THP008  電子加速器  8月6日 小ホール 13:00 - 15:00
SACLA主加速器の運転と保守の状況
Operation status of SACLA main accelerator
 
○稲垣 隆宏,近藤 力,櫻井 辰幸,大竹 雄次(理研 放射光科学総合研究センター),益田 邦和,木村 健,中澤 伸候,田中 信一郎(スプリングエイトサービス)
○Takahiro Inagaki, Chikara Kondo, Tatsuyuki Sakurai, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center), Kunikazu Masuda, Takeshi Kimura, Shingo Nakazawa, Shinichiro Tanaka (SPring-8 Service Co., Ltd.)
 
X線自由電子レーザー施設SACLAは、8 GeVの線型加速器と21台の真空封止型アンジュレータによって、高輝度、極短パルスのX線レーザーを発生させ、先進的な実験に供する施設である。この施設は、X線自由電子レーザー用加速器であるが故に、運転の中断頻度が低く高度な安定性が要求される。主加速器である64台のCバンド(5.7 GHz)加速器では、通常35〜38 MV/mの加速電界にて、30ppsの繰り返しで年間約7000時間の定常運転を行っている。サイラトロンが自爆した際のインターロック基準を緩和することにより加速器のトリップ(運転中断)は半分以下に減り、30ppsの繰り返しでもトリップ頻度は1時間に1回程度となっている。しかしながら、2011年の運転開始から4年を経過し、大電力高周波機器の寿命や経年劣化が早くも問題となってきた。特に、72台のモジュレータで使用されるサイラトロンが一斉に寿命を迎えつつあり、この2年ほどで約半数を交換した。未交換のサイラトロンについても、サージ増大によるトリガ回路の損傷やタイミングのドリフト、導通ロスの変動などのトラブルが、この1年で急激に増加しており、サージ低減回路の設置やリザーバの調整などにより延命を図りつつ、運転を継続している。本発表では、SACLA主加速器の現在の運転状況と、これまで経験したトラブル事例や対策について報告する。