THP118  加速器技術/真空  8月6日 小ホール 13:00 - 15:00
J-PARC主リング真空ダクトの一部チタン置換と運転への影響
Vacuum Ducts Modification to Shape and Material in J-PARC MR
 
○魚田 雅彦,堀 洋一郎(高エネ研)
○Masahiko Uota, Yoichiro Hori (KEK)
 
J-PARC MRの真空ダクトは、短い繋ぎのベローズダクトがチタン製であることを除けばほぼステンレス製である。アパーチャの基本内径は130mmだが、電磁石内では種々の制約及び要求により形状が円形から変更されており、約半数の四極電磁石内では水平・垂直方向断面についてアパーチャを広げるためボア径を超える角の丸いダイヤ型を採用している。震災からの復旧後の2012年度の運転で、強度上昇に伴い入射コリメータ下流部の200m、及び全周のアーク部の分散関数極大部で、ビームロスによる放射化が進行し将来のメンテナンス性の悪化の懸念が顕在化した。コリメータ下流部は運動量を失った粒子が周回することなく損失するためであるが、全周の分散関数極大部での予期しないビームロスは、2つの四極電磁石(QFX)及び挿入された六極電磁石の水平断面を詳細に調査した結果、上流側の四極電磁石から六極電磁石の円形ダクトへ口径を絞っている形状変換部に局在していることが明らかとなった。そこで、コリメータ下流部で放射化が進行している四極電磁石ダクトに加え、全周の分散関数極大部の四極-六極-四極電磁石ダクトについて、材質をチタンへ変更し、後者については同時に水平アパーチャを絞らず平坦化する新しい形を採用した。2012年の秋にインストールし、2013年後期から新しいダクトでビーム運転が始まり、真空の性能や残留放射能への効果が表れてきている。その結果を報告する。