THP033  加速器技術/粒子源  8月6日 小ホール 13:00 - 15:00
マルチカスプ磁場ガイディングを用いたレーザーイオン源の長パルス化
Elongation of pulse width for laser ion source with guiding by multicusp magnetic field
 
○高橋 一匡,梅澤 将充,内野 拓海,池上 京祐,佐々木 徹,菊池 崇志,原田 信弘(長岡技術科学大学)
○Kazumasa Takahashi, Masamichi Umezawa, Takumi Uchino, Keisuke Ikegami, Toru Sasaki, Takashi Kikuchi, Nobuhiro Harada (Nagaoka University of Technology)
 
近年,レーザーと真空容器から成る簡便な装置構成で,固体ターゲットから高価数や大電流のイオンを供給することができるレーザーイオン源が注目されている.レーザーアブレーションプラズマの生成にはパルスレーザーが用いられ,パルス的に生成されたプラズマはターゲット面に対して垂直方向にドリフト速度をもって膨張する.プラズマの自由膨張距離を長くすることにより,ビームのパルス幅を伸ばすことが可能だが,一方でプラズマ密度の低下によって,引き出されるイオンビームの電流密度が大きく低下する.本研究では,磁場によってプラズマの進行方向以外の膨張を抑制し,電流密度の低下を抑えて長パルス化させることを目的とし,マルチカスプ状の磁場を用いたプラズマのガイディングを検討した.アブレーションプラズマの生成にはエネルギー400 mJ,波長532 nmのNd:YAGレーザーを用いて実験を行った.また,8個の永久磁石を円周上に並べることにより,8極のマルチカスプ磁場を形成し,レーザーターゲットから250 mmの位置に配置して,長さ300 mmの間で印加した.ファラデーカップを用いてプラズマのイオン電流波形を計測し,輸送距離に対する変化を調べた.その結果,マルチカスプ磁場を輸送中のイオン電流密度は自由膨張時と比較し,低下を抑えられることが示された.