WEP055  加速器技術/高周波加速空胴  8月5日 小ホール 13:00 - 15:00
アルバックにおける低コスト化に向けた超伝導加速空洞の開発
Development of Low Cost Superconducting Cavity at ULVAC
 
○永田 智啓,阿部 知行,増居 浩明,篠澤 精一,長久保 準基,村上 裕彦((株)アルバック),井上 均,山中 将,加古 永治(高エネ研)
○Tomohiro Nagata, Noriyuki Abe, Hiroaki Masui, Seiichi Shinozawa, Junki Nagakubo, Hirohiko Murakami (ULVAC, Inc.), Hitoshi Inoue, Masashi Yamanaka, Eiji Kako (KEK)
 
国際リニアコライダー計画(ILC計画)を筆頭に今後多くの超伝導加速空洞が必要となるに際しては、生産性が高く低コストとなる加速空洞製造技術が求められる。アルバックでは事業化に向けて加速空洞の低コスト化を目的とした開発に取り組んでいる。現状では自社に電子ビーム溶解炉を導入してニオブインゴットの高純度精製を実施しており、加速空洞素材としての性能を満たしつつこれを極力安価な形で供給するべく検討を進めている。自社精製インゴットを用いて板材とビームパイプを作製し、これらの部材をKEKにて加工・溶接して単セル加速空洞を試作したところ41MV/m@2Kの加速勾配が得られた。各部材における純度・機械特性・RRRはILC用ニオブ材の規格を満たすことも確認している。また、現在主流の加速空洞製造方法である溶接を用いた手法ではなく、アルバック独自の技術で製作したシームレスパイプを用いた加速空洞の開発も行っている。シームレス法は溶接を用いず直管を直接的に空洞形状に成形(例えば、液圧成形など)するため製造コストを低下させることが期待されているが未だ実証には至っていない。今回我々は、成形性の良いシームレスパイプを得るために結晶組織の調質、特にパイプ内での結晶粒径の均一化に主眼を置いた開発を進め、加工や熱処理の条件精査により単セル空洞の液圧成形に成功した。