合同セッション (8月5日 大ホール) | |
10:00 - 10:30 | |
WEOLP01 p.1 [Slides] | 若狭湾エネルギー研究センターの加速器施設の開発と応用 The development and application of accelerator system at The Wakasa Wan Energy Research Center ○羽鳥 聡,栗田 哲郎,林 豊,山田 裕章,高城 啓一,久米 恭(若狭湾エネルギー研究センター),安田 啓介(現所属、京都府立大学),石神 龍哉,辻 宏和(若狭湾エネルギー研究センター) ○Satoshi Hatori, Tetsuro Kurita, Yutaka Hayashi, Hiroaki Yamada, Keiichi Takagi, Kyo Kume (The Wakasa Wan Energy Research Center), Keisuke Yasuda (Present affiliation, Kyoto Prefectural University), Ryoya Ishigami, Hirokazu Tsuji (The Wakasa Wan Energy Research Center) 福井県は3.11以前は関西の電力の半分強をまかなうエネルギー供給県であり、その9割は若狭湾地方に集中する商業原子炉による原子力発電である。このような特色を活用し、エネルギー関連技術や地域産業への応用技術の研究、研修などを目的として、1994年財団法人(現在は公益財団法人)若狭湾エネルギー研究センター(エネ研)が設立された。1998年には研究施設である福井県若狭湾エネルギー研究センターが開所し、その運営・管理を行っている。 エネ研の研究開発の一つに加速器から得られる荷電粒子線(イオンビーム)の利用研究がある。そのために施設開所と同時に加速器システムの建設を開始した。システムは二つの負イオン源、高周波整流型5MVタンデム加速器とタンデム加速器を入射器とする200MeV陽子シンクロトロンおよびそれぞれの加速器ビームを用いるビームライン群からなる。 近年のタンデム加速器ビーム利用に関しては、イオンビーム分析技術開発が精力的に行われ、水素やLiなどの軽元素分析技術の向上やマイクロビームを用いた元素分析利用が著しい。シンクロトロンからの陽子ビームは人体の厚み程度の飛程をもつことから、がん治療の臨床研究が行われてきた。生物照射研究も盛んに行われているが、近年、宇宙機に搭載される機器の耐放射線性能や動作状況の評価にも用いられている。 本論文ではエネ研の加速器システムの構成、開発、その応用について紹介する。 |
10:30 - 11:00 | |
WEOLP02 p.5 | J-PARC 加速器のビーム強度の増強 Progress of Beam Intensity in the J-PARC Accelerators ○長谷川 和男(J-PARCセンター、JAEA&KEK) ○Kazuo Hasegawa (J-PARC Center, KEK&JAEA) J-PARC では2014 年の夏季停止期間中、リニアックのピーク電流を30mA から50mA に増強するため、新たに製作し・テストスタンドで試験を行った高周波駆動型イオン源と高周波4重極型リニアック(RFQ)への入れ替えを行った。3GeV シンクロトロン(RCS)では入射バンプ磁石電源の改修を行い、バンプ軌道を安定にした。その後リニアックとRCSの調整を進め、2015 年1 月10 日、1パルスあたり8.41X1013 個の陽子数(25Hz 運転時には、所期性能である1MW に相当する)の試験に成功した。ビーム試験と利用運転の経験を重ねて徐々にビームパワーを向上させ、物質・生命科学実験施設の利用運転時における出力を、入れ替え前の300kW から500kW まで向上させた。メインリングでは、速い取り出しにおける横方向の不安定性の抑制やベータトロン共鳴の補正などによりビームロスの抑制を図り、2 月に260kW から320kW へパワーを向上するなど、順調に調整や運転を行い、3 月26 日にはニュートリノターゲットへ供給した陽子数が1x1021 個を超えた。また、2013 年5 月23 日に発生したハドロン実験施設における放射性物質漏えい事故により当該施設の運転を停止していたが、再発防止策や安全管理の強化を図り、4 月24 日に利用運転 を再開した。ここでは、J-PARC 加速器におけるビーム強度の増強や安全管理の強化について報告する。 |
11:00 - 11:30 | |
WEOLP03 p.10 [Slides] | 単一サイクルXFELパルス生成手法の提案 Proposal to generate monocycle XFEL pulses ○田中 隆次(理研放射光センター) ○Takashi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) 可視レーザーなどで実現されている、単一サイクル孤立光パルス生成を、 XFELにおいて実現するための手法[1]を提案する。本手法は、チャープ したマイクロバンチが形成された電子ビームをテーパーアンジュレータ に入射することによって、実効的に光のスリッページを相殺するという 原理に基づくものであり、2 GeV & 2 kAの電子ビームに適用した場合、 8.6 nmの波長で1.2 GWのピークパワーを有する単一サイクルX線パルス (FWHMパルス幅で46 as)が生成可能であることが分かった。ちなみに 本手法は光学機器などを一切利用せずに単一サイクル孤立光パルスを 生成することが可能であるため、原理的には硬X線領域まで拡張が可能 である。 [1] T. Tanaka, Phys. Rev. Lett., 114 (2015) 044801 |
11:30 - 12:00 | |
WEOLP04 p.15 [Slides] | ガスクラスターイオンビームのサイズ分布制御に向けた分析装置の開発 Development of Analyzer for Size Distribution Control of Gas Cluster Ion Beam ○平野 裕亮,畠山 暖太郎,高橋 一匡,佐々木 徹,菊池 崇志,原田 信弘(長岡技科大) ○Yusuke Hirano, Yuutarou Hatakeyama, Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, Takahi Kikuchi, Nobuhiro Harada (NUT) 近年の半導体技術ではナノレベルの加工技術が要求されており、表面加工・改質のためクラスターを用いた新しいイオンビーム技術が使用されている。中性のガスクラスターは高圧の気体をノズルから真空中へ噴出する際、ノズル内で断熱膨張によって気体が冷却されて相転移を引き起こすことで生成され、加速させた電子を衝突させて電離することでイオン化される。生成されたクラスター1個あたりに含まれる原子の数は、数個から数万個程度の幅広いサイズを持っており、材料へ照射を行う際はサイズ分布を適切に制御・選別する必要がある。経験的に得られているスケーリングで、クラスターの平均サイズを予測することは可能であるが、サイズ分布を予測することは困難である。そのため本研究では、気体の圧力や温度のパラメータおよびノズルの形状がクラスターのサイズ分布へ与える影響を調べ、その制御の可能性を検討するため、ガスクラスターイオンビームのサイズ分布を計測する分析装置の開発を行う。サイズ分布の測定には加速電圧を印加した際に、質量の違いによってイオン化した位置からファラデーカップまでの飛行時間が異なることを利用したTOF法からクラスターの質量分布を求め、質量分布から原子1個当たりの質量を除算することでサイズ分布を求める。本発表では、クラスタービーム利用の現状を紹介すると共に、分析装置を用いたサイズ分布の測定結果について報告する。 |
ビーム診断・制御 (8月5日 大ホール) | |
15:10 - 15:30 | |
WEOL01 p.20 [Slides] | 準3次元ビームプロファイルモニターを用いた低エネルギー重イオ ンビーム縦方向運動量分布の測定 Experimental Evaluation of Longitudinal Momentum Deviation for Low Energy Heavy Ion Beam with Quasi-3D Profile Measurement on the Beam Line ○劉 星光,由元 崇(東工大) ○Xingguang Liu, Takashi Yoshimoto (Tokyo Institute of Technology) Longitudinal dependent transverse beam profile measurement is realized with a newly developed quasi-3D profile monitor which has been modified from the multi-wire grid based profile monitor. With the beam profile measured at the region where a definite value of disperse function exists, the longitudinal energy difference can be evaluated. In this paper, the longitudinal momentum deviation in a low energy heavy ion beam induced by the following mechanisms are discussed: (1) beam loading effects on the extraction gap voltage of an the Electron Cyclotron Resonance Ion Source (ECRIS) and the post-acceleration column voltage of the high voltage platform which the ECRIS is embedded in; (2) longitudinal momentum modulation induced by the Einzel Lens chopper. Simulation results are also presented to confirm these observed phenomena. |
15:30 - 15:50 | |
WEOL02 p.25 [Slides] | J-PARC Main Ringのビーム位置モニタのゲイン較正 BEAM BASED GAIN CALIBRATION FOR BEAM POSITION MONITOR AT J-PARC Main Ring ○久保木 浩功,外山 毅(KEK J-PARC),畠山 衆一郎(三菱電機システムサービス (株)),高野 淳平,手島 昌己(KEK J-PARC) ○Hironori Kuboki, Takeshi Toyama (KEK J-PARC), Shuichiro Hatakeyama (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Junpei Takano, Masaki Tejima (KEK J-PARC) ビーム位置モニタ(Beam Position Monitor, BPM)は、シンクロトロン加速器において周回ビームの位置情報を得るのに不可欠な要素である。BPMによって得られた位置情報はビームの閉軌道歪み補正に用いられ、位置精度は補正精度に大きく影響する。ビーム位置算出に使用する信号は、BPM電極からの出力電圧を同軸ケーブルで伝送した後に処理回路内のADCでデジタル化された信号である。各電極における出力電圧とADC出力電圧の比例係数をゲインとすると、1) 100 m以上のケーブル伝送による信号伝達特性、2)処理回路、3) コネクタ等の接続部の接触抵抗、等の電極間個体差により、1台のBPMにおいても各電極のゲインは同一ではない。この電極間の相対的なゲインの違いを補正するため、実際のビームを用いて各電極のゲイン較正を行うBeam Based Gain Calibration (BBGC)が提案された [1]。BBGCはKEKBにおける四ボタン電極型BPMでは手法が確立されているが、J-PARC Main Ring (MR)で使用されている対角線カット型電極のBPMには同手法は適用できず、新たに解析手法を開発する必要があった。実際のビームで取得したマッピングデータを全最小二乗法を用いて解析するBBGC手法により、左右上下各電極のゲインを0.6〜0.8%の精度で決定した。本講演ではその解析結果について報告する。[1] M. Tejima et al., "Beam Based Gain Calibration of Beam Position Monitors at J-PARC MR", DIPAC2011, MOPD22 (2011). |
15:50 - 16:10 | |
WEOL03 p.30 [Slides] | SPring-8新規Bunch-by-Bunch Feedbackシステム信号処理回路の開発 Development of a New Bunch-by-Bunch Feedback Signal Processor at the SPring-8 Ring ○小林 和生,中村 剛,正木 満博,藤田 貴弘(公財)高輝度光科学研究センター) ○Kazuo Kobayashi, Takeshi Nakamura, Mitsuhiro Masaki, Takahiro Fujita (JASRI/SPring-8) 放射光リングであるSPring-8蓄積リングでは、2004年1月から蓄積ビーム不安定性を抑制するためFPGAをデジタル信号処理に用いたBunch-by-Bunch Feedback(BBF)システムを導入している。現在運用に用いている信号処理回路は2004年度に開発、2005年9月よりSPring-8のビーム運転に適用しており、内外の放射光リングのBBFシステムにも採用されてきた。これまで、供給停止となったDACデバイス、ADCデバイス等の入替を行ってきたが、今回、最新のデバイスを採用し、回路を一新した。ADC/DACには500MHzデータレート12/16ビットのもの、FPGAには内部演算サイクルとして4nsecが可能なものを採用し、BBFシステムとしてはRF入力フロントエンド回路の簡略化、アナログ出力向上によるパワーアンプドライブ段の省略を図ると共に、これまでBBFシステムを運用するにあたって多くの外付け回路が必要であったバンチ電流強度感応アッテネータシステム、ダンピングタイム評価システム等も新回路ではほとんど外付け回路無しで実施できるように設計している。本報告では新信号処理回路の機能を紹介すると共にSPring-8でのビームを用いた評価結果も併せて報告する。 |
16:10 - 16:30 | |
WEOL04 p.34 [Slides] | SPring-8線型加速器静電型ストリップラインモニタの出力波形解析 Output Signal Analysis of Electrostatic Stripline Monitors for The SPring-8 Linac ○柳田 謙一,鈴木 伸介,花木 博文(公益財団法人高輝度光科学研究センター) ○Kenichi Yanagida, Shinsuke Suzuki, Hirofumi Hanaki (Japan Synchrotron Radiation Research Institute) SPring-8線型加速器に於いて電子ビームの位置測定用に四電極の、二次モーメント測定用に六電極のストリップラインモニタが使用されている。このストリップラインモニタは純粋に静電結合型である。純粋静電結合型であるため、ビーム電流との結合に於いては磁気結合を無視して、静電結合のみで横(Transverse)方向ビーム位置及びモーメントの計算を行い、それが理論的・実験的に正しいことを証明して来た。今回は長手(Longitudinal)方向の信号電圧の挙動(振る舞い)に関して、横方向と同様にビーム電流と静電結合のみを仮定して波形解析を行った。そして、その解析が正しいことを確認するために実ビーム試験も行った。具体的には、ビーム電流との静電結合により生じる信号は壁電流のみであるため、壁電流とキルヒホッフの法則のみで出力信号波形を説明する。前提条件は、同軸ケーブル、フィードスルー及びストリップライン電極を通しての特性インピーダンスが50Ωで一定である事である。また、ある電極に電流が流れた場合、隣の電極にも静電結合により信号波形が出力されるが、これも壁電流とキルヒホッフの法則を用いて説明する。 |
ビームダイナミクス・加速器理論 (8月5日 大ホール) | |
16:40 - 17:00 | |
WEOL05 p.39 | 陰極近傍における鏡像効果による電子ビームエミッタンス増減現象の電子銃パラメータ依存性 Image charge effect on emittance reduction phenomenon in electron gun ○野儀 武志,増田 開,山下 大樹,守田 健一,Torgasin Konstantin,桂山 翼,村田 智哉,Sikharin Suphakul,全 炳俊,紀井 俊輝,長 百伸,大垣 英明(京大エネ研) ○Takeshi Nogi, Kai Masuda, Hiroki Yamashita, Kenichi Morita, Konstantin Torgasin, Tsubasa Katsurayama, Tomoya Murata, Suphakul Sikharin, Zen Heishun, Toshiteru Kii, Kazunobu Nagasaki, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) 放射光源のさらなる高性能化にむけて電子銃のさらなる低エミッタンス化が求められている。特に電子のエネルギーが低く、鏡像効果を含む空間電荷効果による影響の大きい陰極近傍におけるエミッタンスの悪化が問題となっている。近年、数値シミュレーションにおいて陰極近傍におけるエミッタンス増加と同時に生じる自己線形化力によってエミッタンスが減少する現象とそのメカニズムが明らかとなった。この現象は比較的低い電界で発生し、極小値は極低エミッタンスであるため本現象を利用した電子銃の開発が期待されている。本研究では、例えばエミッタンス極小点を後段加速管の位置に調整するなど、この現象を実際に利用して最終的なエミッタンスを低減できるのかどうかを検討するため、シミュレーションを用いて電子銃の電流密度、電界強度を変化させたときのエミッタンス極小点(極小値及び極小点の陰極からの距離)の依存性を調べた。その結果、電子銃パラメータを変化させることにより極小値の位置が変化する結果が得られた。また、エミッタンスの極小点の陰極からの距離はパービアンスに依存する結果が得られた。このような依存性は、陰極近傍で生じた電流密度の径方向の非一様性によって決定されていることが分かった。 |
17:00 - 17:20 | |
WEOL06 p.43 [Slides] | 2粒子モデルを使ったビーム不安定性に対する空間電荷力の効果の研究 A Two Particle Model for Study of Effects of Space-Charge Force on Beam Instabilities. ○陳 栄浩(高エネルギー加速器研究機構),Chao Alexander(SLAC),Blaskiewicz Michael(BNL) ○Yong Ho Chin (High Energy Accelerator Research Organization), Alexander Chao (SLAC), Michael Blaskiewicz (BNL) In this report, we present a new two particle model for study of beam instabilities in the presence of the space-charge force. It is a simple expansion of the well-known two particle model for a strong head-tail instability and is still analytically solvable. It leads to a formula for the growth rate as a function of the two dimensionless parameters: the space charge tune shift (normalized by the synchrotron tune) and the wake field strength, . The 3-dimensional contour plot of the growth rate as a function of those two dimensionless parameters reveals stopband structures. Many simulation results generally indicate that beam instability can be damped by a weak space-charge force, but the beam becomes unstable again when the space charge force is further increased. The new two particle model indicates a similar behavior. The damping of beam instabilities in weak space-charge regions and its loss in strong space-charge regions are explained by a combination of linearized coherent kicks between the space-charge force and the wake fields, not by an incoherent tune spread due to the non-linearity of the space-charge force. |
17:20 - 17:40 | |
WEOL07 p.48 [Slides] | シンクロトロンからのビーム取り出し(QAR法)におけるスピルFB・FF制御の研究 STUDY ON SPILL FEEDBACK AND FEEDFORWARD CONTROL FOR A SLOW BEAM EXTRACTION METHOD (QAR) FROM A SYNCHROTRON ○村岡 遼,中西 哲也(日本大) ○Ryo Muraoka, Tetsuya Nakanishi (Nihon Univ.) 重粒子線がん治療装置におけるスポットスキャニング照射への適用を目的に、パルス四極電磁石(PQ)と高周波ノックアウト(RFKO)装置を使ったビーム取り出し方法(QAR法)の開発を行っている。この方法はPQだけで取り出し制御を行うため、高速で精度の良いビーム取り出しが期待できる。 QAR法は要約すると以下の通りである。PQでセパラトリクスを収縮させることによりセパラトリクスの境界付近にあるビームを必要量取り出す。その後PQをゼロにして、RFKO装置で周回ビームを拡散させることで取り出されたビームが存在していた領域を埋める。これらの操作を繰り返し行うことで、シンクロトロン内のビームを取り出していく。 本研究は、一回に取り出されるビーム(スピル)の強度を一定にするためのPQのフィードバック(FB)制御と、FB制御を効果的にするためのフィードフォワード(FF)制御との併用に関するものである。 ビームを照射する場合、その強度は一定であることが望ましい。FF制御では、粒子密度の低い取り出しの前半部ではPQを早く変化させて、粒子密度が高くなってくる取り出し後半部ではPQを緩やかに変化させる。FF制御によりスピル強度を平坦に近づけることができた。今後、それに対してFB制御を適用してFB制御に対するスピルの平坦化の検討を行う。 当日は、シンクロトロンからのビーム取り出しシミュレーションにおいてPQをFF制御した時の結果と、FB制御について述べる。 |
高周波加速空胴 (8月5日 あいあいホール) | |
15:10 - 15:30 | |
WEOM01 p.51 [Slides] | 超伝導加速空洞用磁気シールドの低温測定 Low-Temperature Measurement of Magnetic shield for Superconducting Cavity ○植木 竜一,浅野 峰行,今田 信一,柳町 太亮,山田 浩気(日本アドバンストテクノロジー),岡田 昭和(ケーバック),土屋 清澄,増澤 美佳,宍戸 寿郎,山本 康史,加古 永治(KEK) ○Ryuichi Ueki, Mineyuki Asano, Shin-ichi Imada, Taisuke Yanagimachi, Hiroki Yamada (Nippon Advanced Technology), Terukazu Okada (K-vac), Kiyosumi Tsuchiya, Mika Masuzawa, Toshio Shishido, Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako (KEK) 超伝導空洞用磁気シールドは、超伝導加速器運転時(1.3 GHz, 2 K, パルス運転)において、数百mGある地磁気を数mGにシールドする性能が求められる。そのため、シールド材として地磁気レベルの磁場に対し高い透磁率を持つパーマロイ系の材料が使用される。特にパーマロイRは、従来のパーマロイ系材料に比べヘリウム温度における透磁率の劣化が小さいことが報告されており、加速器運転時においても高い磁気シールド能力が期待できる。今回、パーマロイRで作製された磁気シールド(トーキンEMCエンジニアリング)の室温および4Kにおけるシールド内磁場強度測定を行った。その結果、室温時100程度であったシールド率は、4Kで60となり、低温劣化による減少率は40%にとどまった。また、シールド内の磁場強度は4から15 mGであり、これから見積もられる磁気抵抗は数nΩと非常に低い値であることが分かった。さらに、磁気シールドを取り付けた9セル超伝導空洞のたて型性能測定を行った結果、空洞表面の残留抵抗は12 nΩ、無負荷Q値は2.13E+10であり、空洞性能として問題ないことが確認された。 |
15:30 - 15:50 | |
WEOM02 p.56 [Slides] | J-PARC E34実験ミューオン線型加速器の原理実証実験及び空洞設計 demonstration of muon acceleration and cavity design of the muon LINAC for J-PARC E34 ○大谷 将士(高エ研素核研),北村 遼(東大理学),岩下 芳久(京大化研),三部 勉(高エ研素核研),近藤 恭弘(原研J-PARCセンター),吉田 光宏(高エ研加速器),齊藤 直人(高エ研素核研) ○Masashi Otani (KEK IPNS), Ryo Kitamura (Tokyo Univ.), Yoshihisa Iwashita (Kyoto Univ.), Tsutomu Mibe (KEK IPNS), Yasuhiro Kondo (JAEA J-PARC), Mitsuhiro Yoshida (KEK Acc), Naohito Saito (KEK IPNS) ミューオン異常磁気能率(g-2)は素粒子標準模型予言値と実験値の間に約3標準偏差程度の乖離があり,更なる高精度測定によって新物理を探求する事が急務である。先行実験BNL E821(精度0.54ppm)では従来型のミューオンビーム(陽子ドライバー由来の2次パイオン崩壊由来)を均一磁場中に蓄積するために収束電場が必要であり,電場によるスピン歳差を打ち消すために魔法運動量3GeV/cの必然性が生じ,巨大な蓄積リング(直径15m)が不可欠であった。我々J-PARC E34は新技術である極冷ミューオンビームによって収束電場無で蓄積を可能にし,蓄積リングのコンパクト化による磁場の高精度化によって世界最高精度(0.1ppm)のg-2測定を実現する。 我々の研究によって,高効率ミューオン冷却法(室温E=30meVまで冷却,p=3keV/c)が確立した。世界初となるミューオン加速(3keV/c→300MeV/c)を実証すれば,世界最高精度のg-2測定方法が確立する。 我々は,有限の寿命を持つミューオンを速やかに加速するためにミューオン線型加速器をJ-PARC MLFに建設して実験を行う予定である。ミューオン線型加速器はRFQ, I-H, DAW, disk-loaded加速空洞から成る。本公演では,2015年末~2016年初頭に計画しているRFQによるミューオン加速の原理実証と後続のRF加速空洞の開発の現状について報告する。 |
15:50 - 16:10 | |
WEOM03 p.62 [Slides] | KEKにおける超伝導電子銃用空洞の高電界試験 Vertical Test of the Superconducting RF GUN Cavity at KEK ○許斐 太郎,梅森 健成,加古 永治,小林 幸則,山口 誠哉(KEK),松田 竜一,柳澤 剛(三菱重工) ○Taro Konomi, Kensei Umemori, Eiji Kako, Yukinori Kobayashi, Seiya Yamaguchi (KEK), Ryuichi Matsuda, Takeshi Yanagisawa (MHI) KEKではERLへ応用することを目指し超伝導電子銃の開発を開始した。電子銃の目標性能は平均電流100mA、ビームエネルギー 2MeVである。本電子銃は1.5セルの超伝導加速空洞と背面照射型フォトカソードから構成される。背面照射式フォトカソードは透明超伝導体上にバイアルカリ光電面を成膜したフォトカソードである。このフォトカソードは電子ビーム射出面の背面より励起光を照射できることから、短焦点距離レンズを用いたレーザープロファイル整形を容易に行うことを目的として採用している。超伝導加速空洞の高い表面電場とビームプロファイル整形により、高電荷、高電流ビームを低エミッタンで引き出す。電子銃の加速空洞形状は加速空洞出口で規格化エミッタンス1πmm.mrad、エネルギー広がり0.1%以下を満足するようにSUPERFISHとGPTを用いたビームシミュレーションにより決定した。我々はまず空洞単体の性能評価をするためにニオブ製の加速空洞を製作した。本空洞に適した周波数調整と縦型化学研磨、縦型電界研磨での空洞内面研磨、高圧水洗を行った後に、縦型クライオスタットでの高電界測定を進めている。高電界測定では、マルチパクティングが発生しやすいと考えられるカソードプラグ周辺構造の影響を調べるために、カソードプラグを装着する場合と装着しない場合の2通りの条件で測定を行っている。本発表では電子銃空洞の高電界測定までの処理方法と高電界測定の結果について報告する。 |
16:10 - 16:30 | |
WEOM04 p.66 | 異なる材質と工法で製造された超伝導加速空洞の性能評価 Evaluation of SRF cavities manufactured by different materials and fabrication methods ○清水 洋孝,井上 均,梅森 健成,加古 永治,佐伯 学行,山口 誠哉,山中 将,渡辺 勇一(高エネ研) ○Hirotaka Shimizu, Hitoshi Inoue, Kensei Umemori, Eiji Kako, Takayuki Saeki, Seiya Yamaguchi, Masashi Yamanaka, Yuichi Watanabe (KEK) 高エネルギー加速器研究機構において現在行っている、試験空洞の製作とその評価の取り組みについて報告する。Nb材を用いた超電導加速空洞の製作においては、純度の目安となる残留抵抗比が高く(>250)、細粒と呼ばれる小さい結晶粒(50〜150um)を持つNb材を、電子ビーム溶接機を用いた溶接によって組み上げる手法が一般的である。KEKでは、空洞製作用に導入された電子ビーム溶接機と、機械工学センターが所有する他の工作機器を用いる事によって、上述の方法に則ったTESLA-like型9-cell空洞の製作に成功しているが、空洞開発技術の更なる高度化を目指して、用いるNbの材質や、作製方法の異なる5種類の試験空洞について、縦測定による性能評価までを含めた開発研究を行っている。現在開発と評価を進めている空洞を具体的に挙げると、電子ビーム溶接によるセルの整形に頼らず、液圧整形法によって形状を製作する空洞と、電子ビーム溶接法を用いるが、主にNb材の特徴の比較に主眼を置いた4種類の空洞に大別される。4本の空洞のそれぞれの目的としては、高RRRであり且つ大粒(〜10cm)のNb材を使った空洞製作、供給元が異なる細粒・高RRR材を使った比較、大粒ではあるがRRRの値が低い(〜100)Nb材を使った空洞製作となっている。これらの空洞作製についての詳細を、これまでに得られた縦測定からの結果を交えて報告する。 |
加速器応用・産業利用1 (8月5日 あいあいホール) | |
16:40 - 17:00 | |
WEOM05 p.71 | 中性子反射率法を用いた金属磁性体コア腐食耐性に関する研究 Study of a corrosion resistant coating layer for metal magnetic cores using neutron reflectometry ○阿久津 和宏(CROSS東海),新関 智丈,永山 紗智子,長谷川 良雄(アート科学),佐原 雅恵,宮田 登(CROSS東海),吉井 正人(KEK),下村 昭夫(下村漆器店) ○Kazuhiro Akutsu (CROSS Tokai), Tomotake Niizeki, Sachiko Nagayama, Yoshio Hasegawa (ART KAGAKU), Masae Sahara, Noboru Miyata (CROSS Tokai), Masato Yoshii (KEK), Akio Shimomura (Shimomurashikkiten Co., Ltd.) J-PARCメインリングの加速器空胴に用いられる金属磁性体カットコアは、J-PARC陽子加速システム性能を飛躍的に高めるための重要な役割を担っている。本磁性体コアは水冷方式により冷却されているため、表面シリカコーティングによる防錆加工を施し、腐食劣化を抑制している。本コーティング膜は、薄すぎると防錆能が低く、厚すぎるとクラックが生じるといった問題があり、現在、コーティング技術の高度化による改良が試みられている。本研究では、磁性体コアを模擬した基板上にポリシラザン系シリカ前駆体溶液を用いたシリカコーティング膜を作成し、中性子反射率法により、コーティング膜の厚み変化が及ぼす膜内の微細な構造変化について詳細に調べた。 中性子反射率は、J-PARC/MLF BL17に設置された偏極中性子反射率計「写楽」を用いて測定した。反射率データを解析した結果、コーティングで作成したSiO2膜の密度は通常のガラスの密度よりも低いことが明らかとなった。また、コーティング膜の厚みが厚いほど、SiO2の密度が高くなる傾向も示された。従って、本コーティング膜の厚みは薄いとSiO2の密度が低く防錆効果が低くなり、一方で厚すぎるとSiO2の高密度化によるひずみが発生し、その結果クラックが生じることが示された。現在は、これらの結果を基にコーティング法の高度化と最適な膜厚の探索を試みている。 |
17:00 - 17:20 | |
WEOM06 p.75 | 重粒子線治療のためのISOLシステムに用いる1価イオン源の開発 ISOL ion source for heavy ion cancer radiotherapy ○片桐 健,野田 章,中尾 政夫,北條 悟,永津 弘太郎,鈴木 和年,涌井 崇志,野田 耕司(放医研) ○Ken Katagiri, Akira Noda, Masao Nakao, Satoru Hojo, Kotaro Nagatsu, Kazutoshi Suzuki, Takashi Wakui, Koji Noda (NIRS) 重粒子線治療において,照射野をPET装置によりリアルタイムに検証する技術を実現するために,Isotope Separation On-Line (ISOL)法により11CビームをHIMACから供給することを検討している.我々はこの実現のために,小型サイクロトロンにより供給されたプロトンビームをホウ素化合物標的に照射し,生成された11C分子をイオン化し加速することを計画している.このイオン化の際には,まず1価の11Cイオンを生成し,目的のイオンを同位体分離しEBIS等のイオン源に入射して荷電増幅を行う.このISOLシステムに用いるための電子衝撃型1価イオン源の開発を現在進めている.この1価イオン源には高いイオン化効率が要求される.そのため,熱陰極から放出される電子の実効的な飛行距離を延ばすためにソレノイドにより磁場を印加し,その磁場の向きはイオンの取出しと同方向とした.これまでに,必要な放出電子電流量とイオン源の幾何パラメータを決めるために,流入/流失するメタン分子,及びメタンイオンのバランスを考慮したイオン化効率の評価を行い,その結果を元に設計を行った.さらに製作したイオン源を用いて,基礎的な性能評価のための実験を行った.本発表ではこれらの設計,実験の結果を元に,ISOLシステムの実現可能性を検証する. |
17:20 - 17:40 | |
WEOM07 p.79 [Slides] | レーザー・コンプトン散乱による高輝度ガンマ線の実現とその利用 Generation and Applications of Laser Compton Scattered Gamma-ray Beams ○羽島 良一,沢村 勝,永井 良治,西森 信行,早川 岳人,静間 俊行,Angell Christopher T.(原子力機構) ○Ryoichi Hajima, Masaru Sawamura, Ryoji Nagai, Nobuyuki Nishimori, Takehito Hayakawa, Toshiyuki Shizuma, Christopher T. Angell (JAEA) レーザー・コンプトン散乱で発生するガンマ線は、エネルギー可変かつ狭帯域の特徴を有する。電子加速器とレーザーの先端技術を組み合わせることで、高輝度ガンマ線源を実現することができる。 このような高輝度ガンマ線源は、核物質の非破壊測定をはじめとした産業利用、原子核物理の基礎研究に革新的な進歩をもたらすと期待されている。ヨーロッパでは、次世代ガンマ線源としてELI-NP の建設が始まっており、2018年の運転開始の予定である。われわれは、エネルギー回収型リニアック(ERL)を用いて可能となる、ELI-NPを超える輝度、強度を持ったガンマ線源を提案しており、基盤技術の開発を行っている。本発表では、ERL に基づくレーザー・コンプトン散乱ガンマ線源の特徴、産業利用、学術利用の展開について述べる。 |
特別講演 (8月5日 大ホール) | |
18:00 - 19:00 | |
WEOLS01 | IntCalへの道 ―――水月湖の年縞堆積物と14C年代較正――― Towards the IntCal ---Varved sediment of Lake Suigetsu and 14C calibration--- ○中川 毅(立命館大学古気候学研究センター) ○Takeshi Nakagawa (Ritsumeikan Univ. ) 放射性炭素(14C)年代測定は、過去およそ5万年の年代を測るために、もっとも普通に用いられる年代決定手法である。しかし、大気中の14C濃度が時代によって一定でないことから、年代は簡単な計算式によって算出することはできず、常にデータセットにもとづいた較正を必要としている。較正データセットの精度を上げることは、地質学や考古学の全幅にわたって大きな意味を持っている。 較正データセットとしてもっとも信頼性が高いのは、樹木の年輪のデータである。だが、年輪のデータはおよそ1万3000年前までしか手に入っていない。それより古い時代については、地質学的記録に頼る必要がある。代表的なものは、海洋の堆積物中から見つかるサンゴの化石や鍾乳石から得られるデータである。だがサンゴも鍾乳石も、深海の水や石灰岩から混入する、きわめて古い炭素の影響を受けている。そのため、測定した14C年代はそのまま用いることができず、ある仮定にもとづいた補正を必要としている。 ここで登場するのが、福井県水月湖の年縞堆積物である。年縞は年輪のように一年に一枚ずつ形成され、しかも深海の水や石灰岩の影響を受けない。すなわち、非常に「素性のいい」較正データセットを作れる可能性がある。水月湖の年縞堆積物のポテンシャルはどのように引き出されたのか。論文に現れない内幕や人間模様まで含めて紹介したい。 |
ハドロン加速器1 (8月6日 大ホール) | |
9:00 - 9:20 | |
THOL01 p.84 [Slides] | セルンLHC入射器アップグレードのためのPSB空洞とダンパー空洞の国際共同研究 International Collaboration on CERN PSB RF upgrade and PS Damper cavity for LHC Injector Upgrade ○大森 千広(KEK/J-PARC),Paoluzzi Mauro(CERN),田村 文彦(JAEA/J-PARC),長谷川 豪志(KEK/J-PARC) ○Chihiro Ohmori (KEK/J-PARC), Mauro Paoluzzi (CERN), Fumihiko Tamura (JAEA/J-PARC), Katsushi Hasegawa (KEK/J-PARC) The LHC Injector Upgrade (LIU) aims to improve and to consolidate the injector chain of LHC for reaching the goals of the HL-LHC. It includes Linac, PSB, PS, SPS and heavy ion chains. J-PARC is collaborating with CERN for the consolidation and upgrade of the CERN PSB RF system which may include the replacement of the present ferrite-base RF accelerating system by the new FT3L magnetic alloy cavity system. A 10-cell cavity system has been installed in the PSB and has been used for the acceleration of high intensity beam. The collaboration also includes the developments of the wideband damper cavity system for the longitudinal coupled bunch instabilities. This paper summarizes the status of the collaboration including the beam loading test at the J-PARC MR, radiation damage tests of FETs for the amplifiers and the beam acceleration at the CERN PSB. |
9:20 - 9:40 | |
THOL02 p.89 [Slides] | 1MW大強度核破砕中性子源でのビーム平坦化技術開発 Research and development beam flattering technique for 1 MW high power spallation neutron source ○明午 伸一郎(JAEA J-PARC) ○Shin-ichiro Meigo (JAEA J-PARC) J-PARCでは速い繰り返し(25Hz)の3GeV陽子シンクロトロン加速器から出射する1MWの大強度陽子ビームを用いた核破砕中性子源(JSNS)の運転を目指している。核破砕中性子源のターゲットには液体金属となる水銀を用いるが、ビーム起因の衝撃波による水銀容器のピッティング損傷が重要な問題となっている。この損傷により、米国オークリッジ(ORNL)の核破砕中性子源(SNS)ではピッティング損傷を抑えるためにビーム出力を抑えた運転を強いられている。ピッティング損傷はピーク電流密度の4乗に比例するために、ピーク電流密度を低く抑えた運転が重要となる。そこで、我々は八極電磁石を用いた非線形のビーム光学に着目し、非線形ビーム光学によるビーム平坦化技術の開発を行ってきた。RCSから出射される1MWのビームを用いてターゲット上のプロファイルの制御試験を行ってきた。八極電磁石におけるビームのβ関数や、位相差が重要な鍵となるが、ビーム調整時間が殆ど無いために短時間に効率的に行うことが必要なため、SADを用いたツールの開発を行った。その結果、僅か数ショットでビーム診断とビーム平坦化に必要な非線形ビーム光学の調整が可能になった。本ツールによるビーム調整により、非線形ビーム光学によりピーク電流は約30 %減少できる見込みを得た。来年(2016年)からいよいよ目標となる1MWの安定したビーム運転を目指す。 |
9:40 - 10:00 | |
THOL03 p.94 [Slides] | AVF-930サイクロトロン用高調波ビームバンチャーの開発(III) Development of multi-harmonic beam buncher for AVF-930 cyclotron(III) ○北條 悟,涌井 崇志,杉浦 彰則,片桐 健,中尾 政夫(放医研),岡田 高典,盒 勇一,青山 功武(加速器エンジニアリング),野田 章(放医研) ○Satoru Hojo, Takashi Wakui, Akinori Sugiura, Ken Katagiri, Masao Nakao (NIRS), Takanori Okada, Yuichi Takahashi, Isamu Aoyama (AEC), Akira Noda (NIRS) 放射線医学総合研究所のNIRS-930サイクロトロンの主な目的の一つとして、放射性薬剤の製造及び開発が行われている。これまで放射性薬剤の開発では、診断用核種の製造のために高い強度のビーム要求が多く出されてきた。現在では、治療用核種の製造のために高い強度のビームが要求されている。 高いビーム強度を得るための方法の一つとして、正弦波バンチャーから、理論的な効率がより高い高調波を加えた居歯状波バンチャーへの改良を進めており、これまで、加速電極の形状変更、電極位置による空間電荷効果の影響の調査を行ってきた。 今回、バンチャーの入力回路を、低出力アンプと整合回路を用いたものから、アンプを増強しインピーダンス変換器を用いた回路への変更をおこなった。これにより、基本正弦波に加え、2倍波、3倍波を電極へ印加することができ、ビームのバンチング効率を向上させることができたので、その報告を行う。 |
10:00 - 10:20 | |
THOL04 p.97 [Slides] | サイクロトロンNIRS-930におけるビームのシミュレーション Beam Simulation for Cyclotron NIRS-930 ○中尾 政夫,北條 悟,片桐 健,杉浦 彰則,涌井 崇志,野田 章(放医研),後藤 彰(山形大学),Smirnov Victor,Vorozhtsov Sergey(JINR) ○Masao Nakao, Satoru Hojo, Ken Katagiri, Akinori Sugiura, Takashi Wakui, Akira Noda (NIRS), Akira Goto (Yamagata Univ.), Victor Smirnov, Sergey Vorozhtsov (JINR) 放射線医学総合研究所のAVFサイクロトロン、NIRS-930 (K=110) において、ビームの挙動を理解し、最適なパラメータを調査してビームの強度や品質を向上するためにビームのシミュレーションを行っている。シミュレーションには、磁極とコイルの形状からOPERA-3dによって求めたサイクロトロン内の3次元電場・磁場分布を利用し、多数の粒子の空間電荷効果をPIC法を用いて計算できるコードSNOPを用いた。現在は18MeVの陽子をハーモニクス2で加速するシミュレーションを行っている。 位相のずれを最小化する調整、あるいは少しずれを許容した上でビーム出射量を最大化する調整に相当するようにトリムコイルの電流値を変更した磁場を用いてシミュレーションを行い、ビーム位相、加速効率、ビームパターンの比較を行った。また、シミュレーションによって計算されたビームの軌道に沿うようにデフレクターとセプタムの位置、角度を変更し、取り出し効率が向上する条件についてシミュレーション上で調査した。これらの結果について報告する。 |
ハドロン加速器2/高周波源 (8月6日 大ホール) | |
10:30 - 10:50 | |
THOL05 p.100 | 3Dスポットスキャニングを可能とする速い繰り返し粒子線ドライバー用誘導加速シンクロトロン A Compact Hadron Driver for Cancer Therapies with Continuous Energy Sweep Scanning ○盪 健(高エネルギー加速器研究機構),門馬 卓海(東京工業大学),安達 利一,川久保 忠通(高エネルギー加速器研究機構) ○Ken Takayama (KEK), Takumi Monma (TokyoTech), Toshikazu Adachi, Tadamichi Kawakubo (KEK) KEKでは2000年初頭から高周波加速に代わる誘導加速方式の研究を遂行して来た。12 GeV PSを用いた遅い繰り返し誘導加速シンクロトロンの完全実証後[1]、500MeV Boosterを改装した早い繰り返しの誘導加速シンクロトロンがデジタル加速器と呼ばれ、イオン源からの重イオンビームを直接入射し誘導加速をしている[2]。誘導パルス電圧による加速・閉じ込めを別々に行う手法を導入すると、ビームハンドリングの自由度が格段に上がる。これをガン治療用粒子線ドライバーに適用すると、理想的な3Dスポットスキャンニングが可能になると考えられている[3]。今回の発表では、10Hz繰り返しを仮定し、同一加速サイクル内で、低エネルギーから高エネルギーまで連続的にビームを取りだすテクニックを提案する。加速器システムとして成り立つ他の加速器コンポーネント(取り出し系、下流ビームラインとそれらの制御)について自己完結的加速器設計の視点からも解説する。 [1] K.Takayama et al., Phys. Rev. Lett. 98, 054801 (2007). [2] K.Takayama et al., Phys. Rev. ST-AB. 17, 010101 (2014). [3] Leo Kwee Wah, et al., submitted to Phys. Rev. ST-AB (2015) |
10:50 - 11:10 | |
THOL06 p.103 [Slides] | J-PARC RCSにおけるビームコミッショニングの近況報告 - 1MW出力の実現へ向けて Recent progress of J-PARC RCS beam commissioning ○發知 英明(日本原子力研究開発機構) ○Hideaki Hotchi (JAEA) J-PARC RCSは、2014年10月より、 1MW設計出力の実現を目指した最終段階のビーム調整を開始し、 2015年1月に1MW相当のビーム加速を達成したところである。 RCSのような大強度陽子加速器では、 ビーム損失により生じる機器の放射化が出力強度を制限する最大の要因となるため、 ビーム損失の低減が1MW設計連続運転を実現するための重要な研究課題となる。 本年1月のビーム試験では、入射ビームの分布形状やペイント入射法の最適化により、 空間電荷由来のビーム損失をほぼ最小化することに成功した。 また、本年4月のビーム試験では、新規導入した補正四極電磁石を用いて入射過程におけるベータ関数の変調を補正することにより、 ペイント範囲の拡幅とビーム損失の更なる低減を実現し、 1MW連続運転実現への道筋をつけることに成功した。 本発表では、J-PARC RCSのビーム増強過程で我々が直面したビーム損失の発生メカニズムやその低減策について報告する。 |
11:10 - 11:30 | |
THOL07 p.108 [Slides] | Xバンド大電力3ポートサーキュレータの設計・製作 DEVELOPMENT OF AN X-BAND 3-PORT CIRCULATOR ○金田 健一,水島 弘二,草野 譲一,田辺 英二(株式会社エーイーティー) ○Kenichi Kaneta, Hiroji Mizushima, Joichi Kusano, Eiji Tanabe (AET Inc.) SF6加圧ガス仕様の大電力3ポートサーキュレータの開発を行った。サーキュレータは発信源を安定動作させアーキングから保護するための安全装置として用いられる。本装置はピーク電力300kW、平均電力300WのX-band定在波型加速器システムに使用する。 本サーキュレータは放電を抑えるためにフェライト間隔を広げ、非線形効果を避けるためにAbove Resonanceで設計している。具体的にはフェライト部の導波管の高さ12.6mm (WR-112)を維持し、その導波管上下に厚さ1.5mmの円柱フェライトを貼り付けた。また、強力な外部磁場を発生させるためにネオジウム磁石を使用した。通常フェライト近傍のインピーダンスを低くすることで広帯域なサーキュレータを設計するが、あえて電界強度を下げる構造に設計した。VSWR1.1以下の帯域は40MHzとなるが、狭帯域である加速器等の装置で使用する限り問題ない。フェライトは温度依存性があるためCalcium, Vanadiumドープのフェライトを選択し、挿入損失を0.1dB以下とした。またフェライト上面の導波管を直接水冷している。 動作周波数9.3GHz、ピーク出力1.1MW, 平均出力1.1kWのマグネトロンを使用した大電力試験で問題なく稼動することを確認した。またショートプランジャーを用いた負荷側が完全反射した場合の大電力試験も実施している。本論文ではシミュレーション結果から設計製作、大電力試験について報告する。 |
11:30 - 11:50 | |
THOL08 p.112 [Slides] | サイラトロン代替半導体スイッチの開発 Development of semi-conductor switch for modulator ○原田 瞬,佐藤 尚登,大下 英次(日新パルス電子株式会社) ○Shun Harada, Hisato Sato, Eiji Oshita (Nissin Pulse Electronics co.,ltd.) クライストロンモジュレータ等の主スイッチとして、半導体化の提案などが過去なされているが、現状ではサイラトロンが主に使用されている。加速器の安定運転ならびにメンテナンスを考えた場合、RF源であるクライストロンモジュレータ用主スイッチの半導体化は必須であり、今回我々はサイラトロン代替を目的とした半導体スイッチを開発したので、その結果を報告する。 |
電磁石と電源 (8月6日 あいあいホール) | |
9:00 - 9:20 | |
THOM01 [Slides] | J-PARCメインリング 入射補正キッカー電磁石の性能評価 Performance of the compensation kicker magnet for J-PARC main ring injection ○杉本 拓也,石井 恒次,Fan Kuanjun,松本 浩,外山 毅(高エネ研) ○Takuya Sugimoto, Koji Ishii, Kuanjun Fan, Hiroshi Matsumoto, Takeshi Toyama (KEK) J-PARC加速器メインリングでは、2台のセプタム電磁石と4台の集中定数型キッカー電磁石を用いて、RCSから供給される3GeVの陽子ビームを計8バンチ入射している。入射キッカー電磁石のパルス磁場には、浮遊インダクタンス成分や、インピーダンスのミスマッチにより、約7%の反射波や約5%のテール構造が存在していたが、2013年夏のシャットダウン中に実施した2種類の補正回路の導入と、インピーダンス整合回路の最適化により、励磁電流波形の立ち上り時間は190nsに、テール部は1%以下にまで改善する事が出来た(IPAC14 MOPME069ならびに第11回加速器学会年会 SUOL04にて報告)。しかしながら、補正回路の導入により約10%の新たな反射波が生じてしまい、更に別の周回バンチを蹴ってしまう事が分かったため、これを補正するためのキッカー電磁石(集中定数型、磁極長1m、最大積分磁場0.01Tm)を製作した。波形調整を容易にするため、コイルやフェライト、インピーダンス整合回路は気中に置き、セラミックダクト(内面をTiN成膜)内のみを真空にする構造を採用した。2015年4月にトンネル内(入射キッカー電磁石の下流約80m)に設置し、設置後のビーム試験で、デザイン通り最大で約0.8mradの蹴り角を得た。本発表では電磁石のデザインとサーチコイルによる磁場測定、ワイヤーによるインピーダンス測定、陽子ビームを用いた性能評価、ならびに今後のアップグレード計画について議論する。 |
9:20 - 9:40 | |
THOM02 p.115 | J-PARC-MRアップグレードのための新しい入射セプタム電磁石の開発 The Development of New Injection Septum Magnet for upgrate of J-PARC MR ○芝田 達伸,石井 恒次(高エネ研),川口 祐介(ニチコン草津),杉本 拓也,Kuanjun Fan,松本 浩(高エネ研) ○Tatsunobu Shibata, Koji Ishii (KEK), Yusuke Kawaguchi (Nichicon Corp.), Takuya Sugimoto, Fan Kuanjun, Hiroshi Matsumoto (KEK) J-PARC-MRでは速い取り出しモード時のビームパワーの目標値である 750kW向けたアップグレードが行われている。そのため速い取り出しの周期を1.3Hzにする事が課題となっている。そのためRCSからMRへの入射部で使用されている入射セプタム電磁石気箸修療展擦慮魎垢必要である。理由として1.3Hzがパターン出力である入射セプタム電磁石気侶り返し限界を超えている事である。他にも周回ビームラインへの漏れ磁場の軽減化も必要であり、よりシールド効果の大きい構造を持った電磁石が必要である。更には2005年に製作された入射セプタム電磁石気2015年現在一度の交換もなく使用され続けているため故障が懸念されている。2014年から新しい入射セプタム電磁石気氾展擦寮什遒始まった。繰り返しは1Hzに対応可能であり、シールド効果を上げて磁極内磁場の10^-4のオーダーの漏れ磁場を目指した。この電磁石と電源は2014年秋頃に製作が完了して納入された。本講演では入射セプタム電磁石気粒発内容と試験運転並びに磁場測定結果について報告する。 |
9:40 - 10:00 | |
THOM03 p.120 [Slides] | シンクロトロンの「内在リップル」について Study of the 'Intrinsic Ripples' in Synchrotron ○白壁 義久(KEK),モロドゼンツェフ アレクサンダー(チェコ共和国科学アカデミー物理学研究所),森 義治,武藤 正文(京都大学原子炉実験所),堺 高見,山崎 長治,吉野 輝雄(TMEIC 東芝三菱電機産業システム) ○Yoshihisa Shirakabe (KEK), Alexander Molodozhentsev (Institute of Physics, Academy of Sciences of the Czech Republic), Yoshiharu Mori, Masayuki Muto (RRI, Kyoto University), Takami Sakai, Choji Yamazaki, Teruo Yoshino (TMEIC Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial Systems) 近頃見出されたシンクロトロンの「内在リップル」について報告する。シンクロトロンでは、安定なビーム加速を実現するために、一般的に磁場のリップルが1e-6台以内であることが必要とされている。磁場リップルの発生機構に付いては、シンクロトロン原理の発見から70年過ぎた今日でも未だに十分明らかになっていないが、これを解明する第一段階として、無リップルの理想的な電磁石電源を仮定し、理想的加速パターン電流が電磁石負荷系に流された時にどのようなリップルが発生するかを調べた。その結果、例え無リップルのパターン電流であっても磁場にリップルが発生する事が世界で初めて発見され、これを「内在リップル(Intrinsic ripples)」と定義して論文発表を行なった。(IEEE Transactions on Nuclear Science, Vol. 61, Issue 5, 2014, p2579-)「内在リップル」は、電磁石負荷系のインダクタンスとキャパシタンスが調和振動系を作っている所に、外部起振力としてパターン電流が流されることで不可避的に発生する。その振幅は簡単な表式で得られ、負荷系の持つインダクタン、キャパシタンス、及び電流パターンによって決められている。また「内在リップル」に大きく影響を及ぼす要素として、並列ダンピング抵抗と配線系キャパシタンスも極めて重要であり、その性質もJ-PARC Main-ringの具体例に基づいて解説する。 |
10:00 - 10:20 | |
THOM04 | フィルタ回路を使用しない電磁石電源の提案 Proposal of a filterless magnet power supply ○渡辺 泰広(日本原子力研究開発機構) ○Yasuhiro Watanabe (JAEA) 電磁石電源は一般的に、スイッチングに起因するリップルを低減するために、チョッパ回路の後段にフィルタ回路が接続されている。フィルタ回路は、チョッパ回路のステップ電圧及びスイッチング周波数に応じて、スイッチングリプルが所定の値に低減されるよう回路定数を設定している。近年、部品点数の削減という観点から3.3kV以上の高電圧IGBTを用いたチョッパ回路が実用化されているが、高電圧をスイッチングすることに起因するノイズ問題が顕在化している。本論文では、低い電圧定格のチョッパ回路を多数直列接続し、チョッパ回路のステップ電圧を低減することにより、フィルタ回路を用いずともスイッチングリプルを所定の値に低減することを提案する。 |
加速器土木・放射線防護1 (8月6日 あいあいホール) | |
10:30 - 10:50 | |
THOM05 p.125 | 測位センサネットワークシステムの放射線環境下における耐久性の検討 Radiation damage study of the positioning sensor network system in high radiation environment ○川端 康夫,松田 浩朗,松元 和伸(飛島建設株式会社),田頭 茂明(関西大学),石井 恒次,吉岡 正和(高エネルギー加速器研究機構) ○Yasuo Kawabata, Hiroaki Matsuda, Kazunobu Matsumoto (TOBISHIMA CORPORATION), Shigeaki Tagashira (KANSAI UNIVERSITY), Koji Ishii, Masakazu Yoshioka (KEK) 筆者らは,長大トンネルのILCにおいて施設内の研究者の位置情報,滞在時間および緊急時の双方向情報伝達等を実現するために,測位センサネットワークによる双方向通信と同時測位を実現する安定性・信頼性の高い位置管理システムの開発を進め、昨年までに「いばらき中性子最先端医療研究センター(iNMRC)」や「既存の直線状長大トンネル(神戸ベルトコンベアトンネル)」でその適用性・有効性を検証し、実用可能であることを確認した。 一方で稼働している加速器において本システムを導入するには、加速器稼働時の電波ノイズの通信精度への影響,測位センサ基地局の放射線に対する耐久性をさらに検証していく必要がある。 本研究開発では、現在稼働中であるJ-PARCのMR加速器トンネル内に機器を持ち込み、高放射線環境下での装置及び通信状況への影響を調査する。トンネル内には放射線の種類・量を監視できる機器が稼働中であり、そこに測位センサの基地局を配置して、放射線の種類・量をモニターしながら測位センサネットワークの稼働状況をPCで記録する。PCもトンネル内に設置するが比較的低い放射線環境下に置き、かつ直達の放射線(陽子・中性子)が少ない位置に配置する。基地局とPCはLANケーブルでも接続し、無線と有線の両方でネットワーク稼働状況を確認する。放射線レベルとしては最大10kGy程度まで照射する予定である。本編ではこの実験計画の概要を示す。 |
10:50 - 11:10 | |
THOM06 p.129 [Slides] | KEKB入射器における遅いトンネル床面変動の動的観測 Dynamical Observation of Slow Tunnel Floor Motion at the KEKB Injector Linac ○諏訪田 剛(KEK加速器) ○Tsuyoshi Suwada (Accelerator Laboratory, KEK) 長基線レーザーアライメントシステムの開発は2009年度より開始され2013年3月に終了した. その後、本システムを用いた初期アライメントを精力的に実施し、2015年1月全セクターに渡る加速ユニットの初期アライメントが完了した. 初期アライメントでは、長基線レーザーを基準として加速ユニットが静的にアライメントされる. これまで、加速ユニットの変位を継続して測定してきたが、その変位が時間とともに大きくなっていることが明らかになった. 本現象の主要因は地面の動的変動と考えられるが、地面変動と一口に言っても外気温、日照、気圧、地下水の変位、海洋潮汐、波浪等々様々な要因が寄与する. 地面変動を通して入射器建屋が変形し、さらにトンネルの床面変動を通して入射器全体が変位するという極めて複雑な過程が動的に作用する. 現在の静的な計測システムではこの動的変位を計測するのは困難である. このような経緯から計算機制御による動的変位計測システムを導入することにした. 遠隔制御が可能なレーザー光軸変位センサー2台を入射器の500m長直線部中央に建屋継目を挟んだ上下流の床面に設置し、2015年1月から加速ユニットの動的変位の観測を本格的に開始した. 加速ユニットの変位傾向を測定することでアライメントの動的変位の定量化が可能になる. 本学会では、2015年1-6月まで約半年間に及ぶ入射器トンネルの床面変動の連続観測とその解析結果について報告する. |
11:10 - 11:30 | |
THOM07 p.134 | SACLA建屋の収納部床面変位計測 A Floor Deformation of SACLA Building ○木村 洋昭(理化学研究所),木内 淳,甲斐 智也(スプリングエイトサービス),安積 則義,松井 佐久夫(理化学研究所) ○Hiroaki Kimura (RIKEN), Jun Kiuchi, Tomoya Kai (SPring-8 Service), Noriyoshi Azumi, Sakuo Matsui (RIKEN) 理化学研究所により設置されたX線自由電子レーザー施設SACLAの建屋(全長640m)は、その1/5が岩盤部、4/5は盛土部(最大厚約50m)の上に建設された。安定でない地盤の影響を避けるために建屋基礎構造として、線形加速器部が設置された加速器棟は杭構造、アライメントの許容値が厳しいアンジュレータ部が設置された光源棟は採石置換/直接基礎が採用された。設計会社による建屋設計時の予測最大沈下量はそれぞれ、15mm/10年、2mm/10年であった。 この建屋は2009年3月に完成したが、我々は建設時期から現在まで収納部床面の変位を測定し続けており5年以上の変位のデータが蓄積された。これまでのデータから、建屋の沈下は暫減しており、直近では加速器棟は0.7mm/年、光源棟は0.2mm/年(各々最大沈下部)の沈下であった。予測される2019年までの総沈下量はそれぞれ10mm、2mmと、設計時の予測以内に収まる事がわかってきた。発表では、建屋全体の沈下の様子と建屋基礎構造との関係について示し、他に横方向の変位や加速器棟と光源棟の境界部の季節変動に関しても報告する。 |
11:30 - 11:50 | |
THOM08 p.140 [Slides] | 相対的な誤差楕円も表示する平面の測量網平均計算プログラムの開発 Adjustment Program of the Horizontal Survey Network with Relative Error Ellipse ○松井 佐久夫,木村 洋昭(RIKEN),木内 淳(SES) ○Sakuo Matsui, Hiroaki Kimura (RIKEN), Jun Kiuchi (SPring-8 Service Co., Ltd.) 平面の測量網計算のプログラムは市販のもあるが、SPring-8では当初から教科書『測量叢書 第1巻 改訂版 基準点測量』(細野武庸他著)記載のシュライバーの消去法を用いるBASICプログラムを基本にしてきた。PCメモリーの増大や、スピードの向上、FBASICのコンパイラーがWindows7でも動き、プログラムも単純化でき、測量点486、測量角度数1293、距離数1394でも1回の計算は25分で終わる。桁落ち防止に倍精度16桁と、逆行列計算時の軸の入替えでSPring8 IIで必要となる点数でも実用上問題はない。また市販のソフト(SAのUSMNなど)と同じ結果になることも確認している。建設時にモニュメントの設置箇所や個数など効率の良い測量網の決定にシミュレーションは欠かせなく、特に入出力の部分など修正でき便利である。また、加速器で重要な滑らさを示す、共分散行列の非対角成分を用いて計算する相対的な誤差楕円等、図示の部分も追加した。一点を固定し、もう一点はx又はy座標のみ固定できるようにも改造した。SPring8で現状のトラッカーの実力と網から計算すると1σの誤差は、反対側で0.5mm、5m隣との相対値はほとんど〜25μmであった。また1436mの周長は20回のシミュレーションではシステマティックエラーなしで、0.03 ±0.07(rms)mmと小さく収まることもわかった。さらに処理等便利なようにExcelのVisual Basicに書換えを試みた。プログラムそのものを載せるので改善しながら使用してほしい。 |
技術研修会1 (8月6日 大ホール) | |
15:10 - 16:10 | |
THOLT01 [Slides] | 超伝導空洞技術−1 Technologies for Superconducting RF Cavities (1) ○加古 永治(高エネルギー加速器研究機構(KEK)) ○Eiji Kako (KEK, High Energy Accelerator Research Organization) 1980年代後半に超伝導空洞の大型加速器への量産・実用化が世界で初めてKEKのトリスタン加速器主リングにおいて実現されて以降、超伝導空洞の加速器への応用は幅広く世界中で進めれれている。本技術研修会では、1990年以降から現在までの間に著しく発展した、加速電界や無負荷Q値などの空洞性能を制限する現象の理解と、性能向上を目指して開発された技術について、分かり易い講演を行う予定である。 |
学会賞受賞講演 (8月6日 大ホール) | |
17:20 - 17:40 | |
THOLA01 p.146 [Slides] | 強度変調型永久六極磁石を用いた中性子磁気レンズの開発及びその応用研究 Development and application of a magnetic neutron lens with modulating permanent magnet sextupole ○山田 雅子(ポールシェラー研究所) ○Masako Yamada (Paul Scherrer Institute) 中性子は磁気能率を持ち、磁場勾配が軸からの距離に比例する六極磁場中ではビーム軸に沿って振動する。この運動を制御して中性子ビーム集束に利用することができる。我々は電磁石に比べて強力かつコンパクトな六極永久磁石をベースに、同軸状の二重リング構造として入れ子になった固定内輪の周りで外輪を回転させることにより磁場強度の変調を可能にし、広いエネルギー(波長λ)分散をもつワイドバンドのパルスビームを色収差なく集束できるレンズ「強度変調型永久六極磁石(modulating-Permanent Magnet Sextupole, mod-PMSx)」を開発した。外輪の回転機構の改良、磁極の渦電流損及び鉄損の低減、回転に必要なトルクを軽減する磁気トルクキャンセラーの導入により、30Hz程度のパルスビームに同期して磁場強度変調を長期的に安定して行うことが可能となった。製作した実機をフランス・グルノーブルのILLの極冷中性子ビームラインにて実証実験を行い、これまで達成されたことのない2倍(λmax/λmin = 2)の波長範囲にわたって集束することに成功、中性子束として対象波長域で43倍と高い集光効率を実証した。さらに中性子小角散乱や拡大イメージングなど応用可能性も実証した。mod-PMSxは比較的安価でビームラインでのアライメントや運転が容易な利便性の高いシステムであるため、広く利用されることが期待される。 |
17:40 - 18:00 | |
THOLA02 p.152 | 大強度多価重イオンビーム用ECRイオン源の開発 Development of ECR ion sources for production of the intense beam of highly charged heavy ions ○中川 孝秀(理化学研究所 仁科加速器研究センター) ○Takahide Nakagawa (RIKEN, Nishina center for accelerator based science) 現在ECRイオン源は重イオン加速器の多価イオンビーム生成用外部イオン源として数多く用いられている。特にRIビームを使用した研究を行う加速器施設において大強度一次ビーム生成ための基幹装置の一つとしてその性能を遺憾なく発揮している。理研では数10年にわたり大強度多価重イオンビーム生成のため、ECRイオン源の開発、製作を行うとともに、イオン源の主なパラメータ(ミラー磁場、マイクロ波周波数、マイクロ波パワー、ガス圧 等)がプラズマ、多価重ビーム強度に与える影響の研究を進めてきた。このパラメータのプラズマ、ビーム強度に与える影響の研究は既存のイオン源の性能の理解、向上を促すばかりでなく、新イオン源設計のための重要な指針を与えるため、イオン源開発において重要な課題のひとつであることはいうまでもない。本稿ではこれらに関し理研で行われた研究結果を中心に解説する。またこれらの研究結果等を基に理研で製作されたECRイオン源(常伝導ソレノイドコイルを用いたECRイオン源(使用マイクロ波周波数18GHz)、小型冷凍機による直接伝導冷却型の超伝導コイルを用いたECRイオン源(18GHz)、28GHzマイクロ波を使用した超伝導ECRイオン源)の現状について報告する。 |
技術研修会2 (8月7日 大ホール) | |
9:00 - 10:00 | |
FROLT01 [Slides] | 超伝導空洞技術−2 Technologies for Superconducting RF Cavities (2) ○加古 永治(高エネルギー加速器研究機構(KEK)) ○Eiji Kako (KEK, High Energy Accelerator Research Organization) 超伝導空洞技術−1の続編として、超伝導空洞の加速電界や無負荷Q値などの空洞性能を制限する現象の理解と、性能向上を目指して開発された技術について分かり易い講演を行う予定である。 |
電子加速器 (8月7日 大ホール) | |
10:10 - 10:30 | |
FROL01 p.156 | ATF2ビームラインでの微小ビームサイズの達成 Achievement of Small Beam Size at ATF2 beamline ○奥木 敏行(高エネ研、総研大) ○Toshiyuki Okugi (KEK, SOKENDAI) We confirmed the vertical beam size smaller than 44 nm with low intensity by June 2014 in ATF2 of KEK-ATF (KEK Accelerator Test Facility). A small emittance beam, which satisfies the requirement of ILC (International Linear Collider) emittance, is generated in KEK-ATF damping ring. ATF2 project has been performed by utilizing the small emittance beam of KEK-ATF. The purpose of the ATF2 project is to develop and establish the final focus method, call "Local Chromaticity Correction" of ILC. The beam optics of ATF2 is designed to be based on the same method as ILC, with the equivalent beam energy spread (about 0.1%) and natural chromaticity (about 10000), tolerances of magnetic field errors are also equivalent to the ILC final focus system. In this presentation, we will present the beam tuning procedures of ATF2 beamline, the recent ATF2 status and the issues for further improvements. |
10:30 - 10:50 | |
FROL02 p.161 | 可搬型XバンドライナックX線源の社会・産業インフラ診断推進―3.95MeV初の管理区域外使用と950keVによる動画像診断― Achievements of on-site inspection of social and industrial infrastructures by 950 keV/3.95 MeV X-band linac X-ray source –First on-site use of /3.95 MeV and Dynamic Inner Inspection by -950 keV 上坂 充,○橋本 英子(東京大学大学院工学系研究科原子力専攻),草野 譲一((株)アキュセラ),土橋 克広,矢野 亮太,關 義親(東京大学大学院工学系研究科原子力専攻),藤原 健(産業技術総合研究所),田辺 英二((株)アキュセラ),大矢 清司,服部 行也((株)日立パワーソリューション),三浦 到((株)三菱化学) Mitsuru Uesaka, ○Eiko Hashimoto (University of Tokyo), Jyoich Kusano (ACCUTHERA Inc.), Katsuhiro Dobashi, Ryota Yano, Tomochika Seki (University of Tokyo), Takeshi Fujiwara (AIST), Eiji Tanabe (ACCUTHERA Inc.), Seiji Ohya, Yukiya Hattori (Hitachi Power Solution Ltd.), Itaru Miura (Mitsubishi Chemical Ltd.) 950keV/3.95MeVXバンド(9.3GHz)ライナックX線源の開発を完了し、化学工場での硝酸蒸留塔の内部構造の検査に成功したところまで2年前口頭発表した。その後原子力技術開発イニシャティブとJST震災復興促進プログラムに採択されて、それぞれ高エネルギーX線検査専用SiシンチレータX線カメラの開発、950keVシステム構成の改良と利用促進を行っている。後者に関し、X線発生ヘッドと高周波源ボックスを、頑丈な立方体フレームに入れて、その操作性と信頼性を向上させた。結果、酷寒暴風雨深夜の化学工場桟橋の鉄筋コンクリートの内部構造検査、構造強度評価、修復方策達成に成功した。高周波加速器システムとしては画期的実績である。また国土総合技術政策研究所の委託研究にて実機橋梁試料のベンチマーク試験に参加し、内部鉄筋の撮像に成功した。現在狭隘な現場での、限定された方向からの透視データとTomosynthesis法による内部形状補正、部分角度CTの技術も確立中である。これによる、ハード(X線発生と検出)・ソフトの総合的システムが完成される。今年度いっぱい国内の社会・産業インフラの試験の実績を積み、来年度は海外進出を計画している。950keVシステムでの実績と知見はすべて3.95MeVシステムに反映される。最新の結果を紹介する。 |
10:50 - 11:10 | |
FROL03 p.164 [Slides] | ILCに向けたSTF超伝導加速器の開発 Superconducting Accelerator Development at STF for ILC ○早野 仁司(KEK) ○Hitoshi Hayano (KEK) The superconducting RF test facility (STF) in KEK is the facility for developing technologies of the International Linear Collider (ILC) cavities and cryomodule. The STF accelerator is a test accelerator using superconducting cavities (SC cavities) and cryomodules of ILC technologies. The injector of the STF accelerator consists of the L-band photocathode RF-gun (normal-conducting cavity), two superconducting 9-cell cavities. The 12m-cryomodule (8 SC cavities and 1 SC quadrupole magnet with beam position monitor(BPM)) and 6m-cryomodule (4 SC cavities) are follows after the injector. They will be powered by 10MW multi-beam klystron and the distribution wave-guide system, and the accelerator field and phase are controlled precisely by the fast digital feedback at low-power level. For monitoring SC cavity alignment change during cool-down, the wire position monitors (WPM) are used inside of the cryomodules. Recent developments of the STF accelerator such as cryomodules, high power components, low-level controls, SC qudrupole magnet, BPM and WPM will be discussed and summarized in this paper. |
11:10 - 11:30 | |
FROL04 [Slides] | KEKにおけるILC用超伝導加速空洞の量産化に向けた研究開発 R&D toward the mass-production of ILC SRF cavity at KEK ○佐伯 学行,早野 仁司(高エネルギー加速器研究機構) ○Takayuki Saeki, Hitoshi Hayano (KEK) KEKでは、国際リニアコライダー(ILC)計画の実現を見据えた超伝導空洞の製造量産化の研究を推進している 。2012年に既に研究を開始したILC用9セル超伝導空洞の量産化製造研究では、電子ビーム溶接のバッチ処理化 をすると同時に、複雑な部品をプレス加工する研究を行っている。空洞内面処理においては、高電界が得られ る最良の方法とされる電解研磨処理法に関して、よりコストダウンを可能とする量産化に向けた研究が活発に 行われている。さらに、国際協力で建設することを仮定して、EURO-XFELで約800台の生産がほぼ完了している TESLA型空洞の高圧ガス法に準拠した製造の研究も進めている。この発表では、 ILC実現を見据えてKEKにおい て推進されている超伝導空洞の量産化に関するこれらの研究開発の現状を報告する。 |
11:30 - 11:50 | |
FROL05 p.169 [Slides] | ストリークカメラを用いたOTR測定による極短電子ビームバンチ長計測 Ultra-short bunch length measurement via observation of OTR using a streak camera ○齊藤 寛峻,柏木 茂,日出 富士雄,武藤 俊哉,阿部 太郎,柴崎 義信,南部 健一,長澤 育郎,高橋 健,東谷 千比呂,小林 恵理子,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Hirotoshi Saito, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Toshiya Muto, Taro Abe, Yoshinobu Shibasaki, Kenichi Nanbu, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Chihiro Tokoku, Eriko Kobayashi, Hiroyuki Hama (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University) 東北大学電子光理学研究センターでは偏光可変のテラヘルツ放射光源の研究開発を行うt-ACTS(test Accelerator for Coherent THz Source)プロジェクトが進められている。同センター内の光源研究開発用の加速器系はVelocity Bunching法によってバンチ圧縮を行い、テラヘルツ放射光の生成に必要な100fs以下の極短電子バンチを生成できるよう設計されており、2013年末に建設が完了した。2014年度にはこの加速器系を用いて電子ビームを生成し、100 fs以下の極短電子バンチが実際に生成可能か確認するためバンチ長を測定する試験実験を行った。バンチ長の測定は電子ビームが放出する遷移放射光(OTR)の時間構造をストリークカメラで測定することにより行った。しかしながらOTRの強度が弱く、精度の良いバンチ長計測ができなかった。そこでOTR発光点からストリークカメラまでの光学輸送系を見直して再度バンチ長計測を行ったので、その結果を報告する。 |
光源加速器1 (8月7日 あいあいホール) | |
10:10 - 10:30 | |
FROM01 p.174 [Slides] | 電気光学サンプリングによるTHz-FELのミクロパルス時間構造測定 Time structure measurement for the THz-FEL by using an electro-optic sampling technique ○川瀬 啓悟,加藤 龍好,入澤 明典,藤本 將輝,古川 和弥,久保 久美子,磯山 悟朗(阪大産研) ○Keigo Kawase, Ryukou Kato, Akinori Irizawa, Masaki Fujimoto, Kazuya Furukawa, Kumiko Kubo, Goro Isoyama (ISIR, Osaka Univ. ) 大阪大学産業科学研究所では附属の量子ビーム科学研究施設に設置されているLバンド電子ライナックを用いて、テラヘルツ領域の発振型自由電子レーザー(THz-FEL)の発生の基礎研究とそれを用いた応用研究を実施している。FELに限らず従来のパルスレーザーを評価・利用する上で最も重要な基本的パラメータのひとつは、レーザーパルスの時間幅である。従って本研究では、27 MHzあるいは108 MHzの間隔で連なるFELミクロパルスの時間構造を評価するために、電気光学(EO)サンプリングを用いたクロスコリレーション測定を実施した。本測定では81 MHzのモード同期チタンサファイアレーザー発振器を利用し、EO結晶としてはZnTeとGaPを用いた。本発表では、本測定で得られたTHz-FELのミクロパルス時間構造の測定結果を示し、FELの詳細な時間特性と各EO結晶の応答特性を議論する。 |
10:30 - 10:50 | |
FROM02 p.177 | 高周波電子銃中LaB6陰極からのマルチバンチ光電子ビーム発生とそれを用いた中赤外自由電子レーザ発振 Multi-bunch photoelectron beam generation from LaB6 cathode in an RF gun and its utilization to MIR-FEL oscillation ○全 炳俊(京大エネ研),黒田 隆之助,平 義隆(産総研),Sikharin Suphakul,紀井 俊輝,増田 開,大垣 英明(京大エネ研) ○Heishun Zen (IAE, Kyoto Univ.), Ryunosuke Kuroda, Yoshitaka Taira (AIST), Suphakul Sikharin, Toshiteru Kii, Kai Masuda, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) 京都大学エネルギー理工学研究所では、エネルギー関連研究への応用利用をターゲットとして、中赤外自由電子レーザ(KU-FEL)を開発している。これまでは六硼化ランタン(LaB6)を熱陰極として高周波電子銃に熱電子を供給し、中赤外自由電子レーザの発生に用いてきており、波長5-20μmでの発振に成功している。今回、KU-FELの更なる高性能化を目指して、波長266 nmのマルチバンチ紫外レーザを用いてLaB6を光陰極として使用する事で、熱陰極として使用した場合よりも高輝度なマルチバンチ光電子ビームの発生に成功した。そして、発生させたマルチバンチ光電子ビームを用いてKU-FELを駆動する事で、中赤外自由電子レーザの1ミクロパルス当たりの光エネルギーを約6倍程度増大させる事に成功した。 |
10:50 - 11:10 | |
