FROL09  加速器応用・産業利用2  8月7日 大ホール 14:00 - 14:20
加速器ベースホウ素中性子捕捉療法
Accelerator-based Boron Neutron Capture Therapy
 
熊田 博明(筑波大学),○吉岡 正和(KEK)
Hiroaki Kumada (University of Tsukuba), ○Masakazu Yoshioka (KEK)
 
筑波大学は多くの研究機関・企業および茨城県と協力して、加速器を用いた新しい放射線がん治療装置、「ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy, BNCT)」施設を建設している。治療に必要な熱外中性子(0.5eV〜10keV)フラックスは1&#10005;10^9n/cm^2/s以上で、かつ患者にとって有害な熱中性子、高速中性子、およびγ線を極力抑制しなければならない(混入率<10^-13)。従来は中性子源として小型の研究用原子炉が用いられ、これまでに数百例の治療実績があるが、原子炉は病院施設としては成立しないため、極めた限られた治療研究に留まっている。そのため、京都大学、筑波大学、国立がんセンターなどで中性子源として加速器を用いる開発が進められている。様々な技術選択があり得るが、筑波大学ではビームエネルギー8MeV、平均電流10mA(ビーム電力80kW)の陽子リニアックと、中性子生成標的としてベリリウムを用いる施設建設を行っている。茨城県東海村にある茨城県施設「いばらき中性子医療研究センター」に建設しており、昨年末までに加速器施設はほぼ完成し、陽子ビームを8MeVまで加速して標的部までガイドした。その後、中性子コミッショニングのために標的、中性子減速装置設置、および放射線遮蔽強化を行い、来年度には治療研究を開始する予定である。