WEP029  ビームダイナミクス、加速器理論  8月5日 小ホール 13:00 - 15:00
重イオン慣性核融合のための重イオンビームのパルス圧縮を模擬する小型電子装置を用いたビーム物理研究
Beam Physics Study on Pulse Compression of Heavy Ion Beam in Heavy Ion Inertial Fusion using Compact Electron Simulator
 
○菊池 崇志,佐藤 知拓,小森 拓弥(長岡技科大),朴 英樹,曽我 之泰(金沢大),酒井 泰雄,堀岡 一彦(東工大),高橋 一匡,佐々木 徹,原田 信弘(長岡技科大)
○Takashi Kikuchi, Tomohiro Sato, Takuya Komori (NUT), Youngsoo Park, Yukihiro Soga (Kanazawa Univ.), Yasuo Sakai, Kazuhiko Horioka (Tokyo Tech.), Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, Nob. Harada (NUT)
 
重イオンビームを燃料標的へ照射し、アブレーションプラズマの膨張とその反作用によって急激な圧縮(爆縮)を行い、中心で瞬間的に高温・高密度状態を形成して核融合反応を起こす慣性核融合方式は重イオン慣性核融合と呼ばれ、大電流の重イオンビームが必要とされる。いくつかの加速器システム構成が提案され、それぞれパラメータは異なるが、いずれも最終段ではkA級の重イオンビームが要求されている。従来の加速器で生成されるビームのパラメータとは大幅に異なるため,重イオン慣性核融合に固有のビーム動力学の検討が必要である。特に,大電流であることから,空間電荷効果の影響が無視できないビーム物理を扱うことが特徴である。また、重イオン加速器システムの最終段では,燃料ペレットの爆縮時間スケール(10~100ns)に合わせ,ビームの電流を上昇させるために,進行方向に急激なパルス圧縮を行う操作も特殊な課題である。重イオン加速器は大型となり高価なため,小型で空間電荷効果が効く状態のビームを容易に生成できる,電子による模擬実験装置を用いた実験的検討が行われている。また,実験条件に合わせた多粒子の軌道計算によって,実験だけでは評価できないビーム動力学を検討している。本研究では,電子ビームによる小型装置を用いた研究を紹介し,重イオン慣性核融合のための重イオンビームを模擬するに当たっての課題やビーム物理を検討するためのポイントを整理する。