳しい要求をE-SEALとよばれる金属製シールにインジウムめっきを施すことによって満たせることを実証した試験の概要を報告する. |
WP-49 |
ホットモデルタンクを用いたDTLタンク輸送試験 |
柿崎真二 |
三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所 |
民間機技術部構造設計課 |
J-PARCはH17年度末にリニアック部のビーム出しを予定している.
リニアックを構成するDTL/SDTLのコンポーネントはH16年までに完成する見込みだが,その後タンクにドリフトチューブ(DT)を整列させて取付る,
タンク組立工程を経てから大電力試験を行う必要がある. 工期短縮の観点から,
完成したDTL/SDTLコンポーネントをKEK内大強度陽子リニアック棟にて組立/大電力試験を行い,
原研建屋完成後にDTを取付たままタンクを輸送することが求められている. しかしDTに取付たままのタンクをKEK〜原研東海(約80Km)を運ぶ間にDTの整列状態が崩れないことが必要である.
DTLホットモデルタンクを用い,実際の状況を模擬してKEK〜原研東海の輸送を行い, 組立たままタンクを輸送できる可能性を示すことが出来たことを報告する. |
WP-50 |
J-PARC陽子リニアックのRFチョッパーによるビームテスト |
加藤隆夫 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器研究施設 |
J-PARC陽子リニアックの3MeV中間エネルギービーム輸送系(MEBT)の中に設置してある高速のRFチョッパーを使ったビームテストに成功した。およそ10nsecの立ち上がりと立ち上がりを持つパルスビームが形成された。チョッパーが働いている時には、MEBT出口で測定されたビーム信号は、雑音レベル以下であった。様々なパルスパターンのチョップビームを形成できる事が実証されたので、J-PARC加速器の色々な運転モードに対応可能である。ピーク電流25
mA までのビーム実験結果を報告する。 |
WP-51 |
電子ビーム冷却技術サイクロトロンメーザークーリング |
長谷川崇 |
日本大学大学院 |
理工学研究科量子理工学専攻 日本大学電子線利用研究施設 |
電子サイクロトロン共鳴メーザーの強力な誘導放射機構による電子ビーム冷却の実証とその理論の検証を行い、サイクロトロンメーザークーリング(Cyclotron
Maser Cooling :CMC)装置の実用化試験を行う。 |
WP-52 |
SR照射デバイスのコンタミネーション |
内藤 孝 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器 |
近来、ライナックのFEL応用などでも使われる光学ミラーにはカーボンコンタミネーションと呼ばれる反射率が減衰する現象があることが知られいる。しかし、その現象はよく理解されておらず、今回その要因となる条件をみつけるための実験を行った。 その結果について報告する。 |
WP-53 |
KEKにおけるJ-PARCリニアックMEBTのビームコミッショニング-2 |
加藤隆夫 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器研究施設 |
KEKでは、原研東海キャンパスに建設されるJ-PARCリニアックの上流部のビーム試験を行っている。すでに50keV負水素イオン源、3MeVRFQ、MEBT(RFQ-DTL間のビーム輸送系)のインストールが完了し、ビーム試験を行った。本発表では、このビーム試験の結果について、同題目の発表1に続いて発表する。 |
WP-54 |
大強度陽子加速器リニアック用DTQ電源の高調波対策 |
堀 利彦 |
日本原子力研究所 |
大強度陽子加速器開発センター 加速器グループ |
大強度陽子加速器(J-PARK)リニアック用DTQ電源を実機で円滑に運用するためには、電気設備側に流出する高調波電流をガイドライン値以下に抑制することが必須である。昨年の本研究会では第5,7次調波を抑制するための等価12パルス方式について報告を行なったが、今年度は第11,13、21,23次調波の抑制を目的としたラインチョーク+同調フィルタ方式についての報告を行なう。同調フィルタとはR-L-Cの直列共振を利用したシャント回路で、商用電圧供給ラインとDTQ電源間に並列にこの回路を挿入することにより、第11,13次調波を抑制するものである。試験の結果、第11次調波以上の全ての高次調波について効果的なフィルタであることなど、今回新たに得られた知見を報告する。 |
WP-55 |
行列計算を用いたコヒーレント放射光効果の解析 |
羽島良一 |
日本原子力研究所 |