FROM03 p.181 [Slides] | コンパクトERLのコミッショニング状況とビーム利用に向けた取り組み Progress on the Compact ERL Commissioning and Efforts toward Beam Utilization ○高井 良太,足立 伸一,阿達 正浩,赤木 智哉,明本 光生,荒川 大,荒木 栄,浅岡 聖二,江並 和宏,遠藤 有聲,福田 茂樹,古屋 貴章,芳賀 開一,原 和文,原田 健太郎,本田 融,本田 洋介,本間 博幸,本間 輝也,細山 謙二,穂積 憲一,石井 篤,金 秀光,加古 永治,神谷 幸秀,片桐 広明,河田 洋,小林 幸則,小島 裕二,近藤 良也,小菅 淳,久米 達哉,松本 利広,松村 宏,松下 英樹,道園 真一郎,三浦 孝子,宮島 司,宮内 洋司,長橋 進也,仲井 浩孝,中島 啓光,中村 典雄,中西 功太,中尾 克己,濁川 和幸,野上 隆史,野口 修一,野澤 俊介,帯名 崇,尾崎 俊幸,Qiu Feng,下ヶ橋 秀典,阪井 寛志,坂中 章悟,佐々木 慎一,佐藤 康太郎,佐藤 昌史,設楽 哲夫,篠江 憲治,島田 美帆,塩屋 達郎,宍戸 寿郎,清宮 裕史,多田野 幹人,田原 俊央,高橋 毅,高木 宏之,田中 オリガ,竹中 たてる,谷本 育律,照沼 信浩,飛山 真理,土屋 公央,内山 隆司,上田 明,梅森 健成,浦川 順治,渡邊 謙,山本 将博,山本 康史,矢野 喜治,吉田 光宏(KEK),羽島 良一,松葉 俊哉,森 道昭,永井 良治,西森 信行,沢村 勝,静間 俊行(JAEA),栗木 雅夫(広島大),Cenni Enrico(総研大),Hwang Ji-Gwang(KNU) ○Ryota Takai, Shinichi Adachi, Masahiro Adachi, Tomoya Akagi, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Sakae Araki, Seiji Asaoka, Kazuhiro Enami, Kuninori Endo, Shigeki Fukuda, Takaaki Furuya, Kaiichi Haga, Kazufumi Hara, Kentaro Harada, Tohru Honda, Yosuke Honda, Hiroyuki Honma, Teruya Honma, Kenji Hosoyama, Kenichi Hozumi, Atsushi Ishii, Xiuguang Jin, Eiji Kako, Yukihide Kamiya, Hiroaki Katagiri, Hiroshi Kawata, Yukinori Kobayashi, Yuuji Kojima, Yoshinari Kondou, Atsushi Kosuge, Tatsuya Kume, Toshihiro Matsumoto, Hiroshi Matsumura, Hideki Matsushita, Shinichiro Michizono, Takako Miura, Tsukasa Miyajima, Hiroshi Miyauchi, Shinya Nagahashi, Hirotaka Nakai, Hiromitsu Nakajima, Norio Nakamura, Kota Nakanishi, Katsumi Nakao, Kazuyuki Nigorikawa, Takashi Nogami, Shuichi Noguchi, Shunsuke Nozawa, Takashi Obina, Toshiyuki Ozaki, Feng Qiu, Hidenori Sagehashi, Hiroshi Sakai, Shogo Sakanaka, Shinichi Sasaki, Kotaro Satoh, Masato Satoh, Tetsuo Shidara, Kenji Shinoe, Miho Shimada, Tatsuro Shioya, Toshio Shishido, Yuji Seimiya, Mikito Tadano, Toshihiro Tahara, Takeshi Takahashi, Hiroyuki Takaki, Olga Tanaka, Tateru Takenaka, Yasunori Tanimoro, Nobuhiro Terunuma, Makoto Tobiyama, Kimichika Tsuchiya, Takashi Uchiyama, Akira Ueda, Kensei Umemori, Junji Urakawa, Ken Watanabe, Masahiro Yamamoto, Yasuchika Yamamoto, Yoshiharu Yano, Mitsuhiro Yoshida (KEK), Ryoichi Hajima, Shunya Matsuba, Michiaki Mori, Ryoji Nagai, Nobuyuki Nishimori, Masaru Sawamura, Toshiyuki Shizuma (JAEA), Masao Kuriki (Hiroshima Univ.), Enrico Cenni (SOKENDAI), Ji-gwang Hwang (KNU) コンパクトERLとは、KEKが将来の大規模放射光源としてR&Dを進めている“エネルギー回収型ライナック(ERL)”のための試験加速器である。周長約100mの小型加速器ではあるが、大電流かつ低エミッタンスの電子ビームを生成し得る光陰極DC電子銃やそのビームを高加速勾配で安定に加速し続けられる超伝導加速空洞など、ERLに必要な基本要素を一通り備えている。2013年12月にビーム周回部を含む加速器全体でのコミッショニングを開始して以来、低エミッタンスを保持したビーム輸送やCW運転におけるビーム電流の増強に向けたマシンスタディが精力的に行われており、着実にその性能を上げている。また、これらと並行してビームのユーザー利用に向けた準備も進められており、2015年3月にはレーザーコンプトン散乱による準単色X線の生成に成功した。本発表では、前回の報告以降に行われたコミッショニングの進捗状況やビーム利用に向けた取り組み、今後の運転計画等について述べる。 |
11:10 - 11:30 | |
FROM04 p.187 | 極短周期アンジュレータの開発 II Development of very short period undulators II ○山本 樹(高エネ機構・放射光、総研大・物質構造科学) ○Shigeru Yamamoto (KEK-PF, GUAS Dept. Materials Structure Sci.) より低いエネルギーの光源加速器において,より低次のアンジュレータ放射を用い,より高いエネルギーの放射の実用化を目指して,“極短周期” アンジュレータのための研究開発を行っている。 本研究では周期長4mmを目標に設定し,幅20mm x 厚さ2mm x 長さ100mmの板状のNdFeB製磁石(NEOMAX素材)板に,周期的交番磁気回路を高精度・高強度で書き込む方式の開発を行ってきた。着磁した一対の磁石板を対向させることにより,磁石板の間の隙間(磁石ギャップ)にアンジュレータ磁場を生成することができる。現状では,1.6mmの狭小ギャップ(今のところ固定式)に約4100Gの極短周期磁場(周期長4mm)を生成することが可能になった。実測磁場に基づく磁場の評価は,このようにして得られたアンジュレータ磁場が十分実用に耐えるものであることを示している。 着磁方式・着磁ヘッドの最適化によって,上記の多極着磁法開発の第一段階を完了することができたと考えている。今後,アンジュレータ端部の磁場調整法/複数の磁石板の長手方向への接続法の開発が重要な課題になる。これらに加えて,他の周期(短方向・長方向とも)への本方式の拡張,より長い磁石素材の採用による改良等を含めた現状について報告を行いたい。さらに可能であれば現在計画している,実在電子ビームを用いた(放射および極短周期アンジュレータの)評価実験の可能性について触れたい。 |
11:30 - 11:50 | |
FROM05 p.191 | 複合位相アンジュレータ磁気回路による吸引力自己相殺 Phase combination for self-cancellation of magnetic force in undulators ○金城 良太,田中 隆次(理研 放射光センター) ○Ryota Kinjo, Takashi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) アンジュレータの磁石列間に働く力を作用点である磁石列近傍で打ち消すことができれば、機械構造を顕著に単純化し製作や設置の期間やコストを大幅に削減することが可能となる。今回我々は、本質的に吸引力の働かない複合位相アンジュレータ磁気回路を考案した。複合位相アンジュレータ磁気回路においては、上下のそれぞれの磁石列はいくつかのセクションに区切られ、半分のセクションはもう半分に対して特定のルールに従って電子ビーム方向の位置(位相)がずれている。これによりアンジュレータ磁場の周期性を損なうことなく、それぞれの磁石列に働く上下方向の力をセクション間の左右方向の力に変え磁石列間に力が働かないようにすることが可能となる。数値計算によって、ギャップと周期長の比が1/18という非常に狭いギャップ領域まで、吸引力をハルバック型磁気回路の1/50以下に抑えられることがわかった。年会ではこれらの計算結果及び吸引力の微調整手法について発表する。 |
加速器応用・産業利用2 (8月7日 大ホール) | |
13:00 - 13:20 | |
FROL06 p.195 [Slides] | 小型高輝度マイクロトロンで実現するラボサイズEB滅菌・殺菌装置 The laboratory size electron beam sterilization equipment achieved by small and high brilliant microtron ○長谷川 大祐(近江みらくる),山田 廣成(立命館大学),山田 貴典(光子発生技研),林 太一,尾崎 健人(近江みらくる) ○Daisuke Hasegawa (Ohmi MIRRORCLE), Hironari Yamada (Ritsumeikan Univ.), Takanori Yamada (PPL), Taichi Hayashi, Kent Ozaki (Ohmi MIRRORCLE) 株式会社光子発生技術研究所は卓上型放射光装置みらくるの開発に世界で初めて成功した。入射器に用いているマイクロトロンの高輝度化を同時に進めてきたが、ライナックに比べて極めて高性能であることが明かとなった。そこで、従来のマイクロトロンをハイパワー化した、ビーム出力5kWの小型EB装置を開発し、滅菌・殺菌市場へ投入する。従来のEB滅菌は大出力のEB装置を用いた集約型の照射方式が取られるが、それはEB装置が大型で且つ高価であるために採用された方式である。今日では、生産ラインだけでなく研究室レベルでのEB滅菌に需要が広がり、利便性の高い小型でハイパワーのEB照射装置が求められている。 我々はマイクロトロンの磁場を不均一磁場にして、ピークビーム電流300mAを出す原理を発明し、これを実証した。そこで、パルス幅を従来の1μ秒から5μ秒に延ばし、繰り返しを1000ppsに上げることでマイクロトロンのハイパワー化を達成する。具体的には、高周波源のクライストロンの平均パワーを5kWから30kWへ増強し、冷却を強化した加速システムの開発をおこなう。開発するEB装置は生産ラインや研究室への設置を想定していること、また装置周囲の放射化を防ぐため、電子エネルギーを6MeV以下としている。 |
13:20 - 13:40 | |
FROL07 p.199 | フォトカソードRF電子銃を用いたMeV電子顕微鏡の開発 Development of MeV electron microscopy using photocathode RF gun ○楊 金峰,谷村 克己,吉田 陽一(阪大産研),浦川 順治(高エネ研) ○Jinfeng Yang, Katsumi Tanimura, Yoichi Yoshida (ISIR), Jyunji Urakawa (KEK) 我々は、フォトカソードRF電子銃を用いて相対論的エネルギーの短パルス電子ビームを発生し、時間分解電子顕微鏡の研究開発を推進しています。2012年にRF電子銃を用いた時間分解電子顕微鏡プロット機を製作し、原理実証実験を行った。その後、新型RF電子銃の開発やビームの高輝度化などを行うと共に、さらに安定性を向上するため新しい実験室への移設作業も行った。本大会では、新型RF電子銃の設計・製作、それを用いた電子ビームの発生とMeV電子線パルスを用いた電子顕微鏡イメージングの測定結果について報告する。 |
13:40 - 14:00 | |
FROL08 p.203 | IFMIF/EVEDA用大電流原型加速器の進捗 Progress of the high current Prototype Accelerator for IFMIF/EVEDA ○奥村 義和(日本原子力研究開発機構) ○Yoshikazu Okumura (Japan Atomic Energy Agency) 日欧協力のもと、国際核融合中性子照射施設(IFMIF)の工学設計工学実証活動(EVEDA)が2007年から開始されている。IFMIFにおける最大の開発課題は、40MeV/250mA/CWの重水素イオンビームを発生できる大電流加速器であり、現在、その原型加速器(9MeV/125mA/CW)の試験を六ヶ所村の国際核融合研究センターにおいて段階的に実施している。試験は日欧の事業チームメンバーと、入射器を担当したフランスサクレー研究所などの欧州ホームチーム、日本ホームチームのメンバーから構成される原型加速器統合チームが担当している。入射器については、2014年から試験を開始し、現在までに100keV/120mA/CWの水素イオンビームを0.3pimm.mrad以下のエミッタンスで生成することに成功している。2015年には、高周波四重極加速器(RFQ)用高周波電源の搬入据付が開始され、入射器の試験の終了とともにRFQ本体の据付も開始される予定である。本稿では、入射器の実証試験の結果とともに、RFQ、超伝導リニアック、高周波電源、ビームダンプ等の現状について報告する。 |
14:00 - 14:20 | |
FROL09 p.206 [Slides] | 加速器ベースホウ素中性子捕捉療法 Accelerator-based Boron Neutron Capture Therapy 熊田 博明(筑波大学),○吉岡 正和(KEK) Hiroaki Kumada (University of Tsukuba), ○Masakazu Yoshioka (KEK) 筑波大学は多くの研究機関・企業および茨城県と協力して、加速器を用いた新しい放射線がん治療装置、「ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy, BNCT)」施設を建設している。治療に必要な熱外中性子(0.5eV〜10keV)フラックスは1✕10^9n/cm^2/s以上で、かつ患者にとって有害な熱中性子、高速中性子、およびγ線を極力抑制しなければならない(混入率<10^-13)。従来は中性子源として小型の研究用原子炉が用いられ、これまでに数百例の治療実績があるが、原子炉は病院施設としては成立しないため、極めた限られた治療研究に留まっている。そのため、京都大学、筑波大学、国立がんセンターなどで中性子源として加速器を用いる開発が進められている。様々な技術選択があり得るが、筑波大学ではビームエネルギー8MeV、平均電流10mA(ビーム電力80kW)の陽子リニアックと、中性子生成標的としてベリリウムを用いる施設建設を行っている。茨城県東海村にある茨城県施設「いばらき中性子医療研究センター」に建設しており、昨年末までに加速器施設はほぼ完成し、陽子ビームを8MeVまで加速して標的部までガイドした。その後、中性子コミッショニングのために標的、中性子減速装置設置、および放射線遮蔽強化を行い、来年度には治療研究を開始する予定である。 |
レーザー/加速器制御 (8月7日 大ホール) | |
14:30 - 14:50 | |
FROL10 [Slides] | レーザー駆動陽子加速のための水素クラスターターゲットの特性評価 Characterization of hydrogen cluster targets for laser-driven proton acceleration ○神野 智史(東大院工),田中 宏尭(九大総理工),金崎 真聡,榊 泰直,近藤 公伯(原子力機構関西),松井 隆太郎(京大エネ科),上坂 充(東大院工),岸本 泰明(京大エネ科),福田 祐仁(原子力機構関西) ○Satoshi Jinno (The Univ. of Tokyo), Hirotaka Tanaka (Kyushu Univ.), Masato Kanasaki, Hironao Sakaki, Kiminori Kondo (JAEA-KPSI), Ryutaro Matsui (Kyoto Univ.), Mitsuru Uesaka (The Univ. of Tokyo), Yasuaki Kishimoto (Kyoto Univ.), Yuji Fukuda (JAEA-KPSI) 我々は、これまでに、レーザー駆動イオン加速実験において、クラスターターゲットを用いることにより、加速エネルギーの最大値の著しい増加を実証してきた。近年のレーザー技術の進展により登場した、PW級レーザーを用いれば、直径数百ナノメートルの水素クラスターのクーロン爆発によって100MeV級のクリーンな陽子線発生が理論的に予測されている。また、相対論効果により、イオンがレーザー進行方向に指向性を持って加速されることも期待されている。本研究では、ターゲット開発のために、冷却機構付パルスバルブを用いた水素クラスターターゲット生成装置を開発した。この冷却機構により、水素のようなファンデルワールス力の小さな分子から成るクラスターの生成が可能となる。ターゲットの特性評価のために、ミー散乱を用いて生成した水素クラスターのサイズ評価を行った。Nd:YAGレーザーの2倍高調波である波長532nmのパルスレーザーをクラスターターゲットに照射し、そこからの散乱光の角度分布測定し、ミー散乱理論を用いて数値解析することにより、クラスターサイズ分布を得た。講演では水素クラスターサイズの温度依存性などについて報告する。 |
14:50 - 15:10 | |
FROL11 | 大阪大学におけるステージングレーザー航跡場加速研究の現状 Current status of staging laser wakefield acceleration research at Osaka University ○細貝 知直(阪大 工学研究科),益田 伸一,中新 信彦,ジドコフ アレクセイ,パサック ナビーン,末田 敬一,大塚 崇光(阪大 光センター),中村 浩隆,金 展,竹口 直輝,大迫 浩幹(阪大 工学研究科),井上 龍夫,伊東 正篤(株コンポン研),兒玉 了祐(阪大 工学研究科、光センター、レーザー研) ○Tomonao Hosokai (Graduate School of Eng., Osaka Univ.), Shin'ichi Masuda, Nobuhiko Nakanii, Alexei Zhidkov, Naveen Pathak, Kei'ichi Sueda, Takamitsu Otsuka (PPC, Osaka Univ.), Hirotaka Nakamura (Graduate School of Eng., Osaka Univ.), Zhan Jin (PPC, Osaka Univ.), Naoki Takeguchi, Kouki Osako (Graduate School of Eng., Osaka Univ.), Tatsuo Inoue, Seitoku Ito (Genesis Res. Inst. INC), Ryousuke Kodama (Graduate School of Eng., PPC, ILE, Osaka Univ.) テーブルトップサイズのコンパクトな超高エネルギー加速器の実現を目指して、レーザー航跡場加速器の研究開発が世界中で進められている。これまでに広く研究されてきた自己入射方式のレーザー航跡場電子加速(LWFA)では、一つのレーザー航跡場の中で電子の入射と加速を連続的に行う。この方式では電場強度の高い非線形レーザー航跡場が用いられるため加速エネルギー利得は極めて高く、数GeV級の準単色電子ビームも既に得られている。しかしながら、被加速電子のレーザー航跡場への入射位相を制御することが原理的に難しく再現性の高いリピータブルなビームを得る事は難しいと考えられる。そこで、我々は、リピータブルなLWFA加速を実現するため、電子の入射と加速のそれぞれの役目を担う複数のレーザー航跡場を独立に生成し、それらの航跡場で電子ビームを段階的に加速するステージングLWFAを提案し構築を開始している。 これまでに、我々はプラズママイクロオプしクスと名付けられたプラズマ集光デバイスをLWFAに用いることによって、入射電子ビームの安定化に成功している[1]。今回は、この安定なLWFA電子入射器を用いたGeV級ステージングLWFAの研究開発現状に加え、新たに走り出した内閣府ImPACTプログラムの元で開発を開始したLWFAプラットフォームについても報告する。 [1] N. Nakanii,et al.,Phys Rev.ST. 18, 021303 (2015 ). |
15:10 - 15:30 | |
FROL12 p.210 | 自由電子レーザーとクラシカルレーザーの融合による小型ハードX線レーザーの開発 Hybrid laser combining flee-electron and classical lasers ○山田 廣成(立命館大学) ○Hironari Yamada (Ritsumeikan University) Proposed Hybrid laser scheme uses energetic electron beam like a free-electron laser, but the gaining process is different. Undul- ator is not used. Instead photon beam is wiggled by mirror. Multiple targets placed periodically along the e-beam form optical cavities. Two gaining processes are involved. In one process e-beam hit the targets and generates X-rays. While e-beam and photon beam merge at the target, forced emissions appear which is ruled by the Einstein’s A and B coefficients low. In another process micro bunching are generated which is similar to the FEL gaining process. It is a kind of seeded FEL. In addition the seed is transition radiation and is coherent from the beginning of the lasing process. We expect very high gain for hard X-ray higher than 10 keV with less than 100 MeV e-beam and less than 10m long optical cavities. |
15:30 - 15:50 | |
FROL13 p.215 [Slides] | J-PARC MR MPS 装置の紹介とそこから派生されることの提案 The introduction of the J-PARC MR MPS equipment, and the discussion of the interest concerning the equipment. ○中川 秀利,秋山 篤美,佐々木 信哉,木村 琢郎(kek) ○Hidetoshi Nakagawa, Atsuyoshi Akiyama, Shinya Sasaki, Takuro Kimura (kek) J-PARC の MR 側の MPS 装置はKEK の職員が設計し企業に製造を依頼したものです。 どのような機能があり、どのように使っているかを紹介します。 また、KEKの職員の設計になることから、基本的に製造中止の心配がなく、場合によって、機能単位で再設計しなおすことで済ませられる、と言うメリットがあることを紹介し、自家製品の長所を紹介したいと思います。 FPGAが乗っていてその中でMPS機能の論理処理を行うとともに、そのFPGA内のCPUでLINUXをOSとして動かし、その上でEPICSが動く通称『CPUボード』の第2世代の開発を行っています。このCPUボードの第1世代と第2世代の比較などを紹介し、100%企業におんぶに抱っこされた製品ではなく、KEK職員が設計製造に深く関与した製品のメリットを紹介したいと思います。 誰でも簡単に設計できるというものではありませんが、自分たちの目的に合わせた機能限定のCPUボードを自分たちで作る、そういうグループがあると研究所としての利益が多いと判断し、そういう観点からの提案もしたいと思います。 また、イーサネット機能を持つような製品を独自開発し組織として使用する場合、MACアドレスをどの様に管理するかなども安定使用のために大事な話になります。この種の話も相談したいと考えています。 |
15:50 - 16:10 | |
FROL14 p.218 | SPring-8次期低速制御システム構築に向けたPLC用光リンクリモートI/Oマスターモジュール(OPT-PLC)の開発 Development of a PLC-based optical-link remote I/O master module (OPT-PLC) for the next-generation slow control system at SPring-8 ○増田 剛正,植田 倉六,清道 明男(公益財団法人高輝度光科学研究センター) ○Takemasa Masuda, Souroku Ueda, Akio Kiyomichi (JASRI) SPring-8加速器制御系では、電磁石電源の制御を中心に光リンクリモートI/Oシステムを採用し、数多くのリモートI/Oボードを少数の高価なVME計算機から集中制御している。昨今FPGAの低価格化・高機能化が進み、従来VME計算機が担っていた処理の多くを、リモートボード側のFPGAで受け持たせることが可能となっている。このような現状を踏まえると、今後多くの場合でVME計算機がオーバースペックとなることが予想される。そこで、最近発展が目覚しいPLCに注目し次期低速制御システムとして利用することを検討している。現在所持している膨大な光リンクリモートI/Oシステムの資産を有効に生かした低速制御システムの構築を実現するため、今回横河電機製e-RT3用光リンクリモートI/Oシステムマスターモジュール(OPT-PLC)の開発を行った。ロジック部にXilinx社製 Zynqを採用して、既存のVMEシステムではデバイスドライバが担っていた一部の通信処理をARM CPU上のアプリケーションとして実装、ファームウェア化することでシステムの移植性を高め、横河電機が提供する汎用デバイスドライバを利用可能とした。また通信処理ロジックを見直し、Linux CPUからだけでなくシーケンスCPUからも利用可能とした。光通信部をドーターカードとして実装することでロジック基板の汎用性を高め、将来オプションとしてドーターカードとの間に高速シリアルI/Fを利用できるよう設計している。 |
16:10 - 16:30 | |
FROL15 p.223 | SuperKEKB用新Event Timing Systemのインストール及びコミッショニング Installation and Commissioning of New Event Timing System for SuperKEKB ○梶 裕志,古川 和朗,岩崎 昌子,菊谷 英司,小林 鉄也,宮原 房史,中村 達郎,佐藤 政則,末武 聖明,飛山 真理(KEK),岡崎 知博,飯塚 祐一(東日本技術研究所),工藤 拓弥,草野 史郎(三菱電機システムサービス) ○Hiroshi Kaji, Kazuro Furukawa, Masako Iwasaki, Eiji Kikutani, Tetsuya Kobayashi, Fusashi Miyahara, Tatsuro Nakamura, Masanori Satoh, Masaaki Suetake, Makoto Tobiyama (KEK), Tomohiro Okazaki, Yuichi Iitsuka (East Japan Institute of Technology), Takuya Kudou, Shiro Kusano (Mitsubishi Electric System and Service) KEKでは1つの入射線形加速器(LINAC)が4つのリングへ電子ビームもしくは陽電子ビームを供給する。ビーム入射のためのLINAC動作タイミングはイベントタイミングシステムにより制御されている。来たるSuperKEKBプロジェクトではより高度なタイミング制御が要求されるため、我々は新しいイベントタイミングシステムを構築し、そしてLINACメインタイミングステーションにインストールした。新システムのインストールは現行システムを取り外すことなく行われている。イベントタイミングシステムが冗長化されたことにより、放射光リングのユーザー運転期間中に、そのためのLINAC通常運転と新システムコミッショニングを両立することができた。コミッショニングは順調で、2014年10月に「入射器全域でのビーム運転」、翌11月には「2つの放射光リングへのビーム入射」が新イベントタイミングシステムにより実現されている。本講演では新イベントタイミングシステムの詳しい構成と上記のコミッショニングの様子を紹介する。 |
加速器土木・放射線防護2 (8月7日 あいあいホール) | |
13:00 - 13:20 | |
FROM06 p.228 | ILC施設計画の現状 Status of ILC Conventional Facility Design ○宮原 正信,山本 明(高エネルギー加速器研究機構),佐貫 智之(東北大学) ○Masanobu Miyahara, Akira Yamamoto (KEK), Tomoyuki Sanuki (Tohoku Univ.) 国際リニアコライダー計画は、2012年の技術設計書(TDR)の発刊後、 最終計画案の策定に向けて工学設計(ED)の作業が進捗している。 特に、加速器トンネルや衝突実験ホールなどの主要な地下構造物については、計画サイトの地形や地質条件に適合した計画が必須となるため、TDRの再点検作業が行なわれている。 また、衝突実験ホールにおいては実験装置の搬入・搬送計画の変更に連動した実験ホール基本構造の修正計画が進展しているほか、加速器のビーム運転シナリオや将来の拡張性に対応するため、メインライナックトンネル(MLT)の延伸計画などが検討されている。このほか、MLTシールド壁やクライオジェニクス設備の最適化などに関する技術検討が開始されている。 さらに、本編では、これらの加速器・測定器のスキームチェンジに基づく技術検討に加え、CERNとの国際連携により進捗中の「 山岳サイトを想定したアクセストンネルの最適化」を図るためのツールであるTOT(Tunnel Optimization Tool)プログラムの開発の背景と進展状況についても報告する。 |
13:20 - 13:40 | |
FROM07 p.232 [Slides] | ILC誘致を円滑に推進するためのAAA・CIVIL部会における検討 Study on civil-related works by AAA・CIVIL subcommittee to smoothly host ILC ○武内 邦文(大林組),大西 有三(関西大学),吉岡 正和(高エネ研),関根 一郎(戸田建設),道下 勲(五洋建設),濱嶋 博文(大成建設),福田 和寛(清水建設),下河内 隆文(竹中工務店),川端 泰夫(飛島建設),大山 寛夫(鹿島建設),平井 秀樹(前田建設工業) ○Kunifumi Takeuchi (Obayashi), Yuzo Ohnishi (Kansai University), Masakazu Yoshioka (KEK), Ichirou Sekine (Toda), Isao Michishita (Penta-ocean), Hirofumi Hamashima (Taisei), Kazuhiro Fukuda (Shimizu), Takafumi Shimokouchi (Takenaka), Yasuo Kawabata (Tobishima), Hiroo Ohyama (Kajima), Hideki Hirai (Maeda) 先端加速器科学技術推進協議会(AAA)とは,最先端の量子加速器開発による科学技術の飛躍と新しい世界の発見を目指して設立された産・官・学の連携組織である(企業100社、研究機関等41機関).AAAがモデルとして推進する国際リニアコライダー(ILC)の日本誘致に向けて,昨年12月にAAA内に設置したCIVIL部会では,今後のILC施設の建設を円滑に進めるための調査・検討を実施し、それを内外に発信することとした.具体的には,ILC施設建設上の重要課題を検討するWG1,建設マネジメントを調査するWG2,まちづくりを調査するWG3,および,先行類似施設等を調査するWG4に分かれ活動を行っている. 昨年度には,先行事例として沖縄科学技術大学院大学(OIST)を対象に現地調査を実施し,ILC誘致段階である現時点における施設建設に係る喫緊な課題について,分析,検討した.その結果,プロジェクトの初期段階におけるアセス関連や地盤調査の重要性,施設を整備する主体の早期の明確化と調査・設計・施工を切れ目なく短期間で推進するための方策立案,そして,民間事業者も参入しやすい事業環境を確保可能なまちづくりコンセプトの構築等が重要であることが分かった.今後は,これらの重要事項に焦点を絞りながら,その他の先行類似事例の調査も含めて,ILCの日本正式誘致に向けた活動に対して,協議会という民間の立場からの支援や提言等を検討していく予定である. |
13:40 - 14:00 | |
FROM08 p.237 [Slides] | ILC北上候補サイト周辺の高感度地震観測網Hi-netに併設された高感度加速度計による地盤変動の把握について A study of underground behavior around the Kitakami candidate site for the ILC with ground tilt data at the high sensitivity seismograph network (HI-NET) stations 吉岡 正和(東北大学),山下 了(東京大学),佐貫 智行(東北大学),汐見 勝彦(防災科学技術研究所),○関根 一郎(戸田建設株式会社) Masakazu Yoshioka (Tohoku University), Satoru Yamashita (Tokyo University), Tomoyuki Sanuki (Tohoku University), Katsuhiko Shiomi (NIED), ○Ichiro Sekine (Toda corporation) 兵庫県南部地震以降、高感度地震観測網(Hi-net)の観測点が防災科学技術研究所により全国に整備されている。国際リニアコライダー(ILC)の北上サイト候補地周辺には、藤沢、陸前高田、住田、東和等の観測点が建設されている。これらの観測点では地下100mに地震計と地震計の設置状況を把握するための高感度加速度計が設置されている。この高感度加速度計による地盤傾斜データは長期間にわたり計測されており、サイト周辺の地盤の長期的な微小な変動を把握する一つのデータとして有効であると考えられる。 本文では、東北地方太平洋沖地震の前の3か月と後の3か月について、これらの観測点における傾斜データを調べた。その結果、地球潮汐の影響を捉えた精度のいいデータが得られ、地盤含水状態変化の影響、台風などによる風雨による地盤振動の影響を捉えた精度のよいデータが得られた。周辺ダムの貯水量の影響も明らかになり、それらの影響を除外した上で長期的な傾斜変化の傾向を捉えることができた。また、最大傾斜角と国土地理院のGPS観測による地表変動を比較した結果、地下100mの傾斜観測点は地表の変動とほぼ連動して動いていることが明らかになった。 |
14:00 - 14:20 | |
FROM09 p.242 [Slides] | ILC関連施設設計・施工・維持管理に資する地盤情報DBシステムの開発 Development of Geotechnical Database system for use in ILC-related plant design, construction and maintenance ○西山 昭一,横山 幸也,松下 典史,下山 昌宏,吉兼 理説,下山 奈緒(応用地質),佐貫 智行(東北大学) ○Syoichi Nishiyama, Tatsuya Yokoyama, Norihumi Matushita, Masahiro Shimoyama, Masanori Yoshikane, Nao Shimoyama (OYO), Tomoyuki Sanuki (Tohoku Univ.) 長大地中構造物であるILC本体トンネルや附帯する施設の建設・維持管理には、効率的かつ安全な設計・施工計画や工事管理、地域環境の保全、および、地域振興に配慮するグランドデザインが求められる。筆者らは、施設の基礎であるとともに、リスクとなりうる地盤の情報を適切に保持し、地盤モデルの適宜更新を可能とするDBシステムの開発を進めている。本システムを用いて、各施設の建設事業者・施設管理者に対し、必要な地域・範囲における三次元地形・地質情報および地盤リスク情報を提供することを目指している。システムは独自開発のGISを基盤ツール として、ビックデータに類する高密度のレーザー地形情報をシームレスに扱うとともに、地表地質露頭やボーリングコアなどの地質情報および物理探査や現位置試験などの岩盤物性情報を、データベースとして登録・参照・更新可能な機能を有する。登録された地形・地質構造情報や岩盤物性情報を統合管理するとともに、Level of development(LOD)に応じた三次元地盤モデルの構築も可能とする。本論文ではシステムの概要と今後の課題・展望について述べる。 |
光源加速器2/粒子源 (8月7日 あいあいホール) | |
14:30 - 14:50 | |
FROM10 p.247 | ERL を利用した EUV-FEL 光源の設計 Design work of EUV-FEL light source based on Energy Recovery Linac ○宮島 司(高エネ研) ○Tsukasa Miyajima (KEK) 半導体製造のための次世代リソグラフィー技術として、極端紫外線(EUV)リソグラフィの開発が進められている。そのための光源として、13.5 nm の波長をもつレーザープラズマ光源の開発が進められており、現在 100 W 程度の出力が得られる状態となっている。レーザープラズマ光源では最終的に 250 W の出力が見込まれているが、その次の世代のEUV光源では、10 kW というより高い出力が要求される。これを満たす光源の一つとして、エネルギー回収型線形加速器(Energy Recovery Linac, ERL)と自由電子レーザー(Free Electron Laser, FEL)を組み合わせた EUV-FEL 光源が、一つの有力な候補となっている。KEK では、ERL 実証機として開発した compact ERL (cERL)のビーム試験を通して、EUV-FEL 光源実現に欠かせない高輝度大電流電子源と超伝導加速空洞の技術開発を着実に進めており、これらの試験で実証された性能を基に EUV-FEL 光源の検討を開始している。本発表では、EUV-FEL 光源の設計方針とその進捗状況について報告する。 |
14:50 - 15:10 | |
FROM11 p.251 [Slides] | SACLAにおけるマルチビームライン試験運転の現状 Multi-beamline operation test at SACLA ○原 徹,稲垣 隆宏(理研 SPring-8センター),田尻 泰之(スプリングエイトサービス),渡川 和晃,金城 良太,武部 英樹(理研 SPring-8センター),深見 健司(高輝度光科学研究センター),近藤 力,大竹 雄次,田中 均(理研 SPring-8センター) ○Toru Hara, Takahiro Inagaki (RIKEN SPring-8 Center), Yasuyuki Tajiri (SES), Kazuaki Togawa, Ryota Kinjo, Hideki Takebe (RIKEN SPring-8 Center), Kenji Fukami (JASRI), Chikara Kondo, Yuji Otake, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) SACLAでは2014年9月に2本目のアンジュレータビームラインBL2の設置が完了し、2本のビームラインを用いたマルチビームラインの試験運転を開始した。BL2設置当初は、加速器出口にあるDC偏向電磁石を用いてBL2とBL3の2本のビームラインを切り替えていたが、2015年1月にDC偏向電磁石をキッカー電磁石とDCセプタム電磁石に置き換え、電子バンチ毎に2本のビームラインへ振り分けることが可能になった。 BL2のコミッショニングは2015年1月より開始し、電子ビームやアンジュレータのパラメータ調整、バンチ振り分け試験などを経て、約150μJのレーザーパルス出力が得られている。キッカー電磁石パルス励磁に伴う軌道変動についても測定し、問題がないことを確認した。ただBL2へは電子ビームを3°偏向させて輸送するが、偏向部におけるCSR効果が無視できないことが判明した。これはSACLAが、設計値よりも大幅に高い10 kA程度のピーク電流で現在運転されていることに起因する。短バンチ、大ピーク電流運転は、レーザーパルス出力や利用実験の面からはメリットが大きく、またSACLA加速器の安定性を示すものではあるが、偏向部を含むビーム輸送に対しては非常に厳しい条件であり、BL2ではピーク電流を下げて現状運転している。本発表では、SACLAで行っているマルチビームライン試験運転の状況について報告する。 |
15:10 - 15:30 | |
FROM12 p.256 [Slides] | SACLA-BL1極紫外線FEL用加速器の建設とRFコンディショニング Construction and RF conditioning of the EUV-FEL accelerator for SACLA ○櫻井 辰幸,安積 隆夫,安積 則義,稲垣 隆宏,大島 隆(理研 放射光科学総合研究センター),木村 洋昭(高輝度光科学研究センター),金城 良太,近藤 力,武部 英樹,田中 隆次,渡川 和晃,長谷川 照晃,原 徹(理研 放射光科学総合研究センター),備前 輝彦(高輝度光科学研究センター),細田 直康,前坂 比呂和,松井 佐久夫(理研 放射光科学総合研究センター),松原 伸一(高輝度光科学研究センター),大竹 雄次,田中 均,石川 哲也(理研 放射光科学総合研究センター) ○Tatsuyuki Sakurai, Takao Asaka, Noriyoshi Azumi, Takahiro Inagaki, Takashi Oshima (RIKEN SPring-8 center), Hiroaki Kimura (JASRI), Ryota Kinjyo, Chikara Kondo, Hideki Takebe, Takashi Tanaka, Kazuaki Togawa, Teruaki Hasegawa, Toru Hara (RIKEN SPring-8 center), Teruhiko Bizen (JASRI), Naoyasu Hosoda, Hirokazu Maesaka, Sakuo Matsui (RIKEN SPring-8 center), Shinichi Matsubara (JASRI), Yuji Otake, Hitoshi Tanaka, Tetsuya Ishikawa (RIKEN SPring-8 center) X線自由電子レーザー施設SACLAでは、実験ユーザーの利用機会を増やし発振波長領域を拡大するために、アンジュレータビームラインBL1の上流スペースに極紫外線FEL用の加速器の建設を進めている。電子銃からバンチ圧縮部(BC1)までの入射部は2013年に運転を終了したSCSS試験加速器で使用した機器を再利用する。主加速部にはディスクロード型Cバンド加速管を6本新規製作し、40MV/m以上で運転しエネルギーを上げる。また2台の真空封止アンジュレータは試験加速器で使用したものの永久磁石列を交換し、磁石の周期長を15mm(Kmax =1.5)から18mm(Kmax=2.1)に変更しK値を上げた。運転時の電子ビームエネルギーは450〜500MeVを想定し、波長30〜40nm、強度100μJのFEL発振を目指す。 2013年夏と2014年の夏期停止期間に機器設置を行い、2014年秋からRFコンディショニングを開始した。入射部の加速空洞は順調にコンディショニングが進み、Cバンドディスクロード型加速管の加速電界は100時間程度のコンディショニングで46MV/mに到達した。その後、約2000時間の運転により停止頻度は0.63回/hourまで減少した。これらの結果、上記のエネルギーを達成できる目処がたった。本件ではBL1極紫外線FEL用加速器の建設とRFコンディショニングの状況について報告する。 |
15:30 - 15:50 | |
FROM13 p.261 [Slides] | J-PARC/MUSEにおけるミュオン回転標的の現状 Present status of muon rotating target at J-PARC/MUSE ○牧村 俊助,的場 史朗,河村 成肇(高エネ研),鬼澤 聡志,松澤 行洋(NAT),田部 正人(シーケル),小林 庸男,藤森 寛,池戸 豊,幸田 章宏,小嶋 健児,三宅 康博,中村 惇平,下村 浩一郎,ストラッサ― パトリック,門野 良典(高エネ研) ○Shunsuke Makimura, Shirou Matoba, Naritoshi Kawamura (KEK), Satoshi Onizawa, Yukihiro Matsuzawa (NAT), Masato Tabe (Seekel), Yasuo Kobayashi, Hiroshi Fujimori, Yutaka Ikedo, Akihiro Koda, Kenji Kojima, Yasuhiro Miyake, Jumpei Nakamura, Koichiro Shimomura, Patrick Strasser, Ryosuke Kadono (KEK) A pulsed muon beam with unprecedented intensity will be generated by a 3-GeV 333-microA proton beam on a muon target made of 20-mm thick isotropic graphite at J-PARC/MUSE (Muon Science Establishment). The energy deposited by a 1-MW proton beam is estimated to be 3.9kW on the muon target. The first muon beam was successfully generated in September of 2008. Gradually upgrading the beam intensity, continuous 300-kW proton beam has been operated by a fixed target method without replacements till June of 2014. However, the lifetime of the fixed target will be less than 1 year by the proton-irradiation damage of the graphite in case of 1-MW proton beam operation. To extend the lifetime, the muon rotating target, in which the radiation damage is distributed to a wider area, had been developped. In the rotating target, the lifetime of bearing will have a dominant influence on the lifetime of the muon target. The disulfide tungsten are introduced as solid lubricant of the bearings. The muon rotating target was installed in September of 2014 and has been stabley utilized up to 500-kW proton beam. In this report, the present status of the muon rotating target will be described. |
15:50 - 16:10 | |
FROM14 p.265 | レーザー駆動誘電体加速試験に向けた工作精度評価 Evaluation of the fabrication error on the acceleration field strength of the laser-driven dialectic accelerator ○小山 和義,大槻 祥平,上坂 充(東大原子力),吉田 光宏(高エネ研) ○Kazuyoshi Koyama, Shohei Otsuki, Mitsuru Uesaka (Univ. Tokyo), Mistuhiro Yoshida (KEK) レーザー駆動誘電体加速の実現を目指し、比較的低エネルギーで少ない電荷量でも応用可能な放射線生物学研究のためのマイクロビーム源を念頭に研究を行っている。目標のエネルギー利得は約1MeVで電荷量は0.01fC程度である。これまでに、透過型回折格子対の構造に対して、解析的およびシミュレーションによって加速の最適パラメータを明らかにした。レーザー駆動誘電体加速の実証実験用の試験片作成に先立ち、回折格子側面の斜度と粗さ、格子の底部の粗さなどの工作精度が加速勾配に与える影響の大きさなどの評価が必要である。これまでの結果、すなわち格子の幅の誤差が10%で加速勾配が約10%、格子から1/4波長以上離れると加速勾配が急速に低下することから、格子の幅は数%以下の誤差に粗さは加速軌道から1/4波長(約250nm)離れれば問題にならないものと考えられる。このことを確かめ、数値で評価するためにシミュレーションを実施している。 |
施設現状報告ポスター ("8月5,6日" 小ホール) | |
13:00 - 15:00 | |
FSP001 p.268 | 東北大学電子光理学研究センターの加速器の現状 Present status of the accelerators in Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University ○東谷 千比呂,柏木 茂,日出 富士雄,武藤 俊哉,柴崎 義信,南部 健一,長澤 育郎,高橋 健,小林 恵理子,濱 広幸(東北大) ○Chihiro Tokoku, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Toshiya Muto, Yoshinobu Shibasaki, Kenichi Nanbu, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Eriko Kobayashi, Hiroyuki Hama (Tohoku University) 東北大学電子光理学研究センターでは、1.3 GeVブースター蓄積(BST)リングとその入射専用90 MeV電子リナック、およびRI製造用60 MeV大強度電子リナックの2組の加速器による共同利用・共同研究拠点活動を進めている。さらに加速器科学・ビーム物理研究専用の試験加速器である50 MeV電子リナック(t-ACTS)を運用している。2014年度は、90 MeV電子リナックの熱陰極高周波電子銃を交換・改良、およびBSTリングの電磁石の再アラインメントと制御システムの改善等を行った。60 MeV電子リナックはRI製造への運転パラメータの最適化やビームプロファイル測定システムの改善に加えて老朽化した加速器の安全かつ安定した運転のための改修等を継続的に行っている。またt-ACTSでは、極短電子バンチ生成実験が本格的に開始された。本発表ではこれらの加速器の現状等について報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
FSP002 p.271 | 先端加速器試験施設(ATF)の現状 Status Report of the Accelerator Test Facility ○照沼 信浩(KEK) ○Nobuhiro Terunuma (KEK) ATFでは国際リニアコライダー(ILC)において必要とされるビーム計測・制御技術の開発を進めている。特に最近はILC最終収束系の試験施設であるATF2ビームラインを利用した研究開発に重心を移しており、特に最初の目標である垂直方向37nmの極小ビームをATF2仮想衝突点において実現し、Local chromaticity correctionによる最終収束システムの技術を確立することに集中している。レーザー干渉縞を用いたビームサイズモニターの改造、高次磁場成分の評価、wake field対策などを精力的に行ってきた結果、2014年6月には44nmまで絞り込むことに成功した。再現性は十分であり、また、休止期間後の加速器立ち上げでも1日程度の調整で再びこのレベルに復帰できるなどビーム調整技術として信頼できる状態にある。ATF2計画にはもう一つ大きな目標がある。ILC衝突点でのナノメートルサイズの電子・陽電子衝突を維持するためのフィードバック技術開発である。つまり、ナノメートルレベルでのビーム位置制御を実現する事である。このためには数nm分解能でのビーム位置計測技術と応答時間140ns程度の高速フィードバック技術が必須である。我々は高分解能Cavity BPMと位置制御システムをATF2仮想衝突点に組込み、ナノメートルでのビーム安定化に向けたビーム試験を進めている。ATFでの多岐に渡る研究開発には、国内外の大学および研究機関が精力的に参加している。これらを含め、ATFの現状を報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
FSP003 p.276 | 理研RIBFのリングサイクロトロン運転報告 Status report of the operation of the RIBF ring cyclotrons 西田 稔,福沢 聖児,濱仲 誠,石川 盛,小林 清志,小山 亮,仲村 武志,西村 誠,柴田 順翔,月居 憲俊,矢冨 一慎(住重加速器サービス),小高 康照(東大CNS),段塚 知志,藤巻 正樹,福西 暢尚,藤縄 雅,長谷部 裕雄,日暮 祥英,池沢 英二,今尾 浩士,加瀬 昌之,影山 正,上垣外 修一,木寺 正憲,熊谷 桂子,込山 美咲,真家 武士,長瀬 誠,中川 孝秀,中村 仁音,大西 純一,奥野 広樹,○大関 和貴,坂本 成彦,須田 健嗣,内山 暁仁,渡邉 環,渡邉 裕,渡部 秀,山田 一成,山澤 秀行(理研仁科センター) Minoru Nishida, Seiji Fukuzawa, Makoto Hamanaka, Shigeru Ishikawa, Kiyoshi Kobayashi, Ryo Koyama, Takeshi Nakamura, Makoto Nishimura, Junsho Shibata, Noritoshi Tsukiori, Kazuyoshi Yadomi (SHI Accelerator Service Ltd.), Yasuteru Kotaka (CNS, Univ. of Tokyo), Tomoyuki Dantsuka, Masaki Fujimaki, Nobuhisa Fukunishi, Tadashi Fujinawa, Hiroo Hasebe, Yoshihide Higurashi, Eiji Ikezawa, Hiroshi Imao, Masayuki Kase, Tadashi Kageyama, Osamu Kamigaito, Masanori Kidera, Keiko Kumagai, Misaki Komiyama, Takeshi Maie, Makoto Nagase, Takahide Nakagawa, Makoto Nakamura, Jun-ichi Ohnishi, Hiroki Okuno, ○Kazutaka Ozeki, Naruhiko Sakamoto, Kenji Suda, Akito Uchiyama, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Shu Watanabe, Kazunari Yamada, Hideyuki Yamasawa (RIKEN Nishina Center) 理研RIBFにおける4台のリングサイクロトロン(RRC,fRC,IRC,SRC)の2014年8月から2015年7月までの運転状況を報告する。供給するビーム強度は年々増加しており、それに伴う改造や調整、また供給の安定化に向けた保守に取り組んでいる。本稿ではこれまでの加速ビームの実績、当該期間の運転時間と調整時間の統計、また発生した故障とその対処等について報告する。 |
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FSP004 p.281 | 九州国際重粒子線がん治療センターの現状 Present Status of SAGA-HIMAT ○金澤 光隆(SAGA-HIMAT),遠藤 真広(放医研),溝田 学,日向 猛,綱島 義一,佐藤 弘史,大音 龍太郎,工藤 祥,塩山 善之,北村 信,十時 忠秀,中川原 章(SAGA-HIMAT) ○Mitsutaka Kanazawa (SAGA-HIMAT), Masahiro Endo (NIRS), Manabu Mizota, Takeshi Himukai, Yoshikazu Tsunashima, Hiroshi Sato, Ooto Ryutaro, Sho Kudo, Yoshiyuki Shioyama, Makoto Kitamura, Tadahide Totoki, Akira Nakagawara (SAGA-HIMAT) 九州国際重粒子線がん治療センターでは2013年8月に治療を開始し て、これまでに治療照射をキャンセルする故障は一日半起きている。 このような照射キャンセル及びいくつかのトラブルにもかかわらず 2014年度には554名の患者の治療を行うことができた。 この治療患者数は計画していた患者数よりも多く、施設運営がスムーズ に行えている事を示すとともに、重粒子線治療への期待の大きさを示し ている。このような重粒子線治療への期待にこたえるべく、さらに効率 よく治療を行えるように、患者位置決め、QA測定、ビーム強度に関する 改善を計画している。これらの改善計画とともにさらに治療できる患者 数を増やすために、現在は2室を使って治療照射を行っているが、3室 目の整備を計画より前倒しでスタートさせている。現在使用している 治療室ではワブラー照射法を使っているが、3室目ではスキャニング 照射システムでの整備を進めている。このスキャニング照射システムの 進捗状況についても報告する。 |
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FSP005 p.285 | HIMAC維持管理の品質モニタリング Reliability Monitoring of Maintenance for HIMAC ○福田 茂一,猪口 宏洋,奥村 克己(放医研),小林 泉(加速器エンジニアリング) ○Shigekazu Fukuda, Hiromi Inokuchi, Katsumi Okumura (NIRS), Izumi Kobayashi (AEC) 医療用重粒子加速器HIMACは、長年にわたる運転や整備により知識や経験などを蓄積してきている。HIMACの整備に関しても、各々の製造会社(メーカー)の推奨による部品の交換、経験などをもとにした点検など、運転中の故障など不具合の発生を未然に防ぐために万全の予防整備が実施されている。しかしメーカーの推奨する方法は一般的な環境を想定しており、振動・温度や運転時間などの使用条件により部品の寿命や故障などは大きく異なるのも事実であり、適切な整備を実施するためには経験による実績(経験値)も重要となってくる。 従って、運転や点検において発生する不具合の情報を収集して、情報を分析することで不具合の原因を究明、必要なら対策を講じるなどのPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを進めることが大切である。一般的には信頼性管理(Reliability Monitoring)と称される方式を、HIMACの整備に適用するために品質指標(稼働率、不具合発生率、ヒューマンエラー)を設定した。 信頼性管理において品質指標は、整備の品質を定量的に「見える化」するもので、長期的なトレンドでモニターを行うために必須のツールであり、結果として効率的且つ経済的な整備を行うことを目的としている。 品質指標について、設定の基本的な考え方・定義説明し、得られた品質モニタリング結果について報告する。 |
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FSP006 p.288 | 若狭湾エネルギー研究センターシンクロトロンの現状 The Status of the Synchrotron of the Wakasa Wan Energy Research Center ○栗田 哲郎,羽鳥 聡,林 豊,長崎 真也,廣戸 慎,小田桐 哲也,山田 裕章,山田 和彦,山口 文良,淀瀬 雅夫,清水 雅也,辻 宏和(若エネ研) ○Tetsuro Kurita, Satoshi Hatori, Yutaka Hayashi, Shinya Nagasaki, Shin Hiroto, Tetsuya Odagiri, Hiroaki Yamada, Kazuhiko Yamada, Fumiyoshi Yamaguchi, Masao Yodose, Masaya Shimizu, Hirokazu Tsuji (WERC) 若狭湾エネルギー研究センター加速器施設(W-MAST)は、タンデム加速器および、それを入射器としたシンクロトロンによって、広範囲のエネルギーのイオンビーム(陽子 : 数MeV-200MeV; He, C : 数 MeV- 55MeV/u)を様々な実験に供給している。シンクロトロンからのビームは、材料/生物/細胞への照射実験に利用されている。 2014年度は、4月から2015年2月まで運転をおこなった。 11月末に約10日ほど入射器であるタンデム加速器の故障により運転が停止したが、それ以外は計画通り実験にビームを供給できた。 運転状況と合わせて、加速高周波制御系の整備状況を報告する。 |
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FSP007 p.292 | UVSOR-IIIの現状2015 Status of UVSOR-III in 2015 ○加藤 政博,山崎 潤一郎,林 憲志(UVSOR) ○Masahiro Katoh, Jun-ichiro Yamazaki, Kenji Hayashi (UVSOR) 自然科学研究機構分子科学研究所の放射光源リングUVSOR-IIIは電子エネルギー750MeV、エミッタンス17nm-rad、ビーム電流値300mAで定常的に運転されている。周長53mのリングに6台のアンジュレータが設置され15本の放射光ビームラインが稼働している。年間約40週運転され、ユーザー運転は36週である。月曜日はマシンスタディに充てられ、火曜日から金曜日までユーザー利用を行う。午前9時から午後9時までの一日12時間運転を基本とするが、木曜日から金曜日にかけては36時間連続で終夜運転を行う。この結果、1週間当たりのユーザー運転は60時間である。 近年のマシントラブルとしては、数年前の改造後よりみられるようになった突然のビーム、同じく数年前から顕著となった入射用キッカー電磁石用セラミックスダクトからのビーム信号漏洩、三倍高調波空洞の電極部からの真空リークなどがあり、それぞれに対策を進めている。 近年の加速器研究として、マイクロバンチング不安定性の観測、パルス六極磁石によるビーム入射を進めている。また、レーザーと電子ビームを用いた光発生法の開拓は文部科学省の量子ビーム基盤技術開発プログラム、科学研究費補助金などにより専用ビームラインの整備を進め、コヒーレントテラヘルツエッジ放射や光渦、レーザーコンプトンガンマ線発生などの研究を進めている。また、加速器の改造に伴い一時解体していた共振器型自由電子レーザーの再構築も進めている。 |
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FSP008 p.295 | 東京理科大学・赤外自由電子レーザー研究センターの現状 Present Status of FEL-TUS(IR-FEL research center of Tokyo University of Science) ○今井 貴之(東京理科大学 赤外自由電子レーザー研究センター) ○Takayuki Imai (IR-FEL research center of Tokyo University of Science) 東京理科大学・赤外自由電子レーザー研究センター(FEL-TUS; Free Electron Laser at Tokyo University of Science)は、赤外波長領域で発振する自由電子レーザー(FEL)の開発とユーザー利用研究を推進している。基幹となるのは、中赤外領域 5-14 umに発振波長を持つ、S-band線形加速器を用いたMIR(mid-infrared)-FELである。MIR-FELの持つ様々な特長(波長選択性、高出力・高輝度、パルス性、直線偏光性等)により、多岐にわたる光利用のポテンシャルがあるが、FEL-TUSでは現在、分子科学、生命科学等を中心に光実験が行われている。また、文部科学省・先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業に採択され、ユーザーは本学のみならず外部機関の実験グループにも利用されている。さらに並行して、テラヘルツ領域での発振を目指したFIR(far-infrared)-FELの装置開発にも取り組んでいる。本発表では、装置の運転、開発状況を中心に光利用研究成果も含めたFEL-TUS全体の現状報告を行う予定である。 |
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FSP009 p.299 | 群馬大学重粒子線医学センターの現状報告 Present Status of Gunma University Heavy Ion Medical Center ○想田 光,鳥飼 幸太,藤本 哲也,遊佐 顕,田代 睦,島田 博文,松村 彰彦,久保田 佳樹,金井 達明,山田 聰,取越 正己(群大重医セ),村松 正幸,北川 敦志(放医研),竹下 英里(神奈川がんセ),金澤 光隆(サガハイマット) ○Hikaru Souda, Kota Torikai, Tetsuya Fujimoto, Ken Yusa, Mutsumi Tashiro, Hirofumi Shimada, Akihiko Matsumura, Yoshiki Kubota, Tatsuaki Kanai, Satoru Yamada, Masami Torikoshi (GHMC), Masayuki Muramatsu, Atsushi Kitagawa (NIRS), Eri Takeshita (KCC), Mitsutaka Kanazawa (SAGA-HIMAT) 群馬大学重粒子線医学センターでは、普及型炭素線治療装置による最大400MeV/uの炭素ビームを用いて2010年3月から癌患者に対する治療照射を行い、2015年3月までに累計1613名の治療を遂行した。 治療装置の運転状況は、1日単位で治療が停止するようなトラブルはなく、概ね順調に稼働している。2014年夏にはシンクロトロンのCOD・チューン調整を行い、出射パラメータの最適化を行った。加速器系の不具合としては、LEBTソレノイド電源のダイオード故障で定格出力が不可能となり、LEBT集束系を調節してビーム強度1/4で仮復旧した事例があった。また、放射線による真空制御PLCの一時的故障を制御系が検出できず、治療が遅延することがあった。これらはそれぞれ改修を行っている。また、治療遅延には至らなかったがイオン源引き出し電極の放電回数が以前と比較して増加したため、臨時の電極交換を計4回実施しており、同型のイオン源を用いる放医研、SAGA-HIMATと協力して磁場測定等原因調査を実施している。 三菱電機との共同研究で行っている治療室Dでのスキャニング照射については、線量モニタ・位置モニタ等治療用の機器整備を生物線量一定の立方体照射野による動物実験をおよそ月1回の頻度で実施した。生物ユーザーより大線量照射の要望があったため、平面内での最適化を行うことで平坦度を維持しつつ照射野を100x100mmから100x40mmに縮小して線量率の増加を行った。 |
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FSP010 p.302 | 原子力機構TIARA施設の現状 Present Status of TIARA at JAEA ○湯山 貴裕,石堀 郁夫,倉島 俊,吉田 健一,石坂 知久,千葉 敦也,山田 圭介,横山 彰人,薄井 絢,宮脇 信正,柏木 啓次,百合 庸介,鳴海 一雅,石井 保行,佐藤 隆博,大久保 猛,喜多村 茜,奥村 進,奈良 孝幸(日本原子力研究開発機構) ○Takahiro Yuyama, Ikuo Ishibori, Satoshi Kurashima, Ken-ichi Yoshida, Tomohisa Ishizaka, Atsuya Chiba, Keisuke Yamada, Akihito Yokoyama, Aya Usui, Nobumasa Miyawaki, Hirotsugu Kashiwagi, Yosuke Yuri, Kazumasa Narumi, Yasuyuki Ishii, Takahiro Satoh, Takeru Ohkubo, Akane Kitamura, Susumu Okumura, Takayuki Nara (JAEA) 原子力機構高崎量子応用研究所TIARAではAVFサイクロトロン(K110)、3MVタンデム加速器、3MVシングルエンド加速器、400kVイオン注入装置の4台の加速器を有し、材料・バイオ技術の研究開発への利用を主として、広範囲のエネルギー及び多様なイオン種のビームを提供している。本報告では2014年度に関するTIARAの稼働状況、保守・整備及び技術開発を示す。以下にその一部を記す。サイクロトロンでは各種制御基板と制御用 PCによる集中型運転制御システムを構築している。しかし、近年のWindowsXPサポート停止により交換用PCの確保が困難な状況にある。そこで、OSをWindows 7へ移行し新環境下に適用させるため、制御システムを更新した。既存のシステム設計は継承し、トレンドグラフの機能向上、運転における利便性向上など、運転員の要望も加え更新を実施した。また、RI生成に必要な大強度軽イオンビームを提供するため、従来稼働していたカスプ型イオン源に代わり永久磁石型ECRイオン源を据え付け、大電流・高安定化へ向けた調整運転・ビーム開発を始めた。タンデム加速器の技術開発ではMeV級フラーレン(C60) イオンビーム照射技術の開発を進めている。C60ビームでは照射により多様な二次粒子を生成するため、通常のFCでは正確な電流値測定が困難である。そこでサプレッサー電極の構造を改良することで二次荷電粒子を十分捕集し、正確な電流値の測定が可能なFCの開発を行った。 |
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FSP011 p.305 | 理研AVFサイクロトロン運転の現状報告 Status report of the operation of the RIKEN AVF cyclotron 仲村 武志,石川 盛,小林 清志,小山 亮,柴田 順翔,月居 憲俊,西田 稔,西村 誠,濱仲 誠,福沢 聖児,矢冨 一慎(住重加速器サービス),○須田 健嗣,内山 暁仁,大関 和貴,奥野 広樹,影山 正,加瀬 昌之,上垣外 修一,熊谷 桂子,込山 美咲,坂本 成彦,中川 孝秀,長瀬 誠,長友 傑,福西 暢尚,藤巻 正樹,真家 武士,山田 一成,渡邉 環,渡邉 裕(理研仁科センター),山家 捷一,大城 幸光,小高 康照(東京大学原子核研究センター) Takeshi Nakamura, Shigeru Ishikawa, Kiyoshi Kobayashi, Ryo Koyama, Junsho Shibata, Noritoshi Tsukiori, Minoru Nishida, Makoto Nishimura, Makoto Hamanaka, Seiji Fukuzawa, Kazuyoshi Yadomi (SHI Accelerator Service Ltd.), ○Kenji Suda, Akito Uchiyama, Kazutaka Ozeki, Hiroki Okuno, Tadashi Kageyama, Masayuki Kase, Osamu Kamigaito, Keiko Kumagai, Misaki Komiyama, Naruhiko Sakamoto, Takahide Nakagawa, Makoto Nagase, Takashi Nagatomo, Nobuhisa Fukunishi, Masaki Fujimaki, Takeshi Maie, Kazunari Yamada, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe (Nishina Center, RIKEN), Shoichi Yamaka, Yukimitsu Ohshiro, Yasuteru Kotaka (Center for Nuclear Study, the University of Tokyo) 2014年8月から2015年7月までの理研AVFサイクロトロンの運転及び保守について報告する。理研AVFサイクロトロンは、理研リングサイクロトロン(RRC)の入射器として、また東京大学原子核科学研究センターのCRIBやRI製造のため単独の加速器として使用され、年間の運転時間は3000時間を超える。本報告では加速された核種、エネルギー、供給先などの内訳やトラブル、修理状況について述べる。またイオン源周辺や診断機器などの高度化の取り組みについても報告する。 |
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FSP012 p.309 | 理研重イオンリニアックの現状報告 Present Status of RILAC ○池沢 英二(理研仁科加速器研究センター),大木 智則,山内 啓資,小山田 和幸,田村 匡史,遊佐 陽,金子 健太(住重加速器サービス株式会社),渡邉 裕,加瀬 昌之,上垣外 修一(理研仁科加速器研究センター) ○Eiji Ikezawa (RIKEN Nishina Center), Tomonori Ohki, Hiromoto Yamauchi, Kazuyuki Oyamada, Masashi Tamura, Akira Yusa, Kenta Kaneko (SHI Accelerator Service, Ltd.), Yutaka Watanabe, Masayuki Kase, Osamu Kamigaito (RIKEN Nishina Center) 理研仁科加速器研究センターの理研重イオンリニアック(RILAC)は主加速器のRILAC、18GHz-ECRイオン源、前段入射器のFC-RFQ、ブースターのCSMで構成されている。1981年に実験へのビーム供与を開始し、1986年には理研リングサイクロトロンへの入射運転を開始した。また、2002年からは超重元素探索関連実験へのビーム供与を開始し、2006年には理研RIビームファクトリーへの入射運転を開始した。 RILACは今年で35年目を迎えた。これまでに改良や増強をすると共に老朽化対策を実施し、この加速器を最良の状態に維持し、各種実験にビームを供与している。2005年〜2013年においては、年間で約2800時間〜6200時間の加速器運転を行い、実験へは年間で約2100時間〜5700時間のビーム供与を行った。 老朽化対策としてこれまでに高周波励振器、電磁石電源、真空ポンプ、及び冷却水ポンプなどを段階的に更新した。さらに今後も継続して行う必要がある。高周波共振器は不具合個所をその都度修理している。不具合個所には修理が非常に難しい微小な真空漏れ箇所や冷却水配管の劣化箇所もあり、これらは応急的な修理をしてきたが、根本的な修理が必要な時期に差し掛かっている。 本発表ではこの加速器のこの1年間における現状報告として、入射及び単独の運転状況、保守作業、及び故障状況、また、老朽化対策ついて報告する。 |
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FSP013 p.312 | RCNPサイクロトロン施設の現状 Present Status of the RCNP Cyclotron Facility ○畑中 吉治,福田 光宏,依田 哲彦,斎藤 高嶺,植田 浩史,田村 仁志,永山 啓一,安田 裕介,森信 俊平,鎌倉 恵太,島田 健司(阪大核物理センター) ○Kichiji Hatanaka, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Takane Saito, Hiroshi Ueda, Hitoshi Tamura, Keiichi Nagayama, Yuusuke Yasuda, Shunpei Morinobu, Keita Kamakura, Kenji Shimada (RCNP, Osaka University) RCNPサイクロトロン施設は、耐震改修工事、補正予算による工事で平成24年度2,468時間、25年度4,315時間の運転時間であったが、平成26年度は5,200時間強の運転を行った。電気料金高騰の影響で、平成27年度以降は運転時間減少が懸念されている。平成24年度補正予算で更新したリングサイクロトロンFT空洞同調機構、新規に設置したグランドライデンの前方測定用ビームラインと低エネルギーミュウオンラインの立ち上げとビームによる調整を行った。AVFフィラメント電源スライダックの絶縁破壊、冷却水ポンプのベアリング損傷、AVFコンペンセーター冷却配管漏水による真空トラブル等の経年による故障が発生している。平成27年3月から5月にかけて、約60日間のCAGRA(Clover Array Gamma-ray spectrometer at RCNP/RIBF for Advanced research)キャンペーンを実施した。新ビームとして24Mg104 MeVと40Ar(12+/17+)51.5A MeVを同キャンペーンに供給した。 |
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FSP014 p.315 | 京大炉中性子発生装置(電子ライナック)の現状 Status of KURRI-LINAC ○阿部 尚也,高橋 俊晴,堀 順一,窪田 卓見,阪本 雅昭,高見 清(京大原子炉) ○Naoya Abe, Toshiharu Takahashi, Jun-ichi Hori, Takumi Kubota, Masaaki Sakamoto, Kiyoshi Takami (KURRI) 1965年3月の建設開始から50年を経過した京大炉ライナックの2014年度の運転時間は2,179.0時間であり、前年度達成しなかった2,000時間を越える運転が行われた。運転時間増加の理由は終夜連続運転の実験の増加である。一方、利用件数は、中性子実験13件、電子線照射20件、X線照射7件、放射光実験9件で、保守等を含む総計では55件と前年度を下回った。そのうち定格30MeV未満の低エネルギー実験は16件であった。 また、主な改造としてサイラトロンショット数カウンタの設置とサイラトロンドライバーの改修を行った。サイラトロンショット数カウンタはサイラトロンの寿命予測に活用する目的であり、ビーム繰り返し数の変更が多く範囲の広い京大炉ライナックでは運転時間での寿命予測が困難であるためである。クライストロンの電圧モニター波形を用いてカウントを行い、設置から約10ヶ月後の積算はNo.1が約3.9億回、No.2が約3.8億回で、平均ビーム繰り返し数はNo.1が82.1回、No.2が87.4回であった。サイラトロンドライバーの改修は前回の報告に引き続いて実施した。目的はパルス発生後の振動の更なる抑制である。対策としてパルス生成コンデンサの容量減と、高圧電源のコンデンサ容量増、FETドレイン抵抗の増加を行った。結果、目的であるパルス発生後の振動は抑制された。パルスの矩形は若干崩れたが問題ない範囲である。改造後は現在までトラブル無く順調に稼動している。 |
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FSP015 p.318 | 東大ライナック・レーザー施設報告2015 Status report of Linac/Laser Facility of University of Tokyo in 2015 ○上坂 充,山下 真一,上田 徹,土橋 克広,橋本 英子,關 義親,小山 和義(東大・原子力専攻),田儀 和浩,大槻 祥平,四宮 権一,岡元 勇人(東大・原子力国際専攻),草野 譲一,田辺 英二(螢▲ュセラ),吉田 光宏,夏井 拓也(高エネ研) ○Mitsuru Uesaka, Shinichi Yamashita, Toru Ueda, Katsuhiro Dobashi, Eiko Hashimoto, Yoshichika Seki, Kazuyoshi Koyama (UTokyo, Nuclear Professional School), Kazuhiro Tagi, Shohei Otsuki, Kenichi Shinomiya, Hayato Okamoto (UTokyo, Dept. of NEM), Joichi Kusano, Eiji Tanabe (Acucela Inc.), Mitsuhiro Yoshida, Takuya Natsui (KEK) Sバンドツインライナック・レーザー同期システムについては、フォトカソードRFガン用Erファイバーレーザードライバは安定に稼働しており、高時間分解放射線化学実験に供されている。放射線生物分析用オンチップYbファイバーレーザー駆動誘電体加速器(電子・イオン)を開発中である。オシレーター・増幅器の製作に成功し、今後は固体増幅とともに波長変換を行いフォトカソード電子源の試験と誘電体加速の実証を行う。イオン加速に関して、ファイバーレーザースイッチ誘電体Blumlein回路積層による卓上1MeVイオン加速システムを開発中である。 950keVXバンドライナックX線システムは、操作性向上のための機器配置改造後、産業インフラ診断で3回の実績(化学工場での反応塔内部検査、桟橋鉄筋コンクリート内部検査)を積み、社会インフラについて国土技術政策総合研究所にて老朽化実橋切り出し試料の内部検査ベンチマーク試験5回に参加した。特に反応塔内部液面の動画像、回転機のインペラの同期静止画像の取得にも成功した。3.95MeVシステムは平成27年1月29日土木研究所にて橋梁切り出し試料に対して、日本で初めて管理区域外での透視検査を行った。部分角度CT試験を実施中である。今年中に茨城県内の実橋の検査を開始する。30MeVシステムは入射系を高出力用に100keV熱電子銃システム改造して中性子源として活用する。今年度中に中性子発生と利用を開始する。 |
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FSP016 p.322 | 筑波大学マルチタンデム加速器施設の現状 Status of the Tandem Accelerator Complex at the University of Tsukuba (UTTAC) ○笹 公和,石井 聡,大島 弘行,木村 博美,高橋 努,田島 義一,大和 良広,関場 大一郎,森口 哲朗,喜多 英治(筑波大学応用加速器) ○Kimikazu Sasa, Satoshi Ishii, Hiroyuki Oshima, Hiromi Kimura, Tsutomu Takahashi, Yoshikazu Tajima, Yoshihiro Yamato, Daiichiro Sekiba, Tetsuro Moriguchi, Eiji Kita (UTTAC) 筑波大学研究基盤総合センター応用加速器部門(UTTAC)では、1 MVタンデトロン加速器、高分解能イオン散乱装置(1 MV)の他に、陽電子消滅実験設備、Fe-57メスバウアー分光分析装置などの放射性同位元素利用実験設備を維持管理している。当施設では、2011年3月の東日本大震災において、主加速器である12UDペレトロンタンデム加速器が損壊した。震災復興計画により6 MVタンデム加速器の更新導入を進めており、現在、放射線発生装置の登録申請をおこなっている。また、12UDペレトロンタンデム加速器に関しては、加速器の廃止措置を実施している。6 MVタンデム加速器本体は、2014年3月に筑波大学に搬入されており、現在はビームラインの据付・調整作業を実施している。2015年度内にビーム利用実験の共用開始を目指している。本発表では、筑波大学マルチタンデム加速器施設の現状と6 MV タンデム加速器システムの導入状況について報告を行う。 |
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FSP017 p.325 | HIMAC加速器の現状報告 Present status of HIMAC ○片桐 健,岩田 佳之,佐藤 眞二,白井 敏之,高田 栄一,原 洋介,古川 卓司,松葉 俊哉,村松 正幸,水島 康太,野田 耕司(放医研) ○Ken Katagiri, Yoshiyuki Iwata, Shinji Sato, Toshiyuki Shirai, Eiichi Takada, Yousuke Hara, Takuji Furukawa, Shunya Matsuba, Masayuki Muramatsu, Kota Mizushima, Koji Noda (NIRS) 放射線医学総合研究所でのHIMAC加速器による重粒子線がん治療は,1994年の開始から今年で21年目を迎え,9000人以上もの患者に治療が適用されてきた.これまでの拡大ビーム法による治療に加えて,複雑な腫瘍形状や治療期間中における腫瘍患部の形状•大きさの変化に柔軟な対応が可能となる3次元スキャニング照射法による治療が2011年5月に開始された.この3次元スキャニング照射法のさらなる高精度化を目指して,シンクロトロンの200段階可変エネルギー運転法とそれを用いた高速エネルギースキャニング照射法の開発,超伝導回転ガントリーの開発が行われている.本発表ではこれらのR&Dの概要を紹介すると共に,運用の現状を報告する. |
施設現状報告ポスター ("8月5,6日" 小ホール) | |
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FSP018 p.329 | SPring-8加速器の運転状況 Operation Status of the SPring-8 Accelerators ○高雄 勝,加速器 部門((公財)高輝度光科学研究センター) ○Masaru Takao, Accelerator Div. (JASRI/SPring-8) 2014年度の利用運転状況は、計画利用運転時間4080時間に対し、実績4057時間48分と、利用率として99.46 % を達成した。SPring-8では利用運転中も電子ビーム入射を行うトップアップ運転を行っているが、安定なビーム入射により利用運転時間の99 %で蓄積電流値の変動は最大0.1 %(通常0.03 %)に保たれている。 SPring-8加速器は極めて安定に運転されているが、経年劣化によるトラブルが増加していることも事実である。殊に、RF関係ではここ数年クライストロン電源周りのトラブルが発生しており、2014年度はダウンタイムの過半数を占めるに至った。その対策としてクライストロン電源更新計画が進められており、電源の新規製作が終了し、今年度末以降順次更新の予定である。 また最近の利用運転において、挿入光源(ID)の影響が顕著となってきた。ID磁石列ギャップ駆動に伴う入射効率の低下やカップリングの悪化(垂直ビーム拡がりの増大)が観測されており、その対応が必須となっている。前者については、ID起因のtune shiftが主因であり、その補正を実施している。後者については、ID個別に直近に設置したskew 4極電磁石を用いて補正を行っている。 その他、SPring-8の加速器の最新の運転状況について報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
FSP019 p.333 | IFMIF/EVEDA原型加速器の開発状況 Present status of IFMIF/EVEDA prototype accelerator ○春日井 敦(原子力機構 六ヶ所) ○Atsushi Kasugai (JAEA, Rokkasho) 日欧協力のもと、国際核融合中性子照射施設(IFMIF)の工学設計工学実証活動(EVEDA)が2007年から開始されている。IFMIFにおける最大の開発課題は、40MeV/250mA/CWの重水素イオンビームを発生できる大電流加速器であり、現在、その原型加速器(9MeV/125mA/CW)の試験を青森県六ヶ所村の日本原子力機構六ヶ所核融合研究所(国際核融合エネルギー研究センター)において段階的に実施している。入射器については、2014年から試験を開始し、現在までに100keV/120mA/CWの水素イオンビームを確認している。2015年には高周波四重極加速器(RFQ)用高周波電源の搬入据付を開始し、入射器のコミッショニングの完了に引き続きRFQ本体、MEBT, ビームダンプの据付も開始する予定である。さらにRFQのコミッショニング後は超伝導加速器(SRFライナック)を接続し、プロジェクトの目標である9MeV/125mA/CWを目指した統合ビーム試験をプロジェクトの終了までに実施する。本稿では、国際プロジェクトの概要及び各機器の開発現状について報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
FSP020 p.337 | 大阪府大放射線研究センターにおける加速器利用研究の現状 Status of the accelerator application researches in Radiation Research Center, OPU ○奥田 修一,宮丸 広幸,谷口 良一,秋吉 優史,小嶋 崇夫(阪府大) ○Shuichi Okuda, Hiroyuki Miyamaru, Ryoichi Taniguchi, Masafumi Akiyoshi, Takao Kojima (Osaka Prefecture Univ.) 大阪府立大学(OPU)地域連携研究機構の放射線研究センターには、電子・イオン加速器があり、学内共同利用施設であると共に、学外の研究者にも照射事業を通して多目的に利用研究が行われている。施設は、このような目的に適合した汎用の装置条件を備えている。16 MeV Sバンド電子ライナックでは、独自に開発した超微弱ビームの応用、新しい非破壊検査法の開発研究、高度な放射線計測法の開発などが行われている。高強度コヒーレント放射の利用研究では、京大原子炉のLバンド電子ライナックの利用研究の結果を基に、新たな利用システムの開発が行われている。600 keVコッククロフト・ウォルトン電子加速器では、JAXAとの共同研究で人工衛星用太陽電池の劣化試験が行われ、新たに明らかになった劣化現象解明のための実験が行われている。1 MeVディスクトロンイオン加速器では、RBS、PIXEなどの基礎的な分析実験が行われ、この結果を踏まえ、原子炉材料を対象に、京大院工のイオンビーム分析実験装置の利用による分析を行っている。OPUの加速器は、2015年度KEK大学等連携支援事業で、実践的な大学院教育のために整備されている。また、放射線知識普及活動や原子力人材育成事業にも活用されている。2013年度に大学院工学研究科に新設された「量子放射線系専攻」には、前期課程21名、後期課程9名の大学院生が所属し、このうち約3分の1が加速器に関連する研究を行っている。 |
施設現状報告ポスター (&quot;8月5,6日&quot; 小ホール) | |
13:00 - 15:00 | |
FSP021 p.340 | 放医研サイクロトロン(NIRS-930, HM-18)の現状報告 Status Reporf of NIRS-930 and HM-18 Cyclotron at NIRS ○北條 悟,杉浦 彰則,片桐 健,中尾 政夫,野田 章,涌井 崇志(放医研),岡田 高典,盒 勇一,井 博志,青山 功武(加速器エンジニアリング),野田 耕司(放医研) ○Satoru Hojo, Akinori Sugiura, Ken Katagiri, Masao Nakao, Akira Noda, Takashi Wakui (NIRS), Takanori Okada, Yuichi Takahashi, Hiroshi Ii, Isamu Aoyama (AEC), Koji Noda (NIRS) 放射線医学総合研究所のサイクロトロン施設には、NIRS-930(K=110)とHM-18(K=20)のサイクロトロンが設置されている。 NIRS-930は、放射性薬剤の研究開発を中心に、放射線検出器の開発、荷電粒子の核破砕反応測定、耐放射線性評価試験、放射線生物学の基礎実験等に対して使われている。平成26年度は1789時間が利用された。特に放射性薬剤の研究開発ではα線を利用した治療薬の研究開発のため211Atや64Cuを製造する回数が多くなった。加えて治療薬の製造にはより高いビーム強度が求められていることから、その製造に使われる34 MeV, Heや24 MeV, H2の提供やR&Dの時間が増加した。他に、物理実験へ120 MeV, Neの提供や、マグネチックチャンネルの保護プレート改良等を行った。 HM-18は放射性薬剤の製造及び開発専用に使われ、平成26年度は1598時間が利用された。概ね安定して提供できているが、メインコイル電源の故障により2日間停止した。 本報告では、サイクロトロン施設の利用状況、加速器のR&D、故障事例について述べる。 |
施設現状報告ポスター ("8月5,6日" 小ホール) | |
13:00 - 15:00 | |
