WEP010  ハドロン加速器  8月5日 小ホール 13:00 - 15:00
超冷中性子リバンチャーの改良III
Improvement of the Ultracold Neutrons Rebuncher III
 
○今城 想平(京大),岩下 芳久(京大化研),北口 雅暁,清水 裕彦(名大),三島 賢二,猪野 隆(KEK)
○Sohei Imajo (Kyoto Univ.), Yoshihisa Iwashita (Kyoto ICR), Masaaki Kitaguchi, Hirohiko M. Shimizu (Nagoya Univ.), Kenji Mishima, Takashi Ino (KEK)
 
我々はJ-PARCにおいて中性子の電気双極子能率(EDM)を探索する実験を計画している。中性子EDMの探索は運動エネルギーを200neV以下に減速させた超冷中性子(UCN)を十分にバックグラウンド遮蔽を施した実験容器まで導き、系統誤差の小さい小容器に貯蔵して行うのが主流である。従って統計誤差の低減のためには数密度の高いUCNが望ましい。しかし繰り返し周期の長いJ-PARCのパルスビームを用いた核破砕中性子源では輸送中にUCNのバンチがそれ自身の速度分布に従って拡散し、実験容器地点では数密度が大きく落ちてしまう。その解決策として我々は中性子の運動エネルギーを輸送中に100neV程度制御し、実験容器地点にUCNを時間的に集束させる中性子加速器「超冷中性子リバンチャー」を開発した。本装置は中性子のスピンが磁場勾配から力を受けることを利用しており、磁場勾配中のUCNに高周波磁場を印加してAFP-NMR法によってそのスピンを反転させ静磁場通過前後の運動エネルギーに収支差を生じさせることを加速原理としている。印加する高周波磁場の周波数に応じて磁場勾配中でのスピン反転が生じる位置が変化することを利用し、周波数を約0.1秒の間に適切にスイープすることで本装置をレンズとして機能させる。原理実証機を完成させた我々は完成機の前段階となる2号機を現在開発中であり、その2号機も完成間近となっている。本発表では2号機のスペックと予想されるUCN集束結果について報告する。