THOL02  ハドロン加速器1  8月6日 大ホール 9:20 - 9:40
1MW大強度核破砕中性子源でのビーム平坦化技術開発
Research and development beam flattering technique for 1 MW high power spallation neutron source
 
○明午 伸一郎(JAEA J-PARC)
○Shin-ichiro Meigo (JAEA J-PARC)
 
J-PARCでは速い繰り返し(25Hz)の3GeV陽子シンクロトロン加速器から出射する1MWの大強度陽子ビームを用いた核破砕中性子源(JSNS)の運転を目指している。核破砕中性子源のターゲットには液体金属となる水銀を用いるが、ビーム起因の衝撃波による水銀容器のピッティング損傷が重要な問題となっている。この損傷により、米国オークリッジ(ORNL)の核破砕中性子源(SNS)ではピッティング損傷を抑えるためにビーム出力を抑えた運転を強いられている。ピッティング損傷はピーク電流密度の4乗に比例するために、ピーク電流密度を低く抑えた運転が重要となる。そこで、我々は八極電磁石を用いた非線形のビーム光学に着目し、非線形ビーム光学によるビーム平坦化技術の開発を行ってきた。RCSから出射される1MWのビームを用いてターゲット上のプロファイルの制御試験を行ってきた。八極電磁石におけるビームのβ関数や、位相差が重要な鍵となるが、ビーム調整時間が殆ど無いために短時間に効率的に行うことが必要なため、SADを用いたツールの開発を行った。その結果、僅か数ショットでビーム診断とビーム平坦化に必要な非線形ビーム光学の調整が可能になった。本ツールによるビーム調整により、非線形ビーム光学によりピーク電流は約30 %減少できる見込みを得た。来年(2016年)からいよいよ目標となる1MWの安定したビーム運転を目指す。