FSP022 p.344 | KEK電子陽電子入射器の現状 Present Status of the KEK Electron/Positron Injector Linac ○周 翔宇,明本 光生,荒川 大,荒木田 是夫,飯田 直子,池田 光男,一宮 亮,岩瀬 広,榎本 收志,榎本 嘉範,大沢 哲,大西 幸喜,岡田 尚起,小川 雄二郎,柿原 和久,風間 慎吾,梶 裕志,片桐 広明,紙谷 琢哉,菊池 光男,倉品 美帆,小磯 晴代,佐藤 政則,臧 磊,設楽 哲夫,白川 明広,末武 聖明,杉本 寛,諏訪田 剛,清宮 裕史,高富 俊和,竹中 たてる,田中 窓香,多和田 正文,邱 丰,張 叡,峠 暢一,中尾 克巳,中島 啓光,夏井 拓也,肥後 寿泰,福田 茂樹,船越 義裕,舟橋 義聖,古川 和朗,本間 博幸,松下 英樹,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子,三川 勝彦,道園 真一郎,三増 俊弘,宮原 房史,森 隆志,森田 昭夫,矢野 喜治,横山 和枝,吉田 光宏(KEK/総研大),佐藤 大輔(東工大) ○Xiangyu Zhou, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Yoshio Arakida, Naoko Iida, Mitsuo Ikeda, Ryo Ichimiya, Hiroshi Iwase, Atsushi Enomoto, Yoshinori Enomoto, Satoshi Ohsawa, Yukiyoshi Ohnishi, Naoki Okada, Yujiro Ogawa, Kazuhisa Kakihara, Shingo Kazama, Hiroshi Kaji, Hiroaki Katagiri, Takuya Kamitani, Mitsuo Kikuchi, Miho Kurashina, Haruyo Koiso, Masanori Satoh, Lei Zang, Tetsuo Shidara, Akihiro Shirakawa, Masaaki Suetake, Hiroshi Sugimoto, Tsuyoshi Suwada, Yuji Seimiya, Toshikazu Takatomi, Tateru Takenaka, Madoka Tanaka, Masafumi Tawada, Feng Qiu, Rui Zhang, Nobukazu Toge, Katsumi Nakao, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui, Toshiyasu Higo, Shigeki Fukuda, Yoshihiro Funakoshi, Yoshisato Funahashi, Kazuro Furukawa, Hiroyuki Honma, Hideki Matsushita, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Katsuhiko Mikawa, Shinichiro Michizono, Toshihiro Mimashi, Fusashi Miyahara, Takashi Mori, Akio Morita, Yoshiharu Yano, Kazue Yokoyama, Mitsuhiro Yoshida (KEK/ SOKENDAI), Daisuke Satoh (TIT) KEKBは2010年にビーム運転を終了し、SuperKEKBの建設を開始した。KEKBが到達した最高値の40倍を実現するために、電子銃やアライメントシステムのアップグレード・試験を行ってきた。 上流部では新しい擬似進行波型サイドカップル空洞RF電子銃を開発し、DAW 型のRF電子銃と置き換えた。電子銃に向けたレーザーシステムはイットリビウム(Yb)系ファイバー及び固体レーザーから構成され、mJの紫外光を生成し、Ir5Ceカソードに入射していた。コミッショニングでは最高で2Hz運転において5.1nCのビーム発生を得た。その後、繰り返し25Hzに対してレーザーのアップグレードを行い、3.0nC以上のビーム発生を確認した。 陽電子生成用コンポーネントをビームラインに設置し、ビームコミッショニングを開始した。陽電子生成標的に照射する1次電子ビームの0.6nCに対して、0.18nC陽電子ビーム観測に成功した。 そして、低エミッタンスビーム実現するためダンピングリングの建設も進められている。さらに、安定なビーム入射を実現するため、高精度データ収集、高速RF制御、タイミングシステム、安全系など、多様な開発を行っている。 その他、熱電子銃はRF 電子銃の補助としての移設と立ち上げが進んでおり、6月に試験運転開始が期待されている。 |
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FSP023 p.349 | KEK放射光源加速器PFリングとPF-ARの現状 Present status of PF ring and PF-AR at KEK ○小林 幸則(KEK加速器研究施設) ○Yukinori Kobayashi (KEK Accelerator Laboratory) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光科学研究施設(フォトンファクトリー:PF)は、1982 年から今日まで32 年の長きにわたり大学共同利用を中心にした運営を行い、物質科学および生命科学を中心にした基礎科学の発展に貢献してきた。現在では、2.5GeV PFリングと6.5 GeV PFアドバンストリング(PF-AR)の2つの放射光専用リングを運転し、年間3,500 人を超えるユーザーに対して紫外線からX線までの放射光を供給している。PFリングでは、高輝度化改造により低エミッタンス化が実現し性能が向上するともに、短周期アンジュレータの新設に加え、90年代前半に製造されたアンジュレータの更新を進めてきている。PF-ARにおいては、高度化改造によりビーム寿命が大幅に改善し、さらにフルエネルギー入射を目指した直接入射路増強計画が進行している。本年会では、最近のPFリングとPF-ARの運転状況と更新計画について報告する。 |
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FSP024 p.354 | 九州大学加速器・ビーム応用科学センターの現状報告 STATUS REPORT OF CENTER FOR ACCELERATOR AND BEAM APPLIED SCIENCE OF KYUSHU UNIVERSITY ○米村 祐次郎,有馬 秀彦,池田 伸夫,石橋 健二,魚住 裕介,執行 信寛,是永 忠志(九大工),野呂 哲夫,森田 浩介,寺西 高,若狭 智嗣,藤田 訓裕,坂口 聡志,岩村 龍典,相良 建至(九大理),中山 久義,高木 昭(高エネ研),森 義治(京大原子炉) ○Yujiro Yonemura, Hidehiko Arima, Nobuo Ikeda, Kenji Ishibashi, Yusuke Uozumi, Nobuhiro Shigyo, Tadashi Korenaga (Faculty of Engineering, Kyushu University), Tetsuo Noro, Kosuke Morita, Takashi Teranishi, Tomotsugu Wakasa, Kunihiro Fujita, Satoshi Sakaguchi, Tatsunori Iwamura, Kenshi Sagara (Faculty of Sciences, Kyushu University), Hisayoshi Nakayama, Akira Takagi (KEK), Yoshiharu Mori (KURRI) 九州大学加速器・ビーム応用科学センターでは、FFAG加速器のビーム実験と並行して、8 MVタンデム静電型加速器の整備が進められている。タンデム加速器はFFAG加速器の入射器に用いられるだけではなく、単独で原子核物理実験やAMS実験に用いられる予定である。現在、タンデム加速器棟では、タンデム加速器の本格的なビーム利用のためのビーム輸送ラインや大型散乱槽などの実験機器の移設整備が進められている。FFAG加速器棟では、タンデム加速器からFFAG加速器へビームを入射するためのビーム輸送ラインの建設やビームの利用へ向けた実験が行われている。本発表では、FFAG加速器とタンデム加速器の現在の整備状況について報告する。 |
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FSP025 p.357 | 原子力機構-東海タンデム加速器の現状 Status of JAEA-Tokai Tandem Accelerator ○松田 誠,長 明彦,阿部 信市,石崎 暢洋,田山 豪一,仲野谷 孝充,株本 浩史,中村 暢彦,沓掛 健一,乙川 義憲,遊津 拓洋,花島 進(原子力機構) ○Makoto Matsuda, Akihiko Osa, Shin-ichi Abe, Nobuhiro Ishizaki, Hidekazu Tayama, Takamitsu Nakanoya, Hiroshi Kabumoto, Masahiko Nakamura, Ken-ichi Kutsukake, Yoshinori Otokawa, Takuhiro Asozu, Susumu Hanashima (JAEA) 原子力機構-東海タンデム加速器施設における2014年度の加速器の運転・開発状況およびビーム利用開発について報告する。2014年度の加速器の運転日数は156日であり、震災以降ほぼこの日数で推移している。最高運転電圧は18MVで8日間の利用があった。 利用されたイオン種は15元素(19核種)である。高電圧端子内イオン源からのビーム利用は30%であった。分子イオン加速においては原子あたり3.5MeVのエネルギーでC3分子の利用があった。 近年、需要の多くなった非密封RIや核燃料を標的とした実験に対応するため、これらの標的を扱える照射室(第2照射室)を新たに整備した。昨年11月にビーム試験を実施し、今年2月より実験利用が開始された。現在RI標的の利用が可能であり、今後、核燃料標的に拡大する予定である。 東海タンデム加速器では高電圧端子内機器への電力供給のために地上電位にある40HPおよび30HPのモーター出力を動力伝達用アクリルシャフトを介して端子内の10kVAおよび15kVAの発電機を駆動している。このシャフトの軸受マウント部を改良しベアリング寿命を大幅に伸ばすことに成功した。 大型静電加速器としての特徴を活かすべくビーム開発を実施しているところである。 |
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FSP026 p.361 | 神奈川県立がんセンターにおけるコミッショニング進捗報告 Commissioning Report of Kanagawa Cancer Center ○竹下 英里,蓑原 伸一,草野 陽介,山田 聰(神奈川県立がんセンター),古川 卓司,水島 康太,野田 耕司(放医研) ○Eri Takeshita, Shinichi Minohara, Yohsuke Kusano, Satoru Yamada (KCC), Takuji Furukawa, Kota Mizushima, Koji Noda (NIRS) 神奈川県立がんセンターでは、2005年3月に神奈川県「がんへの挑戦・10ヶ年戦略」の一環として重粒子線治療装置の導入方針が決定し、治療コンセプト及び予算案等の検討が開始された。続いて、2009年頃から施設の基本設計や整備計画の検討が始まり、2012年1月に(株)東芝と重粒子線治療装置導入の契約に至った。装置を設置する建屋はその約1年後の同年12月から建設を開始し、2014年10月に竣工を迎えた。現在は、本年2015年12月の治療開始を目指し各種コミッショニングを進めている。 当センターでは、がんセンター病院棟と一体となった施設として患者さんに最適な治療を提供すると共に、既存ライナック4台を含めた充実した総合的放射線治療を特色としている。また、放射線医学総合研究所(以下、放医研)において開発された普及型小型重粒子線治療装置を設計主軸とし、加えて、炭素線ペンシルビーム3次元スキャニング照射技術を同普及器と合わせて導入する事も特徴の1つである。昨今、幾つかの陽子線治療施設ではスキャニング照射が行われているが、炭素線での治療実績は放医研に続き国内で2番目となる予定である。本発表では、スキャニングならではのビーム照射コミッショニングについて進捗を報告する。 |
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FSP027 p.365 | 日大LEBRA電子線形加速器と光源の現状 Status of Electron Linac Operation and Light Source at LEBRA in Nihon University ○野上 杏子,早川 建,田中 俊成,早川 恭史,境 武志,中尾 圭佐,稲垣 学,高塚 健人,長島 涼子,佐藤 勇(日大量科研),清 紀弘,小川 博嗣(産総研),榎本 收志,大澤 哲,福田 茂樹,設楽 哲夫,古川 和朗,道園 真一郎,土屋 公央,山本 樹(高エネ研) ○Kyoko Nogami, Ken Hayakawa, Toshinari Tanaka, Yasushi Hayakawa, Takeshi Sakai, Keisuke Nakao, Manabu Inagaki, Kento Takatsuka, Ryoko Nagashima, Isamu Sato (LEBRA, Nihon University), Norihiro Sei, Hiroshi Ogawa (AIST), Atsushi Enomoto, Satoshi Ohsawa, Shigeki Fukuda, Tetsuo Shidara, Kazuro Furukawa, Shinichiro Michizono, Kimichika Tsuchiya, Shigeru Yamamoto (KEK) 2014年度において日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)の125MeV電子リニアックは180日稼動し、主に自由電子レーザー(FEL)、パラメトリックX線(PXR)、THz光発生を目的に約913時間の電子ビーム加速を行った。従来、1本目の加速管の真空度が他の部分に比べて極端に悪かった原因が、コアモニタ用セラミックダクトのリークと特定された。2014年9月末に真空ダクト交換を行い、電子銃付近の真空度改善にも寄与したため電子ビーム引き出し電流の安定度が改善された。また2013年に起きたクライストロン1号機RF出力窓での頻繁な放電が再発し、クライストロン内の真空度も悪化しパルス幅20μsで電子ビーム加速が困難になった。しかし今回はクライストロン交換を行わず、利用実験のないときにクライストロンのエージングを繰り返しながら、利用実験ではパルス幅を短くしFELユーザー実験に対応した。2010年から産業技術総合研究所と共同で進めてきたTHz光源開発では、FELライン入口で発生したTHz光の利用に向けた整備に加え、PXRラインでさらに短いビームバンチから発生したTHz光の特性を調べ、より短波長のTHz光源実用化を模索している。 |
13:00 - 15:00 | |
FSP028 p.368 | 京都大学原子炉実験所FFAG加速器施設現状報告 Status Report of FFAG accelerator complex at KURRI ○石 禎浩,上杉 智教,栗山 靖敏,阪本 雅昭,阿部 侑馬,石井 究,正木 良,武藤 正文,森 義治(京大炉) ○Yoshihiro Ishi, Tomonori Uesugi, Yasutoshi Kuriyama, Masaaki Sakamoto, Yuma Abe, Kiwamu Ishii, Ryo Masaki, Masayuki Muto, Yoshiharu Mori (KURRI) 京都大学原子炉実験所では、FFAG加速器からの150MeV陽子ビームを用いて、 加速器駆動未臨界システム(ADS)実験、ADS未臨界炉用材料挙動解明のための陽子ビーム照射実験、放射性・非放射性のエアロゾルを含む化学種定量のための空気チェンバーへ照射実験、BNCTの基礎研究のための生体ラットへのビーム照射実験等が行われている。また、パルス中性子源としての利用を視野にいれたマイクロアンペアクラスのビーム増強を計画中である。 本発表では、上記実験でのビーム利用状況、ならびにビーム強度増強のための スタディー結果について報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
FSP029 p.371 | あいちSR光源加速器の現状 Present status of accelerators of Aichi Synchrotron Radiation Center ○保坂 将人,高嶋 圭史(名大SRセンター),山本 尚人(KEK),高野 琢,真野 篤志(名大SRセンター),加藤 政博(UVSOR),竹田 美和(あいちSR) ○Masahito Hosaka, Yoshifumi Takashima (SR Center, Nagoya Univ.), Naoto Yamamoto (KEK), Takumi Takano, Atsushi Mano (SR Center, Nagoya Univ.), Masahiro Katoh (UVSOR), Yoshikazu Takeda (Aichi-SR) あいちシンクロトロン光センター(あいちSR)は、愛知県の科学技術政策である「知の拠点あいち」計画における中核施設として、中部地区を中心とする大学、研究機関、産業界、行政の協力によって整備が進められてきた。運営は公益財団法人科学技術交流財団が行い、加速器やシンクロトロン光ビームラインなどに対する技術的な支援を、名古屋大学シンクロトロン光センターを中心とする大学連合が行っている。 加速器は、50 MeV直線加速器、1.2 GeVブースターシンクロトロン、1.2 GeV蓄積リングから成っている。現在6本のビームラインが稼働中で、新たに2本が建設を完了し2015年度内に稼働予定で、さらに2本のビームラインが建設中である。供用開始から2015年3月までに、企業137社、大学関係機関20校の利用があり、利用企業の裾野はさらに拡大している。 2014年度のあいちSRの光源稼働率は98.9 %に達している。これは年度内に加速器に大きな故障もなく、これまで悩まされてきたダストトラップによるビーム寿命急落が激減したためである。トップアップ運転は供用開始から導入されており、蓄積電流値(300 mA)変化0.1 %以内に保つことで安定な放射光を供給している。今年度中にパルス多極電磁石を導入し、トップアップ入射時の蓄積ビームの安定化を進める。さらにBunch-by-bunch フィードバックの導入により、結合型バンチ不安定性の抑制を行うこと検討している。 。 |
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FSP030 p.374 | 京都大学中赤外自由電子レーザの現状 Present Status of Mid-Infrared Free Electron Laser at Kyoto University ○全 炳俊,桂山 翼,村田 智哉,野儀 武志,Sikharin Suphakul,Torgasin Konstantin,紀井 俊輝,増田 開,大垣 英明(京大エネ研) ○Heishun Zen, Tsubasa Katsurayama, Tomoya Murata, Takeshi Nogi, Suphakul Sikharin, Konstantin Torgasin, Toshiteru Kii, Kai Masuda, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) 京都大学エネルギー理工学研究所では、エネルギー材料研究への応用を主な対象とし、S-band高周波電子銃を電子源とした小型で経済的な中赤外自由電子レーザ(KU-FEL)を開発し、中赤外波長可変レーザの発生とその利用研究を行っている。本報告では、KU-FEL加速器システムの現状、将来計画について報告する |
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FSP031 p.377 | J-PARC 3 GeVシンクロトロンでの大強度運転の状況 Status of J-PARC 3 GeV Rapid Cycling Synchrotron under the high power operation ○山本 風海,金正 倫計(日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター) ○Kazami Yamamoto, Michikazu Kinsho (J-PARC Center, JAEA) J-PARCでは2014年夏季にイオン源の増強を行い、リニアックは設計性能のピーク電流50 mAでの運転が可能となった。3 GeVシンクロトロン(3 GeV Rapid Cycling Synchrotron, RCS)でも夏の保守作業期間に大強度ビームを受け入れるための準備作業を進め、作業後に設計最大出力である1 MW相当の出力を達成すべく調整を開始した。調整の初期段階において、800kW相当を超えた加速粒子数での運転時に高周波加速空胴の電源出力が不足し、バケツが維持できずほとんどのビームが失われる事が判明した。そのため、空胴共振点を変更し必要な電流値を下げる、電源出力の余裕分を使用しインターロックの値を見直す、等の対処を行い、年明けの調整運転時に1 MW相当の試験運転に成功した。また、供用運転としても段階的にビーム出力を増加していき、物質生命科学実験施設(MLF)に向けて500 kWの出力での連続運転を達成した。本件では、このような大強度運転を達成するためにRCSで実施した作業内容と、大強度運転条件の下での加速器の状況について報告する。 |
電子加速器 (8月5日 小ホール) | |
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WEP001 p.382 | 次世代放射光リングのためのVibrating Wireによるマイクロメーターオー ダーでの磁石アライメント法の確立と課題 Development of Micrometer-order Magnet Alignment using Vibrating Wire for Next Generation Light Sources ○深見 健司((公財)高輝度光科学研究センター) ○Kenji Fukami (JASRI) 現在、世界中で検討中の次世代型放射光リングでは、いづれも電磁石に高い設置精度が要求される。仮にミクロンオーダーでのアライメント技術が確立すれば、次世代リングの設計の自由度は大幅に広がる。Vibrating Wire Method(VWM)は、ビーム軸に沿って張ったワイヤに長さと張力で決まる共鳴周波数で通電し、ワイヤの振幅から磁場を評価する。磁場中心を測定しながら、同時に共通架台上の多極磁石群を一直線上に並べることで、磁場中心を移設する際の誤差が除かれる。我々はこれまで、磁場中心の測定分解能はサブミクロンオーダーに達することを示した。本発表では、測定精度、確度においてミクロンオーダーのアライメント法を確立するため克服すべき様々な課題を明示する。長さ3.6[m]、中央部の最大撓み0.325[mm]のワイヤについて、静電型水レベル計とワイヤ位置センサで垂直位置分布を測定した結果、懸垂曲線と中央部で4[μm]、全体で10[μm]の範囲内で一致した。共鳴周波数から最大撓みを計算できるので、共鳴周波数の測定だけでこのレベルでの補正は可能である。ワイヤのキンク、線密度の不均一性などを調査し、高効率、高精度補正法を示す。この他、バックグラウンド磁場の遮蔽、リング全体のアライメントのためのワイヤ位置の共通架台上への移設等の手法について言及する。 |
13:00 - 15:00 | |
WEP002 p.386 | Electron Beam Generation by a Photocathode RF-Gun at Kyoto University ○Sikharin Suphakul (Institute of Advanced Energy, Kyoto University), Kantaphon Damminsek (Faculty of Science, Chiang Mai University), Zen Heishun, Kii Toshiteru, Hideaki Ohgaki (Institute of Advanced Energy, Kyoto University) A 1.6 cell S-band BNL type photocathode RF-gun has been installed for a compact seeded terahertz (THz) free-electron laser (FEL) amplifier system at Institute of Advanced Energy, Kyoto University. The RF-gun is used for generating an ultra-short, intense and low emittance electron beam suitable for a THz radiation generation by a short planar undulator. The photocathode plug is exchangeable by a load lock system and illuminated by a UV laser with the wavelength of 266 nm. In the initial stage, the RF conditioning, the performance test and the measurements of electron beam properties will be performed with using the copper cathode. The detailed of the RF-gun, test and measurement results will be presented in this contribution. |
13:00 - 15:00 | |
WEP003 p.391 | 電子蓄積リングにおけるラジエータワイヤによるクーロン散乱が制動放射高エネルギーγ線に与える影響 Impact of Coulomb scattering in radiator wire on Bremsstrahlung gamma ray in an electron storage ring ○武藤 俊哉,浜 広幸,石川 貴嗣,神田 浩樹,柏木 茂,日出 富士雄,南部 健一,長澤 育郎,高橋 健,東谷 千比呂,小林 恵理子,齊藤 寛峻,柴崎 義信(東北大電子光) ○Toshiya Muto, Hiroyuki Hama, Takatugu Ishikawa, Hiroki Kanda, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Kenichi Nanbu, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Cihiro Tokoku, Eriko Kobayashi, Hirotoshi Saito, Yoshinobu Shibasaki (ELPH) 東北大学電子光理学研究センターでは電子蓄積リング内にカーボンワイヤを挿入してGeV領域の制動放射ガンマ線生成を行い原子核実験に利用している。制動放射ガンマ線のプロファイルを測定すると蓄積リングのエミッタンスから予測されるサイズよりも大きなガンマ線ビームサイズが観測された。カーボンワイヤを挿入することによってクーロン散乱した電子がガンマ線プロファイルに影響を及ぼしていることが分かった。本発表ではガンマ線ラジエータワイヤでのクーロン散乱が電子ビームに及ぼす影響を見積もりガンマ線プロファイルの測定結果と比較する。 |
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WEP004 p.395 | 60MeV電子ライナックを用いた光核反応によるRI製造のための照射γ線のプロファイル測定 Profile measurements of γ-ray for radioactive isotope production via photonuclear reaction using a 60MeV electron linac ○盒 健,柏木 茂,日出 富士雄,武藤 俊哉,南部 健一,長澤 育郎,東谷 千比呂,小林 恵理子,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Ken Takahashi, Kashiwagi Shigeru, Fujio Hinode, Toshiya Muto, Kenichi Nanbu, Ikurou Nagasawa, Chihiro Tokoku, Eriko Kobayashi, Hiroyuki Hama (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University) 東北大学電子光理学研究センターでは大強度電子ライナックを用いた光核反応によるRI製造を行っている。最大60MeVまで加速した平均電流100μA以上の電子ビームをTi箔から大気に取り出して2mm厚の白金やタングステンに照射し、生成された制動放射γ線による光核反応で放射性同位体を生成する。試料と白金の距離を変えた照射や様々なサイズの試料に対応するためには、照射位置でのγ線プロファイルを目的とする光核反応同位体製造に最適化する必要があり、加速器の運転パラメータや電子ビームプロファイルを測定することが必要不可欠である。現在、OTRを用いたビームサイズ測定やγ線をNi箔に照射して放射化した領域からプロファイルを復元する測定を行っており、これらの進行状況を報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
WEP005 p.400 | KEK 7-GeV 電子陽電子入射器におけるビーム特性管理 Beam Property Management at KEK Electron/Positron 7-GeV Injector Linac ○古川 和朗,榎本 嘉範,飯田 直子,紙谷 琢哉,風間 慎吾,三浦 孝子,宮原 房史,夏井 拓也,小川 雄二郎,大西 幸喜,佐藤 政則,清宮 裕史,杉本 寛,諏訪田 剛,矢野 喜治,横山 和枝,吉田 光宏,周 翔宇(KEK) ○Kazuro Furukawa, Yoshinori Enomoto, Naoko Iida, Takuya Kamitani, Shingo Kazama, Takako Miura, Fusashi Miyahara, Takuya Natsui, Yujiro Ogawa, Yukiyoshi Ohnishi, Masanori Satoh, Yuji Seimiya, Hiroshi Sugimoto, Tsuyoshi Suwada, Yoshiharu Yano, Kazue Yokoyama, Mitsuhiro Yoshida, Xiangyu Zhou (KEK) KEK の電子陽電子入射器は、建設中の SuperKEKB 衝突型加速器や 2 つの放射光光源に性質の異なる電子や陽電子のビームを入射する。そのビームのエネルギーは 2.5 GeV から 7 GeV、バンチあたりの電荷は 0.2 nC から 10 nC など、ビーム特性や安定性についての仕様は対象となる蓄積リングによって大きく異なる。入射器は 50 Hz でビームを生成することが可能であるが、必要に応じて、パルス毎に対象蓄積リングを替えて入射を行わなくてはならない。特に SuperKEKB 向けのエミッタンスに関しては厳しい管理が必要となると考えられる。また、入射器の各区間に配置されている 60 台のマイクロ波源について、安定性や故障に備えた冗長性を考慮しながら、適切に役割を与える必要がある。このようなビーム特性管理には、高速同期イベント制御システムの整備と、各加速器装置の特性管理や、ビームを使った較正作業、日々の最適化が必要となる。これらについて、機器運転制御やオンラインシミュレーションを含めた現実的な方策について検討する。 |
13:00 - 15:00 | |
WEP006 p.405 | SuperKEKB用RF gunのコミッショニング状況 Commissioning of RF gun for SuperKEKB ○夏井 拓也,吉田 光宏,周 翔宇,張 叡,小川 雄二郎(高エネ研) ○Takuya Natsui, Mitsuhiro Yoshida, Xiangyu Zhou, Rui Zhang, Yuujiro Ogawa (KEK) 現在,KEKではSuperKEKBに向けた加速器全体のアップグレードが行われている.SuperKEKBでは非常に高いルミノシティを得るための低エミッタンス化によりダイナミックアパーチャーの減少とビーム寿命の減少が起こる.特に電子ビームはダンピングリングなしで5 nC, 20 mm-mradという高電荷低エミッタンスのビームが求められる.そのため新たにフォトカソードS-band RF gunの開発が進められている.これは擬似進行波型サイドカップル空洞という特殊な空洞を採用したRF gunである.電子発生用のレーザは広帯域のYb:YAGを用いたものを開発している.現在RF gunを使用したコミッショニングがKEK入射器A1で進められている.RF gunを使ったコミッショニング状況について報告する. |
ハドロン加速器 (8月5日 小ホール) | |
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WEP008 p.408 | IFMIF/EVEDA原型加速器のシステムコミッショニングの現状 Present status of IFMIF/EVEDA prototype accelerator commissioning ○一宮 亮(原子力機構) ○Ryo Ichimiya (JAEA) 日欧共同で国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証工学設計活動(EVEDA)が2007年から進められている。IFMIFは大電流重水素イオンビームを発生させる加速器と中性子生成用のLiターゲットにて構成される。このうち加速器はビームエネルギーが40MeVと低いものの、ビーム電流が250mA(CW, 2ビームライン)の電流フロンティア加速器であり、ビームパワーは10MWに達する。設計製作技術を実証するため、原型加速器(9MeV/125mA/CW)を六ヶ所村の国際核融合エネルギー研究センターに段階的に建設し、システムとしての性能実証試験を順次実施している。加速器の主要コンポーネントは欧州側機関で製作され、日本側で設置・コミッショニング・運転を行う。既に入射器とそのビーム診断系は据付られ、100keV/120mA/CWの水素イオンビームを生成し、0.3πmm・mrad以下の規格化rmsエミッタンスを達成した。2015年度は入射器のコミッショニングを進めるとともに、高周波四重極加速器(RFQ)やRFQ用高周波源・高圧電源の設置を開始し、来年度以降は超伝導リナック(SRF)やビームダンプの設置が行われる予定である。このような大電流加速器では僅かなビームロスであっても加速器の損傷や放射化に直結するため、低エミッタンスを保ちつつビームハローも極力抑制しなければならない。そのためにはアライメントもコミッショニングでの重要な課題の一つである。本報告では、設置・コミッショニングの現状について述べる。 |
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WEP009 p.412 | RFQの高効率VANE形状 High Efficiency RFQ Vane Shape ○岩下 芳久,不破 康裕(京大化研) ○Yoshihisa Iwashita, Yasuhiro Fuwa (Kyoto Univ.) 従来RFQのVANE形状はいわゆる2項ポテンシャルで規定される形状をベースとして、一定断面形状による簡略化やセル間の接続を滑らかにするための近似を行って決定されてきている。簡略化には更に形状を簡単にするために波形の長手方向の変化の代わりに台形にするものが有り、加速効率が大きいため、最近見直されてきている。しかし、この形状では生成電場に多極成分の混入が大きくなり、ビーム光学的に非線形性が大きくなることが懸念される。 ここでは、2項ポテンシャルに非線形性の少ない項のみをいくつか加えて、台形形状を含むVANE形状を生成する方法について解説する。 |
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WEP010 p.416 | 超冷中性子リバンチャーの改良III Improvement of the Ultracold Neutrons Rebuncher III ○今城 想平(京大),岩下 芳久(京大化研),北口 雅暁,清水 裕彦(名大),三島 賢二,猪野 隆(KEK) ○Sohei Imajo (Kyoto Univ.), Yoshihisa Iwashita (Kyoto ICR), Masaaki Kitaguchi, Hirohiko M. Shimizu (Nagoya Univ.), Kenji Mishima, Takashi Ino (KEK) 我々はJ-PARCにおいて中性子の電気双極子能率(EDM)を探索する実験を計画している。中性子EDMの探索は運動エネルギーを200neV以下に減速させた超冷中性子(UCN)を十分にバックグラウンド遮蔽を施した実験容器まで導き、系統誤差の小さい小容器に貯蔵して行うのが主流である。従って統計誤差の低減のためには数密度の高いUCNが望ましい。しかし繰り返し周期の長いJ-PARCのパルスビームを用いた核破砕中性子源では輸送中にUCNのバンチがそれ自身の速度分布に従って拡散し、実験容器地点では数密度が大きく落ちてしまう。その解決策として我々は中性子の運動エネルギーを輸送中に100neV程度制御し、実験容器地点にUCNを時間的に集束させる中性子加速器「超冷中性子リバンチャー」を開発した。本装置は中性子のスピンが磁場勾配から力を受けることを利用しており、磁場勾配中のUCNに高周波磁場を印加してAFP-NMR法によってそのスピンを反転させ静磁場通過前後の運動エネルギーに収支差を生じさせることを加速原理としている。印加する高周波磁場の周波数に応じて磁場勾配中でのスピン反転が生じる位置が変化することを利用し、周波数を約0.1秒の間に適切にスイープすることで本装置をレンズとして機能させる。原理実証機を完成させた我々は完成機の前段階となる2号機を現在開発中であり、その2号機も完成間近となっている。本発表では2号機のスペックと予想されるUCN集束結果について報告する。 |
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WEP011 p.420 | 原子力機構AVFサイクロトロンにおける大面積イオンビームのリアルタイム横方向強度分布計測のための蛍光体の探索 Investigation of Phosphor Materials for the Real-time Measurement of the Transverse Intensity Distribution of Large-area Ion Beams at the JAEA AVF Cyclotron Facility ○百合 庸介,湯山 貴裕,石坂 知久,江夏 昌志,山田 尚人(原子力機構 高崎研) ○Yosuke Yuri, Takahiro Yuyama, Tomohisa Ishizaka, Masashi Koka, Naoto Yamada (JAEA Takasaki) 原子力機構高崎量子応用研究所のイオン照射研究施設TIARAのAVFサイクロトロンでは、多重極電磁石を用いて大面積で均一な強度分布を有するイオンビームを形成する技術開発を進めている。ターゲットでの横方向ビーム強度分布の計測と調整は、蛍光板(三菱化学製DRZ-High)からの発光をリアルタイムにモニタしながら行うが、発光感度が高いため、アテネータ(多孔金属板)を用いてビーム強度を大幅に下げる。このため、高強度での照射利用時にビーム強度分布が調整時とは異なる場合があった。そこで本研究では、様々なビーム強度においてリアルタイムビーム強度分布調整を可能にするため、数10〜数100cm2の大面積での利用が可能な蛍光体に着目し、その発光強度を調査した。実験の結果、10MeVの陽子ビームに対して、フッ化カルシウム結晶やポリエチレンナフタレートフィルム等を使い分けることによって、0.001〜10nA/cm2の広範な電流密度において蛍光体を用いたビーム調整が可能となった。これにより、宇宙用太陽電池の耐放射線性試験において要求される高い電流密度の大面積均一ビームの効率的なリアルタイム調整を実現した。 |
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WEP012 p.424 | HIMAC及びその入射器を用いた放射性11Cビーム加速の可能性 Possible Acceleration of Radioactive 11C beam with HIMAC and its Injector Linac ○野田 章,片桐 健,中尾 政夫,北條 悟,杉浦 彰則,鈴木 和年,野田 悦夫,野田 耕司(放医研) ○Akira Noda, Ken Katagiri, Masao Nakao, Satoru Hojo, Akinori Sugiura, Kazutoshi Suzuki, Etsuo Noda, Koji Noda (NIRS) 放射線医学総合研究所では炭素線12Cビームを用いた外照射によるがん治療で年間1000人に迫る治療実績を上げるとともにこうした施設の小型化及び普及にも取り組んできたが、これと並んで炭素線によるビーム照射の線量分布をオンラインに近い状況でモニターするために放射性の11Cビームを用いた照射を行う可能性も追及しており、従来は12Cビームを7Beターゲットに照射して生成されるprojectile fragmentの11Cビームを用いた照射及び線量分布計測が追及されてきた。しかし、この手法で実現可能な11Cビームの強度は限られており、放出角の拡がりのためビームのエミッタンスも大きいという制約があるため、上記のProjectile Fragmentを用いる手法ではなく、サイクロトロンで加速された大強度(〜20マイクロA)の陽子ビームを標的に当てて生成した11Cをイオン化してHIMACとその入射器を用いて加速するtarget fragmentを用いる手法がPETを用いたリアルタイム診断の追及と並んで検討されてきている。ここでは11CのRIイオンビーム生成システムをHIMACとその入射器ライナックと結合して運用するスキームについてビーム特性のマッチィング等を中心とする検討結果を紹介したい。 |
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WEP013 p.427 | 大アクセプタンスSpiral FFAG 加速器の磁石の設計手法に関する研究 Magnet Design for Large Acceptance Spiral FFAG Accelerator ○沖田 英史,池田 伸夫,有馬 秀彦,米村 祐次郎,本橋 直也,上田 光貴,黒岩 健宏(九州大学),森 義治(京都大学原子炉実験所) ○Hidefumi Okita, Nobuo Ikeda, Hidehiko Arima, Yujiro Yonemura, Naoya Motohashi, Mitsutaka Ueda, Takahiro Kuroiwa (Kyushu University), Yoshiharu Mori (Research Reactor Institute, Kyoto University) 固定磁場強集束 (FFAG) 加速器は大きな横方向のアクセプタンスを持ち、速い繰り返し運転が可能であるため、大強度陽子ビームの生成に適した特徴を有している。中でもSpiral FFAG 加速器は、加速器の小型化という観点から優れた特徴を有している。 Spiral FFAG加速器は垂直方向の集束作用をエッジフォーカスのみで得ている。そのため、大きなアクセプタンスを確保するために磁極間隙を広くした場合、FFAG 加速器に必要な光学条件であるゼロ色収差を満たさなくなるという課題があった。従来の設計手法では、複数の設計パラメータを変化させて3次元磁場計算を繰り返し、ゼロ色収差を満たすように磁極形状を決定していた。本研究では、端部磁場とフィールドクランプの形状を設計パラメータとした新しい設計手法を提案し、その有用性について検証することを目的とした。 本発表では、Spiral FFAG 加速器の磁石の新しい設計手法について報告すると共に、その設計手法を用いて設計した500 MeV Spiral FFAG 加速器の加速中のビーム運動の安定性評価について報告する。 |
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WEP014 p.432 | J-PARCリニアックにおけるビーム調整試験の進捗 Recent progress of the beam commissioning of the J-PARC linac ○丸田 朋史,劉 勇,二ツ川 健太,宮尾 智章(高エネルギー加速器研究機構),三浦 昭彦(日本原子力研究開発機構),池上 雅紀(ミシガン州立大学 重イオン加速器施設) ○Tomofumi Maruta, Yong Liu, Kenta Futatsukawa, Tomoaki Miyao (KEK), Akihiko Miura (JAEA), Masanori Ikegami (FRIB, MSU) J-PARCリニアックは2013年と2014年の2年にわたり、ビームの大強度化のために加速器本体の増強を実施した。2013年には既設加速器の下流に25台のACS空洞を増設し、ビームエネルギーを181 MeVから400 MeVに高めた。2014年はフロントエンド部(イオン源とRFQ)を交換し、最大ピーク電流は30 mAから50 mAになった。 フロントエンド交換後初となるリニアックの単独ビーム試験を昨年10月に実施し、約2週間の試験を経た10月15日に50 mAビームの加速に成功した。設計ピーク電流50mAの加速に成功したことは、J-PARC加速器の1 MW利用運転に向けた重要な一歩である。ビーム試験修了以降、現在まで30 mAのビームを安定的に下流に供給している。 本発表では、フロントエンド部交換後のリニアック単独のビーム試験の結果、ビームプロファイル、ロスの状況について報告する。 |
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WEP015 p.437 | J-PARC MRにおける三次共鳴補正 Third Order Resonance Correction in J-PARC MR ○五十嵐 進,三浦 一喜,大見 和史,佐藤 健一,下川 哲司,山田 秀衛(高エネルギー研) ○Susumu Igarashi, Kazuki Miura, Kazuhito Ohmi, Kenichi Sato, Tetsushi Shimogawa, Shuei Yamada (KEK) 大強度陽子加速器施設(J-PARC)の主リング(MR)において三次共鳴を観測し、六極電磁石の補助コイルに電流を流すことにより、共鳴補正を行った。大強度運転のためにはダイナミックアパーチャーの確保が重要で、オペレーションチューンに近い共鳴を補正することが必要となっている。MRの速い取り出しモードでのチューンは(22.40, 20.75)で、その付近の3νx=67およびνx+2νy=64について8e11 ppbの低い強度でビームロスを観測した。2台の六極電磁石の補助コイルに電源を用意し、それぞれの共鳴を補正し、ビームロスを低減する条件を探した。大強度運転で補正を行い、ビームロスの低減が観測された。現在は1台の六極電磁石の補正で、2つの共鳴補正が近似的に行われている状態をつくり、大強度運転を行っている。また、複素数である共鳴強度の2つを同時に補正するために、4台の六極電磁石の補正による解を求めた。将来電源を増やすことにより、2つの三次共鳴を完全に補正し、大強度運転に適用することを検討している。 |
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WEP016 p.441 | J-PARC MRコリメータの応答とビームロス分布 Response and beam loss distribution due to the J-PARC MR Collimators ○白形 政司,佐藤 洋一(高エ研) ○Masashi Shirakata, Yoichi Sato (KEK) J-PARC MRでは、ビームロスの局在化のために入射直線部下流にコリメータを設置している。MRのコリメータは元々は散乱−捕獲方式1系統だけのシステムであったが、ビーム不安定性等による速いビーム変動に対応するには不十分であることが分かってきたため、2012年からワンパス型のコリメータを複数台導入する方式に改めた。ビーム輸送路に置いたワンパス型コリメータの調整は容易であるが、リングに設置したコリメータでは、jawで散乱された粒子が周回して上流のコリメータに回り込んで来るため、調整中のコリメータの上流でビームロスが増えるなど、応答が複雑になる。また、直下流のアーク部にいくつかビームロスのピークが出るが、それらを最適化することが大強度運転では重要となる。ここでは各コリメータにおけるビームの応答をまとめ、コリメータの最適な配置を考察する。 |
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WEP017 p.444 | 4ビームIH−RFQ線形加速器の電場分布評価 Evaluation of the Electric Field Distribution in Four-Beam IH-RFQ Linear Accelerator ○池田 翔太,澁谷 達則,林崎 規託(東京工業大学 理工学研究科) ○Shota Ikeda, Tatsunori Shibuya, Noriyosu Hayashizaki (Graduate School of Science and Engineering, Tokyo Inst. of Technology) 低エネルギー大強度重イオンビームの加速技術として、空間電荷効果が許容範囲の強度のビームを複数並列に加速後、ファネリングにより統合する、マルチビーム加速法がある。その実用化に向けて、東京工業大学では4ビームIH-RFQ線形加速器の原理実証機の開発を進めているが、電極の形状配置によって電磁場分布にばらつきが生じるため、3次元電磁場解析ソフトウェアを用いて四重極電場分布を解析した。また、それらの電場分布を用いた粒子軌道計算をおこない、ビーム加速に与える電場強度のばらつきの影響の評価をおこなった。 |
光源加速器 (8月5日 小ホール) | |
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WEP019 p.447 | PFリング弧部改造案 Low Emittance Reconstruction of the Arc Section of the Photon Factory ○原田 健太郎,小林 幸則,中村 典雄,生出 勝宣,阪井 寛志(高エネルギー加速器研究機構) ○Kentaro Harada, Yukinori Kobayashi, Nakamura Norio, Katsunobu Oide, Hiroshi Sakai (KEK) PFリングの弧部を改造し、エミッタンスを現在の約37nmradから8nmradまで下げる改造案について発表を行う。現在の1セルを短いセル2セルに改造、水平発散力を加えた機能結合型偏向電磁石を採用することで、ノーマルセルだけのエミッタンス約4nmrad、リング全体で8nmradに下げることができる。直線部は全く改造無しで、弧部の偏向電磁石ビームラインの位置も動かさない。直線部を透明(水平)、及び非線形打ち消し(垂直)のチューンとすることで、誤差に強い、広いダイナミックアパーチャのオプティクスが可能である。直線部のオプティクスはそのままで、実寸アパーチャが従来と同等の広さにできるため、入射についても問題ないと思われる。6極電磁石が非常に強くなるが、真空ダクトの外径4cm(内径3.5cm)が真空的に可能であれば電磁石は問題ない。今後、真空系の配置、診断系の配置、電磁石長の微調整などを含め、ハードウェア設計を行っていく予定である。 |
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WEP020 p.451 | 楔形ターゲット結晶を用いたパラメトリックX線源におけるX線トポグラフの振舞い Behavior of X-ray Topograph for Parametric X-ray Source Using a Wedge-shaped Target Crystal ○稲垣 学,早川 恭史,早川 建,田中 俊成,中尾 圭佐,境 武志,野上 杏子,高塚 健人,佐藤 勇(日本大学電子線利用研究施設) ○Manabu Inagaki, Yasushi Hayakawa, Ken Hayakawa, Toshinari Tanaka, Keisuke Nakao, Takeshi Sakai, Kyoko Nogami, Kento Takatsuka, Isamu Sato (LEBRA, Nihon University) 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)では、125MeV電子線形加速器を用いて新しいX線源であるパラメトリックX線放射(PXR)を共同利用実験者に提供している。LEBRA-PXRシステムは2枚のSi単結晶を使用してエネルギー可変な単色X線ビームが発生でき、第一結晶はX線源であるターゲット、第二結晶はX線輸送の役割を果たしている。PXRから発生するX線ビームはブラッグの回折条件をほぼ満たした状態であり、入射電子ビームとターゲット結晶の角度を変化させるとX線エネルギーを自由に変えられる。このX線ビームはコヒーレンスが良く、水平方向に一次関数的なエネルギー(波長)分散がある。この特性を利用して、波長分散型X線吸収微細構造(DXAFS)測定や回折強調型位相コントラストイメージング(DEI)などの研究に応用されている。LEBRA-PXRシステムにおけるX線画像取得は、主に試料を透過したX線を検出器で測定する手法であるため、トポグラフの影響は試料の構造解析をするにあたり問題が生じる。近年LEBRA-PXRシステムは楔型のターゲット結晶を使用しており、楔の傾斜角(3°および5°)の違いに対して、ターゲット結晶に入射する電子ビームの位置、ターゲット結晶の角度(X線エネルギー)および第二結晶の角度におけるトポグラフの変化を比較検討し報告する。 |
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WEP021 p.455 | 高繰り返しCW-FEL用のレーザーヒータ Laser Heater System for High Repetition Rate CW-FEL ○本田 洋介,赤木 智哉,小菅 淳(高エ研) ○Yosuke Honda, Tomoya Akagi, Atsushi Kosuge (KEK) 近年、ERL型の加速器による高繰り返しCW-FELの検討が行われているが、100MHzクラスの高繰り返しの連続運転の設計がなされている。特に、フォトカソード電子銃を用いた短波長FELでは、入射器に起因するバンチ内密度揺らぎが、バンチ圧縮を行う際に制御不能に成長し、FELのゲイン低下を起こすことが知られている。これを回避するために、加速器上流部にレーザーヒータと呼ばれるシステムを設置し、バンチ内密度分布を均一化する手法がとられる。しかし、高繰り返しCW-FELでは100MHzの繰り返しでMWのピーク強度のレーザー光が必要で、従来の方法ではレーザーヒータに必要なレーザーシステムの実現が困難である。この問題を解決するために、レーザー蓄積共振器の手法を用いたレーザーヒータのシステムについて検討する。 |
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WEP022 p.458 | cERLにおける共振器型CDRによるTHz光源の検討 THz Source utilizing an Resonant CDR System at cERL ○本田 洋介,アリシェフ アレクサンダー,ミハイル シェベレフ,島田 美帆(高エ研) ○Yosuke Honda, Alexander Aryshev, Shevelev Mikhail, Miho Shimada (KEK) cERL周回部では高繰り返しの短バンチビームが得られ、バンチからのコヒーレント放射によるTHz光源に利用することができる。直線部に設置することを前提とし、コヒーレント回折放射(Coherent Diffraction Radiation)を用いることが考えられる。特にビーム繰り返しと整合した共振器を構成したCDRのシステムを用いることで、バンチ間の放射をコヒーレント加算し、高効率に放射を取り出すことが可能である。本発表では、この共振器型CDRシステムの検討状況を報告する。 |
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WEP023 p.461 | UVSOR-IIIにおける1.94μmファイバーレーザーを用いたレーザーコンプトン散乱ガンマ線発生 Laser Compton scattered gamma-ray generation using 1.94-micro-m fiber laser at UVSOR-III ○全 炳俊(京都大学エネルギー理工学研究所),平 義隆(産業技術総合研究所),許斐 太郎(分子科学研究所),早川 岳人,静間 俊行(日本原子力機構),山崎 潤一郎(分子科学研究所),紀井 俊輝(京都大学エネルギー理工学研究所),豊川 弘之(産業技術総合研究所),加藤 政博(分子科学研究所UVSOR),大垣 英明(京都大学エネルギー理工学研究所) ○Heishun Zen (Institute of Advanced Energy, Kyoto University), Yoshitaka Taira (National Institute of Advanced Industrial Science and Technology), Taro Konomi (UVSOR facility, Institute for Molecular Science), Takehito Hayakawa, Toshiyuki Shizuma (Japan Atomic Energy Agency), Junichiro Yamazaki (UVSOR facility, Institute for Molecular Science), Toshiteru Kii (Institute of Advanced Energy, Kyoto University), Hiroyuki Toyokawa (National Institute of Advanced Industrial Science and Technology), Masahiro Katoh (UVSOR facility, Institute for Molecular Science), Hideaki Ohgaki (Institute of Advanced Energy, Kyoto University) 我々の研究グループでは、核共鳴蛍光散乱(NRF)を用いた三次元同位体分布イメージングの基礎研究を行うため、電子蓄積リングUVSOR-IIIにて波長1.94μmのファイバーレーザーを用いたレーザーコンプトン散乱ガンマ線発生実験を開始した。これまでの実験の結果として、UVSOR-IIIの通常運転時に波長1.94μmのファイバーレーザーを用いて得られるガンマ線の最大エネルギーが5.40±0.01 MeVであり、それから推定される電子ビームエネルギーが746±1 MeVであることが判明した。また、UVSOR-IIIの蓄積電流300 mA、ファイバーレーザーの出力パワー5 Wの時、得られるガンマ線の総フラックスが約10^7 photons/sであるという結果が得られた。本発表では、実験結果と数値計算結果の比較を含め、得られたガンマ線ビームの性能に関してより詳細な議論を行うと共に、現在進めている応用実験についても紹介する。 |
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WEP024 p.465 | 新型準周期アンジュレータの開発研究 R&D for New Type Quasi-Periodic Undulator ○美馬 初哉(広島大学院理学研究科),宮本 篤(東芝電力システム社),佐々木 茂美(広島大学放射光科学研究センター) ○Hatsuya Mima (graduate school of science hiroshima university), Atsushi Miyamoto (TOSHIBA Power System Company), Sigemi Sasaki (Hiroshima Synchrotron Radiation Center) 周期磁場を持つリニアアンジュレータから放射されるシンクロトロン光のスペクトルは基本波のエネルギーの整数倍の位置に高調波を持つ。このため放射光利用研究で純粋な単色光が必要な場合、高次光を除去するために多くの光学素子を通す必要がある。しかし多くの光学素子を用いることにより光強度が落ちることや複数の光学素子の調整が難しいなど欠点がある。そこで高調波を整数倍から無理数次にずらすことで、単純な光学素子との組み合わせのみで純粋な単色光を得るという目的のために開発されたのが準周期アンジュレータ(QPU)である。 本研究ではすでにHiSORなどで実用化されている準周期的にピーク磁場を弱め、準周期位置で光の位相進みを小さくすることで開発された準周期アンジュレータとは異なり、ピーク磁場を強め、光の位相進みを大きくすることで新しい準周期アンジュレータを物理設計し、既存の準周期アンジュレータと性能比較を行う。 |
ビームダイナミクス、加速器理論 (8月5日 小ホール) | |
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WEP025 p.468 | SPring-8-IIの非線形オプティクス設計 Design of nonlinear optics for the SPring-8-II ○下崎 義人(高輝度光科学研究センター) ○Yoshito Shimosaki (JASRI / SPring-8) SPring-8の次期計画である、SPring-8-II(5B lattice with longitudinally varying bending magnets)の蓄積リングについて、「interleaved-sextupole」と「ハミルトニアン解析」を併せた、非線形オプティクスの設計を進めている。高次分散関数とオンモーメンタム/オフモーメンタム非線形共鳴補正を連立的に解くことで、オフモーメンタム方向に安定領域が広げること等を検討している。これら非線形オプティクス設計の進捗状況について報告する。 |
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WEP026 p.473 | SuperKEKB入射器におけるエミッタンス保存 Emittance Preservation in SuperKEKB injector ○風間 慎吾,佐藤 政則,杉本 寛,吉田 光宏,小川 雄二郎(高エネルギー加速器研究機構) ○Shingo Kazama, Masanori Satoh, Horishi Sugimoto, Mitsuhiro Yoshida, Yujiro Ogawa (KEK) Injector linac at KEK is now under the way to produce high current and low emittance beams for SuperKEKB. The target luminosity for SuperKEKB is 40 times higher than that of KEKB. A short-range transverse wakefield and a dispersive effect at the linac cause an emittance growth, and a longitudinal wakefield effect enlarges an energy spread of the beams. In this presentation, we will show simulation studies concerning the emittance preservation and the energy spread issues. |
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WEP027 p.477 | SuperKEKB陽電子ダンピングリングの偏向電磁石のモデリング Numerical modeling of dipole magnets in SuperKEKB positron damping ring ○杉本 寛,大西 幸喜,森田 昭夫,小磯 晴代,多和田 正文,菊池 光男,生出 勝宣(KEK) ○Hiroshi Sugimoto, Yukiyoshi Ohnishi, Akio Morita, Haruyo Koiso, Masafumi Tawada, Mitsuo Kikuchi, Katsunobu Oide (KEK) SuperKEKBは人類未踏のルミノシティを目指す次世代のBファクトリーであり、2016年度内の運転開始に向けてその建設は大詰めを迎えている。SuperKEKBではメインリングに低エミッタンスのビームを供給するために陽電子用ダンピングリング(DR)が併設される。DRにはリニアックから入射されるエミッタンスが比較的大きなビームを安定に周回させられるだけの十分に広い力学口径が要求される。SuperKEKBのDRの力学口径を制限している主な要因は偏向電磁石の磁場の非線形性であることが過去の研究で指摘されている。本発表では、その影響をより正確に評価するために行った偏向電磁石のモデリングに関して報告する。 |
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WEP028 p.482 | フェムト秒電子ビームの二段階パルス圧縮に関する検討 Numerical study of two-stage pulse compression of femtosecond electron beam ○菅 晃一,楊 金峰,小方 厚,近藤 孝文,神戸 正雄,野澤 一太,吉田 陽一(阪大産研) ○Koichi Kan, Jinfeng Yang, Atsushi Ogata, Takafumi Kondoh, Masao Gohdo, Itta Nozawa, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.) 阪大産研では、レーザーフォトカソード RF 電子銃ライナックを導入し、高時間分解能パルスラジオリシスの開発を行っている。これまでに、パルスラジオリシスの時間分解能を向上するために、加速管による電子ビームエネルギー変調・アクロマティックアークによる磁気パルス圧縮を行い、フェムト秒電子ビームを発生してきた。そこで、本研究では、従来の圧縮されたフェムト秒電子ビームを、アンジュレータ等の利用によりさらに短パルス化する手法(二段階パルス圧縮)について検討を行う。当日は、圧縮手法の計算結果について報告する予定である。 |
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WEP029 p.485 | 重イオン慣性核融合のための重イオンビームのパルス圧縮を模擬する小型電子装置を用いたビーム物理研究 Beam Physics Study on Pulse Compression of Heavy Ion Beam in Heavy Ion Inertial Fusion using Compact Electron Simulator ○菊池 崇志,佐藤 知拓,小森 拓弥(長岡技科大),朴 英樹,曽我 之泰(金沢大),酒井 泰雄,堀岡 一彦(東工大),高橋 一匡,佐々木 徹,原田 信弘(長岡技科大) ○Takashi Kikuchi, Tomohiro Sato, Takuya Komori (NUT), Youngsoo Park, Yukihiro Soga (Kanazawa Univ.), Yasuo Sakai, Kazuhiko Horioka (Tokyo Tech.), Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, Nob. Harada (NUT) 重イオンビームを燃料標的へ照射し、アブレーションプラズマの膨張とその反作用によって急激な圧縮(爆縮)を行い、中心で瞬間的に高温・高密度状態を形成して核融合反応を起こす慣性核融合方式は重イオン慣性核融合と呼ばれ、大電流の重イオンビームが必要とされる。いくつかの加速器システム構成が提案され、それぞれパラメータは異なるが、いずれも最終段ではkA級の重イオンビームが要求されている。従来の加速器で生成されるビームのパラメータとは大幅に異なるため,重イオン慣性核融合に固有のビーム動力学の検討が必要である。特に,大電流であることから,空間電荷効果の影響が無視できないビーム物理を扱うことが特徴である。また、重イオン加速器システムの最終段では,燃料ペレットの爆縮時間スケール(10~100ns)に合わせ,ビームの電流を上昇させるために,進行方向に急激なパルス圧縮を行う操作も特殊な課題である。重イオン加速器は大型となり高価なため,小型で空間電荷効果が効く状態のビームを容易に生成できる,電子による模擬実験装置を用いた実験的検討が行われている。また,実験条件に合わせた多粒子の軌道計算によって,実験だけでは評価できないビーム動力学を検討している。本研究では,電子ビームによる小型装置を用いた研究を紹介し,重イオン慣性核融合のための重イオンビームを模擬するに当たっての課題やビーム物理を検討するためのポイントを整理する。 |
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WEP030 | J-PARC MRにおける測定ベータを基にした、共鳴の評価 Eveluation of resonance terms based on measured beta function ○大見 和史,Sonnad Kiran,五十嵐 進,佐藤 洋一(高エネルギー加速器研究機構) ○Kazuhito Ohmi, Sonnad Sonnad, Susumu Igarasshi, Yoichi Sato (KEK) J-PARC MRにおいて、ターン毎のリング内186個挿入されているビーム位置モニター情報から、ベータトロン関数、位相、x-y結合等のすべてのTwiss parameterが得られる。MRは3回対称性により多くの非構造共鳴は抑制されているが、エラーによりそれらは有意な値になりうる。測定Twiss parameterから対称性のずれを見ることで、測定を基にした様々なパラメータを知ることができる。 (1)測定を基に様々な共鳴の強さを評価する。 (2)空間電荷効果を測定ラティス上でのエンベロープにより評価し、空間電荷からくる共鳴も評価する。 (3)線形x-y結合の補正をMRではスキュー4極で行おうとしているが、測定した結合パラメータからそのスキュー4極の値を決定する。 |
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WEP031 p.488 | J-PARC Main Ring大強度運転の進捗と展望 Recent commissioning and prospect of high power beam operation of the J-PARC Main Ring ○佐藤 洋一,五十嵐 進(KEK/J-PARC),原田 寛之(JAEA/J-PARC),白形 政司,高野 淳平,山田 秀衛,山本 昇,小関 忠,内藤 富士雄,大見 和史,外山 毅(KEK/J-PARC),田村 文彦(JAEA/J-PARC),栗本 佳典,下川 哲司,橋本 義徳(KEK/J-PARC),畠山 衆一郎(Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd),久保木 久保木浩功(KEK/J-PARC),仲村 佳悟(京都大学),魚田 雅彦,上窪田 紀彦,石井 恒次,杉本 拓也,大森 千広,吉井 正人,堀 洋一郎,中村 衆,森田 裕一,手島 昌己,岡田 雅之,佐藤 健一,三浦 一喜,芝田 達伸,木村 琢郎,仁木 和昭,岡村 勝也,佐藤 健一郎(KEK/J-PARC) ○Yoichi Sato, Susumu Igarashi (KEK/J-PARC), Hiroyuki Harada (JAEA/J-PARC), Masashi Shirakata, Junpei Takano, Shuei Yamada, Noboru Yamamoto, Tadashi Koseki, Fujio Naito, Kazuhito Ohmi, Takeshi Toyama (KEK/J-PARC), Fumihiko Tamura (JAEA/J-PARC), Yoshinori Kurimoto, Tetsushi Shimokawa, Yoshinori Hashimoto (KEK/J-PARC), Shuichiro Hatakeyama (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd), Hironori Kuboki (KEK/J-PARC), Keigo Nakamura (Kyoto Univeriity), Masahiko Uota, Norihiko Kamikubota, Koji Ishii, Takuya Sugimoto, Chihiro Ohmori, Masahito Yoshii, Youichiro Hori, Shu Nakamura, Yuichi Morita, Masaki Tejima, Masayuki Okada, Kenichi Sato, Kazuki Miura, Tatsunobu Shibata, Takuro Kimura, Kazuaki Niki, Katsuya Okamura, Kenichirou Satou (KEK/J-PARC) J-PARC Main Ring (MR)速い取り出し運転(FX)では2014年から2015年にかけて利用運転ビームパワーを260 kWから360 kWに増強しました。この増強の鍵となったのはハードウェアの改良だけでなく、今までのコミッショニングで得たデータを元にしたビーム調整指針の改良により、不安定性対策と共鳴ラインへの対策調整が以前よりも効率的に行えるようになったことによります。本発表では、これらの改良点と今後の展望を紹介します。 |
加速器技術/粒子源 (8月5日 小ホール) | |
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WEP032 p.493 | IFMIF原型加速器(LIPAc)入射器の現状 Present status of the Injector for IFMIF Linear Prototype Accelerator (LIPAc) ○神藤 勝啓,市川 雅浩,高橋 博樹,近藤 恵太郎,春日井 敦(原子力機構),Gobin Raphael,Harrault Francis,Chauvin Nicolas,Senee Frank(仏原子力庁),Ayala Juan-Marcos,Marqueta Alvaro,Bolzon Benoit,奥村 義和(IFMIF/EVEDA事業チーム) ○Katsuhiro Shinto, Masahiro Ichikawa, Hiroki Takahashi, Keitaro Kondo, Atsushi Kasugai (JAEA), Raphael Gobin, Francis Harrault, Nicolas Chauvin, Frank Senee (CEA), Juan-marcos Ayala, Alvaro Marqueta, Benoit Bolzon, Yoshikazu Okumura (IFMIF/EVEDA Project Team) 日本原子力研究開発機構核融合研究開発部門では、加速器駆動型中性子源を用いた核融合炉材料開発施設である国際核融合炉材料照射施設(IFMIF)の工学実証のための原型加速器の開発を青森県六ケ所村で進めている。この加速器は入射器、RFQ及び超伝導リナックで構成された重陽子線形加速器であり、9MeV/125mAの連続ビーム生成を目指している。入射器はフランス原子力庁サクレー研究所(CEA Saclay)で開発され、2012年秋まで100 keV / 140 mAの陽子及び重陽子の連続ビーム試験を行った。この入射器を青森県六ケ所村の国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)に搬送し、2013年末より入射器の据付作業の開始、2014年11月に陽子ビームの生成に成功した。その後、イオン源のコンディショニングを行いながらビーム試験を実施してきた。本発表では六ヶ所サイトで実施してきたビーム試験の結果など入射器の現状について報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
WEP033 p.496 | カーボンファラデーカップによる電子銃試験装置の改良とカソード暗電流測定装置の開発 Electron-Gun Test Equipment improved with Carbon Faraday Cup and Newly-Developed Measuring Instrument for Evaluating Dark Currents from Grid of Electron-Gun Cathode Assembly. ○馬込 保,小林 利明,谷内 努,鈴木 伸介,花木 博文(JASRI),鍛冶本 和幸,住友 博史,平山 英之,皆川 康幸,森里 邦彦(SES) ○Tamotsu Magome, Toshiaki Kobayashi, Tsutomu Taniuchi, Shinsuke Suzuki, Hirofumi Hanaki (JASRI), Kazuyuki Kajimoto, Hiroshi Sumitomo, Hideyuki Hirayama, Yasuyuki Minagawa, Kunihiko Morisato (SES) 近年SPring-8線型加速器では、短寿命のフィリングバターン運転への対応等を目的とし、最大出射電荷量がより大きい電子銃カードの新規開発を行ってきた。2013年度の前半には、実機にて新規電子銃カソードの試験運用を実施したが、暗電流が高い値を示し実用に至らなかった。また、2015年3月には従来型の電子銃カソードを使用しても暗電流が高い値を示す場合があることが発覚した。 これらを契機に電子銃の暗電流の対策が急務となったが、現在我々が所有する電子銃試験装置による暗電流測定は、1) 簡素な銅製のファラデーカップを利用しているため、ノイズ対策に乏しく、ファラデーカップでの後方散乱による電子損失も懸念される、2) 実機と同型の電子銃を使用しており、実機の環境を再現することはできるものの、電子銃内部の暗電流の発生源を切り分けできないという欠点があった。 このような不具合を解消することを目的に1) 電子銃試験装置のファラデーカップを電子の後方散乱係数の低いカーボンを材質とするものに交換し、また、2) 電子銃試験装置とは別に、カソードアセンブリのグリッドからの暗電流のみを測定するために、円板アノードをグリッドと向かい合う位置に設置した簡便な構造の測定器を開発した。本講演では、これらの装置と得られた結果について発表する。 |
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WEP034 p.501 | 短パルスレーザー生成イオンのRF同期加速によるイオン源 RF Synchronized Acceleration of Ions Produced by Short Pulse Laser ○不破 康裕,岩下 芳久,頓宮 拓,井上 峻介,橋田 昌樹,阪部 周二(京大化研),岡村 昌宏(BNL),山崎 淳(名大工) ○Yasuhiro Fuwa, Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu, Shunsuke Inoue, Masaki Hashida, Shuji Sakabe (KUICR), Masahiro Okamura (BNL), Atsushi Yamazaki (Nagoya Univ.) イオンビームの加速には通常RFQが用いられるが、従来のイオン源は連続的なビームを生成するために、RFQのタンク前半部ではイオンビームのバンチングが行われ加速はほとんどされていない。イオン源においてバンチ化されたビームが生成でき、それを直接マイクロバンチとして加速できれば、RFQ全体でビームが加速でき加速効率の向上が期待できる。 本研究では、初期状態でバンチ化されたイオンビームを生成するために短パルスレーザーを用いた新しいレーザーイオン源を開発している。このイオン源では高周波電場中でレーザープラズマを生成し、そのプラズマ中のイオンを膨張前に加速しバンチ化されたイオンビームを生成する。この発表では、レーザープラズマ中のイオンの加速実証実験及び加速イオンの分析実験の結果を報告する。 |
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WEP035 p.504 | CsBr保護膜付与によるCs-Te光陰極寿命改善効果に関する研究 Study on effectiveness of CsBr protective film on Cs-Te photocathode ○全 炳俊,栂村 勇輔,Sikharin Suphakul,紀井 俊輝,増田 開,大垣 英明(京大エネ研) ○Heishun Zen, Yusuke Tsugamura, Suphakul Sikharin, Toshiteru Kii, Kai Masuda, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) Cs-Te光陰極は高量子効率陰極として、高周波電子銃を電子源とした電子線形加速器で使用されるようになってきている。しかし、高量子効率を維持するためには、電子銃の真空度に対する要求が高く、導入の障壁は依然として高い。この問題を解決する為にCs-Te光陰極の寿命を延ばし、環境耐性を高める方法として、Cs-Te光陰極表面に薄いCsBr保護膜を付与する手法が提案されている。Los Alamos National Laboratoryのグループはこの手法を用いてCs-Te光陰極の寿命を大きく伸ばすことに成功したと報告しているが、他のグループでは寿命改善効果が得られていない。我々の研究グループでは、CsBr保護膜付与によるCs-Te光陰極の寿命改善効果を明らかにすべく、Cs-Te、CsBrを蒸着可能な装置を開発し、成膜実験と寿命測定を行っている。発表では、本装置の概要とこれまで得られた実験結果について報告する。 |
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WEP036 p.508 | 250kV大電流光陰極電子銃の開発 Development of a 250 kV photogun for high current operation ○西森 信行,永井 良治,沢村 勝,羽島 良一(原子力機構) ○Nobuyuki Nishimori, Ryoji Nagai, Masaru Sawamura, Ryoichi Hajima (JAEA) 次世代ERL放射光源のための光陰極開発、及びテラヘルツスミスパーセル放射光源開発のため、50mAビーム生成を目指した250kV光陰極電子銃の立ち上げを行っている。 アルカリ光陰極準備システムを備えておりCs3Sbカソードの成膜を行った。波長530nmのレーザーに対して0.3%の量子効率を達成している。 光陰極準備システム開発の現状と、ビーム生成試験へ向けた電子銃本体の開発状況について発表する。 |
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WEP037 p.511 | コンパクトERL電子銃の現状とアップグレード計画 Status and upgrade plan of the cERL gun ○西森 信行,永井 良治,森 道昭,羽島 良一(原子力機構),山本 将博,本田 洋介,宮島 司,内山 隆司,金 秀光,帯名 崇(高エネ研),栗木 雅夫(広島大) ○Nobuyuki Nishimori, Ryoji Nagai, Michiaki Mori, Ryoichi Hajima (JAEA), Masahiro Yamamoto, Yosuke Honda, Tsukasa Miyajima, Takashi Uchiyama, Xiuguang Jin, Takashi Obina (KEK), Masao Kuriki (Hisorhima Univ.) コンパクトERLは2013年4月の運転開始以降、順調にコミッショニングを進めている。2014年度までに0.1mAのエネルギー回収試験を終え、レーザーコンプトンX線発生試験も行った。その間、cERL電子銃はトラブル無く、安定なビーム供給に貢献している。ただし、分割セラミック管の不具合のため、運転電圧が390kVに留まっている。2015年度は、セラミック管増設により500kV化を目指す。また、FELへの利用を視野に入れ、高電荷ビーム生成用電子銃駆動レーザーの開発にも着手している。本発表では、cERL電子銃運転の現状と、アップグレード計画について報告する。 |
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WEP038 p.516 | CsK2Sbマルチアルカリフォトカソードの特性研究 Study of Characterization of CsK2Sb multialkali photocathode ○横田 温貴,栗木 雅夫,根岸 健太郎,郭 磊,浦野 正洋(広島大学),許斐 太郎,清宮 裕史(KEK) ○Atsuki Yokota, Masao Kuriki, Kentaro Negishi, Rai Kaku, Masahiro Urano (Hiroshima Univ.), Taro Konomi, Yuji Seimiya (KEK) 光陰極電子銃による電子ビームは低エミッタンス、短パルスなどの優れた性能を持つことから先進型加速器において重要な役割を担う。他方、大電流発生が必要な場合、陰極の劣化による引き出し可能電流の低下が問題となる。CsK2Sbマルチアルカリフォトカソードは、耐久性が高く、波長が500nm帯の緑色光で電子発生が可能で、量子効率が10%程度と高いことが特長のフォトカソードである。このような特性から、大電流生成が必要な、Free Electron Laser、Energy Recovery Linacなどの線形加速器による次世代放射光源、小型線形加速器によるレーザーコンプトン散乱による準単色X線源等、先進的線形加速器における電子源として期待されている。マルチアルカリフォトカソードは、PMTとして実用化されているが、加速器用電子源として最適化された成膜技術が確立されておらず、電荷引出しや時間経過による量子効率の減少への理解も不十分である。本研究は、成膜条件の最適化と量子効率の劣化プロセスの理解のため、カソード生成後、量子効率変化などの基礎的な測定を行った。本研究では、極高真空環境でマルチアルカリフォトカソードを蒸着生成し、電荷引出しや時間経過による量子効率変化を測定した。また各金属の蒸着時の基板温度や膜厚、蒸着速度などの蒸着条件を変化させ、高量子効率なカソードの成膜を行った。今後、寿命特性の理解、高性能カソードへの最適化のための知見を得るのが課題である。 |
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WEP039 p.521 | CsTe薄膜によるGaAsフォトカソードNEA活性化の研究 Study for activation of NEA-GaAs photo-cathode with CsTe thin film ○根岸 健太郎,内田 和秀,栗木 雅夫(広島大) ○Kentaro Negishi, Kazuhide Uchida, Masao Kuriki (Hiroshima Univ.) NEA-GaAsフォトカソードは、 高スピン偏極、大電流電子ビームが生成可能であるが、 一方でその脆弱性が課題である。 本研究では、従来のCs-OによるGaAsのNEA活性化に替えて、 高耐久が期待されるCsTe半導体薄膜による表面修飾を試み、 NEA表面状態を示唆する結果を得た。 |
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WEP040 p.525 | 光電子分光法を用いたCsK2Sbマルチアルカリフォトカソードの表面分析 An analysis of a surface of CsK2Sb multi-alkali photo-cathode by photoemission spectroscopy ○浦野 正洋,栗木 雅夫,根岸 健太郎(広島大学),許斐 太郎,清宮 裕史,山本 尚人(高エネルギー加速器研究機構) ○Masahiro Urano, Masao Kuriki, Kentaro Negishi (Hiroshima University), Taro Konomi, Yuji Seimiya, Naoto Yamamoto (KEK) フォトカソードは次世代加速器における重要コンポーネントの一つであるが、その性能は物質のバルクの電子状態および表面状態に影響され、その理解は単純ではない。本研究では、緑色励起可能なフォトカソード物質であるCsK2Sbについて、紫外線による光電子分光(UPS)実験を行い、その表面状態、およびそれとカソードの性能との関連を調べた。 |
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WEP041 p.530 | 高電離イオンビームのための実用レーザーアブレーションイオン源 Laser Ablation Ion Source for Highly Charge-State Ion Beams ○宗本 尚也(東工大),高野 進(KEK),高山 健(東工大、KEK) ○Naoya Munemoto (Tokyo Tech), Susumu Takano (KEK), Ken Takayama (Tokyo Tech,KEK) KEKデジタル加速器(KEKDA)はECRイオン源を用いガス由来の重イオン加速を行ってきた[1]。KEKレーザーアブレーションイオン源(KEK-LAIS)はKEKDAへの固体由来イオン(C6+、高電離Fe, Ag, Al等)の供給を目指し、2012年に開発を開始[2]。現在KEKDAでの稼働に向けた基礎実験を行っている。価数スペクトラム、運動量スペクトル、プラズマ電流の空間分布、引き出し電流、エミッタンスと等の基礎パラメータが実験において取得された。レーザプラズマの拡散はソレノイドガイド磁場により制御可能である事は知られており[3]、これらのパラメーターを磁束密度の関数として得た。加えて、レーザー照射面をパルス毎にリフレッシュするターゲット駆動機構を用いた10HZ連続運転プラズマ生成実験によりビーム安定性の測定を行った。またLAISから重イオンビームを引き出すための引き出し機構、価数分離、運動量分析計を含むKEK-DAの低エネルギー領域のビームオプティクスを含めた中間加速について議論する。 [1] K. Takayama et al., Phys. Rev. ST-AB 17 (2014) 010101. [2] N.Munemoto et al., Rev. Sci. Inst. 85, 02B922 (2014) [3]M. Okamura et al., Rev Sci Inst. 81, 02A510 (2010) |
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WEP042 p.534 | 歪み補償超格子構造を用いたスピン偏極電子源開発 Polarized Electron Source with Strain compensated SL structures ○山本 尚人,金 秀光(高エ研),宮内 智寛(名大工),真野 篤志(名大SR),山本 将博(高エ研),保坂 将人,高嶋 圭史(名大SR),竹田 美和(科学技術交流財団) ○Naoto Yamamoto, Jin X.g. (KEK), Tomohiro Miyauchi, Atsushi Mano (Nagoya Univ.), Masahiro Yamamoto (KEK), Hosaka Masahito, Yoshifumi Takashima (Nagoya Univ.), Yoshikazu Takeda (ASTF) 我々は従来型スピン偏極電子源であるGaAs/GaAsP歪み超格子薄膜構造に歪み補償と呼ばれる技術を適用し、GaAs/GaAsP歪み補償超格子構造型スピン偏極電子源を開発した。 開発においては最大720 nmまでの厚さを持つ歪み補償超格子サンプルを作製し、膜厚300 nm程度までのサンプルに対し約90%のスピン偏極度を実現できること、少なくとも膜厚500 nmまでのサンプルに対し膜厚に比例した量子効率を実現できること確認した。また、膜厚約200nmのサンプルにおいてスピン偏極度92%・量子効率1.6%を達成した。これは従来の量子効率において従来の3倍以上の性能向上となる。 さらに各膜厚のサンプルを用いて得られたスピン偏極度及び量子効率の励起光エネルギー依存性について詳細に解析することにより、膜厚の増加に対するバンドギャップ等電子源パラメータの変化を見積もった。この結果、膜厚720nmのサンプルにおいても超格子構造部分の結晶性乱れは小さく、我々の測定環境においてスピン偏極度に与える影響はほとんど無視できることがわかった。また本測定において、スピン偏極度の超格子膜厚依存性が観測されたが、これはスピン偏極電子の半導体内拡散中に生じるスピン緩和を考慮することで説明できる。 本発表では、歪み補償超格子構造と従来の歪み超格子薄膜構造を比較し、その有用性を示す。また、実際のサンプルで得られた結果とともに詳細を報告する。 |