光量子 |
電子バンチが偏向軌道を通る時に発生するコヒーレント・シンクロトロン放射光(CSR)は、バンチが短く、バンチ電荷が大きいほど強くなる。個々の電子が放出する
CSR パワーはバンチ内の位置に依存し一様でないため、バンチ内に不均一なエネルギー分散を生じ、これがエミッタンスの増大をもたらす。ERL
周回軌道の設計では、この CSR 効果を含んだビーム運動の解析が必要とされる。本稿では、ビーム輸送系の設計に古くから用いられてきた行列計算を拡張し、CSR
効果を含んだビーム運動の解析を行う。これにより、エミッタンス増大を最小にするようなERL周回軌道の設計が迅速に行える。 |
WP-56 |
エネルギースペクトルを利用したウェーク場測定の研究 |
井合 哲也 |
大阪大学 |
産業科学研究所 量子ビーム発生科学研究室 |
阪大産研Lバンド電子ライナックは、1バンチあたりの電荷量が最大90
nCという大電流を特徴とする。そのため加速管内に誘起されるウェーク場の影響が無視できず、電子バンチのエネルギースペクトルはウェーク場からの影響を大きく受ける。このウェーク場の影響を調べる方法として、2つの異なる加速位相で測定したエネルギースペクトルから、バンチ形状とウェーク場を得る方法がある。本研究ではこれを産研Lバンドライナックに応用し、その測定結果をストリークカメラによるバンチ形状の測定やシミュレーションで求めたウェーク場と比較する。 |
WP-57 |
C-band 矩形導波管用フランジの検討 |
柿原 和久 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器研究施設(電子陽電子入射器) |
KEK電子陽電子線形加速器では、新規製作中のC-band
加速管1本を今年8月にビームラインに組み込み、加速試験を行う計画があり、現在はその加速ユニットを構成する加速管、導波管、高周波窓、ダミーロード等の各コンポーネントの設計、製作、試験を進めている。
本報告では、このC-band
加速試験の加速管及び導波管に採用することになったSLAC型矩形導波管用フランジ(メルディニアンフランジ)の真空シール性、機械的強度、高電界強度についての試験結果と新型フランジの可能性について述べる。 |
WP-58 |
KEKにおけるJ-PARCリニアックMEBTのビームコミッショニング1 |
池上 雅紀 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器研究施設 |
KEKでは、原研東海キャンパスに建設されるJ-PARCリニアックの上流部のビーム試験を行っている。すでに50keV負水素イオン源、3MeVRFQ、MEBT(RFQ-DTL間のビーム輸送系)のインストールが完了し、ビーム試験を行った。本発表では、このビーム試験の結果について報告する。 |
WP-59 |
J-PARCリニアック用レーザーアライメントシステムの開発 |
池上 雅紀 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器研究施設 |
J-PARCリニアックでは全長約280mにわたって、+/-50ミクロンの精度で加速器を整列することが要求されている。現在、KEK/原研では、このアライメント精度を実現するためのレーザーアライメントシステムの開発を行っている。本発表では、このレーザーアライメントシステムのR&Dの結果について報告する。 |
WP-60 |
J-PARC陽子リニアック設備の高調波対策 |
千代 悦司 |
日本原子力研究所 |
大強度陽子加速器施設開発センター |
J-PARC陽子リニアックに用いられる電磁石電源やクライストロン用高電圧電源等の直流電源は、小容量の電源が多数使用され、多量の高調波を発生する。本発表では、各機器からの高調波流出量を取りまとめ、その高調波対策について報告する。また、併せて接地等のリニアックの加速器機器の電力設備についても報告する。 |
WP-61 |
加速器トンネルにおける漏水防止 |
吉岡 正和 |
高エネルギー加速器研究機構 |
加速器研究施設 |
将来のリニアコライダーなどのような大型加速器は安定性や放射線対策などのため、浅深度〜大深度地下に建設することになる。既存のBファクトリーや建設中のJ-PARCも浅深度に建設されている。当然のことながらトンネル建設に当たっては地下水がトンネル内に漏れないよう防水がなされる。しかし、通常の外防水工事方法ではなかなか長期にわたり漏水を防止することには成功していないのが現状である。コンクリートの再結晶を促す方式による防水方法について述べる。 |
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