THP126 加速器応用、産業利用 8月6日 小ホール 13:00 - 15:00 |
放射線照射した原子炉材料表面のイオンビーム表面分析法による研究 |
Ion Beam Analysis of the Surface of Nuclear Materials Irradiated with Radiation Ray |
○倉橋 慎太郎,奥田 修一,秋吉 優史(阪府大) |
○Shintaro Kurahashi, Shuichi Okuda, Masahumi Akiyoshi (Osaka Prefecture University) |
原子炉燃料被覆管は炉内において高温高圧の条件下に加え、核分裂反応に伴う放射線に晒される。被覆管材料の主成分であるZrと軽水による酸化腐食反応が進むことで発生する水素や酸素といった不純物は被覆管に吸収され、材料脆化の原因となる。 これまで、材料の特性向上や腐食改善、核燃料の使用時間向上のために金属表面における不純物の拡散機構を解明する研究が行われてきた。しかし、放射線環境下における金属の表面状態の変化を調べる研究はこれまでほとんど行われておらず、放射線環境下の腐食に関する系統的な知見はあまり得られていない。本研究では、不純物元素の情報が得られる優れた方法の一つであるイオンビームによる表面分析法を用い、材料表面における不純物の情報を得ることでその挙動および放射線照射の影響を評価した。 材料へのCo60のγ線照射およびイオンビーム分析に関しては、それぞれ大阪府立大学の放射線施設および1 MeV静電加速器を用いて行った。また、後方散乱スペクトルの計算により測定配置を最適化した。Zrへ2.1 kGyのγ線照射および950 keVのHイオンの表面分析を行ったが、非照射環境下と比較して表面状態の変化は見出されなかった。現在では、より強力なγ線照射環境下の腐食試験を行ない、その表面状態を評価する研究を進めている。発表では、非照射環境下の金属の表面状態と比較することで、その挙動と放射線照射の影響についての議論を行う。 |