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WEP043 p.537 | 放射線生物実験用卓上誘電体イオン加速システムの基礎研究 Development of a desktop Dielectric Ion Accelerator ○四宮 権一,上坂 充,神野 智史(東京大学),吉田 光宏,小山 和義,夏井 拓也(高エネルギー加速器研究機構) ○Kenichi Shinomiya, Mitsuru Uesaka, Satoshi Jinno (The University of Tokyo), Mitsuhiro Yoshida, Kazuyoshi Koyama, Takuya Natsui (KEK) 本研究は世界初となる卓上スケールの誘電体イオン加速システムの開発を目的とし、従来の重粒子加速施設と比べ、小型で持ち運び可能な装置とすることで、重粒子線治療の普及や放射線生物学実験への応用を目指している。加速対象はカーボンイオンとし、十数センチの加速管から500[keV]~1[MeV]の加速を目標とする。 本加速器に誘電体を用いる理由として、誘電体の基板上に伝送線路を作製することが可能になることが挙げられる。伝送線路の一例として同軸ケーブルがあり、それと等価である誘電体のSiウェハー基盤を2枚組み合わせたBlumlein回路を多段に積み重ね、伝送線路の末端に生じる変位電圧により電場を発生させ重粒子を加速する。 多段Blumlein回路を用いることにより、絶縁耐圧を上げ高加速勾配を実現でき、高電圧・短パルスを得ることが出来る。またBlumlein回路では伝送線路を長くすることによりパルス幅を広げられることから、回路の形状が大きるなる傾向にあったが、本加速器では伝送線路をメアンダ構造にすることで大幅に形状を小型化することができる。このBlumlein回路を数十段積み重ね、それをいくつかのユニットに分け、重粒子の移動速度に合わせてユニット毎にPhotoconductive Switchを用いてスイッチングを行い多段に加速していく。 講演では誘電体の特性や構造、加速実験の準備状況について発表する。 |
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WEP044 p.540 | CバンドRF電子銃を用いた針葉樹型カーボンナノ構造体カソードの電界放出特性の評価 Evaluation of field emission properties of a coniferous-tree-type carbon nanostructure cathode using a C-band RF gun ○平 義隆,加藤 英俊,黒田 隆之助,豊川 弘之(産総研) ○Yoshitaka Taira, Hidetoshi Kato, Ryunosuke Kuroda, Hiroyuki Toyokawa (AIST) 産総研では、小型の高エネルギー電子源を開発することを目的として、電子源に針葉樹型カーボンナノ構造体(Coniferous-tree-type Carbon NanoStructure: CCNS)を使用したCバンドRF電子銃の開発を行っている。CCNSは金属基板上に針葉樹型のカーボン構造体が多数生えた森のような形状をしており、1本1本の樹状構造体の先端には、ナノメートルサイズの針状炭素が突き出ている。この先端部に高周波電界が集中することで電界放出によって電子が発生する。根元ほど太い形状をしているので、高電界によって先端部が破壊されても残存しているCCNSは高電界への耐性が高いと考えられる。CCNSを用いることで、カソードを高温にするための構造や外部レーザーが必要なくなるため、装置の小型化に大きく寄与する。本発表では、CCNSから発生する電界放出電流、電界増倍係数、電子エネルギーの測定結果について発表する。 |
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WEP045 p.544 | LバンドフォトカソードRF電子銃の開発(宗 Development of the L-band RF Gun (IX) ○磯山 悟朗,川瀬 啓悟,矢口 雅貴,船越 壮亮,堤 亮太,古川 和弥,藤本 將貴(阪大産研),加藤 龍好,渡邉 謙,倉本 綾佳,早野 仁司,浦川 順治,高富 俊和(高エ研),飯島 北斗,栗木 雅夫(広大),柏木 茂(東北大電子光) ○Goro Isoyama, Keigo Kawase, Masaki Yaguchi, Sosuke Funakoshi, Ryouta Tsutsumi, Kazuya Furukawa, Masaki Fujimoto (ISIR, Osaka University), Ryukou Kato, Ken Watanabe, Ayaka Kuramoto, Hitoshi Hayano, Jyunji Urakawa, Toshikazu Takatomi (KEK), Hokuto Iijima, Masao Kuriki (Hiroshima Univ.), Shigeru Kashiwgi (ELPH, Tohoku Univ.) 大阪大学と、KEK、広島大学が共同で実施しているLバンドフォトカソードRF電子銃開発の進捗状況を報告する。LバンドRF電子銃への平均RFパワーは25 kWに達するため、多くの水冷管が設けられている。昨年の学会で、空洞本体と水冷管のロウ付け部からの水漏れがあり、これを補修する予定であると報告した。水冷管内部を真空排気し、外側から補修材を吸込ませるが、ロウ付け部の半分を水冷管が蓋っているため、水冷管の下には液体状のバクシールを用い、目視できる場所にクリーム状の液体ガスケットを使うことにした。バクシール原液をトリクロルエチレンで4倍に薄めて吸込ませ、ヒートガンで200℃を少し超える温度に1時間保ち、一晩放置した後に真空漏れ試験と1 MPaで1日の加圧試験を行う。漏れの少ない箇所はこれで止まるが、大きい場合には加圧試験により漏れが発生した。液体ガスケットの温度を上げると粘性が低下することが分かり、修復の難しい場所を修理した。これにより冷却水菅水漏れ修理が完了した。修理が完了したRF電子銃の共振周波数と電場比を拷問器と呼ぶ装置を使い修正した後にRFハイパワー試験を行う予定である。 これに加えて、RF電子銃用ファイバーレーザー発振器開発の現状を報告する。 |
加速器技術/高周波加速空胴 (8月5日 小ホール) | |
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WEP046 p.548 | ヘリウムプロセスを用いたERL主加速超伝導空洞の性能回復試験 The test of the helium processing for the ERL main LINAC superconductive cavity. ○篠江 憲治,阪井 郢屐KEK-加速器研究施設),江並 和宏(KEK-機械工学センター),梅森 健成(KEK-加速器研究施設),沢村 勝(原研),江木 昌人,古屋 貴章(KEK-加速器研究施設) ○Kenji Shinoe, Hiroshi Sakai, Kazuhiro Enami, Kensei Umemori (KEK), Masaru Sawamura (JAEA), Masato Egi, Takaaki Furuya (KEK) 性能が劣化した超伝導キャビティを性能回復する手段としてヘリウムプロセスが挙げられている。 今回、我々はKEK内STF縦測定スタンドにて性能の劣化してしまった超伝導キャビティを用いてヘリウムプロセスの実験を行ったので、その内容について報告する。 |
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WEP047 p.553 | 100MV/mを目指す進行波型加速管の高電界特性 High gradient performance of travelling-wave accelerator structures targeting 100MV/m ○肥後 寿泰,阿部 哲郎,荒木田 是夫,高富 俊和,松本 修二(高エネルギー加速器研究機構) ○Toshiyasu Higo, Totsuo Abe, Yoshio Arakida, Toshikazu Takatomi, Shuji Matsumoto (KEK) KEKではCLIC主加速器のための進行波型加速管の開発研究を数年来行ってきている。CLICでは100MV/mを標準にしているが、これまで開発してきた加速管ではその運転状態で放電を全くなくすには至っていない。しかし現状の設計+技術で、1000万パルスあたり1回程度の許容放電頻度まで抑えることが可能であることは見えてきている。 本件では、高電界運転に至るまでの経過と標準運転状態での放電頻度や、これらに関連するであろう暗電流特性などにつき、これまでの試験加速管での特性を比較することや、また放電に関連するパルス波形の解析を通じて、放電の特性を議論する。 これらの知見より、CLIC等の高エネルギー加速器への常伝導加速管の適用可能性を議論し、また近年展開を検討されているFEL等加速器の小型化への展開可能性を視野に、高電界加速に関する開発の現状を述べる。 |
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WEP048 p.558 | ニオブ製1セル加速空洞縦型電解研磨の研磨内面均一化 Homogeneous Inner Surface Polishing of Nb 1-cell Cavity Vertical Electro-Polishing ○仁井 啓介,Chouhan Vijay,山口 隆宣,石見 清隆,井田 義明(マルイ鍍金工業株式会社),早野 仁司,加藤 茂樹,佐伯 学行,文珠四郎 秀昭,沢辺 元明(高エネルギー加速器研究機構) ○Keisuke Nii, Vijay Chouhan, Takanori Yamaguchi, Kiyotaka Ishimi, Yoshiaki Ida (Marui Galvanizing Co., Ltd), Hitoshi Hayano, Shigeki Kato, Takayuki Saeki, Hideaki Monjushiro, Motoaki Sawabe (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) ニオブ製超伝導加速空洞の性能向上のため、最終表面処理に電解研磨(EP)が行われている。現在は主に空洞を横向きに配置する横型電解研磨法(HEP)が用いられている。これは、内面の研磨均一性は良好であるが、量産性に課題を残している。この量産性の解決のため、空洞を縦向きに配置する縦型電解研磨法(VEP)が提案されている。しかしながらVEPは、研磨時の内面均一性に課題があるため、解決が望まれている。マルイ鍍金工業ではこれまでに蓄積したEPのノウハウを生かし、KEKと共同でVEPの研磨内面均一性向上のための技術開発に取り組んできた。今回、空洞内研磨面分析を可能にしたクーポン空洞と独自構造の可変翼状部を備えた陰極の作製、それらを用いた最適なEP条件出しとクーポン分析を行い、内面均一性の向上を確認したので報告する。 |
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WEP049 p.562 | ILC用ニオブ製9セル加速空洞の縦型電解研磨設備の作製と研磨実施 Fabrication of Vertical Electro-polishing facility for Nb 9-cell Cavity for ILC and Results of Polishing ○仁井 啓介,Chouhan Vijay,山口 隆宣,石見 清隆,井田 義明(マルイ鍍金工業株式会社),早野 仁司,加藤 茂樹,佐伯 学行,文珠四郎 秀昭,沢辺 元明(高エネルギー加速器研究機構) ○Keisuke Nii, Vijay Chouhan, Takanori Yamaguchi, Kiyotaka Ishimi, Yoshiaki Ida (Marui Galvanizing Co., Ltd), Hitoshi Hayano, Shigeki Kato, Takayuki Saeki, Hideaki Monjushiro, Motoaki Sawabe (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) 現在建設計画が進んでいるILC(国際リニアコライダー)では、約16000本のニオブ製9セル加速空洞が必要になると言われており、量産に向けて各工程の量産性向上(高効率化、低コスト化)が望まれている。空洞の最終表面処理となる電解研磨(EP)においても高性能と高量産性を両立できる方法や設備が求められている。マルイ鍍金工業では、過去様々な形状、材質の部材のEPを手掛けた経験を生かし、ニオブ製加速空洞のEPの開発をKEKと共同でスタートした。共同研究では、従来法に比べて量産に適していると考えられている縦型電解研磨法(VEP)に着目し、コストを抑えたILC用ニオブ製9セル加速空洞用のVEP設備の作製とVEPの実施を目指した。今回、塩ビ部材を用いて低コスト化したVEP設備と可変翼状部を備えた独自構造陰極を自社制作し、それらを用いたVEPを実施したので結果を報告する。 |
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WEP050 p.566 | cERL主加速器クライオモジュール運転の現状-大電流ビーム運転時における空洞内の現象理解に向けて- The operation status of the superconducting cavity for cERL main linac -Toward the deep understanding inside the superconducting cavity with high current beam- ○沼田 直人,浅川 智幸(日本アドバンストテクノロジー),阪井 寛志,梅森 健成,古屋 貴章,篠江 憲治,江並 和宏,江木 昌史,坂中 章悟,道園 真一郎,三浦 孝子,Qiu Feng,竹中 たてる,荒川 大,小島 裕二,本間 輝也,中西 功太(高エネルギー加速器研究機構),沢村 勝(日本原子力研究開発機構) ○Naoto Numata, Tomoyuki Asakawa (Nippon Advanced Technology Co.,Ltd.), Hiroshi Sakai, Kensei Umemori, Takaaki Furuya, Kenji Shinoe, Kazuhiro Enami, Masato Egi, Shogo Sakanaka, Shinichiro Michizono, Takako Miura, Feng Qiu, Tateru Takenaka, Dai Arakawa, Yuuji Kojima, Teruya Homma, Kota Nakanishi (High Energy Accelerator Research Organization(KEK)), Masaru Sawamura (Japan Atomic Energy Agency,JAEA) We started beam operation with Compact ERL(cERL) main linac cryomodule from 2013.Dec. Until now, we succeeded energy recovery with 80uA CW beam current of 20 MeV. For stable beam operation with more high current CW beam, it is nessesary to know the phenomina inside the superconducting cavity during beam operation, for example, increasing field emission. In order to know these phenomina,several fast monitors were set and monitored when the unexpected trip and/or radiation increase were occured with beam. In this paper, we describe the details of long-term operation experience of these cavities by using these monitors. |
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WEP051 p.571 | cERL入射器クライオモジュールのビーム運転状況 Status of cERL injector cryomodule with beam operation ○山田 浩気,浅野 峰行,今田 信一,植木 竜一,柳町 太亮(日本アドバンストテクノロジー),岡田 昭和(ケーバック),宍戸 寿郎,山本 康史,加古 永治(KEK) ○Hiroki Yamada, Mineyuki Asano, Shin-ichi Imada, Ryuichi Ueki, Taisuke Yanagimachi (NAT), Terukazu Okada (K-vac), Toshio Shishido, Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako (KEK) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)が開発を進めている35MeV-コンパクトエネルギー回収型ライナック(cERL)の入射部である入射器空洞の運転状況について述べる。入射器クライオモジュールは2セル超伝導加速空洞を3台内蔵し、RFパワーは連続波(CW)で運転される。10mAのビーム加速に必要な高周波電力は10kW程度であり入力カップラーやHOMカップラーの冷却も重要である。cERLでは入射部で10mAのビームを5MeV程度までの加速を目標としているが、今回の運転では100µAの連続電子ビームを2.2MeVで安定した加速運転ができたのでその状況を述べる。 |
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WEP052 p.575 | 薄膜超伝導体のRF臨界磁場を計測する試験空胴の設計研究 Design study of test cavity for measurement of RF critical magnetic field of thin layer superconductor ○及川 大基,東口 武史(宇都宮大学),早野 仁司(高エネルギー加速器研究機構) ○Hiroki Oikawa, Takeshi Higashiguchi (Utsunomiya University), Hitoshi Hayano (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) 500GeVの衝突エネルギーで電子陽電子衝突実験をする計画のILCにおいては,その先の将来計画で1TeVまでアップグレードする.その時には,45MV/m以上の高加速勾配を持つ超伝導空胴を使用する.高加速勾配を得る方法の一つとして,ロンドン侵入長に近い多層薄膜超伝導体を用いて空胴内表面の見かけのRF臨界磁場を上げる方法が提案されている.超伝導体薄膜層と絶縁層とを交互に配置した多層膜構造を空胴内面に生成することで,さらに臨界磁場を向上させることができると考えられている.これを実証するためにNbサンプルの表面に超伝導体薄膜を生成し,そのサンプルを極低温まで冷却し,RF臨界磁場を計測できる評価システムが必要である.RF臨界磁場を計測するために,マイクロ波空胴を使用する.そのようなマイクロ波空胴内にサンプルを設置し,サンプルの冷却が可能で,サンプル表面には強い並行RF磁場が立つように設計する必要がある.形状としてSLACの先行研究に使われたマッシュルーム型空胴を使用する.本研究ではそのような試験空胴の設計について報告する. |
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WEP053 p.579 | 超伝導加速器用C形導波管型HOMカップラーの高周波特性 RF Property of C-Shape Waveguide Type HOM Couplers for Superconducting Accelerator ○沢村 勝(原子力機構),梅森 健成,阪井 寛志,篠江 憲治,古屋 貴章,江並 和宏,江木 昌人(高エネ研) ○Masaru Sawamura (JAEA), Kensei Umemori, Hiroshi Sakai, Kenji Shinoe, Takaaki Furuya, Kazuhiro Enami, Masato Egi (KEK) 超伝導加速器を用いたエネルギー回収型リニアック(ERL) では、高調波(HOM) 対策が重要である。HOMカップラーは大電力の場合に内軸での発熱が問題となっている。そこで新たにC 形導波管を考案した。このC 形導波管は導波管を丸めることにより同軸管のような構造をしているが、内軸と外軸が仕切板で結合しているため、内軸を効率よく冷却することができる。このC 形導波管を用いたHOM カップラーモデルの測定を行っているので、その結果を報告する。 |
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WEP054 p.583 | ERL 超伝導スポーク空洞製作の現状 Status of ERL Superconducting Spoke Cavity Fabrication ○沢村 勝,羽島 良一,西森 信行,永井 良治(原子力機構),岩下 芳久,頓宮 拓(京大),久保 毅幸,佐伯 学行(高エネ研) ○Masaru Sawamura, Ryoichi Hajima, Nobuyuki Nishimori, Ryoji Nagai (JAEA), Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu (Kyoto University), Takayuki Kubo, Takayuki Saeki (KEK) スポーク空洞の利点を生かせば、ERL加速器を小型化できる可能性が期待できるため、光・量子融合連携研究開発プログラム「小型加速器による小型高輝度X線源とイメージング基盤技術開発」における小型加速器の候補として超伝導スポーク空洞の開発を進めている。スポーク空洞は形状が複雑であるため、プレス加工工程を含めた金型設計や強度計算による補強検討等を行っているので、スポーク空洞製作の現状について報告する。 |
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WEP055 p.587 | アルバックにおける低コスト化に向けた超伝導加速空洞の開発 Development of Low Cost Superconducting Cavity at ULVAC ○永田 智啓,阿部 知行,増居 浩明,篠澤 精一,長久保 準基,村上 裕彦((株)アルバック),井上 均,山中 将,加古 永治(高エネ研) ○Tomohiro Nagata, Noriyuki Abe, Hiroaki Masui, Seiichi Shinozawa, Junki Nagakubo, Hirohiko Murakami (ULVAC, Inc.), Hitoshi Inoue, Masashi Yamanaka, Eiji Kako (KEK) 国際リニアコライダー計画(ILC計画)を筆頭に今後多くの超伝導加速空洞が必要となるに際しては、生産性が高く低コストとなる加速空洞製造技術が求められる。アルバックでは事業化に向けて加速空洞の低コスト化を目的とした開発に取り組んでいる。現状では自社に電子ビーム溶解炉を導入してニオブインゴットの高純度精製を実施しており、加速空洞素材としての性能を満たしつつこれを極力安価な形で供給するべく検討を進めている。自社精製インゴットを用いて板材とビームパイプを作製し、これらの部材をKEKにて加工・溶接して単セル加速空洞を試作したところ41MV/m@2Kの加速勾配が得られた。各部材における純度・機械特性・RRRはILC用ニオブ材の規格を満たすことも確認している。また、現在主流の加速空洞製造方法である溶接を用いた手法ではなく、アルバック独自の技術で製作したシームレスパイプを用いた加速空洞の開発も行っている。シームレス法は溶接を用いず直管を直接的に空洞形状に成形(例えば、液圧成形など)するため製造コストを低下させることが期待されているが未だ実証には至っていない。今回我々は、成形性の良いシームレスパイプを得るために結晶組織の調質、特にパイプ内での結晶粒径の均一化に主眼を置いた開発を進め、加工や熱処理の条件精査により単セル空洞の液圧成形に成功した。 |
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WEP056 p.591 | 準定電界進行波型Cバンド加速管の製作 Manufacturing of C-band accelerator cavities ○植竹 卯一朗((株)トヤマ),山口 誠哉,高富 俊和,山中 将,上野 健治,舟橋 義聖(KEK),佐藤 勇,新冨 孝和(日大),佐治 晃弘,太田 温,畑中 宏之,竹中 久貴,遠藤 克己((株)トヤマ) ○Uichiro Uetake (TOYAMA CO.,Ltd), Seiya Yamagushi, Toshikazu Takatomi, Masashi Yamanaka, Kenji Ueno, Yoshisato Funahashi (KEK), Isamu Sato, Takakazu Shintomi (Nihon University), Akihiro Saji, Yutaka Ota, Hiroyuki Hatanaka, Hisataka Takenaka, Katsumi Endo (TOYAMA CO.,Ltd) 現在、株式会社トヤマでは、KEK及び日本大学との共同研究の下、クライオ電子リニアック式小型コヒーレンとX線源発生装置の開発を行っている。その一環として、低温状態で運転する準定電界進行波型Cバンド加速管の製作を進めている。製作に際して以下の5つの試験を行った。試験1「チューニング機構の動作試験」では、3セル空洞(材質:C1011)を試作し、チューニング機構によって周波数をどの程度調整できるかを確認した。試験2「熱処理炉の選定、低温試験」では、3セル空洞(材質:Cu 6N8)を試作し、真空炉と水素炉それぞれにて拡散接合を行い、表面状態を評価した。また低温状態での周波数の変化及びQ値を測定した。試験3「カプラー試作」では、Kyhl法による周波数測定と調整加工を繰り返し、カプラー寸法を決定した。またカプラーは、カプラー空洞を含む本体と第1セルを含むカバー、パイプ、フランジで構成されているが、それらをロウ付けし、周波数の変化を追った。試験4「拡散接合試験」では、段取りの確認も踏まえ、25セルの素管を試作した。試験3で製作したカプラーを用い、Nordal Shift法によって周波数測定をした後、真空炉にて拡散接合を行った。試験5「EBW試験」では、EBWの条件と段取りの確認のため、実機と同じ長さのダミー管とダミーカプラーをEBWで接合し、真直度の評価を行った。これらの試験結果を実機へと活かし、加速管を製作していく過程を報告する。 |
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WEP057 p.596 | クライオ光陰極高周波電子銃用高周波空洞のための電磁界シミュレーション Simulation of Electromagnetic Field for 20K Cooled Photocathode RF Gun ○中尾 圭佐,田中 俊成,境 武志,野上 杏子,稲垣 学(日大量科研),高塚 健人,長島 涼子(日大理工学研究科),早川 建,早川 恭史(日大量科研),高富 俊和,福田 将史,吉田 光宏,照沼 信浩(高エネ研) ○Keisuke Nakao, Toshinari Tanaka, Takeshi Sakai, Kyoko Nogami, Manabu Inagaki, Kento Takatsuka, Ryoko Nagashima, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa (LEBRA, Nihon University), Toshikazu Takatomi, Masafumi Fukuda, Mitsuhiro Yoshida, Nobuhiro Terunuma (KEK) 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)では、2013年度より、絶対温度20Kで動作する、クライオ光陰極高周波電子銃の開発を進めている。2013年度に高純度6N8銅材を用いてCバンド2.6セルピルボックス型試験空洞を作成し、常温及び低温(21K)における低電力RF特性の測定を行った。その結果、設計に用いた電磁界シミュレーションコードSUPERFISHで計算した結果と良く一致することが確かめられた。 また2014年度には、大電力試験を見据えたRF入力カプラ付き低電力試験用空洞を作成した。この空洞の常温における低電力試験では、共振周波数が計算値と比して600kHz程度低くなったものの、結合係数およびQ値は概ね一致した。しかし、無酸素銅で作成されたピルボックス型空洞の液体窒素温度における大電力試験で、ピーク磁場強度が1000ガウス程度より大きくなると、Q値が下がることが報告されている。そこでQ値の低下を防ぐ対策として、空洞表面の磁場強度を低減した空洞の検討を行っている。本発表では、この空洞のSUPERFISHを用いたシミュレーションの結果を報告する。 本研究は、文部科学省「光・量子融合連携研究開発プログラム」の「小型加速器による小型高輝度X 線源とイメージング基盤技術開発」の支援を受けて行われた。 |
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WEP058 p.600 | クライオ光陰極高周波電子銃用RF入力カプラー構造のシミュレーション Simulation of RF-input Coupler Structure for Cryogenic Photocathode RF-gun ○高塚 健人(日本大学大学院理工学研究科),田中 俊成,境 武志,中尾 圭佐,野上 杏子,稲垣 学,早川 建,早川 恭史(日本大学電子線利用研究施設),照沼 信浩,高富 俊和,福田 将史,吉田 光宏(高エネ研) ○Kento Takatsuka (Graduate School of Science and Technology, Nihon University), Toshinari Tanaka, Takeshi Sakai, Keisuke Nakao, Kyoko Nogami, Manabu Inagaki, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa (LEBRA, Nihon University), Nobuhiro Terunuma, Toshikazu Takatomi, Masafumi Fukuda, Mitsuhiro Yoshida (KEK) 日本大学電子線利用研究施設では文部科学省「光・量子融合連携研究開発プログラム」の「光・量子ビーム技術の融合・連携促進のための基盤技術開発」の委託研究に基づき、約20Kまで冷却して動作させる、2.6セルから成るπ モードC-バンド光陰極高周波電子銃の試験空洞を製作し、室温および20Kにおける低電力試験の結果、2次元電磁界計算コードSUPERFISHによるシミュレーションを概ね再現できた。引き続きSUPERFISHと3次元電磁界計算コードCST STUDIOを用いてRF入力用カプラーを備えた低電力試験用空洞を設計し、製作を行った。RF入力には、矩形導波管と円形導波管及び伝送モードを変換するモード変換器から成るカプラーを採用している。カプラー付き試験空洞の室温における測定では、共振周波数が予想より600kHz以上低かったが、Q値と結合係数については概ね計算と一致した。しかし軸上電界測定によると円形導波管部に非軸対称な電磁場が存在している可能性があり、円形導波管部に非軸対称なモード成分が混在しないようなカプラー構造への改善が必要となっている。そこでCST STUDIOを用いてRF入力カプラー構造を検討した結果について報告する。 |
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WEP059 p.604 | 超伝導加速管の欠陥探索システム開発 Development of defect scanning system of SC Cavity ○頓宮 拓,岩下 芳久(京大化研),早野 仁司,山本 康史(高エネルギー加速器研究機構),鉾之原 久雄(京大化研) ○Hiromu Tongu, Yoshihisa Iwashita (ICR, Kyoto Univ.), Hitoshi Hayano, Yasuchika Yamamoto (KEK), Hisao Hokonohara (ICR, Kyoto Univ.) 超伝導加速管の局所的欠陥の探索方法の1つとして、超伝導状態の加速管に高周波電力を注入して行う縦測定において発熱箇所の検出(T-map)、X線測定(X-map)がある。京都大学化学研究所では高エネルギー加速器研究機構(KEK)とILC超伝導加速空胴の欠陥検査等について共同研究を行なっている。 開発中の欠陥検査システム(XT-map)は空胴外壁に設置するセンサー基板の裏表にT-mapとX-mapのセンサーを設置し、センサーの高密度実装による高分解能測定、マルチプレクサ回路を用いたケーブリング削減と高速スキャニング、ローコス トパーツの使用を特徴としている。またILC超伝導加速空胴の場合、1セルにセンサー基板を16枚使用し、基板をデイジーチェーン接続、1セル単位の信号取出しにより1スキャンを1sec以下で行なうことができる。本発表でXT-map開発の現状について報告する。 |
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WEP060 p.607 | KEK/Nextef における高電界加速構造の基礎研究 Basic Study on High-Gradient Accelerating Structures at KEK/Nextef ○阿部 哲郎,荒木田 是夫,高富 俊和,肥後 寿泰,松本 修二(高エネ研) ○Tetsuo Abe, Yoshio Arakida, Toshikazu Takatomi, Toshiyasu Higo, Shuji Matsumoto (KEK) 我々はこれまでに、常伝導リニアコライダー主加速器用プロトタイプ加速管の製作・試験を行ってきた。そこでは高電界加速のための包括的な開発を目指し、セルの加工、洗浄、接合、組立、真空ベーキング、高電界試験といった一連の工程を確立してきた。一方、常伝導での高電界性能の限界が明らかになっていないことに着目し、真空中の放電物理に特化した新たなテストスタンドも整備してきた(KEK/Nextef/シールドB)。そこでは、単一の試験セルに電磁界を集中させたコンパクトな試験空洞を用い、放電に伴う現象の観測・解析、及び、放電に至るトリガーメカニズムの解明を目指した新たな基礎研究を展開する。本発表では、試験空洞やテストスタンドの整備・進捗状況について報告する。 |
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WEP061 p.613 | STF2クライオモジュール熱負荷試験 Heat load measurement of STF2 cryomodules. ○岡田 昭和(ケーバック),浅野 峰行,今田 信一,植木 竜一,柳町 太亮,山田 浩気(日本アドバンストテクノロジー),宍戸 寿郎,山本 康史,加古 永治,小島 裕二,仲井 浩孝(KEK) ○Terukazu Okada (K-vac), Mineyuki Asano, Shin-ichi Imada, Ryuichi Ueki, Taisuke Yanagimachi, Hiroki Yamada (NAT), Toshio Shishido, Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako, Yuji Kojima, Hirotaka Nakai (KEK) KEK- STFでは、ILCタイプのクライオモジュールを地下トンネルへ設置し、大電力RF試験、ビーム運転試験を予定している。クライオモジュールの設置とヘリウム冷凍機の接続が完了後、液体ヘリウムで超伝導空洞を2Kまで冷却し、低電力RF試験を行なった。ILC仕様の超伝導空洞をCW運転にも対応させるために、CM2aクライオモジュール側の超伝導空洞のHe供給配管を太くした。CM1とCM2aの超伝導空洞に取り付けてあるヘリウムジャケットにヒーターを取り付け、冷却能力を確認する実験を行なった。本発表では、パルス運転仕様(ILC)の超伝導空洞をCW運転で対応させるために、ヒーターで熱負荷をかけて測定をし、CW運転に対応できる冷却能力の試験を行なった結果について述べる。 |
加速器技術/高周波源 (8月5日 小ホール) | |
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WEP062 p.617 | SwissFEL向けCバンド導波管の製造 Manufacture of C-band waveguide network for SwissFEL ○木村 優志,重岡 伸之,三浦 禎雄(三菱重工業株式会社) ○Masashi Kimura, Nobuyuki Shigeoka, Sadao Miura (MHI) 現在、スイスのPaul Scherrer Institut(PSI)が中心となって、2017年にユーザー運転開始を目指して自由電子レーザー施設SwissFELの建設が進められている。2014年6月、三菱重工はSwissFEL向けのCバンド立体回路のプロトタイプ1ユニットをPSIから受注し、同年12月に納入完了した。本立体回路1ユニットはRFをクライストロンから加速管4本へと分配する構成となっており、当社の受注範囲として、直線、ベンド、コーナー形状の導波管の他、RFを二等分するスプリッタやRFモニタ用の方向性結合器が含まれる。既にPSIのテストベンチに据付けが完了しており、今後、PSIによりハイパワーテストが実施される予定である。2014年11月にはプロトタイプに引き続き、実機26ユニット(約500本の導波管)の量産を受注し製造を行っている。本発表ではプロトタイプ導波管の仕様、出荷前検査におけるLLRF測定結果等について報告する。 |
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WEP063 p.621 | SPring-8 1GeV線型加速器beam deflector及びクライストロンモジュレータの改良 Improvement of beam deflector and Klystron Modulator at the Spring-8 1GeV Linac ○小林 利明,出羽 英紀,鈴木 伸介,花木 博文(公益財団法人)高輝度光科学研究センター) ○Toshiaki Kobayashi, Hideki Dewa, Sinsuke Suzuki, Hirohumi Hanaki (JASRI/SPring8) SPring-8 1GeV 線型加速器の電子銃エミッションが長時間の電子銃の使用後に発生するダーク電流を除去するビームディフレクターシステムを2001年に設置、稼働しているが、長パルスまでゲートを長くすることを考え、特殊なパルスでビーム偏向を行っていたため、タイミング調整などが難しい点があった。そこで新たに高速高電圧パルサを製作し、実機で性能試験を行った。またクライストロンモジュレータではサイラトロンヒータ/リザーバ電源直流化とその改造で余ったCVTトランスを用い、安定化していなかったトリガ励振器とキープアライブ電源の安定化を行った。これらの改良により、モジュレータのパルス電圧等は安定化され、クライストロンのRF出力も大幅に改善された。この改造でも一部のモジュレータは時々不安定になることがあり、CVTトランスでヒータ電源安定化をしているが、クライストロンヒータ電源が変動することがあり、クライストロンパルス電圧やRF出力などに、その電源変動と強い相関がある事が分かった。この電源の安定化には、AVRを電源ラインに挿入する、または高安定化交流電源を組み込むなどを考えている。新ディフレクターシステムとモジュレータの安定化状況について述べる。 |
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WEP064 p.625 | 高電圧用半導体素子のスイッチング特性 Switching Charcteristics of High Voltage Solid-State Switch ○近藤 力,稲垣 隆宏,大竹 雄次(理研 放射光科学研究センター),米澤 喜幸,道越 久人,福田 憲司(産総研 先進パワーエレクトロニクス研究センター) ○Chikara Kondo, Takahiro Inagaki, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center), Yoshiyuki Yonezawa, Hisato Michikoshi, Kenji Fukuda (AIST, Adv. Power Electron. Res.) X線自由電子レーザー施設SACLAは光源加速器であり、安定度の高いX線レーザーを低い運転中断頻度で供給することが要求されている。この線型加速器では大電力RF電源に約70台のモジュレータ電源を用いているが、高電圧パルスをサイラトロンによるスイッチングにより生成している。サイラトロンはカソードを有する放電管のため、2万時間以上の運転を経ると、タイミング変動やサージ増大によるトリガ回路の破損などのトラブルが頻発し、運転上の障害となっている。これらのトラブルを解消するため、サイラトロンを半導体スイッチに置き換えることを検討している。半導体スイッチの開発に先立ち、候補と成りうる高耐電圧の半導体素子である静電誘導型サイリスタ(SIT)、Si-IGBT、およびSiC-IGBTなどの半導体素子に対し、スイッチング速度やON抵抗などのパルス動作特性を測定した。測定の結果、いずれの素子もスイッチング速度は0.2―0.4μs程度を備えており、サイラトロン代替の可能性を持っていることが分かった。これらの素子を用いたサイラトロン代替デバイスには、必要な耐電圧や電流容量を得るために多数の素子で構成する必要がある。本発表では、各素子のパルス動作特性の測定結果や特徴、そしてデバイスとしての構成案について報告する。なお、本研究の一部は共同研究体「つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション(TPEC)」の事業として行われた。 |
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WEP065 p.630 | SuperKEKB加速器MRにおける大電力高周波源の進捗状況 Current status of the high-power rf systems in MR for SuperKEKB ○渡邉 謙,吉田 正人,吉本 伸一,丸塚 勝美,小野 正明(KEK) ○Ken Watnabe, Masato Yoshida, Shin-ichi Yoshimoto, Katsumi Marutsuka, Masaaki Ono (KEK) SuperKEKB加速器主リングでは現在2016年初頭のコミッショニング開始 に備え各種機器の立ち上げを行っている。主リング地上部大電源棟に 設置されている大電力高周波源はSuperKEKB加速器へのアップグレード に伴い、KEKB運転終了後からクライストロン、大電力用ウォーター ロードおよび各種冷却系の増強・オーバーホールを行ってきた。 本報告では主リング地上部大電源棟に増強された大電力高周波源の 進捗状況について報告する。 |
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WEP066 p.634 | サイラトロントリガ回路保護用フィルタの導入 Development of filter for thyratron trigger circuit. ○中澤 伸侯(スプリングエイトサービス株式会社),稲垣 隆宏,近藤 力,櫻井 辰幸,大竹 雄次(理研 放射光科学総合研究センター),益田 邦和,木村 健,田中 伸一郎(スプリングエイトサービス株式会社) ○Shingo Nakazawa (Spring-8 Service Co.,Ltd.), Takahiro Inagaki, Chikara Kondo, Tatsuyuki Sakurai, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center), Kunikazu Masuda, Takeshi Kimura, Shinichiro Tanaka (Spring-8 Service Co.,Ltd.) X線自由電子レーザー施設SACLAでは72台のモジュレータ電源を使用しており、サイラトロンのスイッチングによりクライストロンへの高電圧パルス供給を行っている。運転開始より4年が経過し、サイラトロンの経年劣化によると思われるトリガ回路の過電圧抑制(Transient Voltage Suppressor)ダイオードの破損、信号ケーブルの断線等のトラブルが多発しており、対策が急がれている。前述のようなトラブルを起こし、SACLAより取り外されたサイラトロンをテストスタンドにおいて調査した結果、サイラトロン着火時に発生する高周波サージがトリガーラインを伝播し、ダイオードおよび経路上の部品を劣化し破損させている事が判明した。そこで、トリガ信号とサージ成分が周波数領域で分離できることに着目し、トリガ信号を良好に伝達し、かつ、高周波サージエネルギーを吸収するフィルタ回路を設計、製作した。テストスタンドにおいて、このフィルタ回路を実装することにより、高周波サージが抑制されTVSダイオードが破損しないことを確認した。本発表ではフィルタ回路の概要、試験結果および、SACLAへの展開状況について報告する。 |
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WEP067 p.639 | MA コアを用いたハイパワーバランの開発 (2) Development of high power baluns using MA cores (2) ○田村 文彦,島田 太平,吉井 正人,大森 千広,野村 昌弘,戸田 信,山本 正亘,長谷川 豪志,原 圭吾(J-PARCセンター) ○Fumihiko Tamura, Taihei Shimada, Masahito Yoshii, Chihiro Ohmori, Masahiro Nomura, Makoto Toda, Masanobu Yamamoto, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara (J-PARC center) J-PARC RCS では、高い加速電圧を発生させ、また 1台の空胴に基本波と2倍高調波を重畳した電圧を発生させるデュアルハーモニック運転を実現するために、広帯域の金属磁性体を装荷した加速空胴を採用している。AB級プッシュプル構成の真空管アンプにより空胴は駆動されており、2倍高調波を重畳した時に生じる各真空管の出力電圧振幅のアンバランスを改善させるために、MAコアを使用した高電圧、ハイパワーのバランの R&D を行っている。バランは MAコアに高電圧ケーブルを巻いた高周波トランスとして構成されているが、RCS では最大15kV の高周波電圧を線間に印加することになるために、高周波によるコロナ放電の抑制が課題となっている。本発表では、コロナ放電の抑制の手法について、また、コアおよびケーブルの冷却方法についての R&D の現状について報告する。 |
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WEP068 p.643 | J-PARCリニアック Veto回路を用いたクライストロン高圧電源停止頻度の改善 Reduction in the Fault Rate of High-Voltage Power Supply for klystrons by using a veto circuit in J-PARC linac ○堀 利彦,篠崎 信一,佐藤 文明(J-PARCセンター 原子力機構),福井 祐治,二ツ川 健太(J-PARCセンター KEK) ○Toshihiko Hori, Shinichi Shinozaki, Fumiaki Sato (JAEA J-PARC), Yuji Fukui, Kenta Futatsukawa (KEK J-PARC) J-PARCリニアックの効率的な運転を目指す一環として、正常なインターロック以外で生じるクライストロン高圧電源停止頻度を低減する対策を継続的に行っている。電源停止の主原因はクライストロンの変調アノードとボディ間(アース電位)の放電によって、高圧モニタ系のトリガ分配モジュール(NIMモジュール)が誤動作することである。そこで、モジュールの電源ライン強化やノイズ対策などを行った新たなモジュールを製作しこれを実装したところ、一定の成果を得た。しかし、放電発生時のノイズレベルはクライストロンステーション毎に異なっており、追加の対策が必要であった。今回、Veto回路を用いた新たな回路を構築しこれを実装したところ、良好な結果を得ることができた。本報告では、この1年間のクライストロンの放電状況、Veto回路を含むシグナルコンディショナの回路構成及びVeto回路実装前後での電源停止頻度などについて報告する。 |
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WEP069 p.647 | ILCクライストロン電源用チョッパ型マルクスユニットの大電力試験 High-Power Test of a Chopper-type Marx Unit for ILC Klystron Modulator ○中島 啓光,明本 光生(高エネルギー加速器研究機構),江 偉華,小笹 有輝,須貝 太一,鈴木 隆太郎,林 拓実(長岡技科大),徳地 明,天神 薫,澤村 陽(パルスパワー技術研究所) ○Hiromitsu Nakajima, Mitsuo Akemoto (KEK), Jiang Weihua, Yuki Kozasa, Taichi Sugai, Ryutarou Suzuki, Takumi Hayashi (NUT), Akira Tokuchi, Kaoru Tenjin, Yo Sawamura (PPJ) 国際リニアコライダー(ILC)では、RF源として10MWのマルチビームクライストロンが使用される予定となっており、ピーク電圧-120kV、ピーク電流140A、パルス幅1.7ms、パルス平坦度1%(p-p)、繰り返し5ppsのパルス電源が必要となる。高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、10MWマルチビームクライストロン用の電源として、長岡技術科学大学との共同研究でチョッパ型マルクス電源の開発を行っている。チョッパ型マルクス電源は、-120kVの出力を得るために20ユニットで構成されている。各ユニットは、チョッパ回路とマルクス回路を組み合わせた-1.6kV出力のマルクスセル4段と制御基板によって構成されており、各マルクスセルをPWM制御することで、出力電圧-6.4kV、パルス幅1.7msのフラットなパルス電圧を出力する。本発表では、試作したチョッパ型マルクスユニットの大電力試験について報告する。 |
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WEP070 p.651 | MARX基板の最適化 Optimization of the Marx Circuit Board ○鈴木 隆太郎,林 拓実,小笹 有輝,江 偉華,須貝 太一(長岡技科大),徳地 明,澤村 陽(パルスパワー技術研究所),明本 光生,中島 啓光(高エネルギー加速器研究機構) ○Ryutarou Suzuki, Takumi Hayashi, Yuki Kozasa, Jiang Weihua, Taichi Sugai (Nagaoka University of Technology), Akira Tokuchi, Yo Sawamura (PPJ), Mitsuo Akemoto, Hiromitsu Nakajima (KEK) 現在、世界最大の加速器ILCが開発・研究されている。ILC用のマルチビームクライストロンには、-120kV(±0.5%),140A,1.7ms,5ppsという長パルスの電源が要求されている。さらには電源の高信頼性、小型化、軽量化、低コスト化が求められている。そこで半導体素子を用いたマルクス回路にチョッパ回路と位相制御を組み合わせた、チョッパ型マルクス電源が提案されている。-1.6kV出力のマルクスセルを4段重畳して1ユニットとし出力-6.4kVを得る。最終的には20ユニットを重畳して目標値-120kVを達成する。このチョッパ型マルクス回路の技術課題として、スイッチング素子の低減が挙げられる。スイッチングロスは、出力のドループを補償するために出力電圧の減衰に応じてゲート幅をPWM制御行っていることにより生じる。これは出力電圧のドループを保障するために、出力の減衰に応じてPWM制御を行っていることが原因である。去年までスイッチング素子にSi-IGBTを用いていたが、今回SiC-FETに変更することで、マルクスセル1枚では回路効率を82%から93%に向上させることができた。また、スイッチング損失だけでなくチョッパ回路のL,マルクス基板間の相互干渉抑制用R,Cの最適化を行い、全体効率の向上を図った。シミュレーションによって、20ユニット重畳した場合のRLCの損失を導出し、出力が最も安定し要求を満たす値を求めた。これらの結果を踏まえ、ILC用のチョッパ型マルクス電源を実現していく。 |
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WEP071 p.656 | ILC用MARX電源全体充電・制御方式の検討 Study of MARX Circuit Power Charge and Control System for ILC ○林 拓実,鈴木 隆太郎,小笹 有輝,江 偉華,須貝 太一(長岡技大),徳地 明,澤村 陽(パルスパワー技術研究所),明本 光生,中島 啓光(高エネルギー加速器研究機構) ○Takumi Hayashi, Ryutarou Suzuki, Yuki Kozasa, Jiang Weihua, Taichi Sugai (Nagaoka University of Technology), Akira Tokuchi, Yo Sawamura (PPJ), Mitsuo Akemoto, Hiromitsu Nakajima (KEK) 現在ILC(International Linear Collider)計画用のマルチビームクライストロン用電源開発を行っている。この電源に求められるのは、-120kV(±0.5%),140A,1.7ms,5ppsという高出力かつ長パルスの出力、さらに電源の小型化、低コスト化、高信頼性などが要求されている。 これらの要求を満たす電源として、半導体素子を用いたマルクス発生器にチョッパ制御と位相制御を行う、定電圧制御マルクス電源が提案されている。さらに、マルクスユニット並列で充電する方式が提案されている。 目標である-120kVには、-6.4kVを出力するマルクスユニットを20ユニット重畳することで達成する予定である。ユニットは-1.6kVを出力するマルクスセルを四段重畳している。 このとき重要な技術的課題として、充電時の損失低減と出力電圧のリプル低減が挙げられる。今回の発表では、トータル80段という段数の多いMARX回路に対する、充電回路の最適化設計と、リップル低減のための位相制御の最適化設計に関する検討結果について発表する。 |
加速器技術/電磁石と電源 (8月5日 小ホール) | |
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WEP072 p.660 | セラミックチェンバー一体型パルスマグネットの開発 Development of the ceramic chamber integrated pulsed magnet ○満田 史織((公財)高輝度光科学研究センター),笹川 敦司(京セラ(株)),本井傳 晃央,佐々木 茂樹,熊谷 教孝((公財)高輝度光科学研究センター),中西 辰郎(スプリングエイトサービス(株)) ○Chikaori Mitsuda (JASRI/SPring-8), Atsushi Sasagawa (KYOCERA Co. Ltd.), Teruo Honiden, Shigeki Sasaki, Noritaka Kumagai (JASRI/SPring-8), Tatsuro Nakanishi (SES) SPring-8では、極低エミッタンスまたは小型将来光源加速器リングへの適用を目指し、狭小ボア径を実現可能な、セラミック真空チェンバー及びパルスマグネットコイルが簡潔に一体化されたパルスマグネットの開発を進めている。開発中の構造では、空芯型1ターンコイルをセラミックチェンバー厚み5mmに長手方向にわたり埋め込み、コイルギャップがセラミック内表面に突出することなく滑らかに接合時、ビームまで近接させている。チェンバーボア径とギャップ径は等しい構造となる。コイル自身は、大気層と真空層の隔壁も担っており、セラミックにより電磁応力、大気圧に対する機械的構造保持と電気絶縁構造が確保されているため、外装、内装は極めて簡潔な構造となっており、ビームインピーダンスの不整合を引き起こすことなく狭小スペースへの設置が可能となる。 2013年に、磁極長0.3m、チェンバー内径30mmのプロトタイプの制作に成功した。このプロトタイプを使い、4usのパルス幅にて20kV/7.7kAのパルス電流を1Hzで印可しながら、同時に、10-6Paの真空租排気、8時間ごとの80℃までのサーマルサイクルを与え、200日を超える、1.3x10-11Pa・m3/sの真空機密度を保持した無故障運転に成功した。 本会では、提案する一体型構造の利点とともにその加速器実装へ向けた課題と取り組み、磁場性能、信頼性について詳細を報告する。 |
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WEP073 p.665 | SuperKEKBダンピングリング磁場測定装置の調整 Tuning of the magnetic measurement system for the SuperKEKB damping ring ○植田 猛(日本アクシス),原田 健太郎,菊池 光男,多和田 正文,江川 一美,長橋 進也(高エネルギー加速器研究機構) ○Ueda Takeshi (Nihon Axis Co.,Ltd), Harada Kentaro, Kikuchi Mitsuo, Tawada Masafumi, Egawa Kazumi, Nagahashi Shinya (KEK) SuperKEKBダンピングリング用磁場測定器の精度向上のための改造について述べる。ハーモニックコイルを用いた4極電磁石用磁場測定器は2011年に製作、PF電源棟に設置されて以来、磁場測定を行ってきたが、測定精度が悪く、その原因究明と装置の改造を続けてきた。目標精度は、同じ電磁石を連続測定及び載せ替えて再度測定して、測定結果の磁場誤差が0.05%以下となることである。電気的なノイズ、測定環境、電源、電磁石本体など様々な原因を仮定し、調査し、問題があれば改善していくことで、徐々に精度が向上してきたが、最終的には、コイルの回転中心を決める構造を改良したことで、目標である精度を達成することができた。現在、ダンピングリングの4極電磁石約80台の最終測定を行っているところである。ここでは、磁場測定器の約5年間にわたる精度向上の為の調査、調整、改造作業についてまとめて発表を行う。 |
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WEP074 p.670 | SuperKEKB衝突点用超伝導電磁石電源プロトタイプの製作と試験結果 A prototype power supply for the SuperKEKB final focus superconducting magnets ○大木 俊征,徳田 登,安達 利一,大内 徳人,中村 衆(高エネルギー加速器研究機構) ○Toshiyuki Oki, Noboru Tokuda, Toshikazu Adachi, Norihito Ohuchi, Shu Nakamura (KEK) SuperKEKB衝突点用超伝導電磁石電源のプロトタイプを製作した。目標とした仕様値は、定格出力 2 kA-10 V、電流設定分解能 0.1 ppm以下、電流安定度 2 ppm/8時間、温度係数 0.01 ppm/度、電流リップル 1 ppm以下。想定する負荷の定数は、0.88-13.28 mH、5 mΩである。通電試験を行い、期待される結果を得たので報告する。 |
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WEP075 p.674 | cERLシケイン用偏向電磁石の設計と製作 DESIGN AND FABRICATION OF THE COMPACT-ERL CHICANE MAGNETS ○上田 明,原田 健太郎,長橋 進也,久米 達哉,島田 美帆,宮島 司,中村 典雄,遠藤 有聲(高エネ研) ○Akira Ueda, Kentaro Harada, Shinya Nagahashi, Tatsuya Kume, Miho Shimada, Tsukasa Miyajima, Norio Nakamura, Kuninori Endo (KEK) KEK内に、建設されたCompact Energy Recovery Linac(cERL)には、合流用のマージャー、合流・取出しそして周長補正用のシケインが設置されている。このマージャー及びシケインの為に合計12台、6種類の偏向電磁石が製作された。これらの電磁石は現在3MeV及び20MeVの低エネルギーで使用されているが将来のアップグレードに対応するために最大10MeV及び125MeVで使用できるように設計されている。cERLの合流・取出しの角度は、16度であり、また周長補正シケイン部での補正量は±5个任△襪燭甞禿甜Ю个砲100伉度の有効磁場領域が必要である。またERLでは、先行する電磁石のエラーが積み重なりビームの質に影響するため、低エネルギーの電磁石でも高い精度を求められる。これらの性能を達成するために電磁石の設計には3Dsimulaitionが使用され特に磁極形状、End Shimの最適化を行った。さらに電磁石に使用する電磁軟鉄は、低磁場領域では加工により磁気特性が劣化する。その磁気特性を元に戻すためには電磁軟鉄の切削加工後に890度1時間の磁気焼鈍を行った。ここでは、3Dsimulationによる電磁石の設計、加工後の磁気焼鈍等の製作過程、そしてフリップフロップコイルによる磁場測定とsimulationの比較について報告する。 |
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WEP076 p.679 | 電子リング低エミッタンスビーム取り出しシステム用アボートキッカー電磁石電源の開発 Development of Abort kicker electromagnet power supply for electron ring low emittance beam taking systems ○黄瀬 圭祐,徳地 明(PPJ),三増 俊広(KEK) ○Keisuke Kise, Akira Tokuchi (PPJ), Toshihiro Mimashi (KEK) 現在高エネルギー加速器研究機構では大電流かつ低エミッタンス加速器であるSuperKEKB加速器の研究開発が進められている。SuperKEKB加速器では、大電流を加速する空洞の要求から、KEKBで使用されたようなアボートキッカーの立上り時間では不十分で、より速い立上りのキッカー電磁石が必要とされている。 電子リング用低エミッタンスビーム取り出しシステムに使用されるアボートキッカー電磁石は、水平方向4台、垂直方向1台からなる。またこのシステムは、その他ビームを広げる為の六極電磁石1台、ビームをビームダンプへ導くランバートソンセプタム電磁石1台及び、チタンの取り出し窓からなる。 本発表は水平方向 2.2uH という極めて低インダクタンスの負荷に対して、立上り時間 200ns、電流 1.7kAp、電流ピーク持続時間 10us と垂直方向 10us での電流が 2.1kA を実現した、アボートキッカー電磁石電源の開発に関するものである。 |
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WEP077 p.682 | あいちSRにおける入射用パルス多極電磁石の開発 DEVELOPMENT OF PULSED MULTIPOLE MAGNET FOR AICHI SR STORAGE RING ○伊藤 圭哉(名大院工),山本 尚人(KEK),保坂 将人(名大SR),篠本 考秀((株)スプリングエイトサービス),真野 篤志,高野 琢(名大SR),林 憲志(UVSOR 分子研),高嶋 圭史(名大SR),加藤 政博(UVSOR 分子研) ○Keiya Ito (Graduate School of Eng. Nagoya Univ.), Naoto Yamamoto (KEK), Masahito Hosaka (SR Center, Nagoya Univ.), Takahide Shinomoto (SES), Atsushi Mano, Takumi Takano (SR Center, Nagoya Univ.), Kenji Hayashi (UVSOR IMS), Yoshifumi Takashima (SR Center, Nagoya Univ.), Masahiro Katoh (UVSOR IMS) あいちSRの光源加速器(周長:72m)では、稼働当初よりトップアップ運転を実施している。電子蓄積リングへのビーム入射において、従来の複数台のキッカー(パルス二極電磁石)を用いた方法に代わるものとして、パルス多極電磁石(PMM)を用いたビームの入射方法が検討された。これは、電磁石のパルス磁場中心を通る蓄積ビームには蹴りを加えず、中心から離れた位置を通過する入射ビームのみを蹴ることで入射できる画期的な方法である。従来の方法では入射時のローカルバンプ形成によってバンプ軌道内のビームラインで瞬間的に放射光利用が阻害されるが、パルス多極入射では原理上、蓄積ビーム重心の軌道変化を生じないため、トップアップにおける入射時にも放射光利用が阻害されない。比較的小型な当施設では、約半周にも渡るバンプ軌道を排除でき、また入射装置を簡略化できるなどの点で、パルス多極入射を導入する利点は大きい。そのため、当施設へのPMM入射システムの導入が決定し、既に設計・製作した。 PMMの効果を最大限に発揮する為、次の3点に注意する必要がある。\什邯躡垢傍因する磁場分布の設計値からのずれ、導体間の電位差に起因する電場、E甜Ю个悗療杜導入端子で生じる磁場。これらを考慮し、蓄積ビームの振動幅をビームサイズの10%以下に抑えることを目標にPMMを設計したが、本発表では電極導入端子の設計と実際のPMMに対する磁場測定の結果について報告する。 |
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WEP078 p.686 | セラミック抵抗器の電気抵抗の測定 Electric Resistance Measurement of Silicon Carbide Resistors ○菅沼 和明(原子力機構 J-PARC),下山 暢善,米久 直幸,滝 幸奈(東海高熱工業株式会社),金正 倫計(原子力機構 J-PARC) ○Kazuaki Suganuma (JAEA J-PARC), Nobuyoshi Shimoyama, Naoyuki Yonekyu, Yukina Taki (TOKAI KONETSU KOGYO CO., LTD ), Michikazu Kinsho (JAEA J-PARC) キッカー電源に使用するセラミック抵抗器は、使用環境および高い印加電圧によって、電気抵抗の値に変化を生じることが散見される。本抵抗器は、その使用方法により油中で使用されている。この抵抗値変化の原因として、抵抗器表面に塗布している耐油性膜に亀裂が発生し、油がセラミック抵抗器に浸入することが考えられる。そこで筆者らは、あえて塗装膜の無い抵抗器を油中に浸し、セラミック抵抗器の油中環境下での電気抵抗の計測を行った。本発表では、この抵抗器をJ-PARCのキッカー電源の励磁エネルギーの終端抵抗として使用することを想定し、抵抗器の使用方法の実現性と優位性について議論する。 |
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WEP080 p.689 | ステアリング電磁石の限界性能 Smallest Correction Angle and Fastest Correction Cycle of Steering Magnets at the SPring-8 Storage Ring ○妻木 孝治,張 超(JASRI),武部 英樹(沖縄科学技術大学院大) ○Koji Tsumaki, Chao Zhang (JASRI), Hideki Takebe (OIST) SPring-8蓄積リングでは当初水平、垂直各288台の軌道補正用ステアリング電磁石が用意されており、そのうち各12台を使用してゆっくりした軌道の補正を行っていた。ステアリング電源の電流値は、±5Aを16ビットで設定しているため最小電流分解能は0.153 mAで、電子ビームの蹴り角に換算すると水平が30 μradで垂直が半分の15 μradである。このような微小な蹴り角にもかかわらず、ゆっくりした軌道補正のとき微小な軌道のジャンプが見られ、さらに分解能の良いステアリング電磁石が必要になった。そこで既存のステアリング電磁石の設定分解能を上げることが検討されたが、電流値や磁場が小さくなりノイズやヒステリシスのため分解能が上がらないことが懸念された。そこで電源の出力電流を下げてどこまで有意な磁場変化が得られるかを検討した。また軌道補正はゆっくりしたものでばかりではなくチェンバーや磁石の振動に起因する早い軌道補正も必要である。振動による200Hz程度以下の早い軌道の変動をフィードバックで補正するためには、10KHzまでの磁場の周波数が必要である。そこで空芯のステアリング電磁石を用いてアルミチェンバーとSUSチェンバーの場合についてどの程度の周波数まで補正可能かについても検討した。発表ではこのようにステアリング電磁石を極限まで使用したときの限界について検討したのでその結果について述べる。 |
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WEP081 p.694 | J-PARC ミュオンビームキッカー用MOS-FET MARX駆動バイポーラパルストランス合成方式電源の開発 A development of bipolar Induction voltage adders driven by MOS-FETs based MARX generators for J-PARC Muon beam kicker ○澤村 陽,徳地 明(PPJ),幸田 章宏,西山 樟生,ストラッサ パトリック,藤森 寛(KEK / 物質構造科学研究所) ○Yo Sawamura, Akira Tokuchi (PPJ), Akihiro Koda, Kusuo Nishiyama, Patrick Strasser, Hiroshi Fujimori (KEK / Institute of Materials Structure Science) J-PARC(大強度陽子加速器施設)の物質・生命科学実験施設(MLF)は、世界最高強度のパルス陽子ビームによる中性子ビーム及びミュオンビームを生成し、これらの使用して、物質•生命科学研究が行われている。 各実験エリアにダブルパルス構造ミュオンビームを効率的に供給するために、ビームキッカーはMLF実験ホール内のミュオンビームラインのビームラインの分岐に設置される。 本稿は、ミュオンビームラインに設置されるビームキッカー用電源の開発に関するものである。 本電源の特徴として、ファインメットコアを用いたパルストランスで正負それぞれ6台のパルス電源から発生された-9kV / 300nsec 高電圧パルスの合成で±54kV / 300nsecを生成し、ビームライン分岐部に配置されたビームキッカーに供給する。ミュオンダブルパルスの振り分けに正負の極性パルスを発生する必要があるが、高電圧パルス電源からはすべて-9kVの極性とし、パルストランスでの磁束の合成方向を変えることでビームキッカーへの高圧パルス供給極性に対応している。また、パルストランスや各高圧電源は将来の電源増設にも対応できるスケーラブルなユニット構造とした。 -9kV/300nsecの高電圧パルスを発生するパルス電源は、50nsecの立ち上がり時間が要求される。その仕様を満たすために、高速FETによって駆動される16段MARX構成とした。 |
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WEP082 | J-PARC MRにおける主電磁石電源のDCCT取付位置と電源制御の応答特性 A correlation between a response characteristic and a position of a current monitor in a power supply for quadropole magnets in J-PARC MR ○中村 衆,下川 哲司,栗本 佳典,森田 裕一(高エネ研) ○Shu Nakamura, Tetsushi Shimogawa, Yoshinori Kurimoto, Yuichi Morita (KEK) 高精度な制御を必要とする加速器用電磁石電源において、出力電流のモニタであるDCCTを取り付ける位置は重要である。DCCTが出力する信号は電気的なノイズの影響だけでなく、負荷となる電磁石の配線にも影響を受ける。直列に接続された複数の負荷に対して電流を供給する電源の場合、電源の出力端の片側にのみDCCTを取り付けるとノーマルモードとコモンモードの両方のリプルを測定することとなり、制御に悪影響を与える。 コモンモード電流の制御への影響を防ぐため、J-PARC MRの主電磁石電源群は電源出力の両端にDCCTを取り付け、それぞれの信号の和を制御に使用している。また、電磁石配線をN極とS極に分離し、各電磁石のN極を渡った後にS極を渡って電源に戻すことで、コモンモード電流がつくる磁場の次数を上げ、ビームへの影響を軽減するとともに、DCCTで計測したノーマルモード電流と磁場が近似的に等しいと見なせる状態にした。 この配線方式において、電源から最も遠い電磁石のN極とS極をつなぐ点を流れる電流は原理的にノーマルモードのみとなる。今回、この場所にDCCTを取り付けて出力電流を測定するとともに、電源制御に与える影響を調べた結果を報告する。 |
加速器技術/ビーム診断・制御 (8月5日 小ホール) | |
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WEP083 p.699 | エネルギー回収型冷却電子リニアックにおけるCバンド検波型ビーム位置モニターの開発 Development of a beam position monitor detecting C-band frequency in the ERL-based cryogenic electron linac ○井原 功介((株)トヤマ),諏訪田 剛(KEK),遠藤 克己,竹中 久貴,太田 温((株)トヤマ) ○Kosuke Ihara (Toyama Co., Ltd.), Tsuyoshi Suwada (High Energy Accelerator Research Organization (KEK),), Katsumi Endo, Hisataka Takenaka, Yutaka Ota (Toyama Co., Ltd.) 株式会社トヤマでは、エネルギー回収型冷却電子リニアックの開発を進めている。このリニアックは、X線発生装置としての利用を計画しており、そこで得られたX線はイメージングやがん治療などへの応用を期待している。また、X線発生後に残った電子ビームのエネルギーを減速管の中で回収することにより、ビームダンプ時の放射線の発生を抑え、非常にクリーンな装置となっている。その上、加速周波数を5712MHz (Cバンド)にすることで装置のコンパクト化と低コスト化の両立を図っている。 現在はこのリニアックに使用するためのビーム位置モニター(BPM)の開発をおこなっている。今回のBPMは、低コスト且つ十分な精度が期待出来るストリップライン型BPMを採用し、検波周波数は加速周波数と同じ5712MHzに設定している。電極の形状やビームパイプの内径はシミュレーションにより決定した。主なシミュレーション内容は1.TDR解析によるインピーダンスマッチング、2.高周波を印加したワイヤーによるキャリブレーションである。それぞれのシミュレーションはANSYS社の解析ソフト「HFSS」を使用した。これらの詳細は発表にて報告する。 |
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WEP084 p.703 | JAEA AVFサイクロトロンにおけるエミッタンス・アクセプタンス測定装置を用いた入射調整の予備試験 Preliminary test of injection tuning using an emittance and acceptance measurement system at the JAEA AVF cyclotron ○柏木 啓次,宮脇 信正,倉島 俊,奥村 進(原子力機構高崎) ○Hirotsugu Kashiwagi, Nobumasa Miyawaki, Satoshi Kurashima, Susumu Okumura (JAEA Takasaki) 原子力機構高崎研ではAVFサイクロトロン(K=110)へのビームの入射調整を最適化するためのツールとして、入射ビームの横方向エミッタンスとサイクロトロンの横方向アクセプタンスを計測する装置を開発した。本装置によって測定したアクセプタンスとエミッタンスの重複領域を増やすことで実際の加速ビーム電流が増加することを確認するため、エミッタンス・アクセプタンス測定装置の上流・下流に設置された2台のステアリング電磁石を用いて調整を行った。まず、調整に必要となる、ステアリング電磁石の励磁電流とエミッタンスおよびアクセプタンスの重心の位相平面座標の変化を測定した。この結果を基にエミッタンスとアクセプタンスの重心が同座標となるような条件で電磁石を励磁し、調整を行った結果、加速ビーム電流が増加することを確認した。これによりエミッタンス・アクセプタンス測定装置による測定結果を基にした調整が有効であることを確認できた。 |
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WEP085 p.706 | JAEA AVFサイクロトロンの位相制限スリットによるビーム位相制限の評価 Evaluation of beam phase restriction with beam phase defining slit in the JAEA AVF cyclotron ○宮脇 信正(原子力機構 高崎),福田 光宏(大阪大学 核物理研究センター),倉島 俊,柏木 啓次,奥村 進(原子力機構 高崎) ○Nobumasa Miyawaki (Takasaki, JAEA), Mitsuhiro Fukuda (RCNP, Osaka Univ.), Satoshi Kurashima, Hirotsugu Kashiwagi, Susumu Okumura (Takasaki, JAEA) JAEA AVFサイクロトロンでは、加速RFに対するビームの位相幅を狭くするため、加速位相差で生じるエネルギー利得差によって半径方向に広がるビームを、位相制限スリットで制限している。径方向に駆動できるこのスリットによってビーム位相を効率的に制限してビーム強度を大きく低下させないためには、スリット駆動軸上でのビームの位置と位相の相関関係を考慮する必要がある。そこで、初期加速の位相差によって生じる位相バンチングの発生条件を明らかにした実績のある幾何軌道解析によって、この相関関係を求めた。その結果、加速ハーモニックス(h=) 1の条件では、スリットで制限する位置に依存してビームの位相とその幅が変化するが、h=2の条件では、スリット位置への依存がほとんどない。これらの相関関係の解析による推定結果は、位相制限スリットの位置を移動させながら、サイクロトロン内部のシンチレーターで測定したビーム位相分布の結果と一致した。効率的なビーム位相の制限のためには加速ハーモニックス毎の相関関係に基づいたスリット位置設定が必要である。また、位相制限スリットの位置とビーム位相の相関関係は位相バンチングの発生条件と密接に関係することがわかった。 |
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WEP086 | 相対論的電子ビームと結晶の相互作用研究と加速器技術への応用II Studies of interactions between a relativistic electron beam and crystals II ○高林 雄一(九州シンクロトロン光研究センター) ○Yuichi Takabayashi (SAGA Light Source) 相対論的電子ビームと結晶の相互作用に関する基礎研究と加速器技術への応用が本研究の目的である.(1)パラメトリックX線(PXR)を利用したビームプロファイルモニタの開発と(2)鏡面反射様チャネリングを利用したビーム偏向技術の開発に関して研究を進めている. (1)最近,XFEL加速器において,バンチ長が短いためにOTRがコヒーレントになり,ビームのプロファイル測定に利用できないことが判明した.本研究では,コヒーレントになることを避けるため,より波長の短いPXRの利用を提案する.ゞ畧榾 き▲團鵐曄璽襯メラ法,フレネルゾーンプレート法という3つの手法を提案し,,鉢△慮桐の検証実験に成功したことを前回報告した.今回は,フレネルゾーンプレート法の開発状況について報告する. (2)従来,チャネリングを利用したビーム偏向の研究では,湾曲結晶が用いられてきた.しかし,最近,イタリアのグループが湾曲していない結晶を用いてもビームを効果的に偏向できることを示した.彼らは,面チャネリングの振動の半波長に等しい厚さを持つ極薄のSi結晶を用意し,2 MeVの陽子を鏡面反射方向に偏向させることに成功した.本研究では,電子ビームに関して検証を行うことが目的である.最近,SAGA-LSのリニアックからの255 MeV電子ビームと厚さ0.7ミクロンのSi結晶を用いて鏡面反射様チャネリングの観測に成功したので報告する. |
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WEP087 p.709 | SAGA-LS電子蓄積リング加速過程のオプティックス評価 Estimation of Optics Functions in Ramp-up Period at the SAGA-LS Electron Storage Ring ○岩崎 能尊,高林 雄一,金安 達夫,江田 茂(九州シンクロトロン光研究センター) ○Yoshitaka Iwasaki, Yuichi Takabayashi, Tatsuo Kaneyasu, Shigeru Koda (SAGA Light Source) SAGA Light Source (SAGA-LS)電子蓄積リングは現在、最大で約340 mAの入射・加速・貯蔵を行っている。入射エネルギーは255 MeVであり、約4分間で1.4 GeVまで加速を行う。蓄積電流の増加、加速時間の短縮、あるいは新しい動作点での入射・加速・貯蔵を行うために、加速過程におけるオプティックスを、軌道応答行列解析の手法を用いて評価した。軌道応答行列解析によるチューン計算値は概ね測定値を再現し、その差は水平・垂直方向各 (0.019, 0.026) 以下であった。これは、加速過程におけるチューン変動幅に比べて十分に小さい。軌道応答行列解析の手法を用いることで、任意のエネルギーにおけるオプティックス制御の精度が向上した。今後、よりビームが安定した電磁石励磁パターンの構築が可能となり、加速途中におけるビームロス等の原因解明が期待される。 |
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WEP088 p.714 | SPring-8蓄積リングにおける縦方向Bunch-by-Bunchフィードバックの試験 Test of Longitudinal Bunch-by-Bunch Feedback at the SPring-8 Storage Ring ○正木 満博,中村 剛,小林 和生,藤田 貴弘((公財)高輝度光科学研究センター) ○Mitsuhiro Masaki, Takeshi Nakamura, Kazuo Kobayashi, Takahiro Fujita (JASRI/SPring-8) SPring-8では次期計画(SPring-8-II)を見据えて、縦方向Bunch-by-Bunchフィードバック(LBBF)システムを開発している。次期計画では、電子ビームエネルギーを現状の8GeVから6GeVに下げることを想定しており、RF空洞の高次モード(TM011など)による縦方向バンチ間結合不安定性の蓄積電流閾値が100mA近くまで低下するため、LBBFの導入が検討されている。開発しているLBBFの性能評価のために、現状のSPring-8蓄積リングのビームエネルギーを6GeVに下げ、80mA以上蓄積した際に発生する縦方向不安定性の抑制試験を実施した。その結果、不安定性が成長しきる前の状態、すなわち誘起されたシンクロトロン振動が1ps以下の小振幅のときであれば、LBBFを稼動することによって不安定性が抑制されることを確認した。本発表では、LBBFシステムを構成している高効率縦方向キッカー、エネルギーキック駆動回路、フィードバックループ回路などのハードウェアを紹介するとともに、ビーム試験の結果(縦方向不安定性の成長率、LBBFシステムの性能指標を与えるフィードバックループ閉時のビーム振動減衰率など)を報告する。また、今後のSPring-8-IIに向けた性能改善への見通しについても報告する。 |
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WEP089 p.719 | J-PARC主リングにおけるビーム損失モニタによる残留線量測定 RESIDUAL RADIATION MEASUREMENTS BY BEAM LOSS MONITORS AT J-PARC MR ○外山 毅,久保木 浩功,佐藤 健一郎,イーレンドン ブルース(高エ研) ○Takeshi Toyama, Hironori Kuboki, Kenichirou Satou, Bruce Yee-rendon (KEK) 大強度陽子ビーム加速器では、残留線量が保守作業性・所要時間を制限してしまうので、ビーム損失の観測・制御、残留線量の観測・制御が重要になる。これらの中の課題の一つとして、高放射化領域(コリメータなど)を含む加速器の残留線量を、ビーム停止後から測定することを可能にするビーム損失モニタ(BLM)システムの運用を始めた。Main Ring(MR)建設当初からBLMによる残留線量測定は計画されており、その為もあり、BLM検出器の信号出力端子はDC結合とし、ゲイン>30000を持たせている。運用では、MR運転からビーム停止・保守に切り替わるタイミングでBLMのDAQトリガの変更、およびBLMのバイアス電圧の変更を行う。バイアス電圧をゼロにして取得したデータをシステムのオフセットとして補正して得られた結果を報告する。 |
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WEP090 | J-PARC主リングにおける遅いビーム取出し直前のデバンチング過程で観測された電子雲 ELECTRON CLOUD OBSERVED DURING DEBUNCHING FOR SLOW BEAM EXTRACTION AT J-PARC MAIN RING ○外山 毅,冨澤 正人,武藤 亮太郎,イーレンドン ブルース(高エ研) ○Takeshi Toyama, Masahito Tomizawa, Ryotaro Muto, Bruce Yee-rendon (KEK) J-PARC Main Ringでは、遅いビーム取出しが20 k - 27 kWで再開された。遅いビーム取出しでは、コースティング・ビームが使われるので、30 GeVまでの加速が終了した後に、RF電圧を下げてデバンチする。その途中で電子雲と考えられる信号が、電子雲観測装置によって観測されている。バンチモニタ、ビームロスモニターとの関連性と、シミュレーションとの比較の結果を発表する予定である。 |
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WEP091 p.722 | J-PARC主リングにおけるイントラバンチ・フィードバックの運用の現状 STATUS OF THE INTRABUNCH-FEEDBACK FEEDBACK AT J-PARC MAIN RING ○外山 毅(高エ研),仲村 佳悟(京大),飛山 真理,岡田 雅之,陳 栄浩(高エ研),菖蒲田 義博(原研),帯名 崇,小関 忠(高エ研) ○Takeshi Toyama (KEK), Keigo Nakamura (Kyoto University), Makoto Tobiyama, Masashi Okada, Yon Ho Chin (KEK), Yoshihiro Shobuda (JAEA), Takashi Obina, Tadashi Koseki (KEK) J-PARC Main Ringのビーム強度増強の制限要因の一つは、現在、横方向不安定性である。これを抑制するため、イントラバンチ・フィードバック・システムを構築し、昨年から、3GeV入射での横方向不安定をダンプしている。その後ビーム強度の増強が行われ、加速中の横方向不安定性が問題となってきたため、これをダンプすることが、さらなるビーム強度増強のために必須となっている。ここでは、加速に伴う位相変化の影響を簡便にとり込み調整する方法について述べ、実験結果を報告する予定である。 |
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WEP092 p.725 | J-PARC主リングにおける高残留線量と低ビーム損失信号のパズル LARGE RESIDUAL RADIATION BUT SMALL BEAM LOSS SIGNAL AT J-PARC MAIN RING ○外山 毅,イーレンドン ブルース,久保木 浩功(高エ研),花村 幸篤(三菱電機システムサービス),佐藤 洋一,魚田 雅彦,白形 政司(高エ研) ○Takeshi Toyama, Bruce Yee-rendon, Hironori Kuboki (KEK), Kotoku Hanamura (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd), Yoichi Sato, Masahiko Uota, Masashi Shirakata (KEK) J-PARC Main Ringのアーク部の45番地および52番地では運転中のビーム損失モニター信号が小さいにも関わらず、ビーム停止時に残留線量を測定するとコリメータ付近と同レベルの数mSv/hが観測されている。 アーク部での残留線量は維持保守作業のために<1mSv/hに保持する必要があるため、問題となっている。 原因と対策を報告する予定である。 |
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WEP093 p.728 | SACLAビームライン高度化のためのビーム診断システム Beam Diagnostic System for the SACLA Beamline Upgrade ○前坂 比呂和,大島 隆,細田 直康(理研 SPring-8センター),松原 伸一(高輝度光科学研究センター),大竹 雄次(理研 SPring-8センター) ○Hirokazu Maesaka, Takashi Ohshima, Naoyasu Hosoda (RIKEN SPring-8 Center), Shin-ichi Matsubara (JASRI), Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center) X線自由電子レーザ施設SACLAでは、ユーザの利便性向上のため、2014年に各種高度化をおこなった。具体的には、新規ビームラインBL2の設置、既存ビームラインBL1のアンジュレータ増設、SCSS試験加速器からBL1上流への線型加速器移設、ビームの高速振り分けシステムの導入などを実施した。それに伴い、空洞型ビーム位置検出器・ビームプロファイルモニタ・差動CT型ビーム電荷検出器・ハローモニタなどの各種ビーム診断機器を増設した。それらの増設機器のための基準RF信号配信システムの増設もおこなった。また、ビームの高速振り分け運転に対応するため、ビームラインごとに時分割に各機器のトリガを制御する仕組みやビームに同期したデータ収集も導入した。以上の高度化対象について、実際にビームを用いて調整をおこなったところ、高速振り分け対応も含め、適切に機器の制御やデータの取得をおこなうことができた。本件では、これらのビーム診断システムの構成とその性能について報告する。 |
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WEP094 p.733 | SACLAでのハローモニタの改良 Improvement of halo monitor at SACLA ○大島 隆,前坂 比呂和(理研 SPring-8センター),松原 伸一(高輝度光化学研究センター),大竹 雄次(理研 SPring-8センター) ○Takashi Ohshima, Hirokazu Maesaka (RIKEN SPring-8 Center), Shinichi Matsubara (JASRI), Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center) X線レーザー発生などに使用されるアンジュレータの永久磁石は4E14個(64uC)の高エネルギー電子ビームの照射によって約1%の磁力の低下が起こることが報告されている。X線自由電子レーザー施設SACLAでは、電子ビームのハロー成分の磁石への照射量を監視するためのモニタが設置されている。レーザー発生用ビームラインBL3に設置されたハローモニタには、電子ビームの誘起するウェイク場の影響を抑制するためにRFコンタクトが取り付けられている。このRFコンタクトが、真空槽に乾燥窒素を導入して大気開放する作業中に折れ曲がりビーム通路を塞ぐという事故が過去に発生した。また、ウェイク場のモニタ信号への影響のさらなる削減も望まれた。そこで、2014年に新規設置されたビームラインBL2で使用するハローモニタにおいては、RFコンタクトの構造を機械的に堅牢で、ウェイク場の抑制性能を向上させた設計とした。ビームを使った試験からBL2用ハローモニタの出力信号は4GHz以下の領域において、ウェイク場の信号強度はBL3の物よりも20dB以上抑制されていることが確認された。現在、BL3、BL2ともにアンジュレータのギャップに追従してハローモニタのギャップも動作させて、電子ビームのハロー成分の強度を約0.2fC rmsの分解能で常時監視し、60秒間の積分値が5pCを越えると制御室に音声警告を発報する仕組みがユーザー運転中に運用されている。 |
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WEP095 p.738 | 超高速4極キッカーによる入射ビーム振幅の低減の提案 Proposal of Ultra-fast Quadrupole Kicker for Reduction of Injected Beam Motion ○中村 剛,出羽 英紀(高輝度光科学研究センター),安積 隆夫(理研播磨),小林 和生,藤田 貴弘,正木 満博,佐々木 茂樹,大熊 春夫(高輝度光科学研究センター) ○Takeshi Nakamura, Hideki Dewa (JASRI / SPring-8), Takao Asaka (RIKEN Harima), Kazuo Kobayashi, Takahiro Fujita, Mitsuhiro Masaki, Shigeki Sasaki, Haruo Ohkuma (JASRI / SPring-8) SPring-8 では、2極 / 4極キックが連続可変な、数ナノ秒の時間幅のキックを生成する 50kVパルス駆動の超高速キッカーを提案・試作し、ビーム試験において設計どおりのキックを確認した[1]。そこで、これを発展させて SPring-8 蓄積リングに適用し、off-axis 入射された入射ビームの水平ベータトロン振動を、数ナノ秒の時間幅の4極キックを用いて低減する手法を検討している。同様な手法であるパルス4極磁石入射では蓄積ビームの4極振動の励起が問題となり実用となっていないが、本手法では、短パルスキックを用いることによりその影響を入射バンチの近辺の数バンチのみに留めることができるので、蓄積ビームの品質劣化を大きく低減することが可能となる。SPring-8リングでは、入射ビームが持つ大きな水平のベータトロン振動が、種々の挿入光源が生成する非線形磁場の影響により垂直振動へと変換されて挿入光源に衝突し、挿入光源磁石の劣化や入射効率の悪化をもたらしてしており、この改善のために種々の補正用非線形磁石の設置等、大きな努力が払われているが、この水平振動を低減することができれば現象が非線形であることから大きな改善がもたらされることが期待される。 [1] T. Nakamura, H.Dewa, T. Asaka, K. Kobayashi, T. Fujita, M. Masaki,S.Suzuki, S.Sasaki, H.Ohkuma. "50kV-3ns超高速2極-4極キッカーの開発", MOOM08, Proc. of the 11th Ann. Meet. of PASJ (2014). |
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WEP096 p.742 | J-PARC MR入射誤差調整のための応答行列測定 Measurement of Response Matrix for Injection Error Correction of J-PARC MR ○畠山 衆一郎(三菱電機システムサービス(株)),外山 毅(高エネルギー加速器研究機構) ○Shuichiro Hatakeyama (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd), Takeshi Toyama (KEK) J-PARC MR において、ビーム輸送ラインから30GeV加速リングにビームを入射する際、四極電磁石の中心軸からの横方向の誤差に起因するビームロスを減少させるため入射誤差調整を行う必要がある。本報告では入射誤差調整時に使用する2ヶ所のBPMの位置情報と入射電磁石の電流値の行列dx(i)/dI(j) (i,j=1,2)をMRに入射する全てのビームバンチについて測定し誤差が最小になる手法を紹介し測定結果を述べる。 |
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WEP097 p.745 | 傾き制御電子バンチによるコヒーレントテラヘルツ光発生 Generation of coherent THz radiation by electron bunch tilting ○坂上 和之(早大高等研),西田 万里子,水柿 将貴,鷲尾 方一(早大理工研),浦川 順治(高エネ研),平 義隆,黒田 隆之助(産総研) ○Kazuyuki Sakaue (WIAS, Waseda Univ.), Mariko Nishida, Masataka Mizugaki, Masakazu Washio (RISE, Waseda Univ.), Junuji Urakawa (KEK), Yoshitaka Taira, Ryunosuke Kuroda (AIST) 高周波偏向空胴は極短バンチ電子ビームを計測するために発展してきた。我々は独自に偏向空胴を開発し、150fsの分解のを持つシステムの構築に成功している。偏向空胴は電子バンチ長を計測できることはもちろんであるが、電子バンチの縦方向と横方向に相関を与え、傾けることが可能である。これを積極的に用いて、電子バンチの進行方向と異なる、特定の角度に放射されるチェレンコフ放射をコヒーレント放射として取り出すことが可能であると考えた。早稲田大学で所有する高周波電子銃を用い、チェレンコフ放射のターゲットとして、TOPASと呼ばれる高分子材料を用いることによって広帯域かつ高強度なテラヘルツパルスが得られる。本講演では傾き制御電子バンチによるコヒーレントテラヘルツ光発生の原理、これまでの実験結果及び今後の展望に関して報告する。 |
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WEP098 p.748 | KEK入射器用電子RFディフレクターの開発 Development of RFdeflector for KEK-Linac ○井上 彬(総研大),吉田 光宏,夏井 拓也(高エネ研) ○Akira Inoue (SOKENDAI), Mitsuhiro Yoshida, Takuya Natsui (KEK) The advanced RF electron gun was installed for an electronic source of a high charge and a low emittance in KEK e+/e- Linac, and the sliced bunch monitor is needed to achieve the required emittance for the SuperKEKB injection. In the KEK-Linac, we are monitoring using a fluorescent plate on the beam line. It is possible to measure the projection emittance of the beam in this way, however it is not possible to measure the slice emittance. To develop an electron gun which can be generating a beam of super-low emittance corresponding to SuperKEKB, monitoring of the slice emittance is required. The slice of time direction on a beam can be acquired by measuring the beam sliced with the RFdeflector using a fluorescent plate. RF-deflector performance is square root of RF frequency, has developed a highpowered ones corresponding to 10 GeV beam using X-band frequency at near the end of KEK-Linac. However, because the beam energy is about 10MeV at the RF gun exit, enough resolution is obtained even by low energy. So, we have developed a new low energy RF-deflector using C-band frequency. |
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WEP099 p.752 | コヒーレント遷移放射を用いたフェムト秒電子ビーム計測 Bunch length measurement of femtosecond electron bunches based on coherent transition radiation ○野澤 一太,菅 晃一,楊 金峰,小方 厚,近藤 孝文,神戸 正雄,吉田 陽一(大阪大学産業科学研究所) ○Itta Nozawa, Koichi Kan, Jinfeng Yang, Atsushi Ogata, Takafumi Kondoh, Masao Gohdo, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.) 本研究では、阪大産研のレーザーフォトカソードRF電子銃ライナック・磁気パルス圧縮器を利用してフェムト秒電子ビームを発生し、電子ビームのバンチ長測定を実施した。電子ビームはバンチ長が短いほど、高い周波数の電磁波をコヒーレントに放射するため、コヒーレント放射の周波数スペクトルの解析により、電子ビームのバンチ長の情報を得ることができることが知られている。そこで、マイケルソン干渉計を用いて、電子ビームが真空と金属の境界面で放射するコヒーレント遷移放射のインターフェログラムを取得することでフェムト秒電子ビームのバンチ長測定を実施した。当日は、阪大産研の短パルス電子ビーム発生・計測実験の詳細と結果を報告する。 |
加速器技術/加速器制御 (8月5日 小ホール) | |
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WEP100 p.756 | IFMIF/EVEDA加速器の入射器試験におけるPulse Duty管理システムの開発 Development of Pulse Duty Management System for Injector commissioning of IFMIF/EVEDA Accelerator ○高橋 博樹,宇佐美 潤紀,榊 泰直(原子力機構),小島 敏行((株)ジーアイテック),成田 隆宏(日本アドバンストテクノロジー(株)) ○Hiroki Takahashi, Hiroki Usami, Hironao Sakaki (JAEA), Toshiyuki Kojima (Gitec Co., Ltd.), Takahiro Narita (Nippon Advanced Technology Co., Ltd.) IFMIF/EVEDA加速器(LIPAc)制御系の開発は、EUとJAEAが共同で進めているが、加速器運転における運転員などの人員の安全を確保する人員保護システム(PPS)と、ビームロスによる機器の損傷、放射化を低減させる機器保護システム(MPS)の両安全系は、JAEAが設計・開発を行う。 LIPAcのPPSでは、人員の加速器室への入退出を管理するだけなく、ビーム運転時に発生する放射線により運転員などが不要に被ばくすることがないよう、許認可に基づいてビーム発生量の管理を行う必要がある。そのため、入射器のコミッショニングにおいては、入射器からのビーム発生量を、ビーム発生時間を計測することで管理することとなった。 そこでビーム発生時間を管理するために、PPSのサブシステムとしてPulse Duty管理システム(PDMS)を設計し開発し、その機能試験を入射器のコミッショニング試験においてH+ビームを用いて実施した。その結果、開発したPDMSが、PPSが入射器のビーム運転許可信号をキャンセルした後、入射器のビームが実際に停止するまでの遅れ時間をも十分考慮した機能を有しており、安全を十分考慮したPulse Duty管理が実現できることを確認した。 本件では、PDMSの概要を説明するとともに、入射器のコミッショニングにおける試験結果を示し、本システムの開発状況について報告する。 |
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WEP101 p.760 | IFMIF/EVEDA加速器制御系データ収集系の開発状況 Development status of Data Acquisition System for IFMIF/EVEDA Accelerator 宇佐美 潤紀,○高橋 博樹(原子力機構),小向 聡((株)ジーアイテック) Hiroki Usami, ○Hiroki Takahashi (JAEA), Satoshi Komukai (Gitec Co., Ltd.) IFMIF/EVEDA加速器(LIPAc)制御系の開発は、EUとJAEAが共同で進めているが、全体監視などを行う中央制御システム(CCS)についてはJAEAが主体となって行っている。また、EUが開発した機器制御系とCCS間はEPICSを介してデータ授受が行われる。 JAEAでは、CCSにおける開発要素の1つとしてPostgreSQLを用いたLIPAcの全EPICSデータの保管と参照を行うシステム(データ収集系)の開発を進めている。一方、欧州では機器単体試験においてBEAUTY (Best Ever Archive Toolset, yet)を用いてデータ収集を行うため、CCSのデータ収集系においては、「BEAUTYとのデータの互換性確保」「複数のサーバ機による収集データを一括で画面参照」「データ収集とバックアップ作業の平行化」を考慮する必要があり、現在は前者2つについて対応を進めている。そして、入射器のコミッショニングにおいて、開発したデータ収集系の実証試験を行っている。データ収集系は、入射器、放射線モニタ等のデータを収集しており、CSS(Control System Studio)を用いたGUIによるデータ参照も可能である。 本件では、入射器のコミッショニングにおける実証試験の結果をもとに、データ収集系開発の現状について報告する。 |
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WEP102 p.764 | マシンモデルを利用した加速器制御系の構築 Development of accelerator device control system using the machine model ○川瀬 雅人(J−PARCセンター),高橋 博樹(日本原子力研究開発機構) ○Masato Kawase (J-PARC Center), Hiroki Takahashi (JAEA) 従来の制御システムの設計及び開発は、機器製作終了後から機器仕様を確認することが多く、制御系設計が後回しになっていた。また、各機器独自の制御プロセスが構築されるため種類も多様になってしまい、メンテナンス性、拡張性及び柔軟性が欠けた制御システムになっていた。これらの課題を克服するため、すべての機器制御を統一化できる制御系の構築が必須と考え、加速器構成機器制御にマシンモデルという抽象化した状態を定義し、機器制御を共通化した。 各機器に共通する情報を抽出し、それらの情報から十分な時間をかけてモデリングを行い、マシンモデルと呼ぶ抽象化クラスを構築した。 マシンモデルにおいては、機器の動作などの情報をもとにして、各機器の状態を、抽象化された共通の状態(Run、Standby、Stop、Down、Emergency、Fault)にあてはめる。そして、機器がどの抽象化された状態であるかの判断、機器側の状態移行処理などは、機器側制御系にのみ組込こととする。 この様に、各機器固有の手続き型制御を上位アプリケーションではなく機器側制御系でのみ処理するインターフェースにすることにより、機器改造や拡張時に必要となる上位アプリケーションの修正の手間を大幅に低減できる。 本報告では、J-PARC RCSにおける機器の状態定義と、状態遷移を用いた制御系の開発について報告する。 |
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WEP103 p.767 | J-PARC Main RingへのControl System Studioの導入 Deploynment of Control System Studio at J-PARC Main Ring. ○山田 秀衛(KEK / J-PARC / 総研大),高橋 大輔(関東情報サービス(株)),根本 弘幸(アクモス(株)),青山 俊明(関東情報サービス(株)) ○Shuei Yamada (KEK / J-PARC / Sokendai), Daisuke Takahashi (Kanto Information Service (KIS)), Hiroyuki Nemoto (ACMOS Inc.), Toshiaki Aoyama (Kanto Information Service (KIS)) J-PARC Main Ring (MR)加速器の制御システムはEPICSを用いて構築されている。2008年にMRのビーム運転が開始して以来、制御システムのGUIアプリケーションにはEDMとMEDMを用いてきた。これらはEPICSで標準的に使われているGUIツールキットであるが、近年の主流はControl System Studio (CSS)に移行しつつある。MRでは2014年にCSSを実行するのに充分なCPUとメモリを持った機種へと制御端末を更新し、CSSを評価してきた。MRでのCSSの導入状況と見通しについて報告する。 |
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WEP104 p.770 | J-PARC MRのMPS装置の異常発生と対策 The Abnormality Occurrence of MR-MPS Device and Countermeasure in J-PARC ○木村 琢郎,中川 秀利,佐々木 信哉(KEK) ○Takuro Kimura, Hidetoshi Nakagawa, Shinya Sasaki (KEK) J-PARCのMRではMPS装置により情報を収集し、論理処理を行うことで異常が発生した際に加速器内にあるビームを安全に処理することで、各機器の保護を行っている。 そのため加速器の保護を行うMPS装置に異常が発生した際の適切な対応が重要となる。 本文では2015年3月に発生したMPS装置の通信異常により一部MPS情報がモニタできなくなった事象を例に挙げ、異常発生の原因やMPS装置の復旧手順、異常発生を抑制する対策について紹介を行う。 また、収集した情報の論理処理や通信を担うMPS装置のCPUボードの新規設計、開発を現在行っている。このCPUボードの開発により異常発生を抑制する対策も併せて紹介する。 |
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WEP105 p.774 | 小型商用電源のJ-PARC MR加速器への応用:問題と解決 Experiences of Commercial Amplifiers for J-PARC MR Magnet Power-Supplies ○上窪田 紀彦,五十嵐 進,山田 秀衛,下川 哲司(高エネルギー加速器研究機構/J-PARC),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング),高野 淳平,木村 琢郎,村杉 茂(高エネルギー加速器研究機構/J-PARC) ○Norihiko Kamikubota, Susumu Igarashi, Shuei Yamada, Tetsushi Shimogawa (KEK/J-PARC), Ryu Sagawa (Universal Eng.), Junpei Takano, Takuro Kimura, Sigeru Murasugi (KEK/J-PARC) 加速器の性能向上のために、小型の補正電磁石を少数追加することがある。この際、電磁石電源用に商用製品を利用して時間やコストを節約しようということはままあることである。 ここ数年、J-PARC MRでは小型パターン電源としてNF回路設計ブロック社の商用アンプを導入してきた(RQ電源1台、Skew-Q電源4台、Trim Coil補正電源5台)。これらの電源は性能は十分だったが、遠隔操作系やインターロック時の振る舞いでMR加速器の標準と理念があわず、MRで本運用に使用する際の問題となった。このため、加速器制御システムとの取合い部分を追加改修して整合を取る必要があった。この改修の経験は、別途開発が進行していたNF社のカスタマイズ電源(8極電源6台、PulseBend補正電源1台)に還元され、MRの本運用にも適合した仕様で電源が製造された(されようとしている)。 具体的に何が問題であったか、また解決に至るまでの経緯について報告する。 |
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WEP106 p.777 | J-PARC MRにおける主電磁石Trim-coilリレー切替装置のEPICS制御システム EPICS control system for trim-coil relay-selectors in J-PARC MR ○佐藤 健一,五十嵐 進,上窪田 紀彦(J-PARC/KEK) ○Kenichi Sato, Susumu Igarashi, Norihiko Kamikubota (J-PARC/KEK) J-PARC MRにおける主電磁石(Bend, Quad, Sext)にはTrim-coilが導入されている。このTrim-coilは(1)Beam-Based-Alignmentのスタディ、(2)fluxモニタ、(3)加速中のリップルノイズ除去、(4)電磁石個々のばらつきなどを補正するためのハーモニック補正などの目的で用いられている。これらの利用に用いるために、Trim-coilにはそれぞれの目的に応じた異なるデバイス(主に電源等)を接続する。 これらのデバイスの切り替えの際には3つの建屋に分散された配線を手作業でつなぎ直していたが、2015年2月より導入されたリレー切替装置によって、接続するデバイスをリレースイッチで切り替えることができるようになった。さらにJ-PARC MR標準のPLC型Linux CPUおよびPLC I/O moduleを用いて制御システムを構築することにより、遠隔によるTrim-coilのリレー切り替えを実現した。 リレー切替装置で扱うのはMR主電磁石のうち288台のTrim-coil (Q, S)であり、1台のTrim-coilに対して4種類のデバイスを切り替える。それぞれのデバイスに対してリレーを設けるため、必要な信号点数はリレーだけで1152点、PowerやInterlockなどの信号点も合せるとおおむね1200点となる。 本制御システムは2015年4月における遅い取り出しの機器調整試験から運用が開始され、その後のHD利用運転においても加速中のリップルノイズを低減する目的で用いられた。 |
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WEP107 p.781 | MECHATROLINK-III通信によるSuperKEKB用コリメータ制御システムの開発 Development of collimator control system for SuperKEKB with MECHATROLINK-III communication ○芳藤 直樹(東日技研),中村 達郎,小田切 淳一,石橋 拓弥,照井 真司(高エネ研) ○Naoki Yoshifuji (e-JAPAN IT Co.,Ltd.), Tatsuro Nakamura, Jun-ichi Odagiri, Takuya Ishibashi, Shinji Terui (KEK) 2015年度のSuperKEKBのコミッショニング開始に向けて、各サブシステムのアップグレードが進んでいる。 EPICSをベースとした制御システムについても種々の更新が行われている。 その一例として、コリメータの制御がある。 この制御には横河電機社製FA-M3コントローラを使用している。 従来のシステムでは、1軸制御の位置決めモジュール(F3NC01)を使用していた。 新しいシステムでは、15軸制御が可能な位置決めモジュール(F3NC97)を採用した。 同モジュールはMechatrolink-IIIによりステッピング・モータのドライバと通信を行う。 その結果、ハードウェアの調達コストの削減ができた。 上記システムのEPICSソフトウェア開発に関しては、Mechatrolink-III通信のためのドライバ・サポートを作成した。 また、コリメータ用のモータ制御のためのデバイス・サポートも合わせて作成した。 本稿ではこのコリメータ制御システム開発の現状を報告する。 |
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WEP108 p.787 | J-PARC放射線データ共有システムの全体監視画面「RadAccSafety」の整備 Summary Alarm GUI "RadAccSafety" for J-PARC Radiation-Monitor Surveillance ○青山 俊明,飯塚 上夫,吉田 奨(関東情報サービス(株)),上窪田 紀彦(高エネルギー加速器研究機構 ) ○Toshiaki Aoyama, Takao Iituka, Susumu Yoshida (kantou information service), Norihiko Kamikubota (High Energy Accelerator Research Organization) ハドロン実験施設の放射性物質漏えい事故(2013.3)の再発防止策の一環として2014年度に放射線モニタ情報を加速器で共有するシステム、J-PARC放射線監視システムが構築された。J-PARC放射線監視システムは他の加速器制御システムと干渉しない独立したシステムである。 この放射線データ共有システムを利用して、 加速器オペレータが放射線レベルを監視できる全体監視画面「RadAccSafety」を開発した。 RadAccSafetyの主要な画面、機能としては以下の通り。 1.メイン画面・・・高警報、高高警報に変化した時間、場所の閲覧、他画面への遷移 2.MAP画面 ・・・各モニタの現在値、名称、アラーム、配置場所の閲覧 3:モニタ詳細画面・・・各モニタのモニタ値、閾値、トレンド情報の閲覧 これらの各画面の整備、運用状況について報告する。 |
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WEP109 p.791 | ROOTを用いたSuperKEKBアーカイブデータ用表示・解析ソフトの開発 Development of user interface for the SuperKEKB archived data using ROOT ○廣瀬 雅哉(関東情報サービス(株)),岩崎 昌子(高エネルギー加速器研究機構) ○Masaya Hirose (KIS), Masako Iwasaki (KEK) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、KEKB電子・陽電子ビーム衝突型加速器を用いたBファクトリー実験が行われてきた。現在、KEKB加速器の更なる高輝度化を目的として、SuperKEKB加速器の建設が進められている。 加速器に関する各種データのアーカイブとして、KEKBではKEKBLogを用いてきた。SuperKEKBにおいても、KEKBLogを使用する一方で、Control System Studio(CSS)を利用したデータアーカイブソフト(CSS Archiver)についても、開発を進めている。ここで、CSS Archiverは、各種データをPostgreSQL等のデータベースに格納する。我々は、ユーザーが、蓄積されたデータベースへアクセスして、各種データを表示・解析するためのソフトウェアツールを、ROOTを用いて開発を行った。ROOTはCERNで開発された高エネルギー実験向けのデータ解析ツールである。我々が開発した表示・解析ソフトを使用して、ユーザーが目的にあわせて、アーカイブデータの表示や解析を行うことができる。また、KEKBLogのアーカイブデータへアクセスすることも可能である。 本件では、これらROOTを用いたSuperKEKBアーカイブデータ用表示・解析ソフトの詳細について、報告する。 |
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WEP110 p.795 | SuperKEKBへのCSSアラームシステム導入における性能評価 Evaluation of the CSS based Alarm System for SuperKEKB ○中村 卓也(三菱電機システムサービス(株)),岩崎 昌子,帯名 崇,佐々木 信哉(高エネルギー加速器研究機構),浅野 和哉(関東情報サービス) ○Takuya Nakamura (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Masako Iwasaki, Takashi Obina, Shinya Sasaki (KEK), Kazuya Asano (KIS) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、KEKB加速器を用いたBファクトリー実験が行われてきた。現在、KEKB加速器の更なる高輝度化を目的として、SuperKEKB加速器の建設が進められている。 SuperKEKBでは、KEKBでの電子・陽電子衝突頻度を約40倍高めることを目指しており、このような高輝度加速器の運転下において、安定して動作可能なアラームシステムの構築が重要である。 KEKBでは、主にSADスクリプトを利用したアラームシステムを運用してきたが、我々はSuperKEKBのための新しいアラームシステムとして、Control System Studio(CSS)を利用したアラームシステムの導入を検討している。 ここで、CSSを用いたアラームシステムは、近年、いくつかの加速器で導入されているが、SuperKEKBはそれらの加速器に比べて、監視する点数が非常に多いという特徴がある。 KEKBでアラームシステムが監視する点数は約25000点であったが、SuperKEKBではさらに増加すると考えられ、そのような運転環境下で、CSSアラームシステムが正常に動作するかどうか、評価が必要となる。 本件では、SuperKEKBへのCSSアラームシステム導入を検討するための、アラームシステム動作試験、およびその性能評価について報告する。 |
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WEP111 p.800 | KEK 入射器におけるイベントシステムのためのMVME6100を用いたEPICS IOCの構築 Development of MVME6100 based EPICS IOC for Event Timing Syste at KEK Injector Linac. ○草野 史郎(三菱電機システムサービス),佐藤 政則(高エネルギー加速器研究機構) ○Shiro Kusano (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Masanori Satoh (KEK) KEK 入射器ではイベントシステムと呼ばれるタイミング配信システムを利用して電子銃、RF励振系、パルス電磁石、ビームモニターなどの各種パルスデバイスに対してタイミング信号を配信している。これまで本システムでは、MVME5500 CPUボードを用いてEPICS IOCの構築をおこなった。SuperKEKBに向けて、イベントシステムの機能の一つであるデータバッファー(最大2kB)を利用してRF励振系などの機器に位相やイベントコードなどの情報を送ることを検討している。しかしMVME5500 CPUでは、50Hz以上でのデータ転送が困難であることがわかった。このため、MVM6100 CPUボードを用いたEPICS IOCでの試験をおこない50Hz以上でのデータ転送が可能であることがわかった。本稿では、MVM6100 CPUボードを用いたEPICS IOCの構築について詳細を報告する。 |
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WEP112 p.803 | KEK 入射器におけるEPICS EPIDを利用した電磁石電源用フィードバック制御システムの構築 Development of a Feedback Control System for Magnet Power Supplies using EPICS EPID at KEK Injector Linac. ○草野 史郎(三菱電機システムサービス),諏訪田 剛,佐藤 政則,肥後 寿泰,横山 和枝(高エネルギー加速器研究機構) ○Shiro Kusano (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Tsuyoshi Suwada, Masanori Satoh, Toshiyasu Higo, Kazue Yokoyama (KEK) KEK 入射器(入射器)は、4つの異なるリング(KEKB HER/LER、PF、PF-AR)へ電子および陽電子ビームを安定に供給してきた。SuperKEKB に向けて機器の増強および更新を進めており、特に新陽電子ラインにおいて電磁石および電源の増強をおこなった。しかしながら、今回導入した電源の特性により定電流制御が困難であったため、定電圧制御を検討している。しかし定電圧制御ではコイルの温度変化により電流変化が起きることから、電流を一定するために EPICS EPID(Enhanced version of the EPICS PID record)を利用したフィードバックシステムの構築をおこなった。本稿では、電磁石電源の定電圧制御下における電流の安定化をおこなうフィードバックシステムの詳細について報告する。 |
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WEP113 p.806 | KEK入射器におけるCSS Archiverの現状 Present status of CSS Archiver at KEK Injector Linac ○工藤 拓弥,草野 史郎(三菱電機システムサービス(株)),佐藤 政則,古川 和朗(KEK加速器/総研大加速器科学専攻) ○Takuya Kudou, Shiro Kusano (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Masanori Satoh, Kazuro Furukawa (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science) KEK入射器では、各機器の監視を目的に変化情報を蓄積しており、変化情報履歴システムとしてEclipseベースの制御システムツールであるCSS(Control System Studio)のひとつである CSS Archiverを使用している。 このシステムのバックエンドデータベースには、一般的なリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)であるPostgreSQLを用いているが、RDBMSは非RDBMSに比べ、データベースサイズが肥大化しやすい。 そこでKEK入射器では、PostgreSQLのパーティショニング機能、テーブルスペース機能を用いてデータベースの分割化をおこなっている。また、pg_reorgというツールを用い、システム稼働中にデータの再編成をおこない、履歴データ読み出し速度向上、データベースサイズの圧縮を図っている。 本稿では、CSS Archiver の導入運用の詳細について報告する。 |
加速器技術/LLRF (8月5日 小ホール) | |
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WEP114 p.809 | SuperKEKBビームコミッショニングに向けたLLRF制御システムの状況と予備試験 Status and Preliminary Test of LLRF Control System for SuperKEKB Commissioning ○小林 鉄也,赤井 和憲,海老原 清一,小田切 淳一,可部 農志,中西 功太,西脇 みちる(高エネ研),岩城 孝志,出口 久城,林 和孝,漁師 雅次(三菱電機特機システム) ○Tetsuya Kobayashi, Kazunori Akai, Kiyokazu Ebihara, Jun-ichi Odagiri, Atsushi Kabe, Kota Nakanishi, Michiru Nishiwaki (KEK), Takashi Iwaki, Hisakuni Deguchi, Kazutaka Hayashi, Masatsugu Ryoshi (MELOS) いよいよ本年度に開始されるSuperKEKBのビームコミッショニングに向けた低電力高周波(LLRF)制御システムの状況について報告する。 KEKBより更に低エミッタンスかつ大電流のビーム蓄積するSuperKEKBでは、より高精度かつフレキシブルな空洞電圧(及びチューナ)の制御が重要となり、新たにEPICS-IOC組み込み型FPGAボード(μTCA規格)をベースとしたデジタルLLRF制御システムが開発され、量産器の製造が完了した。最初のコミッショニングでは、リング全体で約30ヶ所あるRF(クライストロン)ステーションのうち、9ステーションに新LLRF制御システムを適用する。システムのインストール、同軸ケーブル配線等が完了し、順調に準備が進んでいる。 試作での大電力試験では、 I/Q成分で制御する新LLRF制御にとってクライストロンの大きな位相変化が問題になることが分かり、クライストロン位相ロックループ(KLY-PLL)機能をFPGAに新たに追加した。改めて大電力試験を行った結果、KLY-PLLは期待通り動作し空洞フィードバック制御において十分な安定性が得られた。 |
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WEP115 p.814 | SuperKEKB入射器用高周波モニターシステムの現状 Present status of RF monitor system for SuperKEKB injector linac ○片桐 広明,明本 光生,荒川 大,チュウ フェン,松本 利広,三浦 孝子,道園 真一郎,矢野 喜治(高エネ研) ○Hiroaki Katagiri, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Feng Qiu, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Shinichiro Michizono, Yoshiharu Yano (KEK) 高エネルギー加速器研究機構の電子陽電子入射器では、複数リングへの同時入射運転に対応可能な高周波モニターシステムの導入を進めている。システムの中心となるRFモニターユニットは、アナログIQ検出器、ADCボード、FPGAボード等で構成される。FPGAにはイベントレシーバ回路が組み込まれ、入射器のビームモードやタイミングを制御するイベント・タイミングシステムから配信されるイベントコードを受信することで、ビームモードの識別を可能としている。当初、2014年9月より初回導入分35台を運用する予定であったが、現場に設置して動作確認したところ、イベントコードを正確に受信できない現象が頻発した。調査の結果、イベントレシーバ回路を駆動するクロック信号の位相ノイズが、要求値を満たしていなかったことが判明し、対策を施した。現在、約60台のモニターユニットを導入し、EPICS-IOCの整備を進めている。 |
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WEP116 p.818 | Zynq搭載MTCA.4準拠のA/D・D/Aボード MTCA.4 FPGA(Zynq) A/D・D/A board ○漁師 雅次,岩城 孝志,田尻 敬一,出口 久城,林 和孝,松本 隆太郎,水野 隼一(三菱電機特機システム株式会社) ○Masatsugu Ryoshi, Takashi Iwaki, Keiichi Tajiri, Hisakuni Deguchi, Kazutaka Hayashi, Ryuutaro Matsumoto, Junichi Mizuno (Mitsubishi Electric TOKKI Systems) MTCA.4規格に準拠し、DESY推奨のRTM(Rear Transition Module)との入出力コネクタ(Zone3コネクタ)をClass_A1.1に対応させた、A/D・D/A変換ボードを開発した。 従来のA/D・D/A変換ボードは、MTCA.0規格に準拠したシングルフルサイズであり、入出力コネクタが狭い前面パネルに集中してケーブルが密集していた。また、PPC440内蔵のVirtex5-FXTを使っており、制御アルゴリズムの高度化に伴い、内部CPUバスおよびロジックの処理速度がボトルネックとなってきた。 新たに開発したA/D・D/A変換ボードは、Zone3コネクタを通してRTMとアナログ信号の入出力ができる構造となっている。そのため、ダウンコンバータやフィルタ回路をRTMに実装することでケーブルレスおよび小型化が可能となる。Zone3コネクタから入力される高周波信号はA/D変換されFPGAへ入力され、FPGAからの出力をD/A変換しアナログ信号をZone3コネクタへ出力できる。FPGAはCPU CortexA9内蔵のFPGA「Zynq」を採用し、CPUによる柔軟な処理およびロジックによるリアルタイム処理の組み合わせによる高度な信号処理を実現できる。従来の制御ボードと同様に、本ボードをEPICS IOCとして動作できるようにFPGA「Zynq」内蔵のCPU CortexA9にLinuxとEPICSを組込む。 新しいA/D・D/A変換ボードで、LLRF・BPMなど加速器制御およびモニタ回路の処理能力向上を図る。 |
加速器技術/レーザー (8月5日 小ホール) | |
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WEP117 p.823 | レーザーコンプトン散乱γ線(LCS-γ)による偏光と中性子の放出角度分布の依存性の測定 Measurement of the distribution of neutron emission depends on polarization by LCS-γ ○武元 亮頼,山口 将志,橋本 智,天野 壮(兵庫県立大 高度研),早川 岳人(日本原子力研究開発機構),浅野 芳裕(理化学研究所),糸賀 俊朗(高輝度光科学研究センター),佐波 俊哉(高エネルギー加速器研究機構),宮本 修治(兵庫県立大 高度研) ○Akinori Takemoto, Masashi Yamaguchi, Satoshi Hashimoto, Sho Amano (LASTI、univ. of Hyogo), Takehito Hayakawa (JAEA), Yoshihiro Asano (RIKEN), Toshiro Itoga (JASRI), Toshiya Sanami (KEK), Shuji Miyamoto (LASTI、univ. of Hyogo) NewSUABRU放射光施設にあるγ線ビームラインで電子ビームのエネルギーやレーザーの波長を変えることにより最大エネルギーが1.7〜76MeVのγ線を生成できる。このLCS-γ線は中心軸からの角度にエネルギーが依存しているのでコリメータを設置することにより、準単色のγ線が得られる。また、レーザーの偏光を高い割合で保存するのでレーザーの偏光を変えることによってLCS-γの偏光も変えることができる。 NewSUBARUをシングルバンチモードで運転し、電子ビームに同期した直線偏光のパルスレーザーを蓄積リングに入射することで周期的にLCS-γを発生させることができ、そのLCS-γをターゲットに照射することによって光核反応を起こさせた。この時、光核反応と同時に一部のγ線が電子により散乱される。この中性子と散乱γ線をプラスチックシンチレータで計測し、TOF法により中性子のエネルギースペクトルを求めた。 以前、我々の実験ではターゲットとしてAu,Cu,NaIを使って測定したが、今回はその時とは違うハイパワーのレーザーを用いるなど計測系を変え、ターゲット核種を変更して実験を行う予定である。まずは、計測系の確認のためにAuターゲットを用いて試験を行っている。 |
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WEP118 p.827 | Progress towards table-top pre-bunched THz FEL and its application to soft X-ray generation via inverse Compton scattering ○Alexander Aryshev, Mikhail Shevelev, Konstantin Lekomtsev, Masafumi Fukuda, Yosuke Honda, Nobuhiro Terunuma, Junji Urakawa (KEK) The motivation for developing a linac-based THz source at KEK LUCX is coming from the growing interest to THz radiation and a possibility to utilize it soft X-ray production via inverse Compton scattering. We have proposed two approaches to produce the intense radiation beams in the range of 0.1-5 THz based on Coherent Smith-Purcell Radiation and Coherent Undulator Radiation in “super-radiant” regime on a 8 MeV and 30 MeV electron beam at KEK LUCX accelerator respectively. First radiation type is generated when a charged particle moves in the vicinity of a periodical pattern or grating. When radiation wavelength is comparable to or longer than the bunch length it become coherent. Similar radiation enhancement is happening when micro-bunch period coincided with undulator period. To produce such a micro-bunch train of electrons a new Ti:Sa laser system for LUCX RF Gun has been developed and electron micro-train has been confirmed. In this report the status of the experiment, Ti:Sa laser system modification, CSPR and CUR basic properties and electron beam characterization will be presented. The maximum achievable THz power from both approaches will also be discussed |
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WEP119 p.831 | 卓上マイクロビーム源のためのファイバーレーザーおよび電子源の研究 Study on Fiber Laser and Electron Beam Source for Table-top Micro Beam Source ○岡元 勇人(東大),吉田 光宏(高エネルギー加速器研究機構),上坂 充,大槻 祥平(東大),佐藤 大輔(東工大) ○Hayato Okamoto (UTokyo), Mitsuhiro Yoshida (KEK), Mitsuru Uesaka, Shohei Otsuki (UTokyo), Daisuke Sato (Tokyo Tech) Most of radiobiology experiments are done in the limited conditions, such that machine time is limited and the area is treated as radiation controlled area. Our laboratory is aiming for developing a table-top electron micro beam source, whose beam size is micrometer order so that we can irradiate just the nuclei of cells (~1μm) and observe the behavior in real time. This beam source will be realized by dielectric laser accelerators (DLAs), which is expected to produce acceleration gradients of ~GV/m. To drive these accelerators, femtosecond pulse laser (~GW) has to be incident to the structure. For this laser, we chose Ytterbium(Yb) laser, which has high quantum efficiency and high thermal conductivity, and is proper to produce ultra short pulse because it has wide range spectrum of oscillation band. We succeeded in getting ultra short pulse (central wavelength: 1030nm, average output: 10W, pulse width: 100fs, reputation rate: 84MHz) from Yb fiber laser system. Also in order to make electron beam source by make ultraviolet laser incident into photocathode, we then converted the obtained infrared laser (1030nm) to 258nm (4ω) using BBO and LBO non-linear crystals. |
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WEP120 | 多段レーザー航跡場加速の安定化に関する研究 Study on stabilization of multi-stage laser wakefield acceleration ○中新 信彦(阪大光科学センター),細貝 知直(阪大院工),益田 伸一,パサック ナヴィーン,大塚 崇光,ジドコフ アレクセイ(阪大光科学センター),中村 浩隆,岩佐 健太,竹口 直輝,大迫 浩幹(阪大院工),末田 敬一,金 展(阪大光科学センター),井上 龍夫,伊東 正篤(コンポン研),神門 正城(原研関西),兒玉 了祐(阪大院工) ○Nobuhiko Nakanii (PPC, Osaka U.), Tomonao Hosokai (GSE, Osaka U.), Shinichi Masuda, Naveen Pathak, Takamitsu Otsuka, Alexei Zhidkov (PPC, Osaka U.), Hirotaka Nakamura, Kenta Iwasa, Naoki Takeguchi, Kouki Osako (GSE, Osaka U.), Keiichi Sueda, Zhan Jin (PPC, Osaka U.), Tatsuo Inoue, Seitoku Ito (Genesis Research Institute, Inc.), Masaki Kando (KPSI, JAEA), Ryosuke Kodama (GSE, Osaka U.) レーザー航跡場加速(LWFA)は、高強度レーザー駆動の電子プラズマ波の高い加速勾配と極端に短い周期から高エネルギーで極短バンチ、大電荷、低エミッタンスのビームが発生可能で、超高速電子イメージングやX線自由電子レーザーなどへの応用が期待されている。大阪大学では複数のレーザーパルスを用いた多段LWFAによる安定で高品質な電子源の開発を行っている。多段LWFAは電子の発生と加速をそれぞれ別のレーザーパルスで励起した航跡場で行うことで、電子の入射位相の選択を可能とし、エネルギーの制御を可能にする。これまでの研究でプラズマオプティクスを用いた安定で制御性の良い入射用電子源を開発し、この入射電子を別のレーザーで励起した航跡場中で加速・位相回転させることに成功した(多段LWFAの実証)。しかし、多段LWFAによって得られる電子のエネルギーは不安定であった。これはレーザーのポインティングのふらつきによって入射電子の航跡場への入射位置がずれてしまうためで、現在、真空ポンプなどからの振動の抑制やフィードバック制御によるレーザーのポインティングの安定化を図っている。これらの開発および実験状況について報告する。 |
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WEP121 p.834 | SuperKEKB入射器におけるRF電子銃用レーザーの高性能化 Improvements of the Laser System for RF-Gun at SuperKEKB Injector ○張 叡,周 翔宇,夏井 拓也,吉田 光宏,小川 雄二郎(高エ研) ○Rui Zhang, Xiangyu Zhou, Takuya Natsui, Mitsuhiro Yoshida, Yujiro Ogawa (KEK) For realizing higher charge and low emittance electron and positron beams in SuperKEKB, we have been making improvements in laser system for RF-gun. The difficulty in controlling thermomechanical distortions has been one of the most important factors for preserving high laser conversion efficiency of infrared-to-ultraviolet and operating at higher repetition rate. We demonstrated that efficient removal of waste heat can be realized by adopting Yb:YAG thin disk and copper plate composite via gold-tin (Au-Sn) soldering. On the other hand, amplification under cryogenic environment is an excellent candidate for high repletion laser operation. Gain for seed laser at different wavelength under different pump power density are tested. Excellent thermal management and high charge beams have been achieved by improvements of these two aspects. These demonstrations indicate that effective and excellent thermal management can be realized for the laser system operating under 25 Hz with double bunch or 50 Hz to meet the requirements of SuperKEKB project. |
13:00 - 15:00 | |
WEP122 p.838 | レーザーCompton散乱ガンマ線ビームを用いた磁気Compton散乱測定 Measurement of Magnetic Compton Scattering by Laser Compton Scattering Gamma-ray Beam ○山口 将志,武元 亮頼(兵庫県立大学 高度研),小泉 昭久(兵庫県立大学物質理学),天野 壮,橋本 智(兵庫県立大学 高度研),堀 史説(大阪府立大学),宮本 修治(兵庫県立大学 高度研) ○Masashi Yamaguchi, Akinori Takemoto (LASTI,Univ.of Hyogo), Akihisa Koizumi (School of MS,University of Hyogo), Sho Amano, Satoshi Hashimoto (LASTI,Univ.of Hyogo), Fuminobu Hori (Osaka Prefecture University), Shoji Miyamoto (LASTI,Univ.of Hyogo) NewSUBARU放射光施設でのLCSガンマ線源は、波長10.5μmの炭酸レーザーと1GeV@300mAの電子ビームとの衝突で発生する1.7MeVの単純色のガンマ線ビームである。レーザーの出力には揺れがあり、それはLCSガンマ線の強度の揺れにつながる。本実験では、LCSガンマ線源の90°コンプトン散乱の強度を測定することで、入射レーザーの揺れに伴うLCSガンマ線源の総フラックスの補正とLCSガンマ線源の偏光度測定を行った。 レーザーCompton散乱(LCS)ガンマ線の偏光は入射レーザーの偏光をほぼ100%保存する。入射レーザーの偏光を、右回り、左回りの円偏光と素早い入れ替えを行うことにより、LCSガンマ線の偏光を瞬時に変更できる。この性質を利用し、磁気コンプトン散乱の測定を行う予定である。またその過程で、入射レーザーが電子ビームとの衝突点に到達するまでのミラー系で偏光面がどのように変化するかを測定する。 |
加速器技術/真空 (8月5日 小ホール) | |
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WEP123 p.841 | ケミカルエッチング処理した金属表面とコーティングした金属表面の2次電子放出率の比較 COMPARISON OF SECONDARY ELECTRON YIELDS FROM CHEMICALLY ETCHED AND THIN FILM COATED METALS ○照井 真司,久松 広美,石橋 拓弥,末次 祐介,柴田 恭,白井 満(高エネ研) ○Shinji Terui, Hiromi Hisamatsu, Takuya Ishibashi, Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata, Mitsuru Shirai (KEK) 近年・将来の陽電子/陽子蓄積リングでは、ビーム軌道周辺の電子によって励起されるビーム不安定性、いわゆる電子雲不安定性の抑制が重要な課題となっている。 電子雲の発生過程は、放射光が真空チェンバーの壁に照射され光電子が発生され、その光電子がバンチの電場でキックされ真空チェンバーに衝突して出てきた2次電子が、正電荷ビームにまとわりつくというものである。この電子雲が、ヘッドテイル不安定性等の問題を引き起こす。 従来よく用いられている対策は、ビームチェンバー内面に2次電子放出率の小さい、例えば、窒化チタン(TiN)やグラファイトのコーティングを行うことである。 しかし、ビームチェンバーの形状が複雑だったり、温度を上げられない機器が取り付けてある場合には、コーティングは採用できない。 我々は、コーティングが難しいビームチェンバーの2次電子放出率を減らす一つの方法として、内面をケミカルエッチングして表面を荒らす手法を提案している。 今回の発表では、銅チェンバーを想定して、表面をケミカルエッチングした銅サンプルと、表面にTiNとグラファイトをコーティングしたサンプルを作製し、それらの2次電子放出率とガス放出率を測定した結果等を報告する。ケミカルエッチングの有用性を示す結果を得ることができた。 |
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WEP124 p.845 | SuperKEKB真空システムの建設 - IV Construction Status of the SuperKEKB Vacuum System - IV ○末次 祐介,金澤 健一,柴田 恭,石橋 拓弥,久松 広美,白井 満,照井 真司(高エネ研) ○Yusuke Suetsugu, Ken-ichi Kanazawa, Kyo Shibata, Takuya Ishibashi, Hiromi Hisamatsu, Mitsuru Shirai, Shinji Terui (KEK) KEKではSuperKEKBの建設が2010年から進められている。主リングの真空システムでは、主にビームパイプ、ベローズチェンバーや真空ポンプ等、各種真空機器の新規製作、制御システムの刷新、インフラの更新等が進められている。約1200本の新規ビームパイプは、基本的にアンテチェンバーを持つ構造で、主ポンプとなるNEGストリップがアンテチェンバー内部に組み込まれている。陽電子リング用ビームパイプには電子雲不安定性対策の一つとして内面にTiN膜がコーティングされる。ビームパイプは主リングトンネル設置前に、150℃にて24時間程ベーキングされる。2015年4月の時点で、測定器のバックグラウンド低減に必要なビームコリメータも含め、約98%のビームパイプが主リングトンネルへ設置された。ビームパイプやベローズチェンバーの接続には内面の段差が小さいMO型フランジを採用している。ベーキング、コーティングや設置作業において、のべ5000回以上の締め付けを行ったが、一回目の締め付けでリークが残ったのは5%以下であった。新しい制御システムを用いたトンネル内でのNEG活性化は約40%終了した。イオンポンプのベーキングおよびNEG活性化後の平均圧力は108 Pa台である。冷却水配管、圧空配管更新作業もほぼ終了している。建設の最終段階に入ったSuperKEKB主リング真空システムの現状を報告する。 |
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WEP126 | 四重極質量分析計を用いたミュオン標的からのガス放出分析 Analysis for an outgassing from a muon targaet using a quadrupole mass spectrometer ○的場 史朗,牧村 俊助,河村 成肇,三宅 康博,門野 良典(高エネ研),鬼澤 聡志,松澤 行洋(NAT),田部 正人(シーケル),大井 元貴,明午 伸一郎(原子力機構) ○Shiro Matoba, Shunsuke Makimura, Naritoshi Kawamura, Yasuhiro Miyake, Ryosuke Kadono (KEK), Satoshi Onizawa, Yukihiro Matsuzawa (NAT), Masato Tabe (Seekel), Motoki Ooi, Shinichiro Meigo (JAEA) J-PARC物質・生命科学実験施設では、陽子ビームライン上に四重極型質量分析器を設置し、残留及び放出ガスを常時モニターしている。我々は、放出ガススペクトルに特異的なパターンが出現することをトリガーとして、冷却水漏えいやミュオン標的破損の際に陽子ビーム運転を緊急停止させるためのインターロックに用いる事が可能ではないかと考えている。 今回の発表では、四重極質量分析計から得られた陽子ビーム照射時における質量数1-100までの放出ガス質量分析データを解析し、上記インターロック構築の可能性を探る。 |
加速器応用、産業利用 (8月5日 小ホール) | |
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WEP127 p.850 | 炭素線治療用超伝導回転ガントリーの建設 Construction of a superconducting rotating-gantry for heavy-ion therapy ○岩田 佳之,野田 耕司,白井 敏之,藤田 敬,古川 卓司,水島 康太,原 洋介,皿谷 有一,丹正 亮平,松葉 俊哉,森 慎一郎,佐藤 眞二,正田 光一(放医研),藤本 哲也,新井 弘樹(加速器エンジニアリング),荻津 透(高エネ研),雨宮 尚之(京大工),長本 義史,折笠 朝史,高山 茂貴(東芝) ○Yoshiyuki Iwata, Koji Noda, Toshiyuki Shirai, Takashi Fujita, Takuji Furukawa, Kota Mizushima, Yosuke Hara, Yuichi Saraya, Ryouhei Tanshou, Shunya Matsuba, Shinichiro Mori, Shinji Sato, Koichi Shouda (NIRS), Tetsuya Fujimoto, Hiroki Arai (AEC), Toru Ogitsu (KEK), Naoyuki Amemiya (KUEE), Yoshifumi Nagamoto, Tomofumi Orikasa, Shigeki Takayama (Toshiba) 粒子線がん治療において、粒子ビームを患者に対して任意の角度から照射可能とさせる回転ガントリーは必要不可欠な装置であり、陽子線がん治療装置では標準採用されるに至っている。一方、炭素線がん治療においては、回転ガントリーに搭載される電磁石に必要な磁気剛性が陽子線用のそれに比べ約3倍高いことから、電磁石群やそれらを支える構造体のサイズや重量が非常に大型となる。現在、炭素線用回転ガントリーは世界で唯一、ハイデルベルグに建設され稼働中であるが、その回転部重量は600トンを超えると報告されている。我々は回転ガントリーの小型・軽量化のため、超伝導回転ガントリーの開発を進めてきた。この回転ガントリーでは、二極磁場と四極磁場が同時発生且つ、独立励磁可能な機能結合型超伝導電磁石を採用している。これら超伝導電磁石の採用により、回転ガントリーの大幅な小型・軽量化が実現されている。超伝導回転ガントリーの製作は完了し、現在、設置・組立工事が進められており、今秋よりビーム試験が開始される予定である。本発表では超伝導回転ガントリー開発の概要並びに、建設状況について紹介する。 |
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WEP128 p.854 | コヒーレントチェレンコフ放射を用いたテラヘルツ透過イメージング STUDY ON THZ IMAGING BY USING A COHERENT CHERENKOV RADIATION ○西田 万里子,水柿 将貴,鷲尾 方一(早稲田大学理工学術院総合研究所),坂上 和之(早稲田大学高等研究所),黒田 隆之助,平 義隆(産業技術総合研究所) ○Mariko Nishida, Masataka Mizugaki, Masakazu Washio (Waseda Research Institute for Science and Engineering), Kazuyuki Sakaue (Waseda Institute for Advanced Study), Ryunosuke Kuroda, Yoshitaka Taira (National Institute of Advanced Industrial Science and Technology) テラヘルツ光は電波と光波の両者の領域にまたがっている,特殊な電磁波である。電波のように様々な物質を透過するとともに光波のように光学部品を用いて輸送することもでき,イメージングに適した光である。さらにテラヘルツ領域において固有の指紋スペクトルをもつ物質が存在し,麻薬の特定や爆発物の検知等の産業応用が期待されている。早稲田大学ではCs-TeフォトカソードRF-Gunを用いた高品質な電子ビーム生成およびそれを用いた応用研究をおこなっている。この電子ビームの応用としてコヒーレントなチェレンコフ放射(PMCCR)を発生し,高強度のテラヘルツ光を観測することに成功した。PMCCRの発生には電子ビームをRF-Deflectorによって傾け,ターゲットに照射している。このテラヘルツ光は非常に広帯域なテラヘルツパルスとして取り出すことができるため,イメージングへの利用とともに,フィルタなどを用いた周波数による透過率の違いなども観測できることが期待できる。テラヘルツイメージングとしては,走査イメージングやテラヘルツカメラによる直接イメージングなどを試みた。本発表では,早稲田大学におけるテラヘルツチェレンコフ放射生成の概要およびイメージング試験結果,ならびに今後の展望について報告する。 |
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WEP129 p.858 | テトラサイクリン水溶液へのパルス大強度相対論的電子ビーム照射の影響 Irradiation Effect to Tetracycline Solution with Pulsed Intense Relativistic Electron Beam ○古澤 雅史,皆川 勇,林 直也,高橋 一匡,佐々木 徹,菊池 崇志,原田 信弘,大沼 清(長岡技科大),今田 剛(新潟工科大),森脇 洋(信州大学) ○Masafumi Furusawa, Isamu Minagawa, Naoya Hayashi, Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, Takashi Kikuchi, Nob. Harada, Kiyoshi Ohnuma (NUT), Go Imada (NIIT), Hiroshi Moriwaki (Shinshu Univ.) 抗生物質が自然界へ流出し、薬剤耐性菌が発生することが問題となっている。本研究の目的は、パルス大強度相対論的電子ビーム(PIREB)照射による難分解性化学物質処理効果に着目し、抗生物質への照射効果を検討することである。PIREB発生装置は、長岡技科大に設置されているETIGO-靴鰺僂い拭照射するPIREBは、最大加速電圧6MVで加速され、最大ビーム電流1kAである。厚さ40μmのチタン箔を通して、大気中に設置された照射容器へと照射される。抗生物質の試料には、薬剤耐性菌の発生が問題となっているテトラサイクリン(TC)を用いた。照射後の試料は、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)を用いて分析を行った。PIREBを1mg/LのTC溶液へ3回照射した結果、50〜60%の反応率が得られた。また、TCは水溶液で放置することで加水分解を起こすため、照射していないTC溶液を半年間程度放置した。放置後のTC濃度は、放置する前の四分の一程度まで低下していた。その溶液へ再び同条件で照射を行った結果、3回の照射によって90%程度の反応率が得られた。残留薬剤性を評価するために、PIREB照射後のTC溶液を大腸菌へ投与し、濁度の測定によって大腸菌の増殖率を比較した。その結果、照射後のTC溶液の方が、照射前のTC溶液よりも大腸菌の増殖が抑えられ、大腸菌に対する薬剤性が高くなることが示された。 |
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WEP130 p.862 | 卓上型放射光MIRRORCLEのX線利用技術の現状 The X-ray analytical technology using the MIRRORCLE X-ray source ○前尾 修司(光子発生技研),山田 廣成(立命館大学),長谷川 大祐(近江みらくる),山田 貴典(光子発生技研) ○Shuji Maeo (PPL), Hironari Yamada (Ritsumeikan Univ.), Daisuke Hasegawa (Ohmi MIRRORCLE), Takanori Yamada (PPL) MIRRORCLE型放射光源は、ハイパワー化に成功した結果、高エネルギーX線を発生させることができる高輝度X線源として様々な用途で利用されている。 MIRRORCLEの他では得られない特徴として、MeV以上の高エネルギーX線の発生、⊂播瀬汽ぅ10 μm以下、が挙げられる。このため、X線管では見られなかった高密度、大型のサンプルを、高解像度で見ることができる。工業製品を完全に非破壊で検査し、高精度でCADデータ化することもできる。 さらにMIRRORCLEはXRF、XAFS、XRD、SAXSなど、X線分析の光源としても有用である。特にXRDでは、その応用例としてX線残留応力測定において威力を発揮する。MIRRORCLEは高エネルギー電子の制動放射により白色X線を発生させるため、高エネルギーX線を利用することが簡単である。これを用いれば材料内部の情報を得ることが出来る。このため、従来ではエッチング処理などが必要であった深さ方向分析が処理なしで可能である。またX線光路が塞がれるような複雑な形状のものでも非破壊で計測可能である。エッチングや切断などの破壊工程が不要なため、従来では得られなかった真の残留応力値を計測可能である。 このように従来では困難、もしくは不可能であった計測を可能にできるMIRRORCLE型放射光源は、新しい知見が得られる次世代のX線源として期待されている。 |
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WEP131 p.866 | KEK小型電子加速器(LUCX)の現状報告(8) Present status of Laser Undulator Compact X-ray source (LUCX) (8) ○福田 将史,荒木 栄,浦川 順治,照沼 信浩,本田 洋介(高エ研),坂上 和之,鷲尾 方一(早大理工研) ○Masafumi Fukuda, Sakae Araki, Junji Urakawa, Nobuhiro Terunuma, Yosuke Honda (KEK), Kazuyuki Sakaue, Masakazu Washio (RISE, Waseda Univ.) KEK小型電子加速器(LUCX)では、マルチバンチ電子ビームとレーザーパルスとの逆コンプトン散乱を利用したX線源の開発を行っている。電子ビームはフォトカソードRF電子銃で生成し、加速管で最大30MeVまで加速する。その後、光共振器に蓄積したレーザーパルスと衝突させ、10〜15keVのX線を生成する。2013年8月からは光・量子融合連携研究開発プログラムの「小型高輝度X線源イメージング基盤技術開発」において、X線イメージングや検出器開発などを行っている。 この加速器は短時間で鮮明なX線イメージを得ることを目標として2012年秋にアップグレードを行い、調整を行って来ている。予想X線数は1.7×10^7 photons/train、エネルギー幅(FWHM)は10%となる。現在、24MeV, 1000bunches/train(トレイン長2.8μs), 600nC(0.6nC/bunch)の電子ビームとの衝突によるX線生成を行っている。マルチバンチ電子ビームを加速する際のビームローディングは、RFが加速管に満たされる過渡期に電子ビームを通過させる方法(T法)で補正していたが、トレイン長が加速管のFilling time 0.8μsよりずっと長く、トレイン後方ではRFが満された状態となり補正できない。そこで、さらに入射RFパルスに振幅変調をかけ補正した。これにより、各バンチのエネルギー差をPeak-to-peakで1.3%以内に揃えた1000バンチビームを生成ことができた。この発表では、このマルチバンチビーム生成やX線実験の現状について報告する。 |
加速器土木、放射線防護 (8月5日 小ホール) | |
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WEP132 p.870 | SPring-8蓄積リング架台変形の原因と床の長期変動 Major causes of girder deformation of SPring-8 storage ring and long-term variation of tunnel floor ○張 超(高輝度光科学研究センター),長谷川 誠,篠本 考秀,山本 浩司(SPring-8 Service Co. Ltd) ○Chao Zhang (JASRI), Makoto Hasagawa, Takahide Shinomoto, Hiroshi Yamamoto (SES) Although the tunnel of SPring-8 storage ring is built on hard or artificial rock surrounding the hill of Miharakuri, the magnets on girders are observed have been displaced in certain degree, some far exceed the maximum permissible error of alignment. To investigate the cause, the shapes of girder surfaces were measured during the summer shutdown of 2013. And, the girder design was reconfirmed. On the other hand, since the operation of the storage ring in 1997, monitoring of the magnet alignments was executed in regular periods. We have 14 times of vertical surveys and 12 times of horizontal. Data of those are analyzed and summarized. As the result, deformation of girders could be divided to two phases, before and after the magnet alignment of 1995. The former needs further information to understand, while the latter is seen in close relation to girder support methods as well as the deformation of tunnel floor. |
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WEP133 p.874 | SPring-8 RF電子銃試験施設アップグレードのための放射線線量角度分布評価 Evaluation of angular distribution of radiation doses to upgrade RF-gun test facility in SPring-8 ○成山 展照(JASRI) ○Nobuteru Nariyama (JASRI) RF電子銃試験加速器の最大加速エネルギーは、当初の30MeVより65MeV、85MeVと2013年に段階的に引き上げられ、今年には100MeVまで加速できるよう変更申請が行われた。同加速器は、1GeV入射加速器に隣接する長さ10 mほどの独立した線型加速器である。加速された電子はシケインを経て、直進あるいは30度方向に曲げられ、各ビームダンプに入射される。ビームダンプ後方のコンクリート厚は、1GeV入射加速器の遮蔽を兼ね290 cmあるため、評価線量の最大地点は、ビームが振られる側方の厚さ140 cmコンクリート外側になる。そこで、FLUKAモンテカルロコードを用いて、まず、30, 65, 100 MeV電子を鉄および鉛ターゲットに入射し、1mの距離におけるγ線、中性子線量当量を出射角度毎に計算した。ターゲット形状は、長さ2放射長(前方)あるいは10放射長(後方)の円柱とした。得られた分布は文献値とよく一致し、そのターゲットを用いて、側方に分岐したダンプ直前の電子損失を模擬し遮蔽体外の線量当量を計算したところ、局所遮蔽が無ければ線量は制限値を超過するが、厚さ5 cmの鉛が適切な場所に配置されていれば、十分低くなることを確認した。 |
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WEP134 p.878 | KEK電子陽電子入射器におけるアライメントレーザーフィードバックシステムの改良 Improvement of Alignment Laser Feedback System for KEK electron/positron Injector Linac ○市川 智浩,草野 史郎,工藤 拓弥,水川 義和(三菱電機システムサービス(株)),諏訪田 剛,佐藤 政則(KEK加速器/総研大加速器科学専攻) ○Tomohiro Ichikawa, Shiro Kusano, Takuya Kudou, Yoshikazu Mizukawa (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Tsuyoshi Suwada, Masanori Satoh (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science) 現在,電子陽電子入射器(以下,入射器)では,次期計画であるSuperKEKBに向けて入射器増強および高度化が進行中である。それを受け,入射器のアライメント高精度化が進められている。入射器アライメントの基本となるシステムの1つに,レーザーを基盤としたものがある。本システムは,2つの長直線部(A-BおよびC-5セクタ)にそれぞれ設置されたHe-Neレーザーおよび四分割受光素子(QPD: Quadrant-segmented Photo-Diode) から構成される。QPDは,加速管4本が搭載された加速ユニット架台の両端面に取り付けられている。架台内部にはレーザー光路用の光軸管が組み込まれており,真空排気した管内を伝搬するレーザー位置をQPDにより測定する。この測定に基づき,光軸からの変位量がゼロになるように,加速ユニットの機械的な調整をおこなう。2009年度よりシステムの開発が進められ,計算機によるフィードバック制御システムを構築した。2013年度には,500m長直線部終端におけるレーザー位置安定度±40μm(1σ)を達成し,高精度なアライメント評価が可能となった。フィードバック制御システムには,長直線部終端に設置されるWindows型オシロスコープおよびピコステージから構成される。ピコステージを用いることにより,レーザー出射角度の精密制御を実現している。本年会では,EPICSを基盤として構築した本フィードバック制御システムについて詳しく報告する。 |
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WEP135 p.882 | Super KEKB に向けた電子陽電子入射器のアライメント状況(2) STATUS OF ALIGNMENT OF KEK LINAC FOR SuperKEKB(2) ○牛本 信二(三菱電機システムサービス株式会社),肥後 寿泰,諏訪田 剛,柿原 和久,佐藤 政則,田中 窓香(高エネルギー加速器研究機構),鈴木 和彦,豊富 直之,木村 康一,水川 義和,久積 啓一(三菱電機システムサービス株式会社) ○Shinji Ushimoto (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Toshiyasu Higo, Tsuyoshi Suwada, Kazuhisa Kakihara, Masanori Sato, Madoka Tanaka (KEK), Kazuhiko Suzuki, Naoyuki Toyotomi, Kouichi Kimura, Yoshikazu Mizukawa, Keiichi Hisazumi (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.) 電子陽電子入射器(以下、入射器)では、Super KEKB のための高度化に於いて、ビームラインコンポーネントのアライメントとその精度向上を進めている。 入射器のアライメントはA-BセクターおよびC-5セクターの直線部に構築された高精度レーザーアライメントシステムを使用する。このシステムはアライメント基線となるレーザーとユニット架台に設置されたQPD(Quadrant-silicon Photo-Diode)とよばれる受光素子、レーザー光軸の制御プログラムから構成される。架台上のコンポーネントや180度偏向部(J-ARC)のアライメントはレーザートラッカー(Leica AT-401)を使用し、直接測定をおこないながら調整をする。 昨年の報告以降、レーザーアライメントシステムを使用して、3セクター以降のアライメントをおこなった。その結果、既に調整されたA-Bセクターを含め、全セクターのアライメント誤差はレーザー基線に対して目標とする±0.3mm以下を達成した。合わせてレーザートラッカーによるコンポーネントのアライメント作業も進め、ほぼ全てのコンポーネントの測量・調整を終了し、目標であったユニット内でのアライメント誤差±0.1mm以下を実現した。 一方、定期的に収集したレーザーアライメントシステムのデータから、建屋の接続部周辺に大きな変動がみられることが判明し、測定システムの自動化等を進めている。 本報告では、現時点での入射器アライメント状況について報告する。 |
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WEP136 p.887 | 床変動の常時モニターを目指すレーザーPDを用い た自動計測機器の開発 Device development for continuous measurements of floor movement with using laser PDs ○榎本 嘉範,肥後 寿泰,柿原 和久,諏訪田 剛,三川 勝彦,榎本 收志(KEK) ○Yoshinori Enomoto, Toshiyasu Higo, Kazuhisa Kakihara, Tsuyoshi Suwada, Katsuhiko Mikawa, Atsushi Enomoto (KEK) KEK電子陽電子入射器ではSuperKEKBへ向けてのアップグレードが進められている。要求される低エミッタンスビームを維持するためには、各コンポーネントの設置精度はローカルでσ=0.1mm、グローバルでσ=0.3mmという厳しい値が要求されている。これを実現するために、1.基線レーザーと4分割シリコンダイオードセンサーを用いた初期アラインメント、2.レーザートラッカー、傾斜計等の手段を用いたローカルアラインメントの改善、3.ビームによるアラインメント改善、4.床変動下でのエミッタンス維持に必要なアラインメント確保、の段階を踏んで確立していく必要がある。現在はその第1,2段階まで進んできており、今後は要求精度に比べて非常に大きな床変動の効果をいかに抑制するかを視野に、アラインメントシステムを開発していくことに重点をおいていく。本発表では1に用いたレーザーPDを、4に関する開発につなげるべく開発している連続計測用計測機器構造について報告する。入射器の架台には、基線レーザーの光を通すためビーム軸と並行にダクトが設置されており、架台端部にはPDが回転式の駆動機構上にマウントさている。このセンサーからの信号を元に、各ユニットを直線上に並べられる機構となっているが、現在は駆動機構が手動であるため、ビーム運転中は計測が行えない。そこで連続計測のためエアシリンダーを用いた駆動機構 の開発を進めており、その詳細について報告する。 |
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WEP137 p.891 | KEKB入射線形加速器トンネル床変動の測定(2) Measurement of floor movement in the KEKB injector LINAC tunnel (2) ○田中 窓香,肥後 寿泰,諏訪田 剛,柿原 和久(KEK),牛本 信二,水川 義和(三菱電機システムサービス株式会社) ○Madoka Tanaka, Toshiyasu Higo, Tsuyoshi Suwada, Kazuhisa Kakihara (KEK), Shinji Ushimoto, Yoshikazu Mizukawa (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.) KEKB電子陽電子入射器のビームラインがあるトンネルの床は、地上部や地下環境と連動し、気象条件によっても変動していることがわかっている。特に、トンネル内に複数ヶ所ある建屋結合部付近に著しい変動が見られる。SuperKEKBへのアップグレードでは、エミッタンス保存のために、全長約600 mのビームラインにわたってグローバルでσ=0.3 mm、ローカルでσ=0.1 mmの精度のアライメントが要求される。この高精度アライメントを実現するための一歩として、初期アライメントのために、入射器では、基線となるレーザー光軸位置を加速ユニット架台に取り付けられた四分割型シリコンフォトダイオードで検出するシステムを導入している。このシステムを用いて、2014年には初期のアライメントを実施し、その頃より1〜数ヶ月毎に位置測定を行っている。この測定の結果、1年間で建屋結合部において数mmの変動が見られることを確認した。また、建屋結合部を挟んで設置したプレートの相互の動きをダイヤルゲージを用いて計測した結果も合わせて報告し、今後の床変動への対処法を議論する。 |
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WEP138 p.895 | KEKB入射器における長基線レーザーアライメントシステムを利用したトンネル床面変動の動的測定システムの開発 Dynamical Measurement System of Tunnel Floor Motion with A Long Laser-Based Alignment System at the KEKB Injector Linac ○諏訪田 剛,柿原 和久,三川 勝彦,肥後 壽泰,佐藤 政則(KEK加速器),牛本 信二,水川 義和,工藤 拓弥(三菱電機システムサービス) ○Tsuyoshi Suwada, Kazuhisa Kakihara, Katsuhiko Mikawa, Toshiyasu Higo, Masanori Satoh (Accelerator Laboratory, KEK), Shinji Ushimoto, Yoshikazu Mizukawa, Takuya Kudou (MESS) KEKB入射器では,次期計画SuperKEKBに向けた入射器増強とその高度化が進行中である. 高精度長基線レーザーアライメントシステムの開発は2009年度より開始され2013年3月に終了した. その後、本システムを用いた初期アライメントを精力的に実施し、2015年1月全セクターに渡る加速ユニットの初期アライメントをようやく終了した. 入射器における初期アライメントとはレーザーを長基線として加速ユニットを静的にアライメントするものである. 放射光運転を継続しながら約2年に渡り初期アライメントを実施してきた. この間加速ユニットの変位を継続して測定したところ、その変位が時間とともに次第に大きくなっていることが明らかになった. 本現象の主要因は地面の動的変動と考えられるが、地面変動と一口に言っても外気温、日照、気圧、地下水の変位、海洋潮汐、波浪等々、様々な要因が寄与する. 地面変動が入射器建屋を変形させ、さらにトンネルの床面変動を通して入射器全体が変位するという極めて複雑な過程が動的に作用する. 現在の静的な計測システムでは入射器アライメントの動的変位を計測し続けることは困難である. このような経緯から、2014年12月入射器加速ユニットの動的変位を連続計測するシステムを導入し、2015年1月よりトンネル床面変動の連続観測を本格的に開始した. 本学会ではハード及びソフトウエアを含む測定システム全体について報告する. |
電子加速器 (8月6日 小ホール) | |
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THP001 p.898 | 電子ドライブ方式によるILC陽電子源の最適化とマルチバンチ効果の評価 An optimization of electron-driven ILC positron source and evaluations of multi-bunch effects ○清宮 裕史,大森 恒彦,奥木 敏行,佐藤 政則,浦川 順治(KEK),栗木 雅夫,高橋 徹(HU/AdSM),柏木 茂(Tohoku U.) ○Yuji Seimiya, Tsunehiko Omori, Toshiyuki Okugi, Masanori Satoh, Jyunji Urakawa (KEK), Masao Kuriki, Tohru Takahashi (HU/AdSM), Shigeru Kashiwagi (Tohoku U.) 国際リニアコライダー(ILC)は、ヒッグスセクターやトップクォークなどの精密測定によって電弱対称性の破れの背景にある新物理を解明するための、次世代電子陽電子衝突型加速器である。現在ILC陽電子源として、アンジュレーター方式が基本ビームラインとして採択されている。この方式は、アンジュレーターによって電子ビームが蛇行する際に発生するガンマ線を、標的に当てることで陽電子を生成する方式である。しかし、そのガンマ線のドライバーとして130GeVを超える電子ビームが必要となるため、事前のシステム実証が困難である。また、ターゲットへの熱負荷を軽減するために高速回転ターゲットが必要であり、それが技術リスクをはらんでいる。巨大プロジェクトであるILCに失敗は許されない。そのため、アンジュレータ方式の技術的バックアップが必要である。そこで我々は、従来方式である電子ドライブ方式を基にILC陽電子源設計を行った。この方式では、数GeVの電子源を新設し、その電子ビームをターゲットに当てることで陽電子を生成する。 この電子源の新設により、マルチバンチの時間構造を自由に変えることができるため、ターゲットへの熱負荷を大幅に軽減することができ、回転ターゲットの技術リスクは大きく低下する。ここでは、電子ドライブ方式によるILC陽電子源設計の最適化とマルチバンチ効果の評価結果を報告する。 |
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THP002 p.903 | SuperKEKB電子入射器における誘電体誘起波加速を用いたエネルギー分散補償法の検討 Energy equalization by dielectric wakefield accelerator for SuperKEKB electron linac ○佐藤 大輔(東京工業大学大学院),吉田 光宏(高エネ研),林崎 規託(東京工業大学原子炉工学研究所) ○Daisuke Satoh (TokyoTech.), Mitsuhiro Yoshida (KEK), Noriyosu Hayashizaki (TokyoTech. RNLR) KEKでは、SuperKEKBに向けた加速器全体のアップグレードを行っており、KEKBで達成された40倍にも相当する高いルミノシティを目指している。そのため、電子入射器では、5 nC、6 mm・mradの高電荷・低エミッタンスの電子源として光陰極型RF電子銃が開発され、コミッショニングを行っている。また、KEKB-HER への電子入射の要求は、5nCの電荷においてY 方向の規格化エミッタンスが20mm・mrad、エネルギー分散も0.1%である。しかし、このビームパラメータを途中の輸送系等も含めて入射の要求値を満たさねばならない。加速管の横方向ウェーク場による横方向の射影エミッタンスの増加はバンチ長が短い程小さくできるが、縦方向ウェーク場によるエネルギー分散は10ps 程度が最適である。これらを満たすような条件として、時間方向のバンチ構造をレーザーの時間構造の制御によりガウシアン分布ではなく矩形波にし、全幅で20ps を 10ps に圧縮した後、ビームを1.6GeV のアーク部まで輸送し、アーク部でさらに4ps に圧縮する事を検討している。さらに4ps に圧縮するとエネルギー分散が大きくなるため、そこでついたエネルギー分散を誘電体誘起波の作る高電界のスロープ部を使って、バンチの前方を減速し、バンチの後方を加速することで、数10cmの加速距離でバンチ内のエネルギー分散を補償できないか検討した。 |
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THP004 p.907 | 東北大学における極短電子バンチを用いたコヒーレントアンジュレータ放射光発生 Generation of coherent undulator radiation based on ultra-short electron bunch at Tohoku University ○柏木 茂,日出 富士雄,武藤 俊哉,齊藤 寛峻,柴崎 義信,南部 健一,長澤 育郎,高橋 健,東谷 千比呂,小林 恵理子,浜 広幸(東北大学電子光) ○Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Toshiya Muto, Hirotoshi Saito, Yoshinobu Shibasaki, Kenichi Nanbu, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Chihiro Tokoku, Eriko Kobayashi, Hiroyuki Hama (ELPH, Tohoku Univ.) 東北大学電子光理学研究センターでは極短電子バンチを使った加速器ベースの高輝度テラヘルツ光源の開発研究を行なっている。これまでに、熱陰極高周波電子銃、アルファ電磁石、3m長Sバンド加速管で構成される最大エネルギー50MeVの電子リナックの建設を完了し、加速管中におけるVelocity bunching によりサブピコ秒電子バンチ生成に成功した。また、テラヘルツ光発生用に開発した全長2.5mのHalbach型アンジュレータ(周期長:100mm、周期数:25)の製作および磁場測定も完了しており、現在は極短電子バンチによる波長が300μm付近の狭帯域かつコヒーレントなアンジュレータ放射光発生実験の準備を進めている。これまでの極短電子バンチ生成実験とアンジュレータ磁場測定結果をもとに、期待されるアンジュレータ放射強度や角度分布などについて評価を行なった。本学会では、計画中の実験セットアップや発生するコヒーレントアンジュレータ放射光の特性などについて発表する予定である。 |
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THP005 p.911 | 東北大学1.3 GeV BSTリングにおけるビーム性能の改善 Improvement of beam performance in 1.3 GeV BST ring at Tohoku University ○日出 富士雄,柏木 茂,小林 恵理子,柴崎 義信,高橋 健,東谷 千比呂,長澤 育郎,南部 健一,武藤 俊哉,濱 広幸(東北大電子光) ○Fujio Hinode, Shigeru Kashiwagi, Eriko Kobayashi, Yoshinobu Shibasaki, Ken Takahashi, Chihiro Tokoku, Ikuro Nagasawa, Kenichi Nanbu, Toshiya Muto, Hiroyuki Hama (RCEPS, Tohoku Univ.) 東北大学電子光理学研究センターにおいて、1997年に完成した1.2 GeV 電子シンクロトロンは東日本大震災からの復旧を経て、2013年12月より新たに1.3 GeV BST(Booster STorage)リングとして共同利用運転が再開されている。BSTリングの利用実験では、加速した蓄積ビームの軌道上にラジエータを挿入して高エネルギーの制動放射ガンマ線を生成し、これによりクォーク核物理の研究や対生成からの2次ビームを用いたテストビーム実験などを実施している。BSTリングでは、これまでに六極磁場入りの機能複合型四極電磁石を用いたクロマティシティ補正や1.3 GeVへのビームエネルギーの増強、震災前と同程度の 20 mAの周回電流の実現などがなされてきた。さらに今年に入ってからは、リング電磁石の再アラインメントや制御システムの改善、ビーム調整の進展等により、加速後に30 mA以上の周回電流が得られるようになった。また制動放射ガンマ線の利用可能なエネルギー範囲を広げる目的で、1 GeVや0.8 GeV運転モードの整備なども進められている。発表では運転の現状や最近の改善点、今後の課題などについて報告する予定である。 |
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THP006 p.915 | 光ファイバビームロスモニタとワイヤスキャナ OPTICAL FIBER BEAM LOSS MONITOR AND WIRE SCANNER ○矢野 喜治,福田 茂樹,道園 真一郎(高エ研) ○Yoshiharu Yano, Shigeki Fukuda, Shinichiro Michizono (KEK) ワイヤスキャナ(WS)はワイヤ駆動部と検出部のセットで運用される。ワイヤは50μm〜100μmのタングステンワイヤ、検出部には光電子増倍管(PMT)を使用するのが一般的である。電子陽電子入射器のWSは100μmのタングステンワイヤとPMTのセットで運用している。SuperKEKBに向けた改造でWSの増設が予定されている。電子陽電子入射器は電子をPF(2.5 GeV)、PF-AR(4.0 GeV)、SuperKEKB(7.0 GeV)のリングに供給し、陽電子をダンピングリングDR(1.1 GeV)とSuperKEKB(4.0 GeV)に供給する。そのためビームエネルギーに対応した場所に検出器を設置する必要がある。そこで既存の設置場所も含めシミュレーションによって信号の出る場所を予測した。ここではビームエネルギーが約1.5 GeVの場所(Bセクタ)に設置されたワイヤスキャナについてシミュレーションによる予測と光ファイバビームロスモニタによる信号の検出強度を比較した結果を報告する。 |
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THP007 p.920 | SuperKEKB入射器コミッショニングの現状 (II) PRESENT STATUS OF SUPERKEKB INJECTOR LINAC COMMISSIONING (II) ○佐藤 政則,明本 光生(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),荒川 大(KEK加速器),荒木田 是夫,飯田 直子(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),池田 光男(KEK加速器),岩瀬 広(KEK放射線化学センター/総研大加速器科学専攻),榎本 收志(KEK加速器),榎本 嘉範,大沢 哲,大西 幸喜,小川 雄二郎(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),柿原 和久,風間 慎吾(KEK加速器),梶 裕志(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),片桐 広明(KEK加速器),紙谷 琢哉,菊池 光男,小磯 晴代(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),佐藤 大輔(東工大),設楽 哲夫(KEK研究支援戦略推進部),周 翔宇(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),白川 明広,末武 聖明(KEK加速器),杉本 寛,諏訪田 剛(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),清宮 裕史,田中 窓香(KEK加速器),多和田 正文(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),張 叡(KEK加速器),峠 暢一(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),中尾 克巳,中島 啓光(KEK加速器),夏井 拓也,肥後 寿泰(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),福田 茂樹(KEK加速器),船越 義裕,古川 和朗(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),本間 博幸,松下 英樹(KEK加速器),松本 修二,松本 利広,三浦 孝子(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),三川 勝彦(KEK加速器),道園 真一郎,三増 俊弘,宮原 房史,森 隆志,森田 昭夫,矢野 喜治,横山 和枝,吉田 光宏(KEK加速器/総研大加速器科学専攻) ○Masanori Satoh, Mitsuo Akemoto (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science), Dai Arakawa (KEK, Accelerator Laboratory), Yoshio Arakida, Naoko Iida (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science), Mitsuo Ikeda (KEK, Accelerator Laboratory), Hiroshi Iwase (KEK, Radiation Science Center/SOKENDAI, Department of Accelerator Science), Atsushi Enomoto (KEK, Accelerator Laboratory), Yoshinori Enomoto, Satoshi Ohsawa, Yukiyoshi Ohnishi, Yujiro Ogawa (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science), Kazuhisa Kakihara, Shingo Kazama (KEK, Accelerator Laboratory), Hiroshi Kaji (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science), Hiroaki Katagiri (KEK, Accelerator Laboratory), Takuya Kamitani, Mitsuo Kikuchi, Haruyo Koiso (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science), Daisuke Satoh (TITECH), Tetsuo Shidara (KEK, Research Administration Department), Xiangyu Zhou (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science), Akihiro Shirakawa, Masaaki Suetake (KEK, Accelerator Laboratory), Hiroshi Sugimoto, Tsuyoshi Suwada (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science), Yuji Seimiya, Tanaka Madoka (KEK, Accelerator Laboratory), Masafumi Tawada (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science), Rui Zhang (KEK, Accelerator Laboratory), Nobu Toge (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science), Katsumi Nakao, Hiromitsu Nakajima (KEK, Accelerator Laboratory), Takuya Natsui, Toshiyasu Higo (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science), Shigeki Fukuda (KEK, Accelerator Laboratory), Yoshihiro Funakoshi, Kazuro Furukawa (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science), Hiroyuki Honma, Hideki Matsushita (KEK, Accelerator Laboratory), Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science), Katsuhiko Mikawa (KEK, Accelerator Laboratory), Shinichiro Michizono, Toshihiro Mimashi, Fusashi Miyahara, Takashi Mori, Akio Morita, Yoshiharu Yano, Kazue Yokoyama, Mitsuhiro Yoshida, (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI, Department of Accelerator Science) 現在,KEKでは,KEKB加速器で到達した40倍のピークルミノシティーを目指し,SuperKEKB加速器の建設を進めている。本加速器では,このような高いルミノシティーを達成するため,蓄積電流値の倍増および衝突点での極小ビームサイズの実現を設計基盤とした,ナノビーム方式を採用している。ナノビーム方式では,主リングでのビーム寿命が極端に短いため,トップアップ入射は元より入射ビームのバンチ電荷量増強が必須となる。電子(陽電子)ビーム入射に要求されるバンチ電荷量は5 nC (4 nC)であり,KEKB入射器と比較して約5倍のバンチ電荷量が求められている。一方,ナノビーム方式を採用した主リングの低エミッタンス化にともない,入射器ビームの垂直方向エミッタンスは,従来の1/5である20 mm・mradが必要とされる。とりわけ電子ビームについては,ダンピングリングを用いずに低エミッタンスビーム入射を実現する必要があるため,高度なビーム制御技術が要求される。これらの要求を満足するため,新方式の光陰極RF電子銃を始めとした種々の技術開発が進められてきた。これらの機器開発と並行して,2016年に予定されているSuperKEKB主リングへのビーム入射に備え,入射器ビームコミッショニングが精力的におこなわれている。本稿では,入射器アップグレードの概要とあわせて,ビームコミッショニングに関する現状および今後の展望について報告する。 |
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THP008 p.925 | SACLA主加速器の運転と保守の状況 Operation status of SACLA main accelerator ○稲垣 隆宏,近藤 力,櫻井 辰幸,大竹 雄次(理研 放射光科学総合研究センター),益田 邦和,木村 健,中澤 伸候,田中 信一郎(スプリングエイトサービス) ○Takahiro Inagaki, Chikara Kondo, Tatsuyuki Sakurai, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center), Kunikazu Masuda, Takeshi Kimura, Shingo Nakazawa, Shinichiro Tanaka (SPring-8 Service Co., Ltd.) X線自由電子レーザー施設SACLAは、8 GeVの線型加速器と21台の真空封止型アンジュレータによって、高輝度、極短パルスのX線レーザーを発生させ、先進的な実験に供する施設である。この施設は、X線自由電子レーザー用加速器であるが故に、運転の中断頻度が低く高度な安定性が要求される。主加速器である64台のCバンド(5.7 GHz)加速器では、通常35〜38 MV/mの加速電界にて、30ppsの繰り返しで年間約7000時間の定常運転を行っている。サイラトロンが自爆した際のインターロック基準を緩和することにより加速器のトリップ(運転中断)は半分以下に減り、30ppsの繰り返しでもトリップ頻度は1時間に1回程度となっている。しかしながら、2011年の運転開始から4年を経過し、大電力高周波機器の寿命や経年劣化が早くも問題となってきた。特に、72台のモジュレータで使用されるサイラトロンが一斉に寿命を迎えつつあり、この2年ほどで約半数を交換した。未交換のサイラトロンについても、サージ増大によるトリガ回路の損傷やタイミングのドリフト、導通ロスの変動などのトラブルが、この1年で急激に増加しており、サージ低減回路の設置やリザーバの調整などにより延命を図りつつ、運転を継続している。本発表では、SACLA主加速器の現在の運転状況と、これまで経験したトラブル事例や対策について報告する。 |
ハドロン加速器 (8月6日 小ホール) | |
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THP009 p.930 | KEKデジタル加速器における可変誘導電圧を用いた加速システム Acceleration system using time-variable induction voltage in the KEK digital accelerator ○由元 崇,劉 星光(東京工業大学),安達 利一,川久保 忠通(KEK),小林 寛(東京都市大学),高野 進,門倉 英一,岡村 勝也,池田 光男,高山 健(KEK) ○Takashi Yoshimoto, Xingguang Liu (Titech), Toshikazu Adachi, Tadamichi Kawakubo (KEK), Hiroshi Kobayashi (Tokyo City University), Sususmu Takano, Eiiichi Kadokura, Katsuya Okamura, Mitsuo Ikeda, Ken Takayama (KEK) KEKデジタル加速器とは、既存の高周波加速とは異なる誘導加速を導入したシンクトロンである.1対1のパルストランスである誘導加速セルに発生するパルス電圧を用いて加速する。誘導加速の利点の一つである広帯域加速は、200kVプラットフォーム上のECRイオン源で生成された重イオンビームをリングに直接入射・加速させることを可能にする。誘導加速セルを駆動するスイッチング電源のゲート回路のON/OFFはFPGAからのデジタル信号によって行われる。その制御においては一定の誘導加速電圧を使用したパルス密度制御を採用している。しかしながら、誘導加速セルの設置区間において有限な運動量分散関数が存在し、低エネルギーにおける離散的な加速においては、シンクロベータカップリングによるビーム中心の振動励起が観測されている。その振動を緩和するために、ビームが必要とする加速エネルギーに等しい可変誘導電圧を発生させる誘導加速システムが新たに考案されている。この方式はビーム縦密度分布の均一性にも寄与しうる。本発表では、その具体的なシステムの詳細を粒子シミュレーションとともに報告する。 |
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THP010 p.933 | J-PARC RCSにおける入射ビームのtwiss parameterマッチング Twiss parameter matching of the injection beam for the J-PARC RCS ○岡部 晃大(JAEA),丸田 朋史(KEK),發知 英明,Saha Pranab,吉本 政弘,三浦 昭彦(JAEA),Liu Yong(KEK),金正 倫計(JAEA) ○Kota Okabe (JAEA), Tomofumi Maruta (KEK), Hideaki Hotchi, Pranab Saha, Masahiro Yoshimoto, Akihiko Miura (JAEA), Yong Liu (KEK), Michikazu Kinsho (JAEA) In a high power proton accelerator such as the 3-GeV rapid cycle synchrotron (RCS), small ratio of the beam loss such as beam halo can cause serious radiation dose. The suppression of the transverse beam halo is a key issue to provide high intensity beam for routine user operation at the RCS. The RCS adopts the charge exchange multi-turn injection for the phase space painting. If the transverse twiss parameter of the injection beam is not matched to the RCS optics, it will generates beam halo during the multi-turn injection. In order to suppress such beam halo, twiss parameters and dispersion matching are performed at the RCS injection point. In the beam matching process, we use the rms envelope equation solver with space charge effect to predict high intensity beam behavior. And the quadruple magnets at the Linac-RCS beam transport line (L3BT) are used as knobs of twiss parameter matching. The beam profile measurement is done with wire scanner monitors at the downstream of the L3BT as well as multi-wire profile monitors at the RCS injection section. In this presentation, we introduce the transverse twiss parameter matching scheme at the RCS injection points. |
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THP011 p.938 | J-PARC RCS入射部の放射化と残留線量測定 Residual dose measurement and activation of the injection area in the J-PARC RCS ○吉本 政弘,竹田 修,山本 風海,原田 寛之,サハ プラナブ,岡部 晃大,金正 倫計(原子力機構),山川 恵美(ロイヤル・ホロウェイ(ロンドン大学)) ○Masahiro Yoshimoto, Osamu Takeda, Kazami Yamamoto, Hiroyuki Harada, Pranab Saha, Kota Okabe, Michikazu Kinsho (JAEA), Emi Yamakawa (RHUL) J-PARCリニアックでは2013年度に181MeVから400MeVへのエネルギー増強、2014年度に30mAから50mAへのピーク電流増強を実施した。これに伴いRCS(Rapid Cycling Synchrotron)でも大強度ビーム試験を実施し、2015年1月10日に設計ビーム強度である1MW相当のビーム出力を達成した。RCSにおける1MW出力の実現に向けた課題の一つがビームロスの低減であった。これまでの大強度ビーム試験を経て、RCSにおけるビームロスの原因特定とその対策を繰り返すことで、荷電変換フォイル散乱に起因するビームロス以外はほぼ全て抑制することが出来た。 RCSにおいて、荷電変換フォイルとビームとの相互作用は避けようがなく、そのため入射部フォイル周辺の残留線量が最も高くなっている。これまでの詳細な残留線量の分布測定とPHITSによるシミュレーション結果から荷電変換フォイルからの2次粒子(陽子及び中性子)がフォイル周辺の放射化の主な原因であることが分かった。また、リニアックから入射されたH-粒子が荷電変換フォイルに到達する前に残留ガス等によりH0粒子に変換されたことによるビームロスも局所的に強い放射化を生じさせる原因であることも明らかになった。本発表では、残留線量の詳細な分布測定とシミュレーション結果から、RCS入射部における放射化の状況と原因について報告する。 |
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THP012 p.944 | J-PARCリニアックチョッパシステムの開発 Development of RF chopper system at J-PARC Linac ○平野 耕一郎,近藤 恭弘,川根 祐輔,篠崎 信一,千代 悦司,堀 利彦,三浦 昭彦,森下 卓俊(原子力機構),杉村 高志,内藤 富士雄,方 志高,福井 佑治,二ツ川 健太,丸田 朋史,宮尾 智章(高エネ研) ○Koichiro Hirano, Yasuhiro Kondo, Yusuke Kawane, Shinichi Shinozaki, Etsuji Chishiro, Toshihiko Hori, Akihiko Miura, Takatoshi Morishita (JAEA), Takashi Sugimura, Fujio Naito, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Kenta Futatsukawa, Tomofumi Maruta, Tomoaki Miyao (KEK) パルス幅500μsのマクロパルスビームは、RFQ下流のMEBT領域にあるRFチョッパ空洞の電界によって、その一部が蹴りだされ、パルス幅456nsの中間パルスが815nsの周期で並んだ構造を持つビームに整形される。蹴りだされたビームは、RFチョッパ空洞から約70cm離れた場所にあるスクレーパに負荷される。ビーム電流を50mAに増強するため、ビームがRFチョッパ空洞の電極やビームパイプに当たらないように、RFチョッパ空洞を新規に製作した。また、マクロパルス内で上昇するスクレーパ表面温度を低減させるため、RFチョッパ空洞の電極電界の位相を180度反転させ、中間パルスビームが対向する2個のスクレーパへ交互に照射されるシステムを構築した。今回は、平成26年度に実施した、チョッパシステムの改造、及び、スクレーパビーム照射試験について報告する。 |
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THP013 p.948 | OISTホウ素中性子捕獲療法(BNCT)用陽子リニアックの開発 Development of a proton linac for OIST BNCT ○近藤 恭弘,長谷川 和男(JAEA),吉岡 正和,東 保男(OIST),黒川 眞一(COSY Lab),松本 浩,内藤 富士雄(KEK),熊田 博明(筑波大学) ○Yasuhiro Kondo, Kazuo Hasegawa (JAEA), Masakazu Yoshioka, Yasuo Higashi (OIST), Shinichi Kurokawa (COSY Lab), Hiroshi Matsumoto, Fujio Naito (KEK), Hiroaki Kumada (University of Tsukuba) 沖縄科学技術大学院大学(OIST)にて、加速器を用いたホウ素中性子捕獲療法(BNCT)装置の開発計画されている。本研究においては、いばらき中性子医療研究センターにおけるBNCT用リニアックからの知見をもとに、医療用機器としての量産型のパイロットモデルの開発を目標とする。加速器の性能は、中性子生成ターゲットでのビーム電力40kWを想定している。ビームエネルギーは、10MeV程度であり、必要な熱外中性子と、それ以外の、高速および熱中性子、ガンマ線との収量比を最適化するように最終的には決定される。エネルギー10MeVとすると、ビーム電流20mA、デューティー20%で40kWが実現可能である。リニアックの構成は、ECRイオン源、2ソレノイド型LEBT、4-ヴェーンRFQ、アルバレ型DTLと、これまでの開発実績から、十分に枯れた技術を用いる。RFQおよびDTLの共振周波数は、352MHZ程度を予定している。医療用機器においては、十分な信頼性と、加速器の非専門家による容易な運転が要求され、加速器機器の中でも複雑な構成となる大強度陽子リニアックにおいて、これらを達成することも、重要な開発目標となる。本論文では、この、BNCT用陽子リニアックの開発状況について述べる。 |
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THP014 p.951 | 金属磁性体コア(FT3L)を用いたRF空胴の開発(2015) Development of the RF cavity with FT3L MA cores(2015) ○長谷川 豪志,大森 千広,戸田 信,原 圭吾,吉井 正人(KEK, J-PARC),島田 太平,田村 文彦,野村 昌弘,山本 昌亘(JAEA,J-PARC) ○Katsushi Hasegawa, Chihiro Omori, Makoto Toda, Keigo Hara, Masahito Yoshii (KEK, J-PARC), Taihei Shimada, Fumihiko Tamura, Masahiro Nomura, Masanobu Yamamoto (JAEA,J-PARC) J-PARC MRでは、高繰り返しによるビーム増強計画が進められており、RF空胴にも現在の2倍の電圧(560kV)が求められている。RingRFグループでは現状の金属磁性体コア(FT3M)よりも高いシャントインピーダンスを有するコア(FT3L)を用いた新しいRF空胴で全台数を置き換える事を計画し、新空胴とFT3Lコアの開発と量産を進めてきた。そして、昨年の夏には先行して新RF空胴1台をMRトンネルに設置し、現在まで運転実績を重ねている。この運転により、これまで問題にしていなかった共振周波数の微小変化やビームパワーが増加してきた時の陽極電源のデータなど今後必要となる情報を得る事ができている。本発表では、新空胴置き換え計画の現状と今後の予定、運転からわかってきた事とその対策について報告する。 |
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THP015 p.954 | J-PARC リニアックにおける大きい入射角を持つ新型スクレーパーの伝熱解析 The heat transfer analysis for a new large entry angled scraper for J-PARC linac ○杉村 高志(KEK),平野 耕一郎(JAEA) ○Takashi Sugimura (KEK), Koichiro Hirano (JAEA) J-PARCの入射リニアックは2014年夏にビーム電流を50mAに増強するべく上流部の大改造を実施した。 現在はビーム電流を段階的に増やしている途中であり、30mAでの定常運転を行っている。 下流にあるRCSリングのRFバケットに効率よく入射するために RFQの直後にあるMEBT領域でビームを時間方向に櫛形に成形しているが、 この際に不要となるビームはスクレーパーに照射され、そのエネルギーは熱負荷となる。 現在は水冷した炭素複合材に45°の角度でビームを照射する構成となっているが、 表面の最高温度が使用時間の経過とともに上昇する傾向が観測され、 より大負荷の運転に対して更なる対策が必要であることが明確となった。 伝熱シミュレーションを行い、ビームの入射角を大きく(67°)することと、 炭素複合材の厚みをより厚くすることで、最高温度が下がることを確認した。 今回の発表ではこの伝熱解析の結果と、この結果に基づく新スクレーパー開発予定について報告する。 |
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THP016 p.958 | J-PARC 主リングの加速中におけるベータ関数の測定 Measurement betatron amplitude function during acceleration in J-PARC Main Ring ○仲村 佳悟(京都大学),栗本 佳典(高エネルギー加速器研究機構) ○Keigo Nakamura (Kyoto University), Yoshinori Krimoto (KEK) 大強度陽子シンクロトロンJ-PARC主リングは現在約350kWのビームパワーで利用運転供給中である。 さらなる大強度化のためには、現時点でビーム強度を制限している加速開始直後のビーム損失を低減する必要があり、そのためには加速中のビーム光学の理解が急務である。特に、ベータ関数は加速器の重要なパラメータのひとつであり、J-PARC主リングではステアリング電磁石を用いた測定、入射エラーを利用した測定が行われてきた。しかしながら、これらの測定はフラットベースでの測定であり、加速中のベータ関数を測定したことはこれまでになかった。 そこでFPGAモジュールで信号を生成した信号をストリップラインキッカーに送ることでベータトロン振動を励起し、リング全周のビーム位置モニタの応答をしらべることで加速中のベータ測定を行った。本稿では加速中のベータ関数の測定結果とその結果についての考察を述べる。 |
光源加速器 (8月6日 小ホール) | |
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THP017 p.963 | 電子線形加速器における低エミッタンスビーム輸送路光学系の最適化試験 Optimization of beam optics in low emittance electron linac ○宮島 司(高エネ研),永井 良治(原研),本田 洋介,島田 美帆,高井 良太,帯名 崇(高エネ研),Lee Dongseok(KNU) ○Tsukasa Miyajima (KEK), Ryoji Nagai (JAEA), Yosuke Honda, Miho Shimada, Ryota Takai, Takashi Obina (KEK), Dongseok Lee (KNU) XFELやERLなどの近年の電子線形加速器では、非常に輝度の高い電子ビームを生成し、その品質を保ったまま輸送することが極めて重要である。現実の加速器でこれらの性能を実現するには、ビーム輸送路光学系をいかに設計条件に近づけていくか、言い換えるといかに加速器要素のパラメタを最適化していくかということが鍵となる。これを効率良く実行するための手法開発の一つとして、ビーム輸送路光学関数の最適化手法の開発を行っている。ここでは、ERL実証機であるKEKのcERL加速器の低エミッタンスビーム調整用に開発した、ビーム光学系の最適化手法とその試験結果について報告する。 |
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THP018 p.968 | コンパクトERLにおけるコヒーレントテラヘルツ放射発生のためのバンチ圧縮・復元の研究 Simulation Study on Bunch Compression and Decompression for Generation of Coherent THz Radiation at the Compact ERL 中村 典雄,○島田 美帆,原田 健太郎,宮島 司,上田 明,田中 オリガ(高エネ研) Norio Nakamura, ○Miho Shimada, Kentaro Harada, Tsukasa Miyajima, Akira Ueda, Olga Tanaka (KEK) テラヘルツコヒーレント放射の発生・利用がコンパクトERLで将来予定されている。ユーザーが望む5THzまでのコヒーレント放射を発生させるためには100fs以下のバンチ長生成が必要になる。そこで、計算機シミュレーションを用いてコンパクトERLにおけるバンチ圧縮及び復元の研究を行い、その可能性を調べた。このバンチ圧縮・復元では、主空洞でのオフクレスト加速・原則と2つのゼロでないR56を持つアーク部のオプティクスを用いる。また、T566の補正のために六極電磁石をアーク部に導入する。ここでは、コンパクトERLのバンチ圧縮・復元に関するシミュレーション結果を示すとともに、必要な六極電磁石の要件についても報告する。 |
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THP019 p.971 | cERL周回部のオプティクス測定 Optics measurement of cERL recirculation loop ○島田 美帆,中村 典雄,高井 良太,上田 明,宮島 司,本田 洋介,帯名 崇,原田 健太郎(高エネ研) ○Miho Shimada, Norio Nakamura, Ryota Takai, Akira Ueda, Tsukasa Miyajima, Yosuke Honda, Takashi Obina, Kentaro Harada (KEK) cERLでは、レーザー逆コンプトン散乱やTHz-CSRなどの光源利用が計画されている。光源としてのパフォーマンスを上げるためには、ベータ関数や分散関数を設計通りに合わせることが望ましい。そこで、ビームオプティクスの測定結果をデザインと比較することは重要である。 オプティクスのデザインは、周回エネルギー20MeV、数pCのバンチ電荷量では空間電荷効果が十分小さいため、計算コードelegantで行っている。電磁石の磁場測定の結果とビームの応答を比較する他、4極電磁石の残留磁場やヒステリシスの影響も考慮に入れ、ビームマッチングに向けた検討状況について報告する。 |
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THP020 p.975 | ビームロス研究のためのKEKコンパクトERLにおけるビームハロー伝播と緩和 Beam Halo Propagation and Mitigation for Beam Loss Study at KEK Compact ERL ○田中 オリガ,中村 典雄,島田 美帆,帯名 崇,高井 良太,宮島 司(高エネルギー加速器研究機構) ○Olga Tanaka, Norio Nakamura, Miho Shimada, Takashi Obina, Ryota Takai, Tsukasa Miyajima (KEK) Longitudinal and transverse beam halo measurements were evaluated during recent KEK compact ERL (cERL) operation, aiming to increase the beam current up to some uA. As far, the beam current was increased; we expect some essential changes in the beam dynamics issues, such as beam halo formation and propagation. First step towards the stable and safe operation of the machine was longitudinal beam halo measurement. We investigate beam halo originated from characteristics and imperfections of an electron gun system. Then we perform the corresponding start-to-end simulation using the tracking codes GPT (General Particle Tracer) and ELEGANT to apply the beam loss distribution along the beam line. Thus, the impact of collimators was obtained. Transverse beam halo measurement allows the beam halo mitigation. A theoretical estimation based on the core-halo limit theory together with the corresponding simulation give some useful information for beam halo management and, therefore, beam loss reduction. The current results on this topic are presented in this paper. |
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THP021 p.979 | ニュースバルにおける加速と減速 OPERATION AT VARIOUS ENERGIES AT NewSUBARU ○庄司 善彦,松本 卓也(兵庫県立大学),皆川 康幸,竹村 育浩,竹内 裕嗣(高輝度放射光財団) ○Yoshihiko Shoji, Takuya Matsumoto (University of Hyogo), Yasuyuki Minagawa, Yasuhiro Takemura, Hiroshi Takeuchi (JASRI) 電子蓄積リングNewSUBARUの運転モードは、1 GeVのトップアップ運転と、1.5 GeVまで加速しての非入射蓄積の2つの運転モードが基本である。最近ではこれらに加えて、コンプトンγ利用を目的とした別のエネルギーの蓄積運転も行われるようになってきた。ここでは1.5GeVのみでなく1GeV以外のエネルギーにおける蓄積利用運転、更に加速や減速時の問題点とその解決について報告する。 NewSUBARUの電源、電磁石、および真空ダクトの設計は直流運転を想定している。このため、入射エネルギー1.0 GeVから1.5 GeVへの加速は、約10分かけて緩やかに行っている。この際にlattice parameterの蓄積エネルギー依存、さらにdE/dt依存が確認されている。加速は13のエネルギーステップに分割され、それぞれのステップでエネルギーを固定して設定値を調整する。具体的にはCODと、tuneである[1]。ステップ間の変化は、全ての磁石電流を同時に直線的に変化させて行っている。COD、tuneともに大きなdE/dt依存があるが、それは補償せず、各ステップで変化スピードを小さく抑えることで許容範囲に納めている。 この論文では、(1)静的なエネルギー依存と(2)動的なdE/dt依存のそれぞれについて、明らかになってきた原因とそれへの対策について報告する。 |
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THP022 p.984 | あいちSRにおける並列化線形光学補正計算にもとづくVertical Dispersionの補正 Correction of Vertical Dispersion based on Parallel Computing LOCO for Aichi-SR Storage Ring ○高野 琢,保坂 将人(名大SR),山本 尚人(KEK PF),真野 篤志,高嶋 圭史(名大SR),加藤 政博(UVSOR) ○Takumi Takano, Masahito Hosaka (Nagoya Univ.), Naoto Yamamoto (KEK PF), Atsushi Mano, Yoshihumi Takashima (Nagoya Univ.), Masahiro Katoh (UVSOR) 並列計算処理を施した線形光学補正用プログラムを独自に作製し、市販のPC(CPU:Intel Core i7 5960X, 8コア16スレッド)を用いて、あいちSR蓄積リングの光学パラメータ最適化を行った。さらに本プログラムにおいては、ステアリングのレスポンスだけでなくVertical Dispersionの実測値を最適化条件として取り込めるように改良した。 最適化を行った結果、ツイスパラメータにおいては実測によるチューン値と一致する結果が得られ、有効な最適化が行われたと考えている。また、Vertical Dispersionの発生源となるカップリング地点を絞り込むことができた。本発表では、線形光学解析の結果判明したカップリング地点付近にスキュー電磁石を導入することによりVertical Dispersionを抑制する試みについてあわせて報告を行う。 |
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THP023 p.989 | その場磁場測定によるSPring-8真空封止アンジュレータの減磁評価 Evaluation of Permanent Magnet Demagnetization of the SPring-8 In-vacuum Undulator by In-situ Magnetic Measurements ○長谷川 照晃,田中 隆次,金城 良太(理化学研究所 放射光科学総合研究センター),備前 輝彦,清家 隆光,鏡畑 暁裕(高輝度光科学研究センター) ○Teruaki Hasegawa, Takashi Tanaka, Ryouta Kinjo (RIKEN SPring-8 Center), Teruhiko Bizen, Takamitsu Seike, Akihiro Kagamihata (JASRI) アンジュレータは製作過程で精密磁場調整を実施してから蓄積リングにインストールし、その上下流にある2つのステアリング電磁石を用いてわずかに残った磁場積分を補正する。補正テーブルはギャップごとに作成し、フィードフォワード制御でステアリング電磁石を操作する。これによりアンジュレータは電子ビームに対して透明化され、電子ビーム軌道とビームラインの光軸は一定に保たれる。通常、この調整はインストール時に一度実施するだけでよく、得られた補正テーブルは長期間保存される。しかし、BL10XUに設置された真空封止アンジュレータでは年に数度の更新が必要であるとともに、電子ビームのカップリングを悪化させるねじれ4極磁場が誘起されることが報告され、長期運転による減磁が疑われる状況にあった。そこで、マシン収納部にあるアンジュレータについて、再度SAFALIシステムを用いた磁場測定とムービングワイヤー法による磁場積分を測定し、永久磁石の減磁について評価した。得られた磁場分布では、アンジュレータ入口から約10周期にわたって磁場が単調に減少、つまり明らかに減磁しており、入口に近いほどその度合いは大きいことを示した。また、磁場積分の測定結果から、水平方向に広い範囲でその影響を確認した。本稿ではSPring-8で運用している真空封止型アンジュレータの磁場測定と減磁評価、及びその補正結果について述べる。 |
ビームダイナミクス、加速器理論 (8月6日 小ホール) | |
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THP024 p.992 | KEKデジタル加速器に見られるシンクロベーター結合のコヒーレント運動 Coherent Synchro-Beta Coupling in the KEK Digital Accelerator ○門馬 卓海(東工大、高エネルギー加速器研究機構),高山 健(東工大、高エネルギー加速器研究機構、総研大、東京都市大),由元 崇,Liu Xigguang(東工大、高エネルギー加速器研究機構) ○Takumi Monma (Tokyo Tech., KEK), Ken Takayama (Tokyo Tech., KEK, SOKENDAI, Tokyo City University), Takashi Yoshimoto, Xigguang Liu (Tokyo Tech., KEK) 円形加速器において周回当たり必要な加速電圧は、Vacc=ρC0dB/dtとかける。ここで、ρ、C0、Bはそれぞれ、偏向磁石の曲率半径、ビーム周長、磁束密度である。KEKデジタル加速器[1]のガイド磁場は正弦的に立ち上がるので、理想的なVaccはサイン関数の半周期分である。しかし、誘導加速システムの工学的な制約により出力される設定加速電圧はつねに1.5kVと2.0kVの間で一定の値をとる。電圧Vaccを積分した値が設定加速電圧に達すると加速電圧パルスを発生する。加速電圧パルスは明確にプログラムされたパルス密度関数に基づいて離散的に生み出される[2]。誘導加速セルは運動量分散関数がゼロでない領域に置かれている。このため、必然的に加速電圧パルスが生成されると、ビーム重心のベータトロンが誘起されることが、加速の早い段階で報告されている。定量的にこの現象を計算機シミュレーションで再現する。加えて、この効果を無くす手法、または最小化する手法について議論する。 [1]K. Takayama et al., Phys. Rev. ST-AB 17 (2014) 010101. [2]T. Yoshimoto et al., submitted to Nucl. Inst. Meth. (2015) |
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THP025 p.995 | バリアバケット閉じ込めの力学 Dynamics of Barrier Bucket Confinement ○廣瀬 正武(KEK,東京都市大学),高山 健(KEK、東工大、東京都市大学、総研大),由元 崇,Liu Xigguang(KEK、東工大) ○Masatake Hirose (KEK,Tokyo City University), Ken Takayama (KEK,Tokyo Institute of Technology,Tokyo City University,SOKENDAI), Takashi Yoshimoto, Xigguang Liu (KEK,Tokyo Institute of Technology) バリアバケットによるビーム閉じ込めには歴史がある。まず初めに、1987年の米フェルミ国立加速器研究所のテバトロンでJ.E. Griffinにより提案され、実証された方式である[1]。このバリアバケットは高周波成分にRF電圧を重畳する方式で発生させたものである。これ以来、いくつかのグループがこの方法を取り込んだ。そして、Fermilab Antiproton Recyclerでは通常操作として利用されている。2000年に誘導加速シンクロトロンの概念が提案された。これはパルス電圧により発生したバリアバケットでのビーム閉じ込めを想定した加速器である。この概念は2006年に12 GeV PSを利用した実験で証明された[2]。初期の頃より、バリアバケットによる位相空間での粒子のカオス的な振る舞いが懸念されていた。しかしながら、このことに対して注目した研究は行われてこなかった。ここでは、有限な立ち上がり/立ち下がりと振幅によるパルス電圧特性とバリアバケットのパラメータに対し粒子が鋭敏な反応を示し、カオス的な振る舞いを起こすことについて議論する。我々はこの不安定性によって起因する縦方向のエミッタンス増加の対応策を提案する。 [1] J. Griffin, C. Ankenbrandt, J. MacLachlan, and A. Moretti, IEEE Trans. Nucl. Sci. NS-30, 3502, 21-23 Mar. 1983. [2] Ken Takayama and R.J. Briggs, Chapter 11 and 12 in Induction Synchrotron (Springer, Heidelberg, 2011). |
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THP026 p.1000 | KEK-DAにおけるSI-Thyristor Matrix Arrayにより駆動される静電入射キッカーと入射後のビーム力学 SI-Thyristor Matrix Array Driven Electrostatic Injection Kicker for the KEK Digital Accelerator and Beam Dynamics Analysis of Injection ○小林 寛(東京都市大学),Liu Xingung(東京工業大学),川久保 忠通(KEK),安達 利一(KEK, 総研大) ○Hiroshi Kobayashi (Tokyo City University), Xingung Liu (Tokyo Institute of Technology), Tadamichi Kawakubo (KEK), Toshikazu Adachi (KEK, SOKENDAI) KEK-DAリング[1]への重イオン・ビーム入射には静電入射キッカー(ES-キッカー)[2]が使用される.入射を行う前に20 kVの高圧を予め静電キッカーの高圧電極に印加し,そこをビームが通過することでリング軌道方向に偏向する.ES-キッカーの高圧電極は同軸ケーブと繋がれており,その同軸ケーブルは共振充電電源に繋がっている.必要な電圧を同軸ケーブルに印加することにより,ES-キッカーは駆動する.また,ビームの入射後すぐに放電を行う.この放電に使用するスイッチとしてSI-Thyristor Matrix Array(SI-Thy MA)が開発され,従来のスイッチであるサイラトロンに置き換わった.開発されたSI-Thy MAは,サイラトロンの完全な代用として使用されているが,その動作特性などが報告される.SI-Thy MAのスイッチオン後,サイラトロンよりも長いリンギングが発生し,それが入射後のビームダイナミクスに影響を与え,マイクロバンチの形成に繋がることが判明した.この現象を理解するために,縦方向の空間電荷効果を含むシミュレーションプログラムを開発した.会議では,実験結果とシミュレーション結果との比較について議論する. [1] T.Iwashita et al.,"KEK Digital Accelerator",Phys.Rev.ST-AB 14,071301(2011).[2] T.Adachi and T.Kawakubo,"Electrostatic Injection Kicker for KEK-DA",Phys.Rev.ST-AB 16, 053501 (2013). |
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THP027 p.1004 | Comparative study of beam dynamics in the RFQ for J-PARC linac ○Sayyora Artikova (J-PARC center) A new linac front-end had been installed for intensity upgrade of J-PARC in 2014, July-September. It consists of a 50 keV Ion Source (IS), a two-magnetic solenoid based Low Energy Beam Transport (LEBT) and 324 MHz RFQ accelerating 50 mA H- beam to 3 MeV. In the linac, there are three beam transport sections were implemented to match the beam between the different accelerator elements. This paper presents the simulation study of high intensity beam dynamics in the RFQ and beam transport using Mathematica and General Particle Tracer code. Comparison of studies of a uniformly generated particle distribution and a more realistic beam, the distribution re-constructed from Test Stand emittance measurement has been made. Emittance and twiss parameters at the exit of RFQ are determined and can be used for beam matching optimization in the Medium Energy Beam Transport (MEBT1) section. |
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THP028 p.1008 | J-PARC RCSにおける奇数次のビームローディングによるビーム損失 Beam loss caused by odd harmonics of beam loading in J-PARC RCS ○山本 昌亘(原子力機構),原 圭吾,長谷川 豪志(高エネ研),野村 昌弘(原子力機構),大森 千広(高エネ研),島田 太平,田村 文彦(原子力機構),戸田 信,吉井 正人(高エネ研) ○Masanobu Yamamoto (JAEA), Keigo Hara, Katsushi Hasegawa (KEK), Masahiro Nomura (JAEA), Chihiro Ohmori (KEK), Taihei Shimada, Fumihiko Tamura (JAEA), Makoto Toda, Masahito Yoshii (KEK) J-PARC RCSはハーモニックナンバー2のRFバケツに2バンチを入れて加速しているため、2つのバンチに大きな電荷密度の差が無い限り、ビームローディングの主な成分は偶数次である。 ところが、RCSの設計強度である1 MWに近づくにつれて、偶数次に比べて非常に小さな振幅でしかない奇数次のビームローディングにより、ビーム損失が起こることがシミュレーションにより分かった。しかも、単に奇数次のビームローディングが存在するだけではビームロスには至らず、奇数次のビームローディングに振幅変調がかかってしまう場合に、ビーム損失が起こる。 本報告では、主にシミュレーションによる計算結果について報告する。 |
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THP029 p.1013 | ESRFアップグレードラティスの解析 Analysis of ESRFII Lattice ○原田 健太郎,小林 幸則,中村 典雄,生出 勝宣(高エネルギー加速器研究機構) ○Kentaro Harada, Yukinori Kobayashi, Norio Nakamura, Katsunobu Oide (KEK) 最先端の蓄積リング型光源の検討を行う為、ESRFのパンタレオ氏よりESRFアップグレードのラティスを3GeV化したラティスのデータをもらい、ラティスの基礎データやESRFで採用されているアパーチャを広げる非線形力に対する工夫の検討、ラティスの最適化に関する研究を行ったので、それについて発表を行う。パンタレオ氏のラティスは、エネルギー3GeV、周長約550mで電流ゼロでのエミッタンス145pmrad、アパーチャ的に全く問題なかった。それをさらに最適化し、真空封止短周期アンジュレータ用の短直線部を加え、入射とRFの為に2箇所の直線部をより長くし、チューン及び非線形力に対する最適化を再度行った。周長約600m、エミッタンスは500mAでバンチ内散乱の効果ありで300pmrad、誤差を入れても入射点のアパーチャが1cm以上あり、問題ないラティスを構築することが可能であった。 |
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THP030 p.1018 | レーザーイオン源を用いたシンクロトロンへのシングルターン入射の検討 Research on single turn injection into synchrotron by laser ion source ○野田 悦夫,中尾 政夫,野田 章,野田 耕司(放医研),後藤 彰,岩井 岳夫(山形大),山口 晶子(東芝) ○Etsuo Noda, Masao Nakao, Akira Noda, Koji Noda (NIRS), Akira Goto, Takeo Iwai (Yamagata Univ.), Akiko Yamaguchi (Toshiba) パルスレーザーをターゲットに集光照射して多価イオンを生成するレーザーイオン源の開発を行っている。レーザーイオン源から引き出し加速したイオンをシンクロトロンに入射したときの空間電荷を考慮したビーム軌道解析を行った。レーザーイオン源はパルス動作をし、ビームの引き出しパルス幅は通常数百ns〜数μsであるためシングルターン入射を行う。シンクロトロンの水平方向の位相空間に、アクセプタンスの1/10程度のエミッタンスを持つ炭素ビーム(6価)を中心からずらしてシングルターン入射したときの挙動を粒子軌道シミュレーションにより調べた。その結果、ビームの中心軌道は単一粒子のビーム軌道に、また、ビーム中心のまわりの粒子の運動はシンクロトロンの中心にビームを入射したときの振舞いと一致した。この結果は、Hillの方程式が、ビーム中心軌道に対する空間電荷効果を含まない方程式と、シンクロトロンの中心にビーム中心があるときの空間電荷効果を含む方程式の2つに分離できることを示している。また、空間電荷によるチューンシフトについて調べた結果、今回のようにビームを中心から外して入射した場合は、粒子ごとあるいは時間ごとにチューンシフトの大きさや符号が異なることが分かった。全粒子の平均あるいは1つの粒子の時間平均をとるとほぼ0になった。入射はバンプマグネットの使用を考えており、入射可能なバンプ軌道の振幅・時間変化についても検討を行った。 |
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THP031 p.1023 | 二粒子対変換を用いた荷電粒子位相空間分布のマクロ粒子数依存性の解析 Analysis of effect of macro-particle number on phase space distribution of charged particle beam using particle pair transformation ○宮島 司(高エネ研) ○Tsukasa Miyajima (KEK) 荷電粒子ビームの数値解析においては、近似を利用して系の自由度を減らす方法が広く用いられている。系の自由度を減らしてビームを表現する汎用的な方法として、複数の荷電粒子を一つに纏めたマクロ粒子に置き換える方法が広く用いられている。ここでの根本的な問いが、どれくらいの粒子数を用いれば要求される解析精度が確保されるか、ということである。これに答えるための基礎的な研究として、これまでに、マクロ粒子に置き換える操作の整理と、マクロ粒子を用いて自由度を減らす操作を定量化するために新たな変換操作の定義(二粒子対変換の導入)を行ってきた。今回の報告では、二粒子対変換を適用してマクロ粒子を減らしていったときに、位相空間上のどのような情報が失われていくかについて、1次元および2次元の荷電粒子分布に対して解析した結果を報告する。 |
加速器技術/粒子源 (8月6日 小ホール) | |
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THP032 p.1027 | RCNPにおける重イオンビーム源およびLEBT系の開発 Development of Heavy Ion Source and LEBT at RCNP ○依田 哲彦,畑中 吉治,福田 光宏,島田 健司 ,安田 裕介,鎌倉 恵太(阪大RCNP) ○Tetsuhiko Yorita, Kichiji Hatanaka, Mitsuhiro Fukuda, Kenji Shimada, Yusuke Yasuda, Keita Kamakura (RCNP, Osaka Univ.) 近年、サイクロトロンにおける加速ビームの大強度化は非常に重要なテーマである。これは、中性子やミューオンなどの2次ビーム生成やRI製造などにおける陽子ビームの大強度化および、短寿命RIビーム生成などのための重イオンビームの大強度化がある。このうち重イオンビームの大強度化のため、阪大RCNPサイクロトロン施設では、イオン源としては超伝導ECRの開発を継続的に行ってきた。特に近年ではLEBT系のコンポーネントの改良や、短時間測定可能なエミッタンスモニターの整備を進め、透過効率が高くサイクロトロンのアクセプタンスにマッチしたイオンビーム生成および輸送のを目指している。講演では、これらの開発状況の詳細について発表する。 |
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THP033 p.1030 | マルチカスプ磁場ガイディングを用いたレーザーイオン源の長パルス化 Elongation of pulse width for laser ion source with guiding by multicusp magnetic field ○高橋 一匡,梅澤 将充,内野 拓海,池上 京祐,佐々木 徹,菊池 崇志,原田 信弘(長岡技術科学大学) ○Kazumasa Takahashi, Masamichi Umezawa, Takumi Uchino, Keisuke Ikegami, Toru Sasaki, Takashi Kikuchi, Nobuhiro Harada (Nagaoka University of Technology) 近年,レーザーと真空容器から成る簡便な装置構成で,固体ターゲットから高価数や大電流のイオンを供給することができるレーザーイオン源が注目されている.レーザーアブレーションプラズマの生成にはパルスレーザーが用いられ,パルス的に生成されたプラズマはターゲット面に対して垂直方向にドリフト速度をもって膨張する.プラズマの自由膨張距離を長くすることにより,ビームのパルス幅を伸ばすことが可能だが,一方でプラズマ密度の低下によって,引き出されるイオンビームの電流密度が大きく低下する.本研究では,磁場によってプラズマの進行方向以外の膨張を抑制し,電流密度の低下を抑えて長パルス化させることを目的とし,マルチカスプ状の磁場を用いたプラズマのガイディングを検討した.アブレーションプラズマの生成にはエネルギー400 mJ,波長532 nmのNd:YAGレーザーを用いて実験を行った.また,8個の永久磁石を円周上に並べることにより,8極のマルチカスプ磁場を形成し,レーザーターゲットから250 mmの位置に配置して,長さ300 mmの間で印加した.ファラデーカップを用いてプラズマのイオン電流波形を計測し,輸送距離に対する変化を調べた.その結果,マルチカスプ磁場を輸送中のイオン電流密度は自由膨張時と比較し,低下を抑えられることが示された. |
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THP034 p.1033 | 重イオン慣性核融合のためのソレノイド磁場によるレーザーイオン源の電流増加 Current Increase in Laser Ion Source using Solenoidal Magnetic Field for Heavy Ion Inertial Fusion ○梅澤 将充,内野 拓海,池上 京佑,高橋 一匡,佐々木 徹,菊池 崇志,原田 信弘(長岡技科大) ○Masamichi Umezawa, Takumi Uchino, Keisuke Ikegami, Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, Takashi Kikuchi, Nob. Harada (NUT) 重イオン慣性核融合では,高フラックスで低価数の重イオンを供給する必要がある.そのため,大電流のイオンを供給できるレーザーイオン源は,重イオン慣性核融合を実現するためのイオン源として期待されている.レーザーイオン源は,高強度レーザーを固体ターゲット表面に照射することで高密度プラズマを生成するため,大電流イオンビームを供給することが可能である.しかし,ドリフト距離に応じたプラズマの膨張によってプラズマ密度は減少する.そのため,高フラックスイオン源を実現するために,レーザーアブレーションプラズマの挙動制御する必要がある.そこで本研究では,プラズマ輸送部にソレノイド磁場を印加し,レーザーアブレーションプラズマの膨張を抑制することでプラズマ密度の減少を抑え,イオン電流を増加させることを目的とした.波長532 nm,照射強度108 W/cm2程度のNd:YAGレーザーを鉛ターゲットに照射することでレーザーアブレーションプラズマを生成した.レーザーアブレーションプラズマをガイドするために定常的に5 mT程度のソレノイド磁場を印加し,ファラデーカップを用いてイオン電流の測定を行った結果,イオン電流が1.5倍程度に増加することが示された. |
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THP035 p.1036 | 生物電子顕微鏡のためのナノ構造光陰極型超コヒーレント電子源の開発 Development of Ultra Coherent Electron Source with Nano-Structured Photocathode for Bio-Electron Microscopy ○澁谷 達則(東京工業大学 理工学研究科),吉田 光宏(高エネルギー加速器研究機構),林崎 規託(東京工業大学 原子炉工学研究所) ○Tatsunori Shibuya (Tokyo Tech), Mitsuhiro Yoshida (KEK), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech) 電子顕微鏡で生体細胞を観測する場合、電子線による細胞損傷が問題である。近年の研究報告により60eVの電子線ではこの損傷が抑制されることが報告された。しかし、既存の電界電子放出では、低電圧領域でそのコヒーレンス度はほぼゼロとなるため、観測プローブとして機能しない。コヒーレンス度を高めるためには、放出電子の単色化が求められている。本研究では、レーザーとナノ構造陰極を用いることで電界電子放出と同程度の放出面積を有し、且つレーザー特有の単色性をもつ電子の生成に取り組んでいる。 |
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THP037 p.1040 | J-PARCイオン源の現状 Status of the J-PARC Ion Source ○大越 清紀,上野 彰,池上 清,高木 昭,浅野 博之,小栗 英知(J-PARCセンター) ○Kiyonori Ohkoshi, Akira Ueno, Kiyoshi Ikegami, Akira Takagi, Hiroyuki Asano, Hidetomo Oguri (J-PARC Center) J-PARCリニアックでは、ピークビーム電流を30mAから50mAに増強するために、高周波駆動型(RF)負イオン源の使用を2014年10月より開始した。RF負イオン源は、これまでテストスタンドにおいて試験を行ってきたものであり、RFQのアクセプタンスに収まるビーム電流として70mAのビーム引出し性能を有する。現在、RF負イオン源はピーク電流33mAでビーム利用運転を行っており、また、加速器のスタディを行うために短期間ではあるが55mAの運転も並行して行っている。ビーム電流は、電流を一定にするためのフィードバック制御を導入しているため、長期的な変動は無く安定している。いままでセシウム添加量の過多が原因と思われるアンテナ損傷が運転中に1回あったものの、それ以外は大きなトラブルもなく非常に安定に稼働しており、現在まで、30mA条件下で40日間(960h)の連続運転に成功している。 |
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THP038 p.1045 | J-PARCハドロン実験施設における間接水冷型生成標的の開発 Development of indirectly water-cooled production target at J-PARC hadron experimental facility ○高橋 仁,上利 恵三,青木 和也,萩原 雅之,広瀬 恵理奈,家入 正治,岩崎 るり,加藤 洋二,皆川 道文,武藤 亮太郎(KEK),成木 恵(京大理),野海 博之(阪大RCNP),里 嘉典,澤田 真也,鈴木 善尋,田中 万博,豊田 晃久,渡辺 丈晃,山野井 豊(KEK) ○Hitoshi Takahashi, Keizo Agari, Kazuya Aoki, Masayuki Hagiwara, Erina Hirose, Masaharu Ieiri, Ruri Iwasaki, Yohji Katoh, Michifumi Minakawa, Ryotaro Muto (KEK), Megumi Naruki (Kyoto Univ.), Hiroyuki Noumi (Osaka Univ.), Yoshinori Sato, Shin'ya Sawada, Yoshihiro Suzuki, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Hiroaki Watanabe, Yutaka Yamanoi (KEK) 我々は、J-PARCハドロン実験施設における二次粒子の生成のために、50kWまでの1次ビームパワーに耐えられる新しい標的を開発した。粒子シミュレーションと有限要素法を用いた熱強度計算を行い、実際に測定した材料の機械強度や接合強度と比較した。その結果、標的物質として金を選び、それを銅ブロックの上に接合してその銅ブロックを水冷するという間接水冷方式を採用した。より高いビームパワーに対応するため、形状を見直して冷却効率を上げたほか、万が一標的物質や接合部等に劣化が見られた場合にすぐ交換できるよう、二山構造にした。この新しい標的は、2014年9月にJ-PARCハドロン実験ホールに設置され、2015年4月からビーム照射を開始した。 本論文では、新標的の開発の詳細とビーム運転の結果について報告する。 |
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THP039 p.1050 | 永久磁石型 2.45 GHz ECR イオン源の開発 Development of 2.45 GHz ECR ion source with permanent magnet ○島田 健司,畑中 吉治,福田 光宏,依田 哲彦,植田 浩史,安田 裕介,鎌倉 恵太,原 周平,久米 世大,森信 俊平,永山 啓一,齋藤 高嶺,田村 仁志(大阪大学核物理研究センター) ○Kenzi Shimada, Kichiji Hatanaka, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroshi Ueda, Yuusuke Yasuda, Keita Kamakura, Shuhei Hara, Toshihiro Kume, Shunpei Morinobu, Keiichi Nagayama, Takane Saito, Hitoshi Tamura (Research Center for Nuclear Physics, Osaka University) A 2.45 GHz ECR ion source has been developed to supply high currents with a low emittance at the RCNP cyclotron facility. Its plasma chamber consists of a cylinder of aluminum and two boron nitride disks placed at top and bottom of the cylinder. Its magnetic field is formed by two ring permanent magnets and no multipole magnets are employed. A proton-beam intensity of 1.0 mA at an extracting voltage of 15 kV was obtain using a microwave power of 350 W. A life time of the ion source depends on durability of the BN disk. After the material of the disks was changed to alumina, it could produce the proton beam of 0.5 mA in a life time test of 720 hours, and required a relatively low RF power of 200 W. The essential development steps towards the observed performance are described. |
13:00 - 15:00 | |
THP040 p.1053 | RF電子銃用の透過型フォトカソードの開発 Development of transmission-type photocathode for RF gun ○佐々木 泰,楊 金峰,近藤 孝文,管 晃一,神戸 正雄,吉田 陽一(大阪大学産業科学研究所) ○Yasushi Sasaki, Jinfuen Yan, Takafumi Kondoh, Koichi Kan, Masao Goudo, Youich Yoshida (The Institute of Scientific and Industrial Research, Osaka University) 阪大産研では、RF電子銃を用いた高時空間分解能を有する透過型電子顕微鏡を開発し、物質材料、生体分子のダイナミクスの研究を推進している。高時空間分解能を実現するために、RF電子銃から、低エミッタンスかつ短パルスの電子ビームを発生する必要がある。従来のRF電子銃では、フォトカソードの前面にレーザーを導入する前面照射の方式が採用されている。この方式では、レーザー導入部とカソード間の距離は長く、レーザーの集光サイズは大きくいため、熱エミッタンスの低減は困難である。本研究では、透過型フォトカソードを開発し、カソードの背面からレーザーを導入することにより熱エミッタンスの低減を目指す。また、レーザーの集光により、電子顕微鏡に不可欠であるコヒーレンスが高い電子源を実現する。本大会では、透過型カソードの設計、カソードの材質の選定、ビーム特性(量子効率、エミッタンスなど)の測定結果について報告する。 |
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THP041 p.1056 | 背面照射における透過光型スピン偏極電子源のパルス応答性測定 Measurement of pulse response with transmission-type spin-polarized photocathodes by backside-radiation ○山口 健太(名古屋大学大学院 工学研究科),山本 尚人(高エネルギー加速器研究機構 KEK),保坂 将人(名古屋大学 シンクロトロン光研究センター),宮内 智寛(名古屋大学大学院 工学研究科),金 秀光(高エネルギー加速器研究機構 KEK),高嶋 圭史(名古屋大学 シンクロトロン光研究センター),加藤 政博(分子科学研究所 UVSOR) ○Kenta Yamaguchi (Graduate School of Engineering , Nagoya University ), Naoto Yamamoto (High Energy Accelerator Research Organization KEK), Masato Hosaka (Synchrotron Radiation Research Center, Nagoya University), Tomohiro Miyauchi (Graduate School of Engineering , Nagoya University ), Syuukou Kin (High Energy Accelerator Research Organization KEK), Yoshihumi Takashima (Synchrotron Radiation Research Center , Nagoya University), Masahiro Katou (Institute for Molecular Science UVSOR) NEA-GaAs 型電子源は高スピン偏極度、低エミッタンス電子ビーム生成能力を兼ね備えた電子源である。また、近年我々は透過光型のNEA-GaAs型電子源を開発し、電子源背面からの励起光照射による電子ビーム取り出しを可能とした。励起光の背面照射はレーザーポインティングの不安定性によるエミッタンス劣化抑制、電子ビームと励起光用光学系の干渉抑制など様々な利点がある。我々は現在、背面透過光型電子源を用いたNEA-GaAs型電子源の時間応答性について系統的な研究を進めている。 NEA-GaAs型電子源は現在、KEKのcERLで電子源として採用されており、高エネルギー物理の将来計画としてはERLをベースとしたElectron-Ion-Colliderをはじめとした応用が期待されている。これら応用計画の特徴は大電流ビーム環境下での連続運転であり、僅かなビームロスでも従来の加速器を凌ぐ放射線が生じる。このため、ビームロスを極限まで抑えることが加速器運転において重要な課題となっている。本研究の目的の一つは上述例のようにパルスビーム生成が必須な加速器においてビームロスの原因と成り得る電子ビームのテール構造を定量化することである。 本研究では背面照射型20kV電子源と本電子銃に特化して製作したRF偏向空洞を用い、様々な条件(電子源量子効率、電子源厚さなど)で電子ビームのパルス応答性を測定している。本発表では計測装置の概要を述べ、それら計測結果について報告する。 |
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THP042 p.1059 | NEA-GaAs型電子源における表面近傍のエネルギー状態の考察 Study of Energy State of Near Surface of the NEA-GaAs type Photocathode ○宮内 智寛(名古屋大学大学院 工学研究科),山本 尚人,金 秀光(高エネルギー加速器研究機構 KEK),保坂 将人,真野 篤志,高嶋 圭史(名古屋大学 シンクロトロン光研究センター),加藤 政博(分子科学研究所 UVSOR) ○Tomohiro Miyauchi (Nafoya University Graduate School of Engineering), Naoto Yamamoto, Syuukou Kin (High Energy Accelerator Research Organization KEK), Masato Hosaka, Atushi Mano, Yoshihumi Takashima (Nagoya University Synchrotron radiation Research center), Masahiro Katou (Institute for Molecular Science UVSOR) 我々は、次世代加速器への応用を目指して、GaAs系半導体を用いたスピン偏極電子源の開発を行っている。スピン偏極電子源の開発では、90%以上の高い偏極度を維持しつつ量効率を向上させることが目標の一つである。 近年、歪補償型超格子構造を用いることで従来の数倍の厚さの活性層を持つ電子源の作成が可能となり、スピン偏極度92%・量子効率1.6%を同一の電子源フォトカソードで達成している。スピン偏極度を維持しつつ量子効率を向上させるために、超格子層の膜厚を増加させる手段は非常に有用で、現在は膜厚とスピン偏極度及び量子効率の関係性の解明に至っている。 一方で、量子効率はNEA表面の状態にも大きく依存するが、NEA表面は製膜条件や製膜後の真空中において残留ガスなどの影響により劣化していく。現在、NEA型電子源の界面エネルギー状態が解明されておらず、NEA表面の状態を定量的に評価できていない。 本研究では、最大 4.2 MV/mの電界を印加できる電子銃を用いて、印加電界と量子効率の関係性を調べた。また、NEA型電子源と真空の界面に存在するとされるエネルギー障壁の形状を仮定し、電子の透過率を計算することで、実験結果を再現することに成功した。 本発表では、実験結果を再現する具体的な表面近傍のエネルギー状態や、ショットキー効果の影響を除いたNEA表面の定量評価について提案する。 |
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THP043 | ECRイオン源から引き出された低エネルギー多価イオンビームの高輝度化に向けたペッパーポット型エミッタンスメータを用いたオンラインビーム診断装置の開発 Development of the on-line beam monitor based on the pepper-pot method for high-brightness low-energy multi-charged ion beams extracted from ECR ion source ○長友 傑(理研),ツォガニス ヴァシレイオス(理研、リバプール大),加瀬 昌之,中川 孝秀,上垣外 修一(理研) ○Takashi Nagatomo (RIKEN), Vasileios Tzoganis (RIKEN, the Univ. of Liverpool), Masayuki Kase, Takahide Nakagawa, Osamu Kamigaito (RIKEN) 重イオン加速器で大強度ビームを得るには、ECRイオン源から引き出される多価イオンビームの輝度を上げることが重要な課題の一つである。ビームの輝度を上げるために、横方向のエミッタンスを最小化する必要がある。近年、この横方向エミッタンス抑制にとって、四次元位相空間分布の二軸間相関、即ち、x-y、x-y'、y-x'およびx'-y'相関の重要性が議論されている。ペッパーポット型エミッタンスメータは、規則的にならんだ複数のピンホールを通ったビームを数センチ下流に置かれた蛍光スクリーンで観測する装置で、原理的に、ビームの位置分布と角度の分布を同時に測定可能であるため、四次元での位相空間分布測定に最適な装置といえる。更に、高輝度化を実現する為に、オンライン診断を行うべく、1秒以下の高速でペッパーポット型エミッタンスメータからデータ取得・解析・表示を行えるオンライン画像解析プログラムを開発したので、報告する。また、輝度を上げる為に必要な、ソレノイドレンズ等の輸送デバイス等のビームの制御手法について議論を行う。 |
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THP044 p.1064 | SuperKEKB陽電子増強の現状 Present status of SuperKEKB positron source ○紙谷 琢哉,明本 光生,荒川 大,荒木田 是夫,飯田 直子,池田 光男,岩瀬 広,榎本 收志,榎本 嘉範,大沢 哲,大西 幸喜,岡田 尚起,小川 雄二郎,柿原 和久,風間 慎吾,梶 裕志,片桐 広明,門倉 英一,菊池 光男,Feng Qiu,倉品 美帆,小磯 晴代,佐藤 政則,臧 磊,設楽 哲夫,周 翔宇,白川 明広,末武 聖明,杉本 寛,諏訪田 剛,高富 俊和,竹中 たてる,田中 窓香,多和田 正文,張 叡,中尾 克巳,中島 啓光,夏井 拓也,肥後 寿泰,福田 茂樹,船越 義裕,古川 和朗,本間 博幸,松下 英樹,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子,三川 勝彦,道園 真一郎,三増 俊弘,宮原 房史,森 隆志,森田 昭夫,矢野 喜治,横山 和枝,吉田 光宏(KEK/SOKENDAI),佐藤 大輔(TITECH) ○Takuya Kamitani, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Yoshio Arakida, Naoko Iida, Mitsuo Ikeda, Hiroshi Iwase, Atsushi Enomoto, Yoshinori Enomoto, Satoshi Ohsawa, Yukiyoshi Ohnishi, Naoki Okada, Yujiro Ogawa, Kazuhisa Kakihara, Shingo Kazama, Hiroshi Kaji, Hiroaki Katagiri, Eiichi Kadokura, Mitsuo Kikuchi, Qiu Feng, Miho Kurashina, Haruyo Koiso, Masanori Satoh, Lei Zang, Tetsuo Shidara, Xiangyu Zhou, Akihiro Shirakawa, Masaaki Suetake, Hiroshi Sugimoto, Tsuyoshi Suwada, Toshikazu Takatomi, Tateru Takenaka, Madoka Tanaka, Masafumi Tawada, Rui Zhang, Katsumi Nakao, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui, Toshiyasu Higo, Shigeki Fukuda, Yoshihiro Funakoshi, Kazuro Furukawa, Hiroyuki Honma, Hideki Matsushita, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Katsuhiko Mikawa, Shinichiro Michizono, Toshihiro Mimashi, Fusashi Miyahara, Takashi Mori, Akio Morita, Yoshiharu Yano, Kazue Yokoyama, Mitsuhiro Yoshida (KEK/SOKENDAI), Daisuke Satoh (TITECH) KEK電子陽電子線形加速器ではSuperKEKBに向けた陽電子生成部及び加速部の増強を進めている。陽電子生成標的直後でのビーム収束にはフラックスコンセントレータ型ソレノイドを用いる。すでに定格値の半分の電流値(6kA)を供給できる試験用パルス電源を用いてビームライン上での陽電子生成のビーム試験も行ったが、さらに現在テストスタンドにおいて実機用(12kA)電源と予備機のフラックスコンセントレータを用いた通電試験を進めている。陽電子捕獲部では通常のものより開口径が1.5倍大きい加速管(LAS)を用いる。これまでにビームライン上に設置しRFプロセシングを行った上でビームの試験運転に使用しているが、ガス放出が多く電界強度が制限されているため原因の調査を進めている。また定格の一次電子ビーム強度での運転を行うために、陽電子生成部の上方に放射線を遮蔽するための構造体を設置し、これによる放射線の減衰を実測した。また陽電子ビームのエミッタンス形状を整形するためのビームコリメータが設置されている。これはSuperKEKB開始当初にはダンピングリング無しでの入射を行うがこの際には必要となるものであり、今回ビームを用いた試験を行った。この論文ではこれらの陽電子生成部増強における機器の現状について報告する。 |
加速器技術/高周波加速空胴 (8月6日 小ホール) | |
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THP045 p.1069 | SPring-8極短バンチモニタ開発テストベンチのコミッショニング 及び2.7セルRF電子銃大電力試験 Commissioning of R&D Test Bench for Ultra-short Bunch Monitor and High Power Test of 2.7-cell RF Gun at SPring-8 ○谷内 努,下崎 義人,鈴木 伸介,出羽 英紀,冨澤 宏光(JASRI/SPring-8) ○Tsutomu Taniuchi, Yoshito Shimosaki, Shinsuke Suzuki, Hideki Dewa, Hiromitsu Tomizawa (JASRI/SPring-8) SPring−8-II計画におけるX線回折限界リングへの入射に必要な基礎技術の確立を目的とし、SACLA加速器からの数10 fsの電子ビーム(極短バンチビーム)を非破壊で3次元リアルタイム・モニタリングできるEOサンプリング法を用いたバンチモニタの開発が進められている。本バンチモニタの開発テストベンチとして利用するため、2013年度にRF電子銃試験装置の改造が行われた。RF電子銃空洞を2空洞とすることで、ビームエネルギーを改造前(単空洞)の3.8 MeVから6 MeVへ上げ、Sバンド高電界加速管により85 MeVまで加速してバンチ圧縮系を通過させてバンチモニタ直前で数10 fsのバンチ長を得る設計である。改造のため設置された主な機器は、SLED、2空洞式RF電子銃、加速管およびエネルギー変調管、シケイン電磁石などである。本発表では、本テストベンチのRFコンディショニング及びビームコミッショニング結果とともに、電子銃のビームエネルギーを6 MeVから10 MeVへ上げるため開発された2.7セルRF電子銃の大電力試験について報告する。 |
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THP046 p.1073 | KEKにおける超伝導RF電子銃(試作2号機)の開発状況 Development of Superconducting RF Electron Gun (Prototype #2) in KEK ○松田 竜一,柳澤 剛(三菱重工),小林 幸則,山口 誠哉,加古 永治,梅森 健成,許斐 太郎(高エネ研) ○Ryuichi Matsuda, Takeshi Yanagisawa (MHI), Yukinori Kobayashi, Seiya Yamaguchi, Eiji Kako, Kensei Umemori, Taro Konomi (KEK) KEKでは次世代ERLやFELシステムに必要となる高輝度電子銃向けに、従来のDC電子銃に加え超伝導RF電子銃の開発を開始した。共振周波数1.3 GHz、出口エネルギーを2 MeV、ビーム電流を100 mAに設定し、前回の発表では最大表面電界が低く(42 MV/m)、低エミッタンス(1 mm mrad)、低エネルギー拡がり(2 keV, 0.1 %)を得る空洞形状の検討結果と製作状況を示した。製作した空洞はその後試作1号機として基本的な評価や強電界試験を行っており、結果については本会で別途報告する。 本発表では、大電力RFカプラ及びカソード交換のためのチョーク構造を加えた試作2号機についての検討結果を報告する。RF電力 200 kW を投入するため2本の同軸カプラを取付けた構造、カソード交換を想定した場合に生じる隙間からのRF漏洩を抑制するためのチョーク構造について、その製作性も考慮して設計している。 |
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THP047 p.1077 | 超伝導QWR空洞の開発 Development of Superconducting QWR cavity ○仙入 克也,柳澤 剛,原 博史,宮本 明啓,松田 竜一(三菱重工業),上垣外 修一,奥野 広樹,坂本 成彦,山田 一成,須田 健嗣,大関 和貴,渡邉 裕(理研仁科センター),加古 永治,仲井 浩孝,梅森 健成(高エネルギー加速器研究機構) ○Katsuya Sennyu, Takeshi Yanagisawa, Hiroshi Hara, Akihiro Miyamoto, Ryuichi Matsuda (MHI), Osamu Kamigaito, Hiroki Okuno, Naruhiko Sakamoto, Kazunari Yamada, Kenji Suda, Kazutaka Ozeki, Yutaka Watanabe (RIKEN Nishina Center), Eiji Kako, Hirotaka Nakai, Kensei Umemori (KEK) 三菱重工業では,これまでに電子加速用の超伝導加速空洞の開発・製造を行ってきたが,重粒子加速用の超伝導QWR空洞の開発にも取り組んでいる。本発表では,高エネルギー加速器研究機構殿と共同で行った周波数解析や,構成パーツの成形試験など,当社の超伝導QWR空洞開発状況について報告する。 |
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THP048 p.1080 | 高純度銅の低温でのQ値特性試験 Testing the cryogenic Q-factor property of high-purity copper ○飯野 晃弘(総研大) ○Akihiro Iino (SOKENDAI) 現在、株式会社トヤマ高エネルギー加速器研究機構及び日本大学を中心としクライオ電子リニアックを基盤とするコンパクト空間干渉性X線(PXR)源の開発を行っている。この加速器では75MeVに加速させた電子を単結晶に衝突させPXRを発生させる。単結晶を通過した電子ビームを減速管で3eVまで減速させ、その後ダンプに衝突させる。医療応用を想定している本加速器において、加減速管の小型化が技術課題の1つであり、小型で高効率な加減速を得るため加減速管は極低温下に置き、極低温でより電気抵抗率が低くなる高純度銅(純度:6N8)を母材とした。本発表では、高純度銅について極低温で残留抵抗(電気抵抗)が小さくなる程度を示す指数である残留抵抗比(RRR:Residual Resistivity Ratio)と、極低温でのQ値の関係を計算及び測定より得た結果を一般的な加速管材料として用いられる無酸素銅(class 1)のものと比較し報告する。 |
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THP049 | 超低速ミュオン顕微鏡用高周波加速空洞の開発 Development of RF cavity for ultra slow muon microscope ○林崎 規託(東工大) ○Noriyosu Hayashizaki (TokyoTech) 文部科学省科学研究費補助金による新学術領域研究「超低速ミュオン顕微鏡が拓く物質・生命・素粒子科学のフロンティア」の公募研究として,「超低速ミュオン顕微鏡創成と極微 μSR」に必要な,超低速ミュオン線形加速器の開発が進められている。超低速ミュオン顕微鏡では,あらかじめパルス化されたビームが再加速されるため,J-PARC/MLFのUラインにおけるエネルギー可変の小型加速器として,電極配列の制約がなく加速エネルギーも自由に変化させることが可能な,シングルギャップ型の高周波加速空洞を製作した。これは向かい合う一対の電極が各々 λ/4の長さをもち,お互いに逆極性の高周波電場を発生するものである。その進捗状況について報告する。 |
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THP050 p.1084 | STF2クライオモジュールの低電力RF試験 Low Power RF tests of STF2 Cyromodules ○今田 信一,浅野 峰行,植木 竜一,柳町 太亮,山田 浩気(日本アドバンストテクノロジー),岡田 昭和(ケーバック),宍戸 寿郎,山本 康史,加古 永治(KEK) ○Shin-ichi Imada, Mineyuki Asano, Ryuichi Ueki, Taisuke Yanagimachi, Hiroki Yamada (NAT), Terukazu Okada (K-vac), Toshiro Shishido, Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako (KEK) KEK STFにおいて、STF2計画としてILC標準仕様のクライオモジュール が2014年7月に完成した。クライオモジュールはCM1とCM2aで構成され、 CM1には超伝導空洞8台と1台の超伝導4極磁石が、CM2aには超伝導空洞 4台が入っている。また、超伝導空洞システムは超伝導空洞の他、 周波数調整用チューナー、インプットカップラー、高調波カップラー、 モニターカップラーなどから成る。超伝導空洞およびこれら周辺機器 の性能の確認及び調整のために、次のような低電力RF試験を実施した; チューナーストローク試験、インプットカップラー結合ストローク 試験、外部Q値測定、ケーブルコレクション及びピエゾストローク試験。 本発表では、これらの試験結果について述べる。 |
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THP051 p.1089 | STF2-CM2b用9セル超伝導空洞4台のたて測定結果 Vertical Test Results of 9-cell SC Cavities for STF2-CM2b ○柳町 太亮,浅野 峰行,今田 信一,植木 竜一,山田 浩気(日本アドバンストテクノロジー),岡田 昭和(ケーバック),宍戸 寿郎,山本 康史,加古 永治(KEK) ○Taisuke Yanagimachi, Mineyuki Asano, Shin-ichi Imada, Ryuichi Ueki, Hiroki Yamada (NAT), Terukazu Okada (K-vac), Toshiro Sishido, Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako (KEK) KEK-STFではILCのための試験設備を建設し運転を行うSTF-Phase2(STF2)が進められており、現在9セル超伝導空洞8台を組み込んだクライオモジュール(CM1)と4台を組み込んだクライオモジュール(CM2a)の設置が完了している。STF2では、CM2a用の空洞より、これまで空洞を横置きにした状態で溶接を行う方式から縦置きに変更され、さらに複数台を一度の真空排気で溶接できる設備を使用している。これまで縦型溶接設備を使用し、ゞ洞1台のみで計2台、2台を同時に溶接が行われた。それらの空洞はすでに性能試験終了、,鉢△龍洞4台はCM2aに組み込まれている。そして今回、CM2aの空洞と入れ替え(CM2b)の空洞を作製するにあたり4台を同時に縦型で溶接した。本報告では、STF2-CM2b用に作製された空洞4台のたて測定結果について述べる。 |
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THP052 p.1092 | STF2-CM2bクライオモジュール用9セル超伝導空洞の内面検査の結果 Inspection of inner surface in 9-cell SC cavities for STF2-CM2b cryomodule ○浅野 峰行,今田 信一,植木 竜一,柳町 太亮,山田 浩気(日本アドバンストテクノロジー),岡田 昭和(ケーバック),宍戸 寿郎,山本 康史,加古 永治(KEK) ○Mineyuki Asano, Shin-ichi Imada, Ryuichi Ueki, Taisuke Yanagimachi, Hiroki Yamada (Nippon Advanced Technology), Terukazu Okada (K-vac), Toshio Shishido, Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako (KEK) 高エネルギー加速器研究機構STF(Superconducting RF Test Facility)棟においてSTF2加速器の建設が行われた。STF2-CM2bクライオモジュール用9セル超伝導空洞4台は、STF-CM2aクライオモジュール用9セル超伝導空洞4台と交換する予定である。STF2-CM2bクライオモジュール用9セル超伝導空洞4台は、縦測定の前に内面検査用カメラ(京都カメラ)を使用して空洞内面の検査を行った。内面検査の結果により、空洞性能を制限すると思われる箇所の研磨を行った。本発表では、STF2-CM2bクライオモジュール用9セル超伝導空洞4台の内面検査の結果と空洞内研磨について報告する。 |
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THP053 p.1096 | FT3L金属磁性体コアのシャントインピーダンスに対する考察 Study of shunt impedance of the FT3L Magnetic Alloy core ○野村 昌弘,山本 昌亘,島田 太平,田村 文彦(日本原子力研究開発機構),大森 千広,戸田 信,長谷川 豪志,原 圭吾,吉井 正人(高エネルギー加速器研究機構) ○Masahiro Nomura, Masanobu Yamamoto, Taihei Shimada, Fumihiko Tamura (JAEA), Chihiro Ohmori, Makoto Toda, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara, Masahito Yoshii (KEK) J-PARCの2つのシンクロトロン(RCS、MR)では高い加速電圧を発生させる為に、加速空胴用に金属磁性体コア(FINMET)を採用している。更に大強度の陽子ビームを加速する為には、この金属磁性体コアのシャントインピーダンスを高める事が重要である。Ring RF グループでは磁場中熱処理を行う事により、高いシャントインピーダンスを持った加速器用の大型の金属磁性体コア(FT3L)の開発に成功している。磁場中熱処理を行うことにより磁化過程が主に磁化回転となることは知られており、FT3L金属磁性体コアのシャントインピーダンスは磁化過程が磁化回転となることにより高くなっている。本発表では理想的な磁化回転の場合のコアのシャントインピーダンスに対する考察を行う。具体的には、シャントインピーダンスで表されるコアの等価回路の損失と磁化回転の場合のコアの損失の計算を対応させることにより、シャントインピーダンスに対応する物理量を考察する。更にその結果から、シャントインピーダンスのコアを構成しているリボンの板厚及び透磁率依存性を示す。 |
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THP054 p.1101 | J-PARCリニアックにおけるACS空洞の運転状況 Operating status of the ACS in the J-PARC Linac ○根本 康雄,田村 潤,伊藤 崇,森下 卓俊,平野 耕一郎,近藤 恭弘,小栗 英知(日本原子力研究開発機構),杉村 高志,南茂 今朝雄(高エネルギー加速器研究機構),青 寛幸(Michigan State University) ○Yasuo Nemoto, Jun Tamura, Takashi Ito, Takatoshi Morishita, Koichiro Hirano, Yasuhiro Kondo, Hidetomo Oguri (Japan Atomic Energy Agency), Takashi Sugimura, Kesao Nanmo (High Energy Accelerator Research Organization), Hiroyuki Ao (Michigan State University) J-PARCリニアックでは、ACS(Annular-ring Coupled Structure)を用いたビーム運転を開始して約1.5年が経過した。ACS空洞の真空圧力については、ビーム運転開始時は約4×10E-7Paであったが、長期運転によるコンディショニング効果によって、現在はビーム運転で要求されるより十分低い1×10E-7Pa程度まで下がっている。ACS空洞のRFトリップ回数についても、長期運転によるコンディショニング効果によって順調に減少し、加速器の稼働率に大きな影響を与えることなく安定に稼働している。運転を開始してからこれまでの間に、ACSビームラインで使用していたアルミ製チェーンクランプの破損による突発的な真空リークが5回発生したため、同様のトラブルを未然に防ぐために全てのアルミ製クランプをステンレス製のものに交換した。現在ACS部では、空洞間に設置しているビームモニタのボア径が周辺のビームダクトと比べて小さいためビームコリメータとしても機能しているが、この場所の残留放射線量が非常に高く問題になっている。本報告では、この残留放射線の問題に対する対策を含め、ビーム運転を開始してからのACSの運転状況について述べる。 |
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THP056 p.1105 | シームレスニオブパイプを用いた液圧成形による超伝導加速空洞の製造 Hydroforming SRF cavities from seamless Nb tubes ○山中 将,井上 均,清水 洋孝,梅森 健成(高エネ研),HOCKER James(FNAL),TAJIMA Tsuyoshi(LANL) ○Masashi Yamanaka, Hitoshi Inoue, Hirotaka Shimizu, Kensei Umemori (KEK), James Hocker (FNAL), Tsuyoshi Tajima (LANL) 超伝導加速空洞について、現在主流である電子ビーム溶接を用いる製造方法に対して、大幅なコスト低減が期待される液圧成形を用いる製造技術の開発を行っている。 本開発のためには,『成形性が優れた高品質なシームレスニオブパイプの入手』と『液圧成形技術の高度化』が必要である.Fermilabの協力により,米国ATI Wah Chang社製のシームレスニオブパイプを入手し,液圧成形による1セル空洞の製造に成功した.たて測定の結果,最大加速勾配は36 MV/mに達し,加速空洞として使用できることを確認した.空洞の赤道部(大径部)は,約φ210ミリである.一方,アイリス部(小径部)は,φ70ミリである.φ70ミリのパイプをφ210ミリまで膨らませるには,200%程度の伸びが必要である.ニオブの伸びは50〜60%であるため,これは困難である.そこで,φ130ミリのパイプを用いて,まずくびれ加工(Necking)でアイリス部を成形し,次に液圧成形(Hydroforming)で赤道部を成形した.液圧成形は,2段階にて実施し,中間に焼きならしを入れて,伸びの回復を図った.くびれ加工機,液圧成形機はKEK機械工学センターにて開発した.成形後の内面は肌荒れしたので,バレル研磨を行い平滑化した(FNALで実施). |
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THP057 p.1109 | RF入力カプラー付きクライオ光陰極高周波電子銃用試験空洞の低温特性 Low Temperature Property of Cryogenic Photocathode RF-gun Test Cavity with Input Coupler ○境 武志,田中 俊成,中尾 圭佐,野上 杏子,稲垣 学,高塚 健人,長島 涼子,早川 建,早川 恭史(日大量科研),高富 俊和(高エネ研),佐藤 大輔(東工大理工研),福田 将史,吉田 光宏,照沼 信浩,浦川 順治(高エネ研) ○Takeshi Sakai, Toshinari Tanaka, Keisuke Nakao, Kyoko Nogami, Manabu Inagaki, Kento Takatsuka, Ryoko Nagashima, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa (LEBRA), Toshikazu Takatomi (KEK), Daisuke Sato (Tokyo Tech), Masafumi Fukuda, Mitsuhiro Yoshida, Nobuhiro Terunuma, Junji Urakawa (KEK) 日本大学では、文部科学省「光・量子融合連携研究開発プログラム」の「光・量子ビーム技術の融合・連携促進のための基盤技術開発」の助成を受けて、20K程度まで冷却した高純度銅を用いた2.6セルC バンド(5712 MHz)動作の高周波電子銃製作を行っている。これまでにSUPERFISHを用い空洞形状最適化、2.6セル試験空洞製作を行い、20 K における低温特性、低電力高周波特性測定などからほぼ計算通りの値が得られていることを確認した。これらの結果を踏まえ、矩形導波管から円筒空洞への変換入力カプラー付きテスト空洞をCST-STDIOを用いて設計製作し低電力、冷却試験を行った。結合係数、Q値はほぼ計算どおりであったが、共振周波数は予定よりも低く、また軸上電界分布測定では円筒部に非軸対称な磁場が発生していることが確認できた。本発表では、CST-STDIOでのシミュレーション、室温低電力試験及び20K冷却測定結果に関して報告する。 |
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THP058 p.1113 | 2.6セルクライオ光陰極高周波電子銃用試験空洞の低温特性 Low Temperature Property of 2.6-CELL Cryogenic Photocathode RF-gun Test Cavity ○境 武志,田中 俊成,中尾 圭佐,野上 杏子,稲垣 学,高塚 健人,長島 涼子,早川 建,早川 恭史(日大量科研),高富 俊和(高エネ研),佐藤 大輔(東工大理工研),福田 将史,吉田 光宏,照沼 信浩,浦川 順治(高エネ研) ○Takeshi Sakai, Toshinari Tanaka, Keisuke Nakao, Kyoko Nogami, Manabu Inagaki, Kento Takatsuka, Ryoko Nagashima, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa (LEBRA), Toshikazu Takatomi (KEK), Daisuke Sato (Tokyo Tech), Masafumi Fukuda, Mitsuhiro Yoshida, Nobuhiro Terunuma, Junji Urakawa (KEK) 日本大学では、文部科学省「光・量子融合連携研究開発プログラム」の「光・量子ビーム技術の融合・連携促進のための基盤技術開発」の助成を受けて、20K程度まで冷却した高純度の銅による低損失常伝導高周波空洞を用いたC バンド(5712 MHz)動作の高周波電子銃の開発を行っている。キャビティ構造は2.6 セルのパイモード空洞について検討を行い、SUPERFISH によるシミュレーションによって空洞形状最適化、NISTによる高純度銅による銅の冷却特性データを考慮し、KEKにおいて20 K における温度特性、低電力高周波特性測定を行うための試作空洞の製作、約20Kでの冷却試験を行った。低電力試験の結果、ほぼ設計通りの共振周波数5712MHzが得られ、計算通りの値が得られていることを確認した。本発表では、シミュレーション及び測定結果に関して報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
THP059 p.1116 | QWR型超伝導加速空洞のためのクライオモジュールの熱侵入の見積り Heat flow estimation of the cryomodule for superconducting quarter-wavelength resonator ○大関 和貴,坂本 成彦,渡邉 裕,山田 一成,須田 健嗣,上垣外 修一(理研仁科センター),加古 永治,仲井 浩孝,梅森 健成(KEK),仙入 克也,柳澤 剛(三菱重工) ○Kazutaka Ozeki, Naruhiko Sakamoto, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada, Kenji Suda, Osamu Kamigaito (RIKEN Nishina Center), Eiji Kako, Hirotaka Nakai, Kensei Umemori (KEK), Katsuya Sennyu, Takeshi Yanagisawa (MHI) 我々は現在、重イオン用超伝導線形加速器の要素技術開発を目的として、四分の一波長型(QWR型)超伝導加速空洞システムの製作を進めている。 本システムでは、熱シールド用の冷却装置として、小型冷凍機を使用する。 シールドの設置数の決定、および使用する小型冷凍機の選定にあたって、熱シールドおよび加速空洞への熱侵入の見積りを行った。 具体的な検討内容は、(1)単段式の小型冷凍機を用いて一重の熱シールド(約40 K)を置く場合、(2)二段式の小型冷凍機を用いて二重の熱シールド(約20 Kと約80 K)を置く場合、の二通りである。 その結果、我々が製作するシステムには一重の熱シールドを設置することと決した。 本稿では、上記検討で行った熱侵入の見積りの詳細について報告する。 本研究は、総合科学技術・イノベーション会議により制度設計された革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)により、科学技術振興機構を通して委託されたものです。 |
加速器技術/高周波源 (8月6日 小ホール) | |
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THP060 p.1121 | KEK 電子陽電子入射器における大電力高周波源の運転保守 Operation and Maintenance Activity of High-Power RF System in KEK Electron-Positron Linac ○馬場 昌夫,今井 康雄,東福 知之,熊野 宏樹,諸富 哲夫(三菱電機システムサービス(株)),荒川 大,片桐 広明,設楽 哲夫,竹中 たてる,中島 啓光,中尾 克巳,福田 茂樹,本間 博幸,松本 利広,松本 修二,松下 英樹,三浦 孝子,道園 真一郎,矢野 喜治,Qiu Feng,明本 光生(高エネルギー加速器研究機構) ○Masao Baba, Yasuo Imai, Tomoyuki Toufuku, Hiroki Kumano, Tetsuo Morotomi (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Tetsuo Shidara, Tateru Takenaka, Hiromitsu Nakajima, Katsumi Nakao, Shigeki Fukuda, Hiroyuki Honma, Toshihiro Matsumoto, Shuji Matsumoto, Hideki Matsushita, Takako Miura, Shinichiro Michizono, Yoshiharu Yano, Feng Qiu, Mitsuo Akemoto (KEK) KEK電子陽電子入射器では、高周波源として58台の大電力クライストロンをギャラリーに設置している。 2011年度以降は SuperKEKBへのアップグレード作業が開始され、ギャラリー全8セクターの下流部3セクター分、計24台のクライストロンを2つのリングへの入射のため使用している。上流部5セクター分、計34台のクライストロンは SuperKEKB へのアップグレードのため、不定期に運転してビームを使用したスタディが行われている。2014年度は上流部34台で平均約3,000時間、下流部24台は平均約3,600時間の運転を行った。 現在設置しているクライストロンの平均使用時間は約52,000時間である。2014年度はクライストロンアセンブリのタンク内放電により、1台の交換を行っている。 現在使用中のサイラトロン平均運転時間は約28,000時間である。2014年度はヒーターケーブル断線やキープアライブ電流低下のトラブル等による交換が5台、新規設置や重要ユニットの事前交換を9台行っている。 運転保守では長期使用に起因する不具合も発生しているため、定期点検や過去の蓄積データをもとに不具合の早期発見に努めている。 本稿ではクライストロン、サイラトロンなどに関する統計、運転保守について報告する。 |
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THP061 p.1125 | クライストロンモジュレータ用半導体スイッチの開発と性能評価 Development of the Solid-State Switch for a Klystron Modulator and its Performance ○古川 和弥,徳地 明,川瀬 啓悟,磯山 悟朗(阪大産研),加藤 龍好(高エネ研) ○Kazuya Furukawa, Akira Tokuchi, Keigo Kawase, Goro Isoyama (ISIR, Osaka Univ.), Ryukou Kato (KEK) 阪大産研ではLバンド電子ライナックの高安定化を目指し、クライストロンモジュレータのサイラトロンに替わる高電圧、大電流スイッチとして静電誘導型サイリスタ(SI-Thy)を使った半導体スイッチを開発している。一昨年の加速器学会で報告した半導体スイッチ(1号機)の最大定格は、電圧25 kV、電流6 kA、繰返し10 ppsである。この半導体スイッチは2年間以上Lバンドライナックの通常運転に使用しているが、数度の故障はありながらもおおむね順調に稼働している。1号機に続き、冷却能力を向上させてLバンドライナックの定格である繰り返し60ppsの運転に対応した2号機を開発した。この半導体スイッチは、一般的なクライストロンモジュレータで使われるサイラトロンの代替にも使えるようモジュール間の配線を変更することにより50 kV、3 kAで動作することもできる。本発表では新たに製作した半導体スイッチ2号機の詳細と、差動アンプを用いた安定度の精密測定、制御基板等で発生している故障の状況について報告する。 |
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THP062 p.1129 | X-band 6MW パルスクライストロンの開発 Development of the X-band 6 MW pulsed klystron ○阿武 俊郎,大久保 良久,田中 敏文(東芝電子管デバイス株式会社) ○Toshiro Anno, Yoshihisa Okubo, Toshifumi Tanaka (Toshiba Electron Tubes & Devices Co., Ltd.) 東芝電子管デバイス(株)では、CERNが次期大型加速器計画として検討を進めているコンパクトリニアコライダー(CLIC)計画向でのコンポーネント開発用高周波源として、周波数12GHz、パルス幅5μsでパルス出力6MWのパルスクライストロンを開発している。CERNで建設中のテストスタンドXbox-3において、このクライストロンを4式稼働させ、各々のRF出力を合成し80MW-300nsのRFを発生させる計画である。昨年度の本学会において設計について報告したが、この設計による初号管の評価試験を2014年8月に実施し、RFパルス幅5μsの動作でRF出力6MWの目標性能を確認した。動作電圧は152kVであり、効率は41%であった。現在は初号管と同設計にて2号管以降を製造している。本報告では初号管の動作試験結果の詳細と、2号管以降の状況について述べる。 |
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THP063 p.1133 | Lバンド800kWクライストロン用永久集束磁石 Permanent Magnet Focusing System for L-band 800kW klystron ○不破 康裕,岩下 芳久(京大化研),松本 利広,道園 真一郎,福田 茂樹(KEK) ○Yasuhiro Fuwa, Yoshihisa Iwashita (KUICR), Toshihiro Matsumoto, Shinichiro Michizono, Shigeki Fukuda (KEK) クライストロンの消費電力の低減・信頼性の向上を目的として、Lバンド800kWクライストロンのビーム集束に用いる集束磁石を異方性フェライトを用いて製作し、その可用性を評価している。これまで、製作した永久集束磁石を用いてパワーテストを実施し電磁石を用いた場合と比較して90%程度の出力を得た。本発表では、より詳細なパワーテスト・ビームシミュレーションを実施することで、永久磁石を用いた場合のクライストロンの出力特性を議論する。 |
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THP064 p.1136 | cERLにおける300kW(CW)クライストロン組み込み Installation of a 300kW CW Klystron at cERL ○石本 和也,阿部 慶子,花香 宣彦,安 和彦(日本アドバンストテクノロジー株式会社),明本 光生,荒川 大,片桐 広明,竹中 たてる,中尾 克己,中島 哲光,福田 茂樹,本間 博幸,松下 英樹,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子,道園 真一郎,QIU Feng(高エネルギー加速器研究機構) ○Kazuya Ishimoto, Keiko Abe, Norihiko Hanaka, Kazuhiko Yasu (Nippon Advanced Technology (NAT)), Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Tateru Takenaka, Katsumi Nakao, Hiromitsu Nakajima, Shigeki Fukuda, Hiroyuki Honma, Hideki Matsushita, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Shinichiro Michizono, Feng Qiu (KEK) コンパクトエネルギー回収型線形加速器(cERL)の建設は2013年3月をもって工事が終了し、現在はビームコミッショニングを進めている。 cERLの入射部はバンチャー空洞と超伝導加速空洞(2セル空洞3台)からなり、超伝導主リニアックは9セル空洞2台で構成されている。ここへ1.3GHz、CWの大電力高周波を安定に各空洞へ供給をする必要がある。 バンチャー空洞は8kW半導体アンプ、入射器空洞は第1空洞が25kWクライストロン、第2・第3空洞には300kWクライストロン1台から大電力高周波が供給されている。 主リニアック空洞は8kW半導体アンプと16kW半導体アンプを使用し大電力高周波を供給している。 2014年12月に300kWクライストロンの入れ替え作業を行った。 クライストロン入れ替え作業はクライストロン本体、電磁石マグネット、専用架台の3つに分かれた状態から作業を始めた。今回はクライストロン一式の組み上げ、導波管の接続、インターロック配線・設定・動作確認、モニター機器類の設定、動作試験迄のクライストロン立上げに関する一連の作業内容を報告する。 |
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THP065 p.1140 | IFMIF/EVEDA RFQライナック用RFカプラーの耐電力試験 High-power tests of RF input coupler for the IFMIF/EVEDA RFQ prototype linac ○前原 直(日本原子力機構),助川 圭一,只野 秀哉(日立パワーデバイス),春日井 敦,鈴木 寛光(日本原子力機構),阿部 和彦,奥 隆司(日立パワーデバイス),杉本 昌義(日本原子力機構) ○Sunao Maebara (JAEA), Keiichi Sukegawa, Shuya Tadano (HITACHI), Atsushi Kasugai, Hiromitsu Suzuki (JAEA), Kazuhiko Abe, Ryuji Oku (HITACHI), Masayoshi Sugimoto (JAEA) 国際核融合中性子照射施設(IFMIF)加速器系の工学設計工学実証活動((EVEDA)では、重陽子イオンビーム125mAを9MeVまで定常運転で加速するためにInjector(100kV-140mA)、運転周波数175MHzを採用したRFQライナック(0.1-5.0MeV-130mA)と超伝導RFライナック(5.0MeV-9MeV-125mA)の開発を進めている。RFQライナックでは8つのRFインプットカプラーを用いて1.4MWレベルのRF電力入射が要求されている。このために6 1/8インチ同軸導波管をベースにループアンテナを採用した定常化RFカプラーの設計を行った。この設計ではループアンテナ内部、内部導体及び高周波窓に冷却チャンネルを設けて常水圧にて数kWレベルの熱除去を施した。試作したRFカプラーの耐電力試験ではHigh-Q load circuitを用いて定在波による耐電力試験を行い、等価的なRFパワー200kW-14秒のCW運転を実証した。この200kW-CW運転のためにはパルス幅1msec Duty 1/2において5日間のRFエージングよる脱ガスを行いカプラーの高周波窓やRFコンタクト部からのガス放出に問題無いことが実証した。本講演では、試作したRFインプットカプラーのHigh-Q load circuitを用いた耐電力試験について発表する。 |
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THP066 p.1143 | パルス変調器用高精度コンデンサ充電器の開発 Development of High-Precision Capacitor-Charging Power Supply for Pulse Modulators ○秋川 藤志,遠藤 治,佐藤 和行,篠原 己拔(日本高周波株式会社),明本 光生,設楽 哲夫,中島 啓光,福田 茂樹,本間 博幸,道園 真一郎(高エネルギー加速器研究機構) ○Hisashi Akikawa, Osamu Endo, Kazuyuki Sato, Kibatsu Shinohara (Nihon Koshuha Co., Ltd.), Mitsuo Akemoto, Tetsuo Shidara, Hiromitsu Nakajima, Shigeki Fukuda, Hiroyuki Honma, Shinichiro Michizono (High Energy Accelerator Research Organization) 本電源は、高エネルギー加速器研究機構電子陽電子入射器の高周波源である、大電力クライストロン用パルス電源のPFN(パルス成形回路)コンデンサを充電するためのスイッチング電源である。 全容量0.62μFのPFNコンデンサを18ms以内に43kVまで充電する動作を、50Hzの繰り返しで行う。 定格動作時の安定度は、3相420V入力の変動±5%に対して0.03%p-p以内である。 この電源は、速やかな充電と高い安定度を同時に満たすため、従来使用していた出力30kW安定度0.2%p-pの電源(電源1)に、新たに開発した出力5kWの電源(電源2)を組み合わせる構成になっており、両者を協調動作させることで安定度を確保している。 |
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THP067 p.1146 | 真空大電力サーキュレーターの開発 DEVELOPMENT OF HIGH POWER VACUUM CIRCULATOR ○福住 直貴,三浦 厚(日本高周波株式会社),鶴岡 茂嗣(エヌ・ケー・エス),篠原 己拔(日本高周波株式会社),谷内 努,鈴木 伸介,花木 博文(公益財団法人高輝度光科学研究センター) ○Naoki Fukuzumi, Atsushi Miura (Nihonkoushuha.co.ltd), Shigetsugu Tsuruoka (N・K・S), Kibatsu Shinohara (Nihonkoushuha.co.ltd), Tsutomu Taniuchi, Shinsuke Suzuki, Hirofumi Hanaki (Japan Synchrotron Radiation Research Institute (JASRI/SPring-8)) We have developed high power vacuum circulator for useful exchanging from pressure type (SF6) waveguide to vacuum type component. We measured tune shift of ferrite occurred by high magnetic field which is excited by input RF high power. This tune shift limit handling power at range of center value ±10MW in case of Y-junction type circulator. In order to attach more high power circulator, we have developed 4 port type vacuum circulator. We measured amount of phase shift depended on input RF power in case of vacuum phase shifter. This result show us maximum handling power of 40MW for 4 port type circulator. |
加速器技術/電磁石と電源 (8月6日 小ホール) | |
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THP068 p.1149 | J-PARC MR主電磁石新電源用恒温ユニットの開発 Development of thermostatic unit for new magnet power supply at J-PARC MR ○三浦 一喜(高エネ研),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング),栗本 佳典,下川 哲司,森田 裕一(高エネ研) ○Kazuki Miura (KEK), Ryu Sagawa (Universal Engineering), Yoshinori Kurimoto, Tetsushi Shimogawa, Yuichi Morita (KEK) 現在、J-PARCでは将来計画であるニュートリノビームラインのビーム大強度化のために、主リングの運転周期を2.5秒から1秒へと速める、高繰り返し化を実現することが求められており、その計画の一部として主電磁石用新電源の開発が進められている。昨年、新電源開発過程において製作されたプロトタイプ電源制御盤では、複雑な制御に耐えうる柔軟性や再現性を満たすことを目的として、A/D変換を介してのデジタル制御が採用されている。ビーム大強度化に向けて必須となる電磁石電流の高精度制御のためには、A/D変換部における電流計測にppmレベルでの安定度が必要である。このppmレベルでの測定安定度実現には、A/D変換部における温度コントロールが重要であるため、A/D変換部用恒温ユニットの開発を行った。本発表では、開発した恒温ユニットの性能評価結果について報告する。 |
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THP069 p.1152 | J-PARC主リング高繰り返し化のための主電磁石電源プロトタイプ電源の原理試験 Demonstration of Prototype Power Supply of J-PARC Main Ring Main Magnets for high Repetition Rate Operation ○下川 哲司,栗本 佳典,森田 裕一(KEK),長谷川 智宏,久保田 健介,山崎 長治,今野 修二(東芝三菱電機産業システム株式会社),佐藤 耕輔,前田 一尚(株式会社東芝) ○Tetsushi Shimogawa, Yoshinori Kurimoto, Yuichi Morita (KEK), Chihiro Hasegawa, Kensuke Kubota, Choji Yamazaki, Shuji Konno (Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial Systems Corporation), Kosuke Sato, Kazunao Maeda (Toshiba Corporation) J-PARC主リングではビームの大強度にむけて繰り返し周期を2.5秒から1秒に短縮することを計画している。繰り返し周期の短縮に伴い、主電磁石電源では、電磁石に蓄えられたエネルギーを1次側へ回生することによる系統の電力変動および、電源の出力電圧の増加が問題となる。さらに、遅い取り出しビームの時間構造の改善のために、出力電流の低リップル化も課題である。これらの課題に対して、コンデンサによるエネルギー貯蔵方式により、コンデンサと負荷間でエネルギーを受け渡し、抵抗損失分のみを系統から受電することで、系統の電力変動を抑制し、変換器の直列接続による耐圧の担保、負荷の分割による出力電圧の低減により高出力電圧に対応する。また、低リップル化を実現するために、スイッチングリップルを十分に除去できる出力フィルタと高速の変換器による構成を考えている。我々は、これまでに低出力パワーの小型電源を使って、これらの課題の原理実証試験をおこなってきた。 本稿では、これまでに行った原理実証試験により得た知見をもとに、実機相当の耐圧要素を使った主電磁石新電源プロトタイプ機を製作し、実証試験を行った。その試験結果を報告する。 |
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THP070 p.1156 | J-PARC主リング直線部四重極電磁石のためのNPCチョッパの開発 DEVELOPMENT OF NPC CHOPPER FOR QUADRUPOLE MAGNETS AT STRAIGHT SECTION IN J-PARC MR ○森田 裕一,栗本 佳典(高エネ研),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング),下川 哲司,三浦 一喜(高エネ研),Jang Younghoon(Dawonsys) ○Yuichi Morita, Yoshinori Kurimoto (KEK), Ryu Sagawa (Universal Engineering), Tetsushi Shimogawa, Kazuki Miura (KEK), Younghoon Jang (Dawonsys) J-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)の主リングでは、ニュートリノビームラインへのビームパワーを増強するために運転周期を現状の2.5秒から1秒へ速める。この計画では高繰返し化に伴う主電磁石電源の出力電圧の増加が問題となる。さらに、ハドロンホールへのビームの性能向上のために出力電流の低リップル化が求められている。我々は主電磁石用電源を新たに開発し、これらの課題を解決する。その中でも、直線部四重極電磁石用電源の構成要素の一つにNPC(Neutral-Point-Clamped)チョッパを採用する予定である。広く使用されているフルブリッジチョッパでは、バンクコンデンサの充電電圧がそのまま1つのスイッチング素子に印加されるのに対して、NPCチョッパでは半分の電圧に抑えられるので高い出力電圧を実現できる。さらに、中点をグラウンドに固定することにより出力電流のコモンモードノイズを抑制できるので出力電流リップル抑制に有利である。また、現行電源は電流型電源であるが、新たに開発する電源は電圧型電源とするので系統交流に起因する出力電流リップルを抑制できる。本報告ではJ-PARC主リングのための直線部四重極電磁石用NPCチョッパ試作ユニットの設計・製作を紹介する。 |
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THP071 p.1161 | 高温超伝導コイルを用いた高強度小型サイクロトロンの概念設計 Conceptual design of high-temperature superconducting cyclotrons ○福田 光宏,植田 浩史,畑中 吉治,依田 哲彦,島田 健司,安田 裕介(大阪大学核物理研究センター),石山 敦士(早稲田大学),野口 聡(北海道大学),長屋 重夫,渡辺 智則(中部電力株式会社),三上 行雄,吉田 潤(住友重機械工業株式会社),横田 渉,倉島 俊,宮脇 信正,吉田 健一,柏木 啓次(日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所) ○Mitsuhiro Fukuda, Hiroshi Ueda, Kichiji Hatanaka, Tetsuhiko Yorita, Kenji Shimada, Yusuke Yasuda (RCNP, Osaka University), Atsushi Ishiyama (Waseda University), Satoshi Noguchi (Hokkaido University), Shigeo Nagaya, Tomonori Watanabe (Chubu Electric Power Company), Yukio Mikami, Jun Yoshida (Sumitomo Heavy Industry), Watalu Yokota, Satoshi Kurashima, Nobumasa Miyawaki, Kenichi Yoshida, Hirotsugu Kashiwagi (Takasaki Advanced Radiation Research Institute, Japan Atomic Energy Agency) 高温超伝導コイルを用いたスケルトン・サイクロトロンは、鉄材を極力用いずに空芯コイルの複合体によって磁場分布を形成する新しいタイプのサイクロトロンである。鉄心を用いないことから励磁の再現性が良く、シンクロトロンと同様に加速エネルギーの短時間切替も可能である。また、鉄心の温度変化に起因した磁場変動による加速位相の不安定要因を排除することができ、操作性や制御性にも優れた加速器として様々な分野への応用が期待される。加えて、空間的な自由度が高いことから、ビームの高強度化に必要とされる機器を入射部や引出部に配置し易いという利点もある。 現在、核医学診断・治療用のα線放出核種やPET・SPECT検査用核種の多量生成とBNCT用中性子源開発を目指したエネルギー可変型高強度小型高温超伝導スケルトン・サイクロトロンの概念設計を進めている。ビーム入射部には、従来方式のスパイラル型インフレクターを採用できるほか、リングサイクロトロンと同様の小型偏向・集束コイルを組み合わせた入射も可能であり、横方向の空間電荷効果への対策も講じている。また、中心領域に高調波加速電圧発生用電極を設置することにより、加速電圧の勾配を利用したビームバンチングも可能であり、縦方向の空間電荷効果への対応も可能である。本発表においては、複数の高温超伝導コイルを組み合わせた小型サイクロトロンの設計状況について報告する。 |
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THP072 p.1165 | 次世代高温超伝導サイクロトロンのためのセクター磁石の設計 Design of Sector Magnets for Next Generation High Temperature Superconducting Cyclotron ○鎌倉 恵太,畑中 吉治,福田 光宏,依田 哲彦,植田 浩史,森信 俊平,齋藤 高嶺,永山 啓一,田村 仁志,安田 裕介(大阪大学RCNP) ○Keita Kamakura, Kichiji Hatanaka, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroshi Ueda, Shunpei Morinobu, Takane Saito, Keiichi Nagayama, Hitoshi Tamura, Yusuke Yasuda (RCNP, Osaka University) 我々は、次世代のサイクロトロンとして、高温超伝導電磁石を用いた小型でハイパワー(高エネルギーかつ大電流)な分離セクター型サイクロトロンを提案している。高温超伝導サイクロトロンは、その安定性の高さと運転コストの低さから、加速器駆動未臨界炉(ADSR)や粒子線癌治療への応用が期待される一方で、様々な解決すべき課題を残して未だ実現に至っていない。その第一歩として当センターサイクロトロン施設に、世界初となる高温超伝導サイクロトロンを、既存のK400リングサイクロトロンの入射器として開発・導入する計画が進められている。本計画は当施設におけるビームの大強度化に資するとともに、将来における次世代サイクロトロンの要素開発を行うものである。最も大きな課題となるのはメートル級の高温超伝導コイルの開発と、入射・引出効率の高い分離セクターサイクロトロンのための技術開発である。これまで我々は新入射器の概念設計及びセクター磁石の設計を進めてきた。磁場計算と軌道計算、KBKR磁場分布解析法などを組み合わせ、設計評価プログラムを考案した。これは概念設計から決めた磁石のジオメトリと各設計諸元から、加速RF位相やトリムコイル電流等の運転パラメータを最適化するプログラムである。このプログラムを用い作成した等時性磁場に於いてビームが最終軌道まで加速されることを、シミュレーションを用いて確認し、設計したセクター磁石の評価を行った。 |
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THP073 p.1169 | 新しいJ-PARC RCS 入射水平シフトバンプ電磁石用パルス電源の開発 New Injection Bump Power Supply of the J-PARC RCS ○高柳 智弘(J-PARC/JAEA),植野 智晶(NAT),堀野 光喜,飛田 教光,林 直樹,金正 倫計,岡部 晃大(J-PARC/JAEA),入江 吉郎(KEK),谷 教夫(J-PARC/JAEA),内藤 伸吾,志井 春重,戸田 克則(ニチコン草津) ○Tomohiro Takayanagi (J-PARC/JAEA), Tomoaki Ueno (NAT), Koki Horino, Norimitsu Tobita, Naoki Hayashi, Michikazu Kinsho, Kota Okabe (J-PARC/JAEA), Yoshiro Irie (KEK), Norio Tani (J-PARC/JAEA), Shingo Naito, Harushige Shi, Katsunori Toda (Nichicon Kusatsu Corporation) J-PARC 3GeV RCSのビーム入射システムにおける水平シフトバンプ電磁石用の新しい電源を開発し製作した。新しい電源は、LINACの入射ビームエネルギーが181MeVから 400MeVへとアップグレードをするのに合わせ、現在の2 倍以上の電源容量が必要になる。さらに、電磁石のセラミックダクトを覆うRFシールドのループコイルのインダクタンスと励磁場の共振によるビームロスを防ぐために、電流リップルノイズの低減が要求される。そこで、新しい電源の主回路方式に、これまでのIGBTの半導体スイッチを利用したチョッパ方式から、コンデンサの充放電を利用した転流方式を新たに採用することにした。コンデンサ転流方式は、台形波形 (バンプ波形) を出力する際に常時スイッチングを行うチョッパ方式と異なり、原理的にはバンプ波形の分岐点での 3 回のスイッチ操作で形成が可能である。出力試験の結果、スイッチングに起因するリプル電流の発生が大幅に低減されたことを確認した。さらに、バンプ電磁石に起因するビームロスが低減し、RCS の所期性能である 1MW 相当のビーム加速に成功した。本論文では、転流方式を採用した新シフトバンプ電源の特性について述べる。 |
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THP074 p.1175 | J-PARC RCS 水平シフトバンプ電磁石の現状報告 Status of the horizontal shift bump magnets at the J-PARC RCS ○堀野 光喜,高柳 智弘,飛田 教光(J-PARC/JAEA),植野 智晶(NAT),金正 倫計(J-PARC/JAEA) ○Koki Horino, Tomohiro Takayanagi, Norimitsu Tobita (J-PARC/JAEA), Tomoaki Ueno (NAT), Michikazu Kinsho (J-PARC/JAEA) J-PARC 3-GeV RCSの水平シフトバンプ電磁石は、ビーム入射部に4台設置してあり、LINACからの入射ビームとRCSの周回ビームを合流させるバンプ軌道を生成する。本水平シフトバンプ電磁石は、2008年より7年間(約2万3000時間)の長期に渡り、トラブル無く安定した運転を続けてきた。しかし、2015年2月に1台の電磁石でコイルサポートボルトが脱落、同年3月には4台の電磁石を直列に接続する銅バーの冷却用配管から漏水という問題が発生した。現在、原因調査及び恒久対策の検討の為、脱落したコイルサポートボルトはそのままに、銅バーの冷却に関しては水冷を一時的に停止し、送風機を用いた強制空冷を行っている。そして、7月からの夏期保守期間までの間、一週間に一度の加速器メンテナンス時間を利用し、ファイバースコープカメラを使用してコイルサポートボルトの状態を確認する事、更には、強制空冷した銅バーの温度を熱電対により24時間監視する等の対応を行い、安全を確認しながら運転を継続している。本発表では、水平シフトバンプ電磁石の問題発生箇所、メンテナンスの状況報告と今後の対策について報告する。 |
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THP075 p.1180 | J-PARC RCSにおけるペイント入射用電磁石電源の高精度出力調整 Precise current adjustment of the power supply for the injection painting magnets in the J-PARC RCS ○加藤 新一,高柳 智弘,原田 寛之,飛田 教光,堀野 光喜(原子力機構/J-PARC),植野 智晶(NAT),金正 倫計(原子力機構/J-PARC) ○Shinichi Kato, Tomohiro Takayanagi, Hiroyuki Harada, Norimitsu Tobita, Koki Horino (JAEA/J-PARC), Tomoaki Ueno (NAT), Michikazu Kinsho (JAEA/J-PARC) 大強度陽子加速器であるJ-PARC 3GeV RCSでは、ビームロスの原因となる空間電荷力を緩和するために、多重入射中にLinacからの入射ビームを位相空間上の任意の範囲に意図的に広げて入射するペイント入射を行っている。水平方向のペイントは、個別に電源を持つ4台の水平ペイントバンプ電磁石の出力を多重入射時間の0.5 msで立ち下げ、入射点での周回軌道の位置と傾きを時間的に変動させることで行われる。ビームロス低減のためには、シミュレーションと実験から検討した時間変動パターンを、低出力の領域まで正確に再現する必要がある。また、閉軌道変動を抑制するために、4台の水平ペイントバンプ電磁石の出力バランスを保つ必要がある。そのため、高精度の出力調整が必須である。水平ペイントバンプ電磁石用電源は、電流と電圧の指令値を制御回路に入力することで電流を出力する。そこで、指令電圧値を変化させた時の出力電流の応答特性を調査した。この結果、再現したい時間変動パターンからの誤差を補正するために必要な、指令電圧値の微小量が判明し、高精度の出力調整が可能となった。また、現在RCSで用いている時間変動パターン以外のパターンにおいても、出力電流の応答特性は同一であることを明らかにし、様々な時間変動パターンに対しても高精度の出力調整が可能であることを示した。さらに、調整時間の大幅な短縮を目的として、自動的に出力調整を行うルーチンを現在開発中である。 |
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THP076 p.1185 | SuperKEKBダンピングリング用入出射キッカー電源の開発 Development of Injection and Extraction Kicker Power Supply for the SuperKEKB Damping Rings ○天神 薫,徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所),菊池 光男,坂本 裕,多和田 正文(高エネルギー加速器研究機構) ○Kaoru Tenjin, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.), Mitsuo Kikuchi, Yutaka Sakamaoto, Masafumi Tawada (High Energy Accelerator Research Organization(KEK)) 高エネルギー加速器研究機構では、衝突型加速器KEKBのアップグレード(SuperKEKB)に向けて研究開発及び建設が進められている。 線形電子加速器(LINAC)で生成・加速された陽電子ビームはエミッタンスが大きすぎ、そのままではSuperKEKB衝突リングに入射できない。 このアップグレード計画では、ダンピングリング(DR)を建設し、陽電子ビームのエミッタンスを1/100以下として入射する。 DRでは立ち上がり・立ち下がり時間 100ns以下で、96ns離れた2バンチのビームを同時に入出射するキッカー電源が必要である。 特に、DRから質の良いビームを出射するためには、高精度の電流を電磁石に流すことが不可欠である。 本発表は、出力ピーク電流 2.1kA、ピーク電流安定度1.0×10^-3以下、スイッチングジッター 1ns以下、繰返運転 50Hzを実現した96ns間隔2連正弦半波パルス電流発生電源の開発に関するものである。 |
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THP077 p.1189 | 重粒子線回転ガントリー用超伝導磁石の性能評価 Status of superconducting magnets for a heavy-ion rotating-gantry ○松葉 俊哉(放医研),鈴木 伸司(筑波大),岩田 佳之,野田 耕司,白井 敏之,古川 卓司,藤田 敬,正田 光一,森 慎一郎,水島 康太,原 洋介(放医研),萩津 透(高エ研),新井 弘樹,藤本 哲也(加速器エンジニアリング),折笠 朝史,高山 茂貴,長本 義史,矢澤 孝(東芝) ○Shunya Matsuba (NIRS), Shinji Suzuki (Tsukuba University), Yoshiyuki Iwata, Koji Noda, Toshiyuki Shirai, Takuji Furukawa, Takashi Fujita, Koichi Shouda, Shinichiro Mori, Kota Mizushima, Yosuke Hara (NIRS), Toru Ogitsu (KEK), Hiroki Arai, Tetsuya Fujimoto (AEC), Tomofumi Orikasa, Shigeki Takayama, Yoshifumi Nagamoto, Takashi Yazawa (TOSHIBA) 放射線医学総合研究所では重粒子線回転ガントリーの建設が進行中であり、2015年9月頃の完成を予定している。 これによって0-360度の任意の方向から重粒子線が照射できるようになり、高精度な治療が可能となる。 重粒子線回転ガントリーは、小型化のため、10台の機能結合型の超伝導電磁石により構成されている。 超伝導電磁石は2極と4極が独立励磁できるようになっており、高い磁場均一度が求められる。 また、エネルギーを430 MeV/uから56 MeV/uまで変化させ深部線量分布を調整するが、 治療のために430-56 MeV/uの間を202ステップ、一ステップあたり100 ms程度で下げる必要がある。 そのため我々は全電磁石の磁場測定を行い、そのうち一台で高速励磁試験や磁場整定時間の測定を行った。 本会議ではこれらの結果について報告する。 |
加速器技術/ビーム診断・制御 (8月6日 小ホール) | |
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THP078 p.1193 | LFCカメラ用シリカエアロゲルチェレンコフラジエーターの評価 Evaluation of silica aerogel as Cherenkov radiator for LFC camera ○南部 健一,柏木 茂,日出 富士雄,武藤 俊哉,長澤 育郎,高橋 健,東谷 千比呂,小林 恵理子,齊藤 寛峻,阿部 太郎,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Kenichi Nanbu, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Toshiya Muto, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Chihiro Tokoku, Eriko Kobayashi, Hirotoshi Saito, Taro Abe, Hiroyuki Hama (Tohoku University, Research Center for Electron Photon Science) 東北大学電子光理学研究センターでは、シングルショット計測で比較的低いエネルギーの電子ビームの縦方向位相空間を直接観測する Liner Focal Cherenkov ring (LFC) カメラの研究開発を進めている。本測定システムは電子の速度に依存するチェレンコフ光の放出角度を利用し、電子ビームのエネルギーと時間情報をストリークカメラで二次元測定することで縦方向位相空間を直接測定するものである。チェレンコフラジエーターには低屈折率のシリカエアロゲルを使用するが、ラジエーターの不均一性やミスアラインメント等の影響でチェレンコフ光の角度分布が歪むなどして劣化した場合、測定精度に大きな影響が出ると考えられることから、電子光センターの試験加速器から得られる電子ビームを用いてチェレンコフラジエーターの評価を行ったので報告する。 |
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THP079 p.1198 | RI-BFにおける静電型ピックアップを用いたビームエネルギー測定システムの開発 Development of beam energy measurement system by using electrostatic pickups at RIBF ○渡邉 環,藤巻 正樹,福西 暢尚(理研) ○Tamaki Watanabe, Masaki Fujimaki, Nobuhisa Fukunishi (RIKEN) 理研のRIビームファクトリー(RIBF)では、加速された重イオンビームの位相やエネルギーを測定することは、ビームの入射、加速、取り出し過程の調節において重要である。現在、ビームエネルギーを測定するために、シンチレーションモニターシステムを用いている。このシステムに於いては、ビームシグナルとRFのクロックとのタイムラグを、Time-to-digital converterによってデジタル化し、そのヒストグラムを取ることにより、縦方向のビームプロファイルを得ている。さらに、モニター間の距離を正確に測定した2台のモニターを用い、ビームの飛行時間(TOF)を測定することにより、ビームのエネルギーが得られる。 近年、AVFサイクロトロンのビームを用いて、有用RI製造のための核反応励起関数測定の実験が行われている。この実験に於いては、ビームエネルギーを精密に測定することは、RI製造の収量に大きく関わるため、非常に重要になる。このビームエネルギー測定のために、上記のシンチレーションモニターシステムを用いてきたが、ビーム量を絞らずに、オンラインで測定をすることを目的として、静電型ピックアップを開発した。現在、AVFサイクロトロンのビームラインにインストールし、ビームエネルギーの測定を行っている。 今回の学会では、静電型ピックアップシステムと、シンチレーションモニターシステムを使用した測定結果と、その比較について発表をする。 |
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THP080 p.1202 | J-PARC LINACにおけるビームパルス定義変更によるビームロス低減 Beam loss mitigation by the modification of the beam pulse definition in the J-PARC linac. ○澤邊 祐希,三浦 昭彦,石山 達也,菊澤 信宏,林 直樹(日本原子力研究開発機構),丸田 朋史,Liu Yong,宮尾 智章(高エネルギー加速器研究機構) ○Yuki Sawabe, Akihiko Miura, Tatsuya Ishiyama, Nobuhiro Kikuzawa, Naoki Hayashi (JAEA), Tomofumi Maruta, Yong Liu, Tomoaki Miyao (KEK) J-PARCリニアックでは、下流にパルス幅500usecのビームを、繰り返し25Hzで供給している。リニアック単独でビーム調整試験を行った際、パルスの終わりに有意なビームロスを発見した。試験の結果、このロスはRFQのRFが立ち下がる過渡的なタイミングで発生していることが分かった。過渡的なRFで加速されたビームは素性が異なるため、下流の空洞で加速されず、途中でロスしていると考えている。リニアックでは、パルスの終わりをRFQ空洞のRFの立ち下がりで定義している。現在この定義の代わりに、チョッパーのRFを用いた定義への変更を検討している。不要なビームをチョッパー空洞のRFを印加して偏向し、スクレーパで削り取る。ビーム試験中にこの変更を適用し、ビームロス低減の効果について検証した。本発表では、パルスの定義変更に伴うタイミングパラメータの変更、及び検証結果について報告する。 |
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THP081 p.1206 | Beam-Based AlignmentのためのJ-PARC RCSでの光学モデルの決定 Optics model determination for Beam-Based Alignment of the J-PARC RCS ○林 直樹,原田 寛之,発知 英明(J-PARCセンター, JAEA) ○Naoki Hayashi, Hiroyuki Harada, Hideaki Hotchi (J-PARC center, JAEA) BPMのBeam-Based Alignmentは、近くの四極電磁石中心からのオフセットを決めることで、非常に重要な校正である。J-PARC RCSでは、四極電磁石は、個別電流制御ができないが、グループで収束力が変化しても、BBAが可能な方法を考案し実施している。 この方法は、非常に精度よく光学モデルが、決定できているので、それをベースに計算し、四極電磁石内部でのビーム絶対位置を決め、測定位置と比較することにより行っている。 今回は、光学モデルを別の方法、全ての補正電磁石によるキックのデータから疑似的にローカルバンプを1台の四極電磁石の場所に立てて、その収束力の変化したときの全周のBPMでの軌道変化(応答)を記録するようにした。まず、1つの四極電磁石ファミリーについて実施し、光学モデルと比較などその結果を報告する。 |
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THP082 p.1210 | ニュースバル入射ビームラインの時間分解Qスキャン TIME RESOLVING Q-SCANNINNG AT THE BEAM TRANSPORT LINE ○庄司 善彦(兵庫県立大),皆川 康幸,竹村 育浩(高輝度光科学研究財団) ○Yoshihiko Shoji (University of Hyogo), Yasuyuki Minagawa, Yasuhiro Takemura (JASRI) 電子蓄積リングNewSUBARUにおいては、安定なトップアップ運転を継続するために高い入射効率が重要である。入射は線形加速器からのシングル・バケット入射で、線形加速器の2~3バンチ(2856MHz)が時間幅1ns程度のビームパルスになり、蓄積リングの1つのrf バケット(500MHz)に入射される。入射調整の鍵はこの線形加速器ビームの理解にある。 これまで我々は、電子蓄積リングに設置したストリークカメラを用いてきた。この方法で時間分解(バンチ別)のy-y’ 空間分布計測をシングル・ショットで行い、以下を明らかにしてきた。 (1) 電子銃の時間ゲートにタイミングジッターがあり、これがパルス内のバンチ構造を変える。 (2) 同一パルス内でもバンチによってtransverse parametersが違う。 (3) 同じ先頭バンチでも、バンチ電荷によって、transverse parametersが変わる。 一方で別のマシンスタディーから、入射効率に対しては(x-x’)空間が重要であることが明らかになってきた。次のステップは時間分解の(x-x’)空間測定であるが、我々はより簡単な測定方法を採用した。ビームトランスポートラインの既存スクリーンモニターを使ったQ-スキャンを、これも既存のfast CTと組み合わせる事で、時間分解(バンチ別)Q-スキャンに成功したのでその結果を報告する。 |
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THP083 p.1215 | cERLにおけるインターロック用高速ロスモニタシステムの開発 Development of the high-speed loss monitor system for interlocks at cERL ○下ヶ橋 秀典,帯名 崇,多田野 幹人(高エネ研) ○Hidenori Sagehashi, Takashi Obina, Mikito Tadano (KEK) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、次世代の放射光光源であるERL(Energy Recovery Linac)の研究を行っている。現在、KEKではERLの技術検証のために建設されたコンパクトERL(cERL)で、様々な研究および技術開発が行われている。その中で機器保護用インターロックの1つとして、インターロック用高速ロスモニタの開発を行っている。このロスモニタは高強度(高電流)ビーム運転下で、多量のビームロス発生時に高速でビームを停止させるためのものである。前回(昨年)は、センサ、シンチレータを実際のcERL加速器室内に入れてテストを行い、高速ロスモニタとしての実現性を検討した。この結果を踏まえ、1μs程度の動作速度を目指して本システムの開発を行った。本システムは、シンチレータと光電子増倍管(PMT)を遮光ケースに納めたセンサ部、センサ出力増幅用プリアンプ部、ロス信号処理部、各種設定モニタ用PLC部、高圧電源部で構成されている。なお、警報出力信号は既存の高速インターロックシステムを経由して各装置に配分される。また、PLCのOSにはLinuxが搭載されており、システムの各種設定モニタはEPICS・CSSにより操作可能となっている。本発表ではシステムを構成する各要素の説明と試験運用の結果報告を行う。 |
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THP084 p.1219 | SPring-8でのビーム位置モニタ長期安定化に向けた新たな取り組み Recent activities at SPring-8 to improve the long-term stability of the beam position monitors ○藤田 貴弘,高野 史郎,正木 満博((公財)高輝度光科学研究センター),前坂 比呂和(理研播磨),松原 伸一,出羽 英紀,佐々木 茂樹((公財)高輝度光科学研究センター),大竹 雄次(理研播磨) ○Takahiro Fujita, Shiro Takano, Mitsuhiro Masaki (JASRI/SPring-8), Hirokazu Maesaka (RIKEN), Shinichi Matsubara, Hideki Dewa, Shigeki Sasaki (JASRI/SPring-8), Yuji Otake (RIKEN) 放射光源リングでのビーム位置モニタの安定度は、次の2点のために重要である。1.ビーム位置モニタ(BPM)が、各光源点での位置と角度を決める。2.SPring-8アップグレード計画に代表される、100pmrad程度の蓄積リングではビームの安定領域確保の観点から、BPMの検出位置ドリフトを現在に比べて1/10程度に小さくする必要がある。SPring-8では、1997年のコミッショニング後に、BPMケーブル中の定在波の影響がミリメートル程度の位置オフセットとして表れていたため、軌道を意図的に振った際の応答から、4電極電圧のバランスについて補正を行った。この補正値は1度補正した後は、一定であることが期待されたものの、実際は長期間にわたって補正量が変動する(大きなものでは100um程度)ことが観測されており、運転サイクルごとの軌道の再現性など、BPMによる軌道補正の大きな問題となっている。この長期変動の解消のため、収納部内にアイソレータを設置して定在波の抑制を進めてきたが、十分な改善にはつながっていない。最近になって、ドリフト量の大きなBPMの設置場所は、比較的、放射線量が高く、また、BPMケーブルへのノイズの重畳、ケーブルのインピーダンス変化などが見つかっている。本報告では、上記に述べたBPMの長期ドリフトと収納部内の環境、信号処理回路との関係についての調査状況を報告する。 |
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THP085 p.1224 | ストリップライン構造を有する挿入光源ビームライン用光位置モニタの設計 Design of X-ray Beam Position Monitor Equipped with Microstripline Structure for Undulator Beamline ○青柳 秀樹,高橋 直((公財)高輝度光科学研究センター) ○Hideki Aoyagi, Sunao Takahashi (JASRI/SPring-8) 放射光施設の挿入光源用ビームラインの機器設計において、高い熱負荷に曝されることが重要な前提条件となる。そのため、ユーザーに提供される大強度放射光の“強度”、“位置”及び“タイミング”を直接パルス毎に計測する放射光モニタの開発は困難であった。本研究は、既にSPring-8で開発されたストリップライン型光電面を用いた検出素子の技術を応用することにより、これを実現しようとするものである。検出素子の高周波特性に着目すれば、検出素子自体をストリップライン型光電面で構成することが最適であるが、耐熱性の観点から受光素子の母材を極力小型化したダイヤモンドの小片とすることにより、高熱負荷の問題を回避しようと試みている。本報告では、挿入光源ビームラインにおいてパルス・モードでの位置計測を可能とする機能に特化したモニタの設計について述べる。 |
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THP086 p.1227 | 表面プラズモン共鳴を介した電子バンチ長の非破壊計測の検討 (1) Non-distractive electron bunch measurement via the surface plasmon resonance 1 ○岡安 雄一((公財) 高輝度光科学研究センター) ○Yuichi Okayasu (JASRI) フェムト秒単一電子バンチについて、加速器真空系の外で測定系の放射線損傷を気にすることなく、非破壊・リアルタイムでバンチ長測定を実現する系の実現を目指す。 具体的には、真空ダクトに設けたメタマテリアル媒質と電子バンチ起因のクーロン場で表面プラズモン共鳴 (SPR) を真空ダクト外に励起させ、この SPR を EO サンプリング (EOS) 等で計測する測定系を開発する。目標とする電子バンチ長は 30 fs (FWHM) 程度である。 自由電子レーザー加速器の電子バンチ長については、従来ストリークカメラや RF ディフレクターを用いた破壊型計測が行われてきた。2000 年代初頭からは、GaP や ZnTe といった無機ポッケルス EO 結晶を用い、非破壊・リアルタイム計測が実現したが、無機ポッケルス EO 結晶特有の THz 場吸収特性により、時間分解能は 100 fs (FWHM) に制限された。2012 年には、数十 fs (FWHM) の時間分解能が見込まれる有機ポッケルス EO 結晶による EOS 計測が、報告者らにより世界で初めて実現したが、放射線損傷による時間分解能の低下が問題となった。 本報告では、現在検討が進められている SPR 基板構造の最適化評価、SPR 強度について報告し、SPR を効率的に導波し、検波するためのメタマテリアル構造の検討状況について報告する。 本研究は JSPS 科研費 15K13415 の助成を受けたものである。 |
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THP087 p.1231 | cERLビーム運転時の放射線分布の簡易測定 Radiation Distribution Measurement at cERL with a General Purpose Imaging Film ○本田 洋介,赤木 智哉,小菅 淳(高エ研) ○Yosuke Honda, Tomoya Akagi, Atsushi Kosuge (KEK) KEKではERL試験加速器としてcERLの運転を行っている。ERLは大電流を特長とした線形加速器であるが、ビーム損失による放射線の発生を低減することが、今後の大電流化に向けた大きな課題である。加速器エリア内には放射線モニタが多数用意されているが、ビーム損失位置を特定するには測定点数は十分とは言えない。そこで、市販のインスタントカメラ用の感光フィルムを加速器内に分散配置し、一日の運転終了毎に回収し現像した。これによって、ビーム損失分布を良く理解することができ、日々のビーム調整にフィードバックすることができるようになった。 |
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THP088 p.1234 | cERL周回部におけるバンチ長の測定 Bunch Length Measurement at Return Loop of cERL ○本田 洋介,島田 美帆,高井 良太,アリシェフ アレクサンダー,ミハイル シェベレフ(高エ研) ○Yosuke Honda, Miho Shimada, Ryota Takai, Alexander Aryshev, Shevelev Mikhail (KEK) cERLではアーク部を利用してバンチ長を圧縮し、コヒーレント放射の発生などの応用を行う予定である。バンチ長の調整を行うには、測定装置が必要不可欠である。アーク下流の直線部のOTR標的で、コヒーレント遷移放射(CTR)を発生させ、バンチ長の測定を行うシステムを開発している。THz領域のCTR光を測定するマイケルソン型干渉計の分光器を構成し、自己相関の手法で測定を行った。オフクレスト加速とアーク部の分散により、バンチ圧縮の調整を行った結果を報告する。 |
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THP089 p.1237 | cERL入射器超伝導空洞の高次モードによるビーム位置測定 Beam Position Measurement using Higher-Order-Mode of Injector Superconducting Cavity at cERL ○本田 洋介,帯名 崇,梅森 建成,阪井 寛志,加古 永治,宮島 司(高エ研) ○Yosuke Honda, Takashi Obina, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai, Eiji Kako, Tsukasa Miyajima (KEK) 低エミッタンス電子銃で生成したビームを性能悪化させることなく加速し輸送することは、線形加速器型の光源において極めて重要である。このために、ビーム軌道が加速空洞の電場中心に一致するように調整するのが理想的である。cERLの入射器加速空洞は3台の2セル超伝導空洞で構成されている。それぞれの空洞には高次モード(HOM)カップラが複数備えられており、ビームによって励起された不要な高次モードを取り除く役割を持つ。多数のHOMのうちダイポールモードは空洞中心に節を持つので、これを検出することで実際の電場中心を基準としてビーム位置を計測することが可能である。cERL入射器空洞のHOMカップラからの信号をヘテロダイン検出し、ダイポールモードの信号を取り出し、ビーム位置の信号を得るシステムを開発した。 |
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THP090 p.1240 | X線ピンホールカメラを用いたビームエミッタンス監視システムの構築 Development of real-time beam emittance observation system based on X-Ray pinhole camera ○住友 博史,竹内 裕嗣,宇野 充博(スプリングエイトサービス(株)),高野 史郎(公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)) ○Hiroshi Sumitomo, Hiroshi Takeuchi, Mitsuhiro Uno (SPring-8 Service Co.,Ltd.(SES)), Shiro Takano (Japan Synchrotron Radiation Research Institute(JASRI/SPring-8)) SPring-8蓄積リングに設置されたビームプロファイル測定用X線ピンホールカメラを活用し、ユーザー運転中の挿入光源の磁極ギャップ変更などに伴うビームエミッタンス、カップリングの変動を監視するシステムを構築した。 このシステムは、電子ビームのX線像を作るピンホール、X線像を可視化するシンチレータ、可視化されたビーム像を測定するカメラ、カメラを制御するサーバー及びカメラ制御・解析プログラムからなる。 カメラ制御・解析プログラムは、ゲインや露光時間、データを読み出すAOIなどのカメラ設定と画像取得の制御を行い、取得したビーム画像がリアルタイムで中央制御室に疑似カラーで表示される。プログラム内の画像解析ルーチンが、1秒周期で水平、垂直のビームサイズとビームの傾きを求め、結果を制御系データベースに保存する。データベースを介して、解析結果が中央制御室にトレンドグラフとして表示される。 本システムは2014年9月から稼働し、加速器立上時でのビーム調整にも役立っている。 発表では、作成したカメラ制御・解析プログラムを中心に報告する。 |
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THP091 p.1243 | J-PARCハドロン実験施設ビームダンプ温度測定システムの改修 Upgrade of Temperature Measurement System for Beam Dump at J-PARC Hadoron Experimental Facility ○上利 恵三,里 嘉典,豊田 晃久,森野 雄平(高エネルギー加速器研究機構) ○Keizo Agari, Yoshinori Sato, Akihisa Toyoda, Yuhei Morino (KEK) J-PARCハドロン実験施設では、2015年4月24日11時03分に、ビーム利用運転を再開した。ハドロン実験施設の一次陽子ビームラインのビームダンプは、中心に熱吸収体として無酸素銅のコアがあり、そこには熱電対が設置されその表面温度を40点計測している。今回、温度測定システムを改修し、温度を0.2秒周期で測定し、ある設定温度以上になると異常を検知できるシステムを構築した。J-PARCではMachine Protection System(MPS)があり、これが発報した場合には加速器が自動的に停止する。改修したシステムが異常を検知した場合にはMPSが発報する。 今回の改修では、システムの中核はProgrammable Logic Controller(PLC)により構築されている。PLCはCPU(2つ)、温度計測、出力モジュールから構成されている。CPUモジュールが2つあるのは、1つはラダー用CPUであり機器の温度を計測・制御し、MPS信号を発報する。もう1つのCPUではEPICS-IOCによって、測定された温度・制御情報データをEPICSレコードとしてデータ収集や記録を行うためである。 PLCの温度計測モジュールにおいて、熱電対で測定された温度データを設定されたしきい値レベルと比較し、しきい値レベルより高ければMPSを発報し、自己保持される。 本論文はJ-PARCハドロン実験施設におけるビームダンプ温度計測システムの改修とこのシステムが現在正常に運用されていることを報告する。 |
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THP092 p.1246 | J-PARCリニアック製のバンチ・シェープ・モニタの開発 Development of Bunch Shape Monitor at J-PARC Linac ○二ツ川 健太,宮尾 智章(高エネルギー加速器研究機構),川根 祐輔,田村 潤,根本 康雄,林 直樹,三浦 昭彦(日本原子力研究開発機構),福岡 翔太(筑波大学),真山 実(三菱電機システムサービス株式会社) ○Kenta Futatsukawa, Tomoaki Miyao (High Energy Accelerator Research Organization), Yusuke Kawane, Jun Tamura, Yasuo Nemoto, Naoki Hayashi, Akihiko Miura (Japan Atomic Energy Agency), Shota Fukuoka (Tsukuba University), Minoru Mayama (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.) J-PARCリニアックでは, 加速周波数が324MHzのRFQ, DTL, SDTL空洞と972MHzのACS空洞で負水素ビームを400 MeVまで加速している。SDTL-ACS間のビーム輸送路(MEBT2)では, 2式のバンチャ―空洞で縦方向マッチングを行う必要があるが, リニアックにはビーム縦方向の形状を測定するモニタがなかった。そこで, ロシアのINRと共同でバンチ・シェープ・モニタ(BSM)を製作して, 2012年に当時最下流の加速空洞SDTL15の下流に設置して試験を行った。しかし, このBSMは真空特性が悪かったため, 2013年にACS空洞をインストールするときにビームラインから取り外した。その後も, オフラインでベーキングを実施したが, BSM単独でACS空洞直近に設置できるまでには至っていない。そこで, 2014年秋からJ-PARC製のBSMの開発を進めている。BSM筐体の真空対策だけでなく, ビームライン上でベーキングが行えるように設置場所を変更した。また, 二次電子の輸送に関してシミュレーションを実施して, 形状の最適化も行っている。本件では, 新規に製作したJ-PARC製のBSMの真空特性とオフラインの試験結果を報告する予定である。 |
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THP093 p.1251 | YAG:Ce を用いたビームハローモニターの開発 Beam halo monitor utilizing YAG:Ce screen ○内藤 孝,三橋 利行(高エネルギー加速器研究機構) ○Takashi Naito, Toshiyuki Mituhashi (KEK) 高エネルギー加速器研究機構先端試験加速器ATF/ATF2では超低エミッタンス電子ビームによる最終収束系の試験が進められている。最終収束系に於けるビームサイズの測定はレーザー干渉計によって測定されるが、ビーム形状はGauss分布であるとして求められている。通過するビームにビームハローが存在する場合、計測値が大きく算出される可能性がある。 YAG:Ce を用いたスクリーンモニターは、通過粒子に対して高い分解能と感度を持ち、この特性を利用してビームハローモニターを開発した。そのハードウェアと取り出しビームの測定結果について報告する。 |
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THP094 p.1255 | KEK e+/e- Linac 高位置分解能BPM読み出しシステム High position resolution BPM readout system for KEK e+/e- Linac ○宮原 房史(高エネルギー加速器研究機構),一宮 亮(原子力機構),五月女 秀樹(関東情報サービス),佐藤 政則,古川 和朗,諏訪田 剛(高エネルギー加速器研究機構) ○Fusashi Miyahara (KEK), Ryo Ichimiya (JAEA), Hideki Saotome (KiS), Masanori Satoh, Kazurou Furukawa, Takeshi Suwada (KEK) KEK電子陽電子入射器ではこれまでストリップライン型BPMの読み出しにオシロスコープを用いたシステムを利用してきた。オシロスコープを使った読み出しシステムのビームの位置分解能は約30μmであるが、SuperKEKBではエミッタンス制御のために10μm以下の位置分解能が要求されるため、新たに高位置分解能の読み出しシステムを開発した。読み出しシステムは狭帯域(中心周波数180 MHz)のバンドパスフィルタ、16-bit, 250 MSa/s ADCで構成され、ゲインの時間変動補正、ケーブル接続の緩みなどの異常を検知するための較正用パルスの出力が可能である。較正用パルスはビーム位置測定トリガから 6、12 ms 後にx、y方向の計2回の出力、測定をするように設計した。入射器は SuperKEKB LER、HER、ダンピングリング、PF、PF-ARの5つのリングにビームを供給(最大50 Hz)するため、可変アッテネータを用いて0.1〜10 nC/bunch の広いダイナミックレンジを確保した。ビーム位置演算と制御はFPGAを用い、50 Hzでビーム位置読み出し、アッテネータ設定、較正パルス出力が可能である。入射器の制御システムで採用しているイベントシステムと連携して運用するため、VMEバスを採用した。電荷量 0.8 nC/bunchのビームを用いた 3-BPM法により得た位置分解能は 3 μmであった。現在、約100台のBPMの読み出しシステムの置き換えを進めている。本システムの詳細、較正パルスを用いた長期運用試験を報告する。 |
加速器技術/加速器制御 (8月6日 小ホール) | |
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THP095 p.1259 | MADOCA II データ収集・蓄積システムのSPring-8制御系への実装 Implementation of MADOCA II data acquisition and storage system at SPring-8 ○籠 正裕,山下 明広((公財) 高輝度光科学研究センター) ○Masahiro Kago, Akihiro Yamashita (JASRI) SPring-8加速器制御のためのデータ収集・蓄積システムをMADOCA IIに更新した。今回導入したMADOCA II データ収集・蓄積システムは通信部にZeroMQとMessagePack、蓄積部にNoSQLデータベースであるRedisとApache Cassandraを利用して開発され、単一障害点がなく可用性に優れ、スケーラブルに大量データを扱うことができる。他にも、データベースの内部構造を改変することなく様々なデータ型に対応できるなど、旧MADOCAでは実現困難であったことを可能とする。この新システムは、2014年夏までに実環境下での実証実験を終え、その結果をとり入れた後、2015年1月から蓄積データを利用するGUIアプリケーション、Webサービス、アラームシステムなどの上位系をMADOCA IIに移行し、新データベースを用いた加速器運転を本格的に開始した。またMADOCA II データ収集・蓄積システムのリソース監視やハードウェア監視のためのツールや、運用を円滑に行うためのプログラム類を整備した。運用開始後は大きなトラブルもなく順調に稼働している。本稿では、実装したシステム構成、実証実験からフィードバックした点、並びに運用実績などについて報告する。 |
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THP096 p.1263 | SPring-8の加速器制御系および利用実験系ネットワークの仮想化統合に向けた評価試験 Evaluation of SPring-8 accelerator-control and experimental network virtualization ○杉本 崇,石井 美保,辻谷 健一,上田 晃義((公財)高輝度光科学研究センター) ○Takashi Sugimoto, Miho Ishii, Ken-ichi Tsujitani, Teruyoshi Ueda (JASRI/SPring-8) SPring-8加速器制御系および実験系ネットワークの次期更改に向けた仮想化統合の評価試験について報告する。SPring-8では通信性能の担保とセキュリティの維持のため、加速器制御用ネットワークと実験系ネットワークが独立して敷設・整備してきた。近年のネットワーク機器性能の向上と仮想化技術の発展により、物理的に機器を統合しながら、論理的にネットワークを分離可能となってきている。そこで我々は、SPring-8の次期ネットワーク更改におけるネットワーク仮想化統合の評価試験を実施した。更改では、最重要かつ高価なコア・ネットワークスイッチの仮想化統合を計画している。試験環境では、VRF-Liteを用いたネットワークの論理的分離と、QoSによる制御コマンド・一般トラフィック間の優先度制御の試験を行った。また障害発生時の影響、特に実験ユーザーによるネットワークループ形成時のネットワーク全体の健全性を保つ方法について検証を行った。発表ではこれまでの試験結果と、SPring-8次期計画を視野に入れた今後のネットワーク更改計画について報告する。 |
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THP097 p.1266 | FMCを用いた汎用VMEモジュールの開発と応用(3)- SupeKEKBでの応用:モジュールの性能試験 - Development and application of VME module with FMC interface(3) - Evaluation tests for SuperKEKB - ○佐々木 信哉,秋山 篤美,岩崎 昌子(KEK/Open-It),阿部 利徳(JASRI/Open-It),池野 正弘,庄子 正剛(KEK/Open-It) ○Shinya Sasaki, Atsuyoshi Akiyama, Masako Iwasaki (KEK/Open-It), Toshinori Abe (JASRI/Open-It), Masahiro Ikeno, Masayoshi Shoji (KEK/Open-It) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、KEKB電子・陽電子衝突型加速器の高輝度化を目的として、SuperKEKB加速器の建設を進めている。SuperKEKBでは、KEKBより高度な制御が必要であり、我々は、新規に開発されたFMCを用いた汎用VMEモジュールを用いて、1)SuperKEKB加速器・Belle2測定器間injection control信号送受信システム、2)SuperKEKB加速器用ビームゲートトリガーシステム、3)ダンピングリング用injection control信号送受信システム、および、4)ソフトウェア経由でアボートトリガーシステムへ、トリガー信号を生成・送信するためのシステムを構築する。これらのシステムは全て、FMCを用いた汎用VMEモジュールに、信号入出力を取り扱うためのメザニンカードを装着し、使用用途に応じてFPGAプログラムを開発することにより、構築する。我々は、これらのシステムのFPGAの回路開発及びその性能試験をFPGA評価ボードを用いて行っている。評価ボードのSFPを用いたAuroraプロトコルによる通信試験、FMC-HPC コネクタに装着して行ったメザニンカードの動作試験では良好な動作が確認できた。本件では、現在の開発状況・試験状況について報告する。 |
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THP098 p.1269 | SuperKEKB入射器コントロールシステムの現状 PRESENT STATUS OF SUPERKEKB INJECTOR LINAC CONTROL SYSTEM ○佐藤 政則(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),工藤 拓弥,草野 史郎,市川 智浩(三菱電機システムサービス),高木 誠,早乙女 秀樹(関東情報),清宮 裕史(KEK加速器),宮原 房史(KEK加速器/総研大加速器科学専攻),三川 勝彦(KEK加速器),諏訪田 剛,古川 和朗(KEK加速器/総研大加速器科学専攻) ○Masanori Satoh (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI Department of Accelerator Science), Takuya Kudou, Shiro Kusano, Tomohiro Ichikawa (MELSC), Makoto Takagi, Hideki Saotome (KIS), Yuji Seimiya (KEK, Accelerator Laboratory), Fusashi Miyahara (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI Department of Accelerator Science), Katsuhiko Mikawa (KEK, Accelerator Laboratory), Tsuyoshi Suwada, Kazuro Furukawa (KEK, Accelerator Laboratory/SOKENDAI Department of Accelerator Science) 現在,KEKでは,KEKB加速器で到達した40倍のピークルミノシティーを目指し,SuperKEKB加速器の建設を進めている。本加速器では,このような高いルミノシティーを達成するため,蓄積電流値の倍増および衝突点での極小ビームサイズの実現を設計基盤とした,ナノビーム方式を採用している。ナノビーム方式では,主リングでのビーム寿命が極端に短いため,トップアップ入射は元より入射ビームのバンチ電荷量増強が必須となる。電子(陽電子)ビーム入射に要求されるバンチ電荷量は5 nC (4 nC)であり,KEKB入射器と比較して約5倍のバンチ電荷量が求められている。一方,ナノビーム方式を採用した主リングの低エミッタンス化にともない,入射器ビームの垂直方向エミッタンスは,従来の1/5である20 mm・mradが必要とされる。とりわけ電子ビームについては,ダンピングリングを用いずに低エミッタンスビーム入射を実現する必要があるため,高度なビーム制御技術が要求される。これらの要求を満足するため,新方式の光陰極RF電子銃を始めとした種々の技術開発が進められてきた。これと平行して,ビーム運転の可用性を高めるため,制御システムの高度化を推進してきた。本稿では,入射器アップグレードにともなう,ビーム制御システムの現状および今後の展望について報告する。 |
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THP099 p.1274 | RIBF制御系におけるオペレータインターフェース共有のためのプライベートクラウド実装の試み An Attempt to implement private cloud for sharing of operator interfaces in RIBF control system ○内山 暁仁,込山 美咲,福西 暢尚(理研仁科センター),西村 誠(住重加速器サービス) ○Akito Uchiyama, Misaki Komiyama, Nobuhisa Fukunishi (RIKEN Nishina Center), Makoto Nishimura (SHI Accelerator Ltd.) EPICSを用いた制御システムでは、オペレータインターフェース(OPI)にGUIを用いる事が一般的である。RIBF制御系では従来MEDM/EDMを利用しており、OPIをサーバ上で構築し、X Window経由でそれぞれのクライアント端末に表示させ、運用してきた。近年ではEclipseベースのCSS/BOYの運用がEPICSユーザ間で広まっている。一方それを実装するには構築者とオペレータ間でOPIの共有方法の検討が必要になる。なぜならCSSはサーバで複数走らせず、クライアント一台一台にインストールさせて運用する。よってファイル数が膨大になると構築者とオペレータ間の端末が異なる事による弊害が問題になる。またNFS、Sambaの共有では複数ユーザ間で細かくアクセス制御する事は難しい。CSS/BOYを運用する事による上記問題点を解決するため、我々はOPIファイルを共有する仕組みとしてownCloudを用いたプライベートクラウド環境での利用を試みた。インターネットサービスとしてクラウドストレージは現在広く利用されている。ownCloudは上記と同等なサービスを外部とは接続されていないローカルネットワーク内で構築可能にさせるソフトウェアである。本試みではCSS/BOY用のファイル共有だけでなく、HTTPでOPIを提供する仕組みであるWebOPIとの連携も簡便に可能になる事を確認した。現在RIBF制御系ではAVFとRILACのビーム診断系の一部でCSS/BOYが利用されており、本報告ではそれらシステムの詳細を報告する。 |
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THP100 p.1278 | SuperKEKB用入射バケット選択システム Bucket Selection System for SuperKEKB ○梶 裕志,古川 和朗,岩崎 昌子,菊谷 英司,小林 鉄也,宮原 房史,中村 達郎,佐藤 政則,末武 聖明,飛山 真理(KEK),岡崎 知博,飯塚 祐一(東日本技術研究所),工藤 拓弥,草野 史郎(三菱電機システムサービス) ○Hiroshi Kaji, Kazuro Furukawa, Masako Iwasaki, Eiji Kikutani, Tetsuya Kobayashi, Fusashi Miyahara, Tatsuro Nakamura, Masanori Satoh, Masaaki Suetake, Makoto Tobiyama (KEK), Tomohiro Okazaki, Yuichi Iitsuka (East Japan Institute of Technology), Takuya Kudou, Shiro Kusano (Mitsubishi Electric System and Service) SuperKEKBコライダーの2つの主リングは、50Hzの入射毎にパルスビームの入射バケットを自由に選ぶ、「入射バケット選択システム」を搭載している。このシステムは入射器のビーム入射のための動作タイミングに任意の遅延時間を与えるものである。主リング側がこの遅延時間を制御し蓄積電流が低いバンチにビームパルスを供給することで、バンチ間の電流差を抑制することができる。入射バケット選択システムはKEKBコライダーのために開発されたが、来たるSuperKEKBでは陽電子ビーム入射にダンピングリングを用いるため、入射バケット選択のアルゴリズムが複雑になった。本講演では基本となるKEKB時代の入射バケット選択システムとSuperKEKB用に要求される複雑なシステムをまとめて報告する。 |
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THP101 p.1282 | Pythonによる加速器制御用GUIプログラミング GUI Programming for the Accelerator Control System using Python ○中村 達郎(高エネ研),青山 知寛,藤田 誠,中村 卓也,吉井 兼治(三菱電機システムサービス) ○Tatsuro Nakamura (KEK), Tomohiro Aoyama, Makoto Fujita, Takuya Nakamura, Kenzi Yoshii (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.) 加速器の遠隔制御システムでは、運転員などのユーザがグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を用いて操作を行なうよう作られているのが一般的である。SuperKEKB加速器で採用しているEPICSでは、GUIプログラムを作成するためにMEDM, EDM, CSS BOYといった標準ツールが用意されており、作成自体もグラフィカルな操作で行えるのが特徴である。これにより初心者でも比較的簡単に作成が可能である。これとは異なるアプローチとしてPythonなどのスクリプト言語でプログラムを記述してGUIを構築する方法がある。プログラミングによる方法では高度で柔軟なGUIを制限なく作成可能な反面、作成に手間がかかり、また技術の習得にも時間がかかる。そのため作成をできるだけ容易にするための工夫が重要となって来る。このようなプログラミングを支援する方法には様々なアプローチが考えられる。ここでは制御用のGUIに特化したPythonのプログラミングツールについて、KEKBおよびSuperKEKBの制御システムでの取り組みを幾つか紹介する。 |
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THP102 p.1286 | FMCを用いた汎用VMEモジュールの開発と応用(2) - SupeKEKB での応用:システムデザイン - Development and application of VME module with FMC interface(2) - Application to SuperKEKB - ○岩崎 昌子,佐々木 信哉,秋山 篤美(KEK / Open-It),阿部 利徳(JASRI / Open-It),池野 正弘,庄子 正剛(KEK / Open-It),大西 幸喜,中尾 幹彦(KEK) ○Masako Iwasaki, Shinya Sasaki, Atsuyoshi Akiyama (KEK / Open-It), Toshinori Abe (JASRI / Open-It), Masahiro Ikeno, Masayoshi Shoji (KEK / Open-It), Yukiyoshi Onishi, Mikihiko Nakao (KEK) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、KEKB電子・陽電子衝突型加速器の高輝度化を目的として、SuperKEKB加速器の建設を進めている。 SuperKEKBでは、KEKBより高度な制御が必要となり、Injection controlのために、加速器・測定器間の送受信信号数を増やす必要が生じた。しかし、KEKBで採用していたシステムでは、送受信信号数分の光ファイバー芯数が必要でありコストが高く、新しいシステムを開発する必要がある。また、ビームゲートシステムも、SuperKEKB用に改良・再構築する必要がある。 我々は、新規に開発されたFMCを用いた汎用VMEモジュールを用いて、1)SuperKEKB加速器・Belle2測定器間injection control信号送受信システム、2)SuperKEKB加速器用ビームゲートトリガーシステム、3)ダンピングリング用injection control信号送受信システム、および、4)ソフトウェア経由でアボートトリガーシステムへ、トリガー信号を生成・送信するためのシステムを構築する。 これらのシステムは全て、FMCを用いた汎用VMEモジュールに、信号入出力を取り扱うためのメザニンカードを装着し、使用用途に応じてFPGAプログラムを開発することにより、構築する。 本件では、これらのシステムデザインについて、発表を行う。 |
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THP103 p.1290 | cERLでのLCS実験用ビームラインのインターロックシステム The interlock system of beamline for LCS at the cERL ○濁川 和幸(高エネ研 加速器),小菅 隆,斉藤 裕樹(高エネ研 物構研),羽島 良一,永井 良治(原子力機構) ○Kazuyuki Nigorikawa (KEK, Accelerator Laboratory), Takashi Kosuge, Yuuki Saito (KEK, IMSS), Ryoichi Hajima, Ryoji Nagai (JAEA) cERLでは2014年度に新たにレーザーコンプトン散乱光源のビームラインが建設され、実証実験が開始された。 このビームラインで安全に実験を行えるようにインターロックシステムを新たに構築した。このインターロックシステムについての発表を行う。 |
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THP104 p.1294 | SACLA運転インターロックシステムの更新 −高速振分運転への対応− Upgrade of beam-operation interlock-system for SACLA ○松原 伸一(高輝度光科学研究センター),前坂 比呂和(理化学研究所 SPring-8センター),北村 全伸(日立造船株式会社),尾藤 竹志(アイエムティー株式会社),大竹 雄次(理化学研究所 SPring-8センター) ○Shin-ichi Matsubara (JASRI), Hirokazu Hirokazu (RIKEN SPring-8 Center), Masanobu Kitamura (Hitz), Takeshi Bito (IMT), Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center) X線自由電子レーザSACLAではFELの利用機会を増やすために、新しいビームラインBL2を増設し、既存主ビームラインであるBL3とのショット毎の高速振り分け運転を行う高度化を行った。更に、SCSS試験加速器をSACLAのBL1ビームライン上流に移設し、SACLA施設内に2つの電子ビーム源を設ける準備をしている。これらの大きな装置改造に伴い、SACLAのインターロックシステムも変更を必要とされた。SACLAのインターロックは、放射線防護に関わる安全インターロックと各構成装置に関わる機器保護インターロック、そしてSACLAの複雑な運転・動作を管理する運転インターロックにより構成されている。運転インターロックシステムでは、電子ビームの出射許可、運転モード・電子ビームルート設定、加速電荷量の監視・積算・制限、電子ビームダンプへの入射保障、ビームの繰り返し周期の設定を行っている。今回、SACLAの高度化のために、新設したBL2を含む複数ビームラインに関わる偏向電磁石と最大60Hzで振り分け動作をするキッカーマグネットの適正励磁監視、試験加速器の移設によって生じる2つの電子ビーム源の排他的運転管理を追加した。現在、運転管理をしている電子ビームルートもBL1, BL2, BL3, XSBTと4つのルートまで増えている。本発表では、SACLAの運転・動作に関わる運転インターロックのロジック、システム構成の変更について述べる。 |
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THP105 p.1299 | FMCを用いた汎用VMEモジュールの開発と応用(1) - 設計概念とモジュール開発、SPring-8での応用- Development and application of VME module with FMC interface(1) - Design of the VME module and application to Spring-8 - ○阿部 利徳(JASRI),岩崎 昌子,佐々木 信哉,秋山 篤美(KEK 加速器),池野 正弘,庄子 正剛(KEK Open-It) ○Toshinori Abe (JASRI), Masako Iwasaki, Shinya Sasaki, Atsuyoshi Akiyama (KEK 加速器), Masahiro Ikeno, Masayoshi Shoji (KEK Open-It) FMCを用いた汎用VMEモジュールの開発とそのモジュールを用いたシステム構築の応用例について発表を行う。 私達は加速器制御・実験用DAQで使用するためのFPGA Mezzanine Card(FMC)を用いた汎用VMEモジュールを開発している。大規模な加速器・実験装置では多数の検出器・システム間の信号通信が必要とされ、また、それぞれに専用の組み込みモジュールが必要な場合が多い。1つの組み込みモジュールの開発には、時間もコストも掛かり、限られた予算・期日・人的資源の中で要求される組み込みモジュールを作成することはとても困難になってきている。今回、メザニンカードを取り替えることにより様々な用途に使用できる汎用モジュールを開発し、低予算で短期にモジュール開発を行うことを目指した。 汎用VMEモジュールは、機能を加速器制御・実験用DAQに特化することにより、市販のベースボードよりも、我々の制御・実験用途に最適化した。汎用VMEモジュールは、SFP+、1Gbpsのイーサーネット、LEMOコネクタによるLVTTL信号の入出力、メザニンカードのインターフェースとしてFMC規格のHPCをサポートするように設計を行っている。ベースボードは、KEK OpenItの協力のもとに開発が進められている。 汎用VMEモジュールを用いた、SPring-8でのシステム案についても発表を行う予定である。 |
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THP106 p.1303 | SPring-8 におけるMicroTCA画像処理システムの改良 Improvement of MicroTCA-based Image Processing System at SPring-8 ○清道 明男,植田 倉六,増田 剛正(高輝度光科学研究センター) ○Akio Kiyomichi, Souroku Ueda, Takemasa Masuda (JASRI/SPring-8) SPring-8では加速器ビーム診断系に様々なCCDカメラが使われている。画像処理システムの高度化を含めた更新を行うにあたり、次世代フロントエンド計算機の候補であるMicroTCAをベースとしてCamera Link I/Fカメラに対応する画像処理システムを開発し運用している。導入後に発覚した不具合の対策や、ホットスワップ対応など保守性を向上させるための機能追加を行い、画像処理システムを改良した。ホットスワップについてはフェイクホットプラグドライバを使用してLinuxカーネルに通知することで運用上実現した。SPring-8の運転モードによりカメラがノイズの影響を受け想定外の撮影が行われる症状が起きたが、これの改善のためにカメラのノイズ対策を行うと共に画像処理ロジックを強化した。約2ヶ月の1Hz連続運転でLinuxカーネルによりデータ収集プロセスがkillされる現象が起きたが、デバイスドライバにメモリリークを発見しこれを修正することで長期の運用安定性を実現した。本システムは2013年に蓄積リング2次元放射光干渉計へ導入した。2015年には蓄積リング入射部OTRモニターの更新で導入し、2次元フィットによるビームサイズのリアルタイム測定を実現した。今後Linacのプロファイルモニターの老朽化対策等での導入や、カメラを用いた電子バンチ計測でリアルタイム再構築を行うための高速FPGA AMCへの展開を計画している。 |
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THP107 p.1308 | SPring-8加速器制御系における診断ログ収集システム DIAGNOSTIC LOG COLLECTING SYSTEM FOR ACCELERATOR CONTROL AT SPRING-8 ○藤原 綾潜,松本 崇博,山鹿 光裕(高輝度光科学研究センター) ○Ryosen Fujihara, Takahiro Matsumoto, Mitsuhiro Yamaga (JASRI/SPring-8) SPring-8加速器制御系の計算機が出力するログは、データ収集プログラムを主として、一日でおよそ350GByte、行数にして30億行に達する。この大量のログの中から必要な情報を取り出し、可視化を行い、異常検知やトラブル解析に利用する環境を整える。 加速器制御系は多数の計算機に複数のOS環境が混在するため、ログ出力側の計算機に共通した機能を持たせることが難しく、ログを受け取るログサーバの側で解析の全てを行う。ログはプログラムやアプリケーションにより書式が異なるため、どんな書式にも対応できる柔軟性の高いツールが必要となる。またログの種類ごとに解析と可視化を設ける事を考えると、ツールが持つ機能のみで結果が得られることが望ましく、個別にスクリプトを手書きすることなどは避けたい。 上記を満たすロギングツールとして、fluentdが挙げられる。fluentdはログの取り込み、加工、出力に関して豊富なプラグインを持ち、ログが持つタグ情報を書き換えることで、次にどのプラグインでどんな処理を適用するかを指定できる。プラグインの機能は、ログのパース、特定ワードの検出、書き換え、カウント、データベースへの出力やグラフ出力などがあり、コンフィグファイルへの記述のみで適用が可能である。 本報ではfluentdを用いた試験として、webログの解析やsnmp監視に使用した例を述べた上で、実際に一部の制御系でログ解析を行った結果について報告する。 |
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THP108 p.1312 | HBase/Hadoopを利用したJ-PARC運転データアーカイバの改良 Improvement of the J-PARC operation data archiver using HBase/Hadoop ○池田 浩,菊澤 信宏(日本原子力研究開発機構),吉位 明伸(新日鉄住金ソリューションズ株式会社),加藤 裕子(日本原子力研究開発機構) ○Hiroshi Ikeda, Nobuhiro Kikuzawa (Japan Atomic Energy Agency), Akinobu Yoshii (NS Solutions Corporation), Yuko Kato (Japan Atomic Energy Agency) J-PARCのLINAC, RCSから得られる制御に必要な大量なデータは、現在PostgreSQLに格納しているが、これをHBaseに格納する計画を進めている。HBaseはいわゆるNoSQLと呼ばれるデータストアで、大量のデータをスケーラブルに扱うことが可能である。HBaseはHadoopの分散ファイルシステム上で構築され、複数のマシンで構成するクラスタを使用し、障害時の自動復旧や容量増設の容易性が利点として挙げられる。前回の発表では、Hadoopのバージョンアップによって単一障害点であったマスタノードを冗長化し、この新しいバージョンに対する我々のツールの対応と課題について述べたが、同時に、クラスタの構成そのものに対しても幾つかの問題点も述べた。今回の発表では、この問題への対応を含みクラスタの再構築で行ったことについて述べる。具体的には、マスタノード用ハードウェアの強化やノード構築の自動化スクリプトの作成、ノードのモニタリングの導入が挙げられる。また、新規ハードウェアや構成の変更から必要に応じてHadoop/HBaseの設定を調整し、システムのパフォーマンスの測定を行い、その結果と検討を報告する。 |
加速器技術/LLRF (8月6日 小ホール) | |
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THP109 p.1317 | J-PARCリニアックのRFチョッパの位相反転制御システムの開発 Development of Phase Rotation System for RF-Chopper at J-PARC Linac ○二ツ川 健太,小林 鉄也,方 志高,福井 佑治,道園 真一郎(高エネルギー加速器研究機構),佐藤 文明,篠崎 信一,平野 耕一郎(日本原子力研究開発機構) ○Kenta Futatsukawa, Tetsuya Kobayashi, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Shinichiro Michizono (High Energy Accelerator Research Organization), Fumiaki Sato, Shinichi Shinozaki, Koichiro Hirano (Japan Atomic Energy Agency) J-PARCリニアックでは, RFQ下流のビーム輸送路(MEBT1)に設置されているRFチョッパ空洞で不必要なビームを蹴ることにより、中間パルスと呼ばれる櫛形構造のビームを生成している。蹴り出されたビームは, RFチョッパ空洞の約70cm下流に設置されているスクレーパに導かれる。このスクレーパは, ビーム電流を50 mAに増強したとき熱負荷が増大して, 利用運転に耐えないことが予想された。そこで, スクレーパ2式をビームライン上に鏡対象に用意して, 1式あたりの熱負荷の低減することにした。そのためには, チョッパの位相を180度反転させて各スクレーパにビームを正確に導く必要があった。位相反転はLLRFシステムで実施され, 25Hzのマクロパルス毎と1.227MHzの中間パルス毎に変更する方法を用意した。本件は, RFチョッパ空洞の位相反転制御システムを紹介するとともに, ビームを用いた試験結果を報告する。 |
加速器技術/レーザー (8月6日 小ホール) | |
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THP111 p.1321 | レーザーコンプトン光源のためのパルス型自発共鳴型光蓄積共振器の開発 Development of the pulsed self-start build-up cavity for laser-Compton based photon sources ○保坂 勇志(早稲田大理工研),赤木 智哉,浦川 順治,大森 恒彦,小菅 淳,本田 洋介(高エネ研),上杉 祐貴,高橋 徹(広島大),坂上 和之(早稲田大高等研),鷲尾 方一(早稲田大理工研) ○Yuji Hosaka (RISE, Waseda Univ.), Tomoya Akagi, Junji Urakawa, Tsunehiko Omori, Atsushi Kosuge, Yosuke Honda (KEK), Yuuki Uesugi, Tohru Takahashi (Hiroshima Univ.), Kazuyuki Sakaue (WIAS, Waseda Univ.), Masakazu Washio (RISE, Waseda Univ.) レーザーコンプトン光源はレーザーと電子ビームの逆コンプトン散乱を利用する光源である。この光源の輝度はレーザー光の強度に依存するため、我々は大強度のレーザー光を蓄積可能な光共振器の開発を行っている。共振器にレーザー光を蓄積するには、従来、高精度な共鳴維持装置が必要であり、増大率が1万倍を越えるような共振器の開発において技術的障壁となっていた。自発共鳴型光蓄積共振器は、共振器とレーザー発振器とを一体にすることで、原理的に共鳴の維持制御を必要としない新しい方式のレーザー蓄積システムである。正帰還動作によりシステムが自発的に最適な発振モードを選択するため、外乱に敏感な狭線幅を有する高フィネス共振器においても、持続的に共鳴・蓄積を維持することができる。我々のグループではレーザーコンプトン実験のための実用的な自発共鳴型光蓄積共振器の開発を目指し、CW動作による高フィネス共振器の蓄積維持および大強度レーザー蓄積の試験と、モード同期によるパルス発振化の研究を分担し行っている。本講演では、自発共鳴型光蓄積共振器のパルス発振に向けた取り組みについて紹介する。ファイバーベースのパルス発振として一般的に行われている非線形偏波回転を用いた受動モード同期パルス発振を軸に、狭帯域バンドパスフィルター・半導体可飽和吸収体ミラーを組み合わせた試験や、光強度変調器を用いた能動モード同期の試験について報告する。 |
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THP112 p.1324 | パルスラジオリシスシステム改善のためのフェムト秒ファイバレーザの開発 Improvement of pulse radiolysis system by introducing the femtosecond pulsed laser ○添田 雄史,伊藤 孔明,斎藤 悠太郎,保坂 勇志(早稲田大学理工学術院総合研究所),坂上 和之(早稲田大学高等研究所),鷲尾 方一(早稲田大学理工学術院総合研究所) ○Yushi Soeta, Yoshiaki Ito, Yutaro Saito, Yuji Hosaka (Waseda Research Institute for Science and Engineering), Kazuyuki Sakaue (Waseda Institute for Advanced Study), Masakazu Washio (Waseda Research Institute for Science and Engineering) 早稲田大学では、放射線化学反応を解明するための実験としてパルスラジオリシス実験を行っている。本実験ではパルス電子ビームによって対象となる試料の反応を引き起こし、試料の光吸収を調べることで反応の初期生成物の挙動を解明することができる。現在、我々はこのパルスラジオリシス実験における光吸収測定に用いる広帯域Super Continuum光(SC光)の改良にあたっている。SC光とは非線形光学効果によりスペクトルの広がった光であり、短パルスかつ広帯域な光を必要とするピコ秒パルスラジオリシスにおいて非常に有用である。我々は強い非線形光学効果を引き起こすためにPhotonic Crystal Fiber(PCF)と呼ばれるファイバにピコ秒パルスレーザーを入射しているが、現状のSC光は短波長側における安定度が不十分なので、十分な精度を持ったシステムを構築できていない。そこで我々はより強い非線形光学効果を引き起こすことができるフェムト秒のレーザーシステムを導入することを考えた。フェムト秒レーザーとしては高安定なYbファイバレーザーを、その増幅方法としてChirped Pulse Amplification(CPA)を採用した。これにより現状出力200mW,パルス幅300fs(FWHM)のフェムト秒レーザーが生成でき、これをPCFに入射することで850nm〜1100nmまでスペクトルの広がった広帯域光が生成されることを確認した。本講演では我々の構築したYbファイバレーザーシステムの現状と今後の展望について報告する。 |
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THP113 p.1328 | コンパクトERLでのレーザーコンプトン散乱光源実証実験 Demonstration of laser Compton-scattered photon source at the cERL ○永井 良治,羽島 良一,静間 俊行,森 道昭(原子力機構),赤木 智哉,小菅 淳,本田 洋介,荒木 栄,照沼 信浩,浦川 順治(高エネ機構) ○Ryoji Nagai, Ryoichi Hajima, Toshiyuki Shizuma, Michiaki Mori (JAEA), Tomoya Akagi, Atsushi Kosuge, Yosuke Honda, Sakae Araki, Nobuhiro Terunuma, Jyunji Urakawa (KEK) 原子力機構では準単色のガンマ線源を用いた非破壊核種分析システムの開発を進めている。準単色ガンマ線源はERL型加速器で生成した高輝度かつ大電流の電子ビームと光共振器に蓄積された高強度のレーザー光とのレーザーコンプトン散乱により実現する計画である。この光源実現のために加速器とレーザーが十分な性能を有していることを実証するために、KEKにおいて共同で開発を進めているコンパクトERLにおいて、レーザーコンプトン散乱実験を行ったので、その結果について報告する。 |
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THP114 p.1331 | レーザーコンプトン散乱による小型高輝度X線源開発 Development of a compact high brightness X-ray source via laser-Compton scattering ○赤木 智哉,小菅 淳,本田 洋介,荒木 栄,照沼 信浩,浦川 順治(高エネ研),永井 良治,羽島 良一,静間 俊行,森 道昭(原子力機構) ○Tomoya Akagi, Atsushi Kosuge, Yosuke Honda, Sakae Araki, Nobuhiro Terunuma, Junji Urakawa (KEK), Ryoji Nagai, Ryoichi Hajima, Toshiyuki Shizuma, Michiaki Mori (JAEA) レーザーコンプトン散乱(LCS)を利用した小型高輝度X線源の開発を行っている。LCS光源は準単色でエネルギーが可変、微小光源そして偏光の切り替えが容易という特徴をもつため、これらを活かしたX線イメージングの技術開発を行っている。X線を生成するため、KEKのcERLにおいて大電流電子ビームと光共振器に蓄積した高強度レーザー光を用いたレーザーコンプトン散乱実験を進めている。この実験のため、2台の垂直平面4枚鏡共振器を重ねあわせた光共振器を開発し、cERLのビームラインに組み込んで実際にLCS実験を行った。このX線を利用して位相コントラストイメージングの実証実験も行ったのでこれらの結果について報告する。 |
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THP115 p.1334 | SuperKEKB RF電子銃用25Hzと50Hzレーザーシステムのアップグレード 25Hz and 50Hz double-bunch laser system upgrade for RF gun at SuperKEKB ○周 翔宇,夏井 拓也,張 叡,吉田 光宏,小川 雄二郎(KEK/総研大) ○Xiangyu Zhou, Takuya Natsui, Rui Zhang, Mitsuhiro Yoshida, Yujiro Ogawa (KEK/ SOKENDAI) 高ルミノシティーを目指すSuperKEKBへのアップグレードのため、電子銃の開発・試験を行ってきた。5nCの電荷と10μmのエミッタンスの電子銃基準として、パルス長20ps、パルスエネルギーmJの矩形波形パルスレーザー光源が要求される。繰り返し2Hzと5Hzのシングルバンチに対して、Yb系レーザーシステムの開発を行っていた。生成された紫外パルスをIr5Ceカソードに導入し、5.6nCの電子ビームを得た。 パルスの繰り返す周波数は2Hz-50Hz、2バンチに切り替えられることを要求する。レーザーとして繰り返し周波数が上がるとポンプ光を照射することにより媒質が局所的に熱蓄積、レーザー光路に悪影響を与える。そして、高繰り返し、ダブルバンチに対して、レーザー光源のアップグレードを行っている。 Ybファイバー発振器・Ybファイバー増幅器及びYb:YAGのthin-disk型マルチパス増幅器により、高強度赤外光源を得る。2段階の第2高調波発生を行い、変換された紫外光源をカソードに導入する。パルス増幅効率が上がるとともに、レーザーシステムの安定化も改善した。ポンプ光源の繰り返す周波数を固定すると、熱影響とシステム条件も一致なので、シグナル光の繰り返す周波数を25Hz以下に自由に切り替えることも実現できた。 現在、25Hzレーザー光源を用いてシングルバンチの3nC及びダブルバンチの1nC電子ビームを得た。 |
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THP116 | レーザーコンプトン光源のための高フィネス自発共鳴型光蓄積共振器の開発 Development of the self-start build-up high-finesse cavity for laser-Compton based photon sources ○上杉 祐貴(広島大),赤木 智哉,浦川 順治,大森 恒彦,小菅 淳(高エ研),坂上 和之(早稲田),高橋 徹(広島大),保坂 勇志(早稲田),本田 洋介(高エ研),鷲尾 方一(早稲田) ○Yuuki Uesugi (Hiroshima U.), Tomoya Akagi, Junji Urakawa, Tsunehiko Omori, Atsushi Kosuge (KEK), Kazuyuki Sakaue (Waseda U.), Tohru Takahashi (Hiroshima U.), Yuji Hosaka (Waseda U.), Yosuke Honda (KEK), Masakazu Washio (Waseda U.) レーザーコンプトン光源はレーザーと電子ビームの逆コンプトン散乱を利用する光源である。この光源の輝度はレーザー光の強度に依存するため、我々は大強度のレーザー光を蓄積可能な光共振器の開発を行っている。共振器にレーザー光を蓄積するには、従来、高精度な共鳴維持装置が必要であり、増大率が1万倍を越えるような共振器の開発において技術的障壁となっていた。 本講演で示す自発共鳴型光蓄積共振器は、共振器とレーザー発振器とを一体にすることで、原理的に共鳴の維持制御を必要としない新しい方式のレーザー蓄積システムである。正帰還動作によりシステムが自発的に最適な発振モードを選択するため、外乱に敏感な狭線幅を有する高フィネス共振器においても、持続的に共鳴・蓄積を維持することが期待される。現在、レーザーコンプトン実験のための実用的な自発共鳴型光蓄積共振器の開発を目指し、CW動作による高フィネス共振器の蓄積維持、および大強度レーザー蓄積の試験を行っている。本講演においてこれらの研究・開発の状況について報告し、また今後の開発計画および展望について紹介する。 |
加速器技術/真空 (8月6日 小ホール) | |
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THP117 p.1338 | J-PARCリニアック バンチシェイプモニタの真空圧力改善 Improvement of the Vacuum Pressure of the Bunch Shape Monitor at J-PARC Linac. ○宮尾 智章(高エネルギー加速器研究機構),三浦 昭彦,川根 祐輔,田村 潤,根本 康雄(日本原子力研究開発機構),青 寛幸(ミシガン州立大学),林 直樹,小栗 英知,大内 伸夫(日本原子力研究開発機構),真山 実,吉川 宗良,鈴木 隆洋(三菱電機システムサービス) ○Tomoaki Miyao (KEK), Akihiko Miura, Yusuke Kawane, Jun Tamura, Yasuo Nemoto (JAEA), Hiroyuki Ao (FRIB,MSU), Naoki Hayashi, Hidetomo Oguri, Nobuo Ouchi (JAEA), Minoru Mayama, Hirokazu Yoshikawa, Takahiro Suzuki (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.) 2013年度から使用を開始しているACS(Annular Coupled Structure)空洞にビームを入射する際、加速周波数が324MHzから972MHzにジャンプするため、位相方向のビームプロファイル診断が重要である。そのため、J-PARCではバンチシェイプモニタ(BSM)の開発を進めてきた。ACS空洞をインストールする前に一度、BSMをインストール して動作確認を行ったところ、プロファイル測定には成功したものの、測定時のアウトガスによりBSM付近のビームダクトの真空圧力が 10^-4Pa台まで悪化し、ACS空洞が運転できない状態に陥ることが懸念された。そこで、BSMモニタからのアウトガス量を低減するために、ビームライン上でベーキング処理を行い、さらにBSM本体及び周辺のビームダクトを改造して真空ポンプを増設するなどの対処を行った。その結果、BSM付近のビームダクトの真空圧力が10^-7Paまで改善された。 |
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THP118 p.1342 | J-PARC主リング真空ダクトの一部チタン置換と運転への影響 Vacuum Ducts Modification to Shape and Material in J-PARC MR ○魚田 雅彦,堀 洋一郎(高エネ研) ○Masahiko Uota, Yoichiro Hori (KEK) J-PARC MRの真空ダクトは、短い繋ぎのベローズダクトがチタン製であることを除けばほぼステンレス製である。アパーチャの基本内径は130mmだが、電磁石内では種々の制約及び要求により形状が円形から変更されており、約半数の四極電磁石内では水平・垂直方向断面についてアパーチャを広げるためボア径を超える角の丸いダイヤ型を採用している。震災からの復旧後の2012年度の運転で、強度上昇に伴い入射コリメータ下流部の200m、及び全周のアーク部の分散関数極大部で、ビームロスによる放射化が進行し将来のメンテナンス性の悪化の懸念が顕在化した。コリメータ下流部は運動量を失った粒子が周回することなく損失するためであるが、全周の分散関数極大部での予期しないビームロスは、2つの四極電磁石(QFX)及び挿入された六極電磁石の水平断面を詳細に調査した結果、上流側の四極電磁石から六極電磁石の円形ダクトへ口径を絞っている形状変換部に局在していることが明らかとなった。そこで、コリメータ下流部で放射化が進行している四極電磁石ダクトに加え、全周の分散関数極大部の四極-六極-四極電磁石ダクトについて、材質をチタンへ変更し、後者については同時に水平アパーチャを絞らず平坦化する新しい形を採用した。2012年の秋にインストールし、2013年後期から新しいダクトでビーム運転が始まり、真空の性能や残留放射能への効果が表れてきている。その結果を報告する。 |
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THP119 p.1347 | DLCコーティングに対するビームの影響について About influence of a beam to a DLC coating ○岡田 雅之,外山 毅(高エネ機構 J-PARC) ○Masashi Okada, Takeshi Toyama (KEK J-PARC) J-PARC MRでは、昨年ビーム制御の為のストリップライン型キッカーを増設した。その際、マルチパクタリングを防止する目的でチェンバー内面と電極にDLCコーティングを施した。製作時の測定では若干マルチパクタリングする領域が残っているものの十分に実用的な範囲であると判断してビームラインに設置、運転で使用した。 ビーム運転中、DLCコーティングは高エネルギー粒子に晒されたりハイパワーのRFが印加されたりする事からエージング効果で表面状態の改善されたり熱による劣化があるのでは等と懸念されたりしたが、導入後約2か月の運転の後の測定では特に変化が見られなかった。今回、さらに約8か月の運転を行ったので、再度測定を行い以前の結果と比較を行いその結果を発表する予定である。 |
13:00 - 15:00 | |
THP120 p.1350 | J-PARC RCS 荷電変換装置におけるスロー排気・パージ系統の改修 Improvement of slow purging and slow pumping system on the change exchange system in the J-PARC RCS ○飛田 教光,吉本 政弘,山崎 良雄,佐伯 理生二,金正 倫計,竹田 修(日本原子力研究開発機構),武藤 正義(日本アドバンストテクノロジー株式会社) ○Norimitsu Tobita, Masahiro Yoshimoto, Yoshio Yamazaki, Riuji Saeki, Michikazu Kinsho, Osamu Takeda (JAEA), Masayoshi Mutoh (NAT) J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS:Rapid Cycling Synchrotron)の荷電変換フォイルは、厚さ約1μmの炭素製薄膜を使用している。フォイルは、ビームが照射され続けることで劣化が進み壊れやすくなる。そこで、安定的な運転を維持する為に、定期的にフォイルの交換を行っている。 フォイルを真空容器内から取り出す、新しいフォイルを再装填して使用する際には、Arパージ作業、真空排気作業が必要となる。フォイルは非常に薄いため気流による破損のリスクが高い。そのため、真空容器内の気流を抑制する目的で、スローパージ・スロー排気系統を採用している。フォイルは薄く破れやすいため、これまでは真空容器のビューポートから真空容器内のフォイルに破損等の有無が生じていないか直接監視しており、残留線量の高い主トンネル内で作業を行っていた。そのため、作業時には高い被ばく線量を作業員が浴びていた。 そこでRCSでは、残留線量の高い主トンネル内での作業を避け、被ばくのリスクが低いサブトンネルへスローパージ・スロー排気系統を移設した。それに合わせて、ビューポートに新たにカメラを設置し、サブトンネルでフォイルの画像を確認しながら作業を行えるシステムを追加した。サブトンネルへの移設により作業員の放射線被ばくは大幅に低減された。 本発表ではスローパージ・スロー排気系統の移設とその効果について詳しく説明する。 |
加速器応用、産業利用 (8月6日 小ホール) | |
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THP121 | 10 fs電子パルスを用いたフェムト秒パルスラジオリシスの開発 Development of the femtosecond pulse radiolysis using 10 fs electron bunches ○近藤 孝文,神戸 正雄,菅 晃一,西井 聡志,野澤 一太,楊 金峰,吉田 陽一(阪大産研) ○Takafumi Kondoh, Masao Gohdo, Koichi Kan, Satoshi Nishii, Itta Nozawa, Jinfeng Yang, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka University) ビームが物質中に誘起する化学反応を解明するために、パルスラジオリシスと呼ばれる手法を開発・発展している。近年、フォトカソード電子銃加速器とパルス圧縮器により、10フェムト秒のパルス幅を有する電子線パルスの発生が報告されており、パルスラジオリシスに応用することによりビームと物質科学の新たな知見が得られると期待されている。しかしながら、10 フェムト秒の電子ビームは、空間電荷効果によるパルス幅増大を避けるために、極めて低い電荷量しか持ち得ない。こういった極めて低い電荷量の電子パルスを応用したパルスラジオリシスの開発と発展の状況を報告する。 |
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THP122 p.1355 | フェムト秒電子線・レーザー複合照射パルスラジオリシスの開発 Development of femtosecond electron beam-laser pulse radiolysis ○西井 聡志,近藤 孝文,神戸 正雄,菅 晃一,楊 金峰,田川 精一,吉田 陽一(阪大産研) ○Satoshi Nishii, Takafumi Kondoh, Masao Gohdo, Koichi Kan, Jinfeng Yang, Seiichi Tagawa, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka University) 加速器の電磁石のコイルなどの絶縁被膜に用いられる高分子材料は、放射線分解による材料劣化が非常に重要な問題となる。本研究の目的は、フェムト秒パルスラジオリシスにより高分子材料の分解過程で生成するアルキルラジカルを直接観測し、高分子材料の分解過程を明らかにすることである。実験の結果、アルキルラジカルの生成時定数は3 psと見積もられ、ラジカルカチオンの励起状態である励起ラジカルカチオンから生成するということが強く示唆された。しかし、励起ラジカルカチオンの直接観測はなされていない。そこで、ラジカルカチオンをレーザー照射により励起ラジカルカチオンへと励起する、電子線・レーザー複合照射パルスラジオリシスによる実験を行っている。この手法により、励起ラジカルカチオンと分解過程の関係を詳細に検討したい。 |
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THP123 | ガンマ線誘起陽電子寿命測定用超伝導加速器の開発 Developement of a Superconducting Accelerator for Gamma Induced Positron Lifetime Spectroscopy ○オローク ブライアン,鈴木 良一,加藤 英俊(産業技術総合研究所) ○Brian O'rourke, Ryoichi Suzuki, Hidetoshi Kato (AIST) At AIST we are developing an experiment to measure positron lifetimes in bulk samples. Positrons are created via pair creation inside the sample through irradiation of high-energy photons. The high energy photons are produced as Bremmstrahlung radiation when high energy electrons are incident on a target. The lifetime of positrons in the sample, which can used to deduce information about the distribution of defects or voids, can be determined observation of the annihilation radiation combined with the timing information about when the positron was created. Using an electron accelerator with a short pulse length and high repetition rate it is possible to obtain a lifetime spectra efficiently. We are now developing a superconducting accelerator as the high energy photon source. In the contribution the outline of the system will be explained along with preliminary results on test samples. |
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THP124 | 針葉樹型カーボンナノ構造体電子源を用いた超伝導加速器用電子銃の開発 Development of an electron gun for a superconducting accelerator using coniferous type carbon nano-structured emitter ○加藤 英俊,O'Rourke Brian,鈴木 良一(産総研) ○Hidetoshi Kato, Brian O'rourke, Ryoichi Suzuki (AIST) 産総研では、陽電子発生用超伝導加速器の開発を行っており、超伝導加速器に用いる電子銃として、フォトカソード以外に、針葉樹型カーボンナノ構造体冷陰極電子源を用いた電子銃の開発を進めている。針葉樹型カーボンナノ構造体は100mA/cm2以上の高い電流密度の電子放出が可能であり、従来の冷陰極電子源と比較し、長時間安定した出力が得られる。有限要素法ソフトウェア(TRICOMP)を用いた電界強度及び電子ビーム軌道シミュレーションを実施し、エミッタサイズをφ15mmとし、電子銃出口(加速器接続部)における電子ビームサイズはφ10mmとなるように電子銃の設計を行った。本発表では電子銃の設計・製作、及び、電子出射試験を行った結果を報告する。 |
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THP125 p.1358 | 陽子線加速器駆動理研小型中性子源RANSによる中性子利用 The neutron application with RIKEN Accelerator-driven compact Neutron source ○大竹 淑恵(理化学研究所) ○Yoshie Otake (RIKEN) 理研では、中性子利用の拡大、特に「ものづくり現場で利用可能」な中性子源を含む非破壊計測システムとして2013年より陽子線線形加速器7MeVを利用したコンパクトな中性子源の開発、高度化を行っている。中性子の強みである、金属に対する高い透過度を利用しまた数ミリ厚さ以上ある観察対象サンプルのバルク全体としての組織を研磨等の事前準備無しで非破壊計測を可能としている。本講演では、小型中性子源RANSによる塗膜下鋼材内部腐食と水の出入りの中性子イメージングによる観察や、塑性加工前後での鋼板サンプル集合組織の変化の中性子回折法による観察を中心に紹介し、加速器を利用した応用分野である小型中性子源の今後の展望を述べる。 |
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THP126 p.1362 | 放射線照射した原子炉材料表面のイオンビーム表面分析法による研究 Ion Beam Analysis of the Surface of Nuclear Materials Irradiated with Radiation Ray ○倉橋 慎太郎,奥田 修一,秋吉 優史(阪府大) ○Shintaro Kurahashi, Shuichi Okuda, Masahumi Akiyoshi (Osaka Prefecture University) 原子炉燃料被覆管は炉内において高温高圧の条件下に加え、核分裂反応に伴う放射線に晒される。被覆管材料の主成分であるZrと軽水による酸化腐食反応が進むことで発生する水素や酸素といった不純物は被覆管に吸収され、材料脆化の原因となる。 これまで、材料の特性向上や腐食改善、核燃料の使用時間向上のために金属表面における不純物の拡散機構を解明する研究が行われてきた。しかし、放射線環境下における金属の表面状態の変化を調べる研究はこれまでほとんど行われておらず、放射線環境下の腐食に関する系統的な知見はあまり得られていない。本研究では、不純物元素の情報が得られる優れた方法の一つであるイオンビームによる表面分析法を用い、材料表面における不純物の情報を得ることでその挙動および放射線照射の影響を評価した。 材料へのCo60のγ線照射およびイオンビーム分析に関しては、それぞれ大阪府立大学の放射線施設および1 MeV静電加速器を用いて行った。また、後方散乱スペクトルの計算により測定配置を最適化した。Zrへ2.1 kGyのγ線照射および950 keVのHイオンの表面分析を行ったが、非照射環境下と比較して表面状態の変化は見出されなかった。現在では、より強力なγ線照射環境下の腐食試験を行ない、その表面状態を評価する研究を進めている。発表では、非照射環境下の金属の表面状態と比較することで、その挙動と放射線照射の影響についての議論を行う。 |
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THP127 p.1365 | コヒーレントX線源用小型加速器のビームローディングと輸送路設計 Design of wavelength tunable coherent X-ray source and beam loading ○玄 知奉(総研大),吉田 光宏,佐藤 政則(高エネ研),境 武志,早川 恭史,田中 俊成,早川 建,佐藤 勇(日本大学),遠藤 克己(株式会社トヤマ) ○Jibong Hyun (SOKENDAI), Mitsuhiro Yoshida, Masanori Satoh (KEK), Takeshi Sakai, Yasushi Hayakawa, Toshinari Tanaka, Ken Hayakawa, Isamu Sato (Nihon University), Katsumi Endo (TOYAMA Co.,Ltd) 現在、株式会社トヤマ、日本大学、高エネルギー加速器研究機構で波長可変型コヒーレントX線源の開発が行われている。このコヒーレントX線とは、パラメトリックX線のことであり、相対論領域の電子を単結晶に照射することによって発生する。また、発生するX線のエネルギーはブラッグの反射条件を満たす。そのため、電子ビームと結晶面の間の角度を変えるだけで容易にエネルギーを変えることが可能である。このパラメトリックX線を画像診断や治療に用いる予定である。 現在、開発中の加速器では、電子を75MeVまで加速させ、その電子を単結晶のターゲットに衝突させることによってX線を発生させる。さらに、結晶を通過した電子は、減速管まで輸送し10MeV以下にエネルギーを下げた後にダンプする。これにより、ダンプ時に発生する放射線量を極力抑える。また、加速管と減速管を導波管で繋ぎレゾナントリングとすることで、小さい入力電力で大きな周回電力を得ることができるようにしている。輸送路中でエネルギーロスは減らすためには、できる限りエネルギー分散を減らし、高品質のビームを得ることが重要である。そのために、このレゾナントリングのビームローディングの計算とその補正の検討などを行った。また、電子ビームが結晶と衝突した後のエミッタンス悪化を含めて輸送路設計なども行った。学会当日は、ビームローディングや輸送路設計の現状を報告する。 |
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THP128 p.1370 | 日大LEBRAにおけるX線-THz重畳ビームラインの概念設計 CONCEPT DESIGN OF A THz BEAMLINE SUPERIMPOSED ON AN X-RAY BEAMLINE AT LEBRA ○早川 恭史,早川 建,稲垣 学,中尾 圭佐,野上 杏子,境 武士(日大LEBRA),清 紀弘(産総研),田中 俊成(日大LEBRA) ○Yasushi Hayakawa, Ken Hayakawa, Manabu Inagaki, Keisuke Nakao, Kyoko Nogami, Takeshi Sakai (LEBRA, Nihon U.), Norihiro Sei (AIST), Toshinari Tanaka (LEBRA, Nihon U.) 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)では、自由電子レーザ(FEL)とパラメトリックX線放射(PXR)による光源を運用し、利用研究に光ビームを供給している。最近それらに加え、コヒーレントシンクロトロン放射(CSR)やコヒーレント遷移放射(CTR)などによるTHz光源の開発にも着手している。FELビームラインにおいてはTHz光を実験ホールに取り出せるようにして予備的な利用実験を開始しているが、これまでの応用としては生体試料のイメージングが主流となっている。これはPXRの応用とも共通しており、X線ビームに重畳してTHz光ビームを輸送できれば、X線とTHz光という両極端の波長域の光ビームによる同時イメージングが現実的なものとなり、更なる応用の発展が期待できる。また、PXRビームラインはX線を発生させるために電子ビームを結晶ターゲットに照射しており、その下流でCTR発生用の薄膜ターゲットを挿入したとしてもビームラインの運用に大きな支障は来さない。これらを踏まえ、ビームプロファイルモニタ用の機構を利用して挿入した薄膜をTHz-CTR光源とし、そのさらに下流に設置してある汎用チェンバーを改造し、PXRビームにTHz光ビームを重ねるための軽金属基板ミラーを挿入可能にすることを検討している。このビームライン改造の基本方針について報告する。 |
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THP129 p.1375 | 70 keV電子線照射によるInGaPおよびGaAs太陽電池の性能劣化 Performance degradation of InGaP and GaAs cell by radiation of electron beams at 70 keV ○奥野 泰希(阪府大 工学研究科),奥田 修一,小嶋 崇夫,岡 喬(阪府大),川北 史郎,今泉 充,艸分 宏昌(宇宙航空研究開発機構) ○Yasuki Okuno (OPU Engineering), Shuichi Okuda, Takeo Kojima, Takashi Oka (OPU), Shirou Kawakita, Mitsuru Imaizumi, Hiroaki Kusawake (JAXA) 人工衛星などの電力源として宇宙太陽電池が利用されており、太陽電池の放射線劣化について予測を行うための研究が行われてきた。宇宙太陽電池の放射線劣化のメカニズムは詳しく分かっていないが、メカニズムの解明は高放射線耐性宇宙太陽電池の開発および宇宙太陽電池の運用時間の向上に期待されている。 先行研究においてInGaPセルの電子線照射試験が行われた。この研究では、Non-Ionizing Energy LossによるInGaPセルの原子のはじき出し予測ではじき出しがないと予測されているエネルギーの電子線照射で発電効率の劣化現象が確認されたが、その劣化についての要因は明らかではない。本研究では、はじき出しがないと予測されている電子線を照射し宇宙太陽電池の劣化を評価した。 半導体の構成元素の原子がはじき出さない電子線エネルギーは100 keV以下のエネルギーである。大阪府立大学放射線センターにあるコッククロフトウォルトン型電子線加速器システムは、60-600 keVの電子線を照射できる。またこれは宇宙太陽電池照射試験用に最適化されており、世界でもほとんどない。このシステムによってInGaPセルおよびGaAsセルへ70 keVの電子線の照射を行うと、エレクトロルミネッセンスによる発光強度の低下およびキャリア濃度の低下が確認された。発表では、この非常に低エネルギーな電子線の照射による太陽電池の劣化の要因についての議論を行う。 |
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THP130 p.1380 | NIRSサイクロトロン施設RI生成用照射ポートのためのWobbling beam照射システムの設計 Wobbled beam irradiation system for radioisotope production in NIRS cyclotron facility ○片桐 健,北條 悟,中尾 政夫,永津 弘太郎,鈴木 寿,杉浦 彰則,涌井 崇志,野田 章,野田 耕司(放医研) ○Ken Katagiri, Satoru Hojo, Masao Nakao, Kotaro Nagatsu, Hisashi Suzuki, Akinori Sugiura, Takashi Wakui, Akira Noda, Koji Noda (NIRS) NIRSサイクロトロン施設では,新たな医療用放射性同位元素(At-211等)の製造とそれらに関連した基礎的実験に備えて,新たなビーム照射ポートの設置を進めている.これら同位元素の製造量の向上を狙ってビーム電流の増強をする場合には,溶解等によるターゲット系の損壊を防ぐためにビーム電流密度の低減が必要となる.そこで我々は照射システムにワブラー電磁石を採用し,拡大ビームを放射性同位元素の製造時に供給することを計画している.これまで,この照射システムを含むビームトランスポートの設計を行った.また,照射システムに用いるワブラー電磁石に関しても設計し製作を行った.本発表ではこれらの設計の結果,ワブラー電磁石の計算結果/磁場分布測定結果を示すとともに,本照射システムにより得られるビーム電流密度の低減化の効果を検証した |
加速器土木、放射線防護 (8月6日 小ホール) | |
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THP131 p.1384 | レーザートラッカーAT-402近距離測定精度調査 Precision tests with Leica LaserTracker AT402 in short-range measurement ○木内 淳(スプリングエイトサービス蝓法ぬ畋 洋昭,松井 佐久夫,安積 則義(理化学研究所),甲斐 智也(スプリングエイトサービス蝓 ○Jun Kiuchi (SPring-8 Service Co., Ltd.), Hiroaki Kimura, Sakuo Matsui, Noriyoshi Azumi (RIKEN), Tomoya Kai (SPring-8 Service Co., Ltd.) SPring-8のX線自由電子レーザー施設(SACLA)では、加速管やアンジュレータなどの機器のアライメントや建屋変位の測量に、Leica Geosystems社製のレーザートラッカーAT402を使用している。このトラッカーは絶対距離計を装備しており、3次元位置精度のメーカー提示スペックは±15μm+6μm/m(最大許容誤差)で、5mでは最大45μmという値になる。我々は将来の加速器高度化に備えて、長さ4mの架台の上での機器のアライメントを想定し、このトラッカーでどの位の精度で位置を計測できるか調査を行った。 測定は、4m分の石定盤の上に6カ所の測定基準座を固定し、6器械点からの計測データでネットワーク解析を行いその最確値を真値として、通常の1器械点からの計測データや3器械点によるネットワーク解析結果と比較した。 測定のバラつきから測定精度を調査した結果、器械点から約4mでの3次元精度が10μm(1σ)、約6mでの3次元精度が13μm(1σ)となった。これらの測定方法・分析方法の詳細と共に、オートコリメーターとの比較結果も報告する。 |
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THP132 p.1389 | KEK先端加速器試験装置(ATF2)におけるアライメントの現状 PRESENT STATUS OF ALIGNMENT FOR ATF2 BEAM LINE ○荒木 栄,奥木 敏行,久保 浄,黒田 茂,田内 利明,照沼 信浩,内藤 孝(高エネルギー加速器研究機構),清水 健一((有)エスケーサービス),大房 拓也(関東情報サービス株式会社) ○Sakae Araki, Toshiyuki Okugi, Kiyoshi Kubo, Shigeru Kuroda, Toshiaki Tauchi, Nobuhiro Terunuma, Takashi Naito (KEK), Shimizu Kenichi (SK-service INC.), Ohusa Takuya (Kantou Information Service(KIS)) KEKの先端加速器試験装置(ATF)では国際リニアコライダー(ILC)において必要とされるビーム計測・制御技術の開発を進めている。 現在、ILC最終収束系の試験施設であるATF2ビームラインを利用した研究開発では、極小ビームの実現やナノメートルでのビーム安定化に向けたビーム試験を進めた結果、2014年6月には44nmまで絞り込むことに成功した。 長期的な地盤などの変動によるミスアライメントも発生しているが、電磁石架台の剛性から生じる振動も影響する。ナノメートルレベルでのビーム位置制御を実現には、電磁石の振動対策も必要である。これらを交えて、ATF2ビームラインアライメントの現状を報告する。 |
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THP133 p.1393 | J-PARCハドロン実験ホールのためのシールド貫通信号線ダクトの開発 Development of a shield penetration signal cable ducts for J-PARC ○広瀬 恵理奈,家入 正治,岩崎 るり,上利 恵三,高橋 仁,皆川 道文,青木 和也,渡辺 丈晃,加藤 洋二(KEK) ○Erina Hirose, Masaharu Ieiri, Ruri Iwasaki, Keizo Agari, Hitoshi Takahashi, Michifumi Minakawa, Kazuya Aoki, Takeaki Watanabe, Yohji Katou (KEK) J-PARC ハドロン実験施設のような大強度のビームラインにとって、 3m程度の厚いシールドに隔たれたビームライン室に、遮蔽性能を持ち、 なおかつ一次ビームライン室と実験室側の間の気密を確保したまま、 電磁石等に必要な電力線、信号線を通すことは従来より課題となっている。 本件では、信号線として、セラミック編組線を用い、25Aの直管に、 約30本の信号線を入れ、エポキシ樹脂で、内部を充填する方法を行った。 この方法で、セラミック編組線内部にもエポキシが浸透し、He加圧しても 規定の気密を保つことができた。 また、この信号線管を埋めたコンクリートブロックを製作し、 既存の遮蔽体と固定し、間をモルタルで充填し、コンクリート間でも 気密を保つことができた。 このシールド貫通信号線ダクトの製作方法と気密性能について報告する。 |
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THP134 p.1398 | J-PARCハドロン実験施設における2次ビームライン開口部の気密強化 Airtight reinforcement of secondary beamline openings at J-PARC hadron experimental facility ○岩崎 るり,上利 恵三,青木 和也,家入 正治,加藤 洋二,里 嘉典,澤田 真也,高橋 仁,田中 万博,豊田 晃久,広瀬 恵理奈,皆川 道文,武藤 亮太郎,森野 雄平,山野井 豊,渡辺 丈晃,Lim GeiYoub(高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所),長谷川 勝一(原子力研究開発機構),野海 博之(大阪大学核物理研究センター) ○Ruri Iwasaki, Keizo Agari, Kazuya Aoki, Masaharu Ieiri, Yohji Katoh, Yoshinori Sato, Shin'ya Sawada, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Ryotaro Muto, Yuhei Morino, Yamanoi Yutaka, Hiroaki Watanabe, Geiyoub Lim (Institute of Particle and Nuclear Studies, KEK), Shoichi Hasegawa (Japan Atomic Energy Agency), Hiroyuki Noumi (Research Center for Nuclear Physics, Osaka University) J-PARCハドロン実験施設において、1次ビームライン室の空気の閉じ込めを強化するために、2次ビームラインの開口部に二重隔壁を設置した。 隔壁の設置場所はK1.8ビームラインとK1.1-KLビームラインの出口である。 その構造は、躯体コンクリートの横壁に鉄フレームを取り付けて、そのフレームの両側に2枚のアルミパネルを取付け箱型の2重の隔壁となっている。 隔壁を構造と施工の様子と共に気密試験を行った結果を報告する。 |
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THP135 p.1403 | 電子陽電子入射器の陽電子発生部放射線遮蔽体 Radiation Shield Structure for the Positron Target region of KEKB Injector Linac ○松本 修二(高エネ研) ○Shuji Matsumoto (KEK) これまでKEK電子陽電子入射器のユニット#21に設置されていた陽 電子生成部(ターゲットおよびその前後に配置されるビーム制御機器 よりなる)および捕獲部(陽電子の初期加速を行う部分)は、将来必要 となるの陽電子増強のために、入射器上流のユニット#15へ移設された。 今後のビーム増強に伴い陽電子生成部および捕獲部からの放射線は増加 するので、新たに遮蔽体を設計・設置した。柱と梁よりなる 剛性の高い支柱構造体(ヤグラ構造)を加速器機器本体の周囲に配置し、 そのヤグラ構造の上に鉄遮蔽ブロック(遮蔽体)を積む。ユニット#15 に設置される陽電子生成部および捕獲部のおよそ6mの範囲(ビーム ラインに沿った方向)にわたり、加速器本体からトンネル天井までの 間の空間に遮蔽ブロックを詰め込むとして全体の設計を行なった。 耐震性の確保のため、構造計算と固有振動の測定もおこなった。 |
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THP136 p.1407 | 短スパンオイル管傾斜計の試作 Trial experiment of an oil-tube tiltmeter ○坪川 恒也(真英計測) ○Tsuneya Tsubokawa (Shin_ei Keisoku) 大型建造物基礎の傾斜測定を目的に、数メートルスパンの傾斜計を試作した。地殻変動を検出する傾斜計では、20m以上の長スパンの水管傾斜計が主流となっている。加速器設置等の大型建造物基台では、数メートルスパンでの傾斜量測定も必要で、このための短スパンの傾斜計を検討してみた。従来の水管傾斜計でも、この要求に応えられるが、水の蒸発や結露、電子部品の腐食などで、やや問題がある。水の替わりにオイルを使用すれば、これらの問題点は解決する。 真空容器(ポット)2基に、配管用ポートを設け、両者を連結パイプで接続し、オイルを注入して連結パイプ内部の半分まで満たし(ハーフフィルド)、オイル面を構成する。両端のオイルポットには、それぞれテフロン製のフロートを浮かべる。フロートの上下移動量を、各々のキャパシタンス変位センサーで検出する。この傾斜計は、低真空ながら排気できるため、大気圧の影響を受けないエアータイト構造となる。オイルの蒸発は無いので、長期間の安定性や保守の点で有利となる。両ポット間の距離(スパン)は、連結パイプ長を替えることで、適宜、選定できる。水管傾斜計と違い、光学部品への結露の問題が無い為、光干渉計の導入も可能となり、検出感度の精度向上が期待できる。 本オイル管傾斜計の開発に際し、東北大学研究推進本部の吉岡正和先生には、多大なご協力を頂いた。ここに感謝の意を表します。 |
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THP137 p.1410 | QCS移動架台の設計と据え付け Design and construction of the QCS moving stage ○山岡 広,大澤 康伸,増澤 美佳(高エ研) ○Hiroshi Yamaoka, Yasunobu Ohsawa, Mika Masuzawa (KEK) 本所ではKEKB加速器の40倍のルミノシティを目標としてSuperKEKB計画が進行している。ビーム衝突点近傍では加速器用マグネット等を支持するためのSuperKEKB用移動架台が設置された。この移動架台は約20トンの電磁石自重及び7トンの軸方向電磁力を支持すると共に、メンテナンスのためにレール上を精密に3.35m移動できる構造が要求された。又、移動架台を据え付けるにあたってこの為の床改良工事もおこなわれた。本報告では移動架台とセルフレベリング工法を用いた床改良工事に関する設計・据え付け及び各種試験結果について述べる事とする。 |
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THP138 p.1415 | SuperKEKBトンネルレベル変動 Tunnel level variation during SuperKEKB construction ○大澤 康伸,飯沼 裕美,増澤 美佳(高エ研),藤山 浩樹(三菱電機システムサービス株式会社) ○Yasunobu Ohsawa, Hiromi Iinuma, Mika Masuzawa (KEK), Hiroki Fujiyama (Mitsubishi Electric System & Service Co.Ltd.) 現在SuperKEKB主リングトンネル内では電磁石及び基準点の精密測量を行い電磁石の精密アライメント作業が始まっている。一方地上部ではSuperKEKB用機械棟増設に伴った掘削工事を始めとする土地改良、地下水くみ上げ、埋め戻し、防水等の大規模な工事がトンネルに沿った4箇所で行われている。これらの地上部建設工事がトンネルに与える影響をデジタルレベル計で測量した。周長3kmのトンネル内壁に設けた約200点の高さ測量基準点をほぼ2ヶ月毎に約1年半に渡り測量した結果を地上部工事に照らし合わせて示す。